デュエマプレイヤーは「カードが全ての学園島」で成り上がるそうです。   作:タク@DMP

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第24話:ミラクル・フォービドゥン

「私は2マナで《~創造、破壊、そして絶望(ジ・エターナルサーガ)~》を召喚……ッ!!」

 

 

 

《~創造、破壊、そして絶望(ジ・エターナルサーガ)~》 水文明 コスト2

クリーチャー:クリエイター/スチームナイト/フュージョナー パワー3000

 

 

 

 場に現れたのは、かの創造神、あるいは破壊神──そして絶望神、《サガ》の姿を借りた神。

 赤い鎧に身を包んだそれは、歯車のようなパーツを身に着けており、今は《COMPLEX》のシモベでしかないことを示している。

 

「円架を返せ……ッ!! その為に僕は此処まで来たんだッ!!」

「──愚かな事。運命は既に決まっている。《~創造、破壊、そして絶望(ジ・エターナルサーガ)~》の効果で私は、ターン終了時に手札を1枚引いて1枚捨てる」

 

 地味に厄介だ、と照陽は考える。

 手札から好きなカードを墓地に落とせる上に、カードを補充できるのだ。

 早期に置ければ置ける程に厄介なカードだ。

 

「こっちは2マナで《超魂設計図》を唱える……!! 《無頼BEN-K1000》を回収だ!」

「──では《ボン・キゴマイム》を召喚。相手のクリーチャーは場に出たターン中、攻撃出来ない」

「また面倒なのが……ッ!!」

 

《ボン・キゴマイム》 水文明 コスト3

クリーチャー:マジック・マーフォーク パワー4000

 

 これにより、照陽は大きく失速させられる。

 スピードアタッカーもNEO進化クリーチャーも場に出たターンは攻撃することが出来ない。 

 相手をロックしながら継続的に攻めていく照陽とは致命的に相性の悪いクリーチャーだ。

 

(……手札交換を行う《~創造、破壊、そして絶望(ジ・エターナルサーガ)~》に、相手を妨害する《ボン・キゴマイム》、そして恐らく入っているであろう《COMPLEX》……!! 何をするのか大体見えてきたぞ……!!)

 

 照陽は相手のマナゾーンのカードを見遣る。

 此処まで召喚しているのは全て水のクリーチャーだが、既に光、闇のカードも置かれている。

 

(……妨害でこっちを遅延しながら《COMPLEX》を完成させる手筈……!!)

 

「3マナで《無頼BEN-K1000》を召喚!! シールドとマナを増やして、このクリーチャーの下にカードを重ねる!!」

「……残念だが、動かせはしないさ。《修羅の死神フミシュナ》を召喚」

 

《修羅の死神フミシュナ》 闇文明 コスト4

クリーチャー:デーモン・コマンド パワー4000

 

 現れたのは享楽の死神。

 その手から魔弾が放たれ、照陽の手札を撃ち抜く。

 墓地に落ちたのは──彼の切札である《PERFE910-御代紅海》。

 主要カードたる一枚が手札破壊で落とされたことで、つぅと彼の額に汗が伝った。

 

(青黒の面倒くさいカードがこれでもかと……だけど!!)

 

 照陽の手札には、もう1枚の切り札が握られている。

 これは反撃の狼煙。このカードで全てが始まる。

 

「行くよ、ボルメテウス!! 君の出番だ!!」

「ああ──任せておけッ!!」

 

 タップされるは火を含む4枚のマナ。

 召喚されるは「武者」の名を継ぐ始祖のサムライ。

 刀を掲げた装甲龍が今、新たなる戦いの幕を開ける。

 

(ここで《ボン・キゴマイム》を排除しておかなければ厄介な事になる……!!)

 

「──召喚、《ボルメテウス・武者・ドラゴン「武偉」》!!」

 

 咆哮を上げ、ボルメテウスが降臨する。

 今度は──お守りではない。

 照陽の名実ともに切札として、彼の傍に立つ。

 見据える先は同じ。COMPLEXに囚われた円架ただ一人。

 真っ新だった周囲のバトルフィールドは、赤き溶岩が煮え滾る合戦場へと塗り替えられていく。

 

「照陽、私は嬉しいぞ──オマエと共に戦える、今この瞬間を誇りに思うッ!!」

「頼むよ──その効果で僕自身のシールドをブレイク!!」

 

 破壊されるのは、先程《無頼BEN-K》で仕込んだシールド。

 手札を破壊されることを見込んで、照陽はそこに隠しておいたのだ。

 《ボルメテウス・武者・ドラゴン「武偉」》から、全てを始めるためのカードを。

 

「──先ずは《ボン・キゴマイム》を破壊。そして!! ブレイクされたシールドは《竜牙リュウジン・ドスファング》!! 侍流ジェネレートで場に出すッ!!」

 

《竜牙リュウジン・ドスファング》 光/火 コスト5

クロスギア:アーマード・ドラゴン/アーマード・サムライ

 

 《リュウジン・ドスファング》の周囲にサイコロのようなものが浮かび上がる。

 それが投げられ、展開されていく。

 中からは──ネオンライトで彩られた装甲竜。

 かつて《ボルメテウス・武者・ドラゴン》から剣術を受け継いだ、無双の二刀流の使い手が姿を現した。

 

「サムライ・メクレイド5。山札の上からコスト5以下のサムライ──《暴覇斬空SHIDEN-410》を召喚!!」

 

 空間さえも切り裂きながら、それは姿を現し、《ボルメテウス》と肩を並べる。

 

「《ボン・キゴマイム》はもう居ないッ!! 《暴覇斬空SHIDEN-410》で攻撃する時、山札の上から2枚をこのクリーチャーの下に重ねる!!」

 

 置かれたのは──《デスモナーク》。

 これにより、《SHIDEN》はこの攻撃の終わりに再び起き上がる。

 そして、下に重ねられたカードはこれで合計4枚。パワーは12000を超えて、T・ブレイカーとなった。

 

「《SHIDEN》に《ドスファング》をクロス。そして、攻撃時にメクレイドを起動──ッ!!」

 

 捲られる3枚の山札。

 しかし、その中に──コスト5以下のサムライはない。

 

(ッ……不純物を混ぜてる都合、メクレイドはそう何度も成功しない、か──だけど!!)

 

 砕かれるCOMPLEXのシールド。

 その破片が円架の身体を切り裂いていく。

 

「シールドをT・ブレイクだ!!」

 

 だが、宿主となっているCOMPLEXは痛みも何も感じないのか平然と突っ立っているだけだ。

 そればかりか──

 

「G・ストライク、《飛ベル津バサ「曲通風」》で《SHIDEN》の攻撃を止める」

「ッ……止まったか」

「そしてS・トリガー、《忍蛇の聖沌c0br4(コブラ)》!! 山札の上から2枚を墓地に置き、そこからコスト5以下のクリーチャーを1体場に出す!!」

 

 現れたのはヘビのような姿をしたシノビのクリーチャー。

 以前、照陽が使っていた《忍蛇の聖光 c0br4》とは遂になるようなカードだ。

 COMPLEXの墓地が光り輝く。

 

(マズい、墓地のカードは《~創造、破壊、そして絶望(ジ・エターナルサーガ)~》の効果で増えている……!!)

 

「では始めよう──創造、破壊、そして絶望を。《~創造、破壊、そして絶望(ジ・エターナルサーガ)~》をNEO進化ッ!!」

 

 赤き鎧の神はバラバラに分解され、再構築されていく。

 中心に座すは災禍の壺。

 それを核として、歯車仕掛けの時皇が降臨した。

 

 

 

「空間も時間も思いのまま、捻じ曲がる──我が名は《ARC REALITY(マガルセカイ) COMPLEX(コンプレックス)》」

 

 

 

ARC REALITY(マガルセカイ) COMPLEX(コンプレックス)》 光/水/闇文明 コスト3

NEOクリーチャー:パンドラボックス/スチームナイト パワー25000

 

 

 

 立ち上がったのは巨大な機神。

 溶岩に包まれた合戦場は、一瞬で歯車仕掛けの世界へと塗り替えられていく。

 その胸には、巨大な歯車が埋め込まれ、その顔には《~創造、破壊、そして絶望(ジ・エターナルサーガ)~》が浮かんでいた。

 

「我は願望器、お前達の望むものを叶えてやろう……ッ!!」

「──ッ!?」

 

 空中に浮かび上がる青白い人影。

 一人や二人ではない。

 いずれも、この島にある学園の制服を着た少年や少女たち。

 更に、クリーチャーの影も無数に浮かび上がる。

 

「これはもしかして……COMPLEXに消された人たち──ッ!?」

 

 だとすれば、と照陽は寒気がした。

 このCOMPLEXというクリーチャーは今の今まで、果たしてどれ程までの人々を存在や歴史も含めて「消し飛ばして」きたのか分からない。

 そして、この世界に住む誰もかれもが──消された人の事すら覚えておらず、当たり前のように生きている。

 

「オマエって奴は……どれだけ好き勝手したら気が済むんだ……ッ!!」

「そして──」

 

 COMPLEXの目がギョロリと動いた。

 その先には──空間に巻き込まれ、今までデュエルの行く末を見守っていた、()()()()()()()()()

 

「ッ……!?」

「この世界の天戸円架……返してやろう。()()()()()()

 

 円架の眼前に浮かび上がるのは──照陽と瓜二つの少年。

 目は瞑っており、体は青白いが、一瞬で誰が見ても照陽だと分かるものだった。

 

「僕が居る……ッ!? もう1人──ッ!?」

 

 そして──天に浮かぶ()()()()()()()を見た円架に、いきなり頭痛が襲い掛かる。

 

「ッ……つ、あぁ!?」

「円架!?」

「な、なに、これ、頭が、割れ……!!」

「久しぶりの再会だ。喜ぶべきだ、()()()()()()()()()……!!」

 

 頭が割れそうになりながらも──円架の脳裏には、目の前に浮かぶ少年の記憶が奥底から蘇ってくる。

 

「お、にい、ちゃん……ッ!?」

「思い出したのか……!?」

 

 チカチカと明滅する視界。

 そして、少年の記憶から結びつく今までの出来事。

 その全てが円架の神経に絡みついていく。

 ガチガチと歯を鳴らしながら、円架は膝を突いた。

 

「そ、う、だ、思い出した……私……お兄ちゃんに置いてかれるのがイヤで、この学園に入ったんだ……!! お兄ちゃんを羨ましがらせてやろうって思って、より成績の良い聖羽衣に飛び級して……ッ!!」

 

 この世界の円架の言葉を聞き、照陽は目を伏せる。

 結局の所、円架はどの世界でも円架だったのだ、と。

 自分を追いかけ、いつも構ってくるあの妹と何も変わりはしなかったのだ、と。

 

「私、デュエマなんてキライだった……!! お兄ちゃん、デュエマの事になると、ずっとのめりこんじゃうもん……!! 私はお兄ちゃんが大好きなのに、お兄ちゃんはデュエマの事ばっかり!!」

「……」

「でもね、私、デュエマをしているお兄ちゃんが一番輝いてると思ってる……だから、少しでもデュエマの事を知ろうと思って、この学園に入ったんだ……!!」

 

 今目の前でCOMPLEXに囚われている、自分の世界の円架。

 そして、失われた記憶を取り戻しつつあるこの世界の円架。

 二人共──違うようで同じ「天戸円架」だったのだ、と。

 

(そうだ……僕は結局、円架に甘えて……あいつのことを見てやれなかったのかもしれない。同じなんだ。こっちの僕も、今此処にいる僕も……そして、此処にいる円架も)

 

「なんで、お兄ちゃんの事を、忘れてたんだろう……? お兄ちゃんの事を忘れて……私は今まで、何を……?」

「さあ、手を伸ばせ──オマエもこっちに来い……ッ!!」

「っ……!」

 

 円架が手を伸ばす。

 その先には、青白い影と化したこっちの世界の照陽が手を伸ばしていた。

 

「おにい、ちゃん──」

「目を覚ませッ!! 円架ッ!!」

 

 びくり、と円架は体を震わせた。

 声を張り上げたのは──今、まさにデュエルをしている照陽だ。

 

()()()()……もう、居ない。居ないんだッ!!」

「……だけど」

「こっちに来い、天戸円架──辛い現実よりも甘美な永遠の夢を見せてやろう──ッ!!」

「行っちゃダメだ、円架ッ!!」

「ッ……」

「君の兄は、そっちには居ない!! 君の兄は──皆を守る為に……COMPLEXと戦って──そして、負けたんだ……ッ!!」

 

 誰よりも、それを口にするのが照陽は辛かった。

 無念だったに違いない。悔しかったに違いない。

 だが、もしこの世界の照陽が自分と同じように妹を想っていたならば──

 

「──でも、だからこそ、君はそっちに行ってはいけない!! 僕が君の兄なら──僕の事を忘れてでも、君には元気で生きていてほしいと願うはずだッ!!」

「ッ……!!」

「戯言をッ!! 我は願望器、何故我の言う事に耳を貸さないッ!!」

 

 ──突如、COMPLEXの手札が全て墓地へと叩き落とされる。

 唱えられた呪文は──《ダブルリセット・パンチ》。

 その効果は、自身の手札を全て捨てて同じ枚数だけ引き直すというもの。

 そして、《ARC REALITY(マガルセカイ) COMPLEX(コンプレックス)》の効果はプレイヤーが手札を捨てた時に起動する。

 

「捨てられた手札の分だけ、我の器は満たされていく──ッ!! 手札が捨てられる度に、下にカードを1枚重ねていくッ!!」

「しまった、これで奴の下のカードは7枚……ッ!?」

 

 更に肥大化していく《ARC REALITY(マガルセカイ) COMPLEX(コンプレックス)》。

 その巨大なアームが照陽のシールドを狙う。

 

「──我が攻撃する時、下にカードが7枚以上あれば──下のカード全てを手札に戻し、コスト9以下のカードを実行するッ!!」

 

 実行。

 その意味は──呪文であれば唱え、クロスギアであればジェネレートし──クリーチャーであれば召喚する、というものだ。

 最悪にして災厄。

 COMPLEXの歯車が回転し、時空が裂ける。

 そこから、禁じられし時の王が降臨した。

 

 

 

 

「──禁断の奇跡が今起こる。世界は確変し、捻じ曲がる。

《禁時混成王ドキンダンテXXII(トゥエンティツー)》──ッ!!」

 

 

 

 

 ──巨大な石碑に縛り付けられるは強大なる禁断の王。

 時間さえも超え、禁断の奇跡を起こせし悪夢の存在。

 それは──照陽にとっても、最も恐るべきクリーチャーの1体だった。

 

「パワーは脅威の99999ッ!! その能力で、貴様のクリーチャー全ての効果を消し飛ばすッ!!」

 

《禁時混成王ドキンダンテXXII(トゥエンティツー)》 光/水/火文明 コスト9

クリーチャー:ディスペクター/エンジェル・コマンド・ドラゴン/禁断 パワー99999

 

 その槍により、敵の全ての効果は文字通り「封印」される。

 照陽の場に居た《SHIDEN》も《「武偉」》も一切の効果を失った。

 更に──

 

「相手がコスト9以下のクリーチャーを召喚したり、呪文を唱えた時ッ!! 《ドキンダンテ》の効果で、我は手札からコスト9以下の呪文を唱える事が出来る!!」

「──そっか、そういうことか……!!」

 

 円架には見えていた。

 先程、COMPLEXの下に重ねられた大量のカードの中には、《ドキンダンテ》の効果で唱えられる呪文が見えていたことを。

 

「理解したか!? このブレイクで貴様がS・トリガーを使えば、その時点で《ドキンダンテ》の効果は発動する!! かと言って、何も使わなければ──このまま成す術なくオマエは消える、天戸照陽ッ!!」

 

 そして、よしんばこのターンを乗り越えたとしても──照陽は次のターン、召喚や呪文の詠唱を行った時点で《ドキンダンテ》の効果を受けてしまう。

 COMPLEXの手札に加えられた呪文は──《ルシファー》。

 相手ターン中に使えば、その時点で相手のターンをスキップし、強制終了させる呪文だ。

 

「つまりお前はもう、何も出来ないッ!! 何も出来ず、時間の狭間に消えていけッ!!」

「──もういい、分かった、黙れ」

 

 ──即ち絶体絶命の状況。

 しかし──天戸照陽は慌てず騒ぎもせず、ただ純然たる怒りを以て立ち向かう。

 

 

 

「……もうお前の言葉なんて聞きたくない。二度と僕の妹の口で喋るな」

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