デュエマプレイヤーは「カードが全ての学園島」で成り上がるそうです。   作:タク@DMP

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第41話:黄金の回転

 ※※※

 

 

 

 空間が展開されていく。

 照陽の足元からは炎が揺らめき立つ合戦場。

 そして、天津の足元には巨大な塔の聳え立つ絶海が広がる。

 両者の心象風景がぶつかり合う真のデュエル。

 

(……ダーリン。頑張っテ!!)

 

 澪音が祈る中、シールドが展開され、決戦の火蓋が切られた──

 

【2ターン目】

先攻:天戸照陽(マナ2)

後攻:天津サクガミ(マナ1)

 

「僕は──《チャラ・ルピア》を召喚するよ」

 

《チャラ・ルピア》

・ドラゴンの召喚コストを2軽減する。

 

 照陽の手札から飛び出すのはポンポンを持った黄色い火の鳥。

 以前相手した彼のデッキには入っていないカード。

 それを見てサクガミ、そして観戦している澪音は即座に構築が変わった、と直感した。

 

(前回無かったクリーチャー!! そして前回とは違うマナのカード!!)

 

(いつものダーリンのデッキじゃなイ!! あれってまさか──)

 

 照陽のマナゾーンに見えるのは──《竜装ゴウソク・タキオンアーマー》。アーマード・ドラゴンとアーマード・サムライを種族に持つクロスギアだ。

 

(クロスギアなんて前回のデッキには入っていなかった!! ……NEOクリーチャーを軸にしたテクノ・サムライにこんなもん積む余裕は無ェッ!!)

 

「おいおい、冷笑させてくれるなァッ!! デッキを変えれば勝てると思ったかよ? それを何て言うか知ってるか? 付け焼刃ッ!! 無駄な努力ッ!! ──来い、《洗打の妖精》ッ!!」

 

 同時にサクガミは《洗打の妖精》を呼び出す。

 コストを軽減する《ボルバディ・ルピア》に対し、マナの枚数よりもコストの大きいクリーチャーの召喚を咎めるカード。

 的確なメタクリーチャーの展開だ。

 しかし、それに対して照陽の顔は涼しい。

 

「──僕は3マナで《ヴァルキリアス・武者・ムサシ「弐天」》を召喚だ」

「!?」

 

 照陽の背後に現れるは──巨大な二刀を携えた装甲竜。

 そのコストは5。

 照陽のマナのカードは3枚しかないので《洗打の妖精》で手札に戻されてしまう。

 だが──それで良い、と照陽は考えていた。

 

「先ず《「弐天」》の効果で場の火のエレメントの数以下のコストを持つ相手のクリーチャーを破壊だ」

 

 斬撃が《洗打の妖精》目掛けて飛ぶ。

 だが、妖精は泡へと姿を変えてそれを容易く躱してしまうのだった。

 

「バカが!! ジャストダイバーで《洗打》は選ばれねえ──このターンはまだ死なねえよ!」

「分かってるよ──そして《「弐天」》は場の光のエレメントの数だけカードを引ける。2枚、ドローさせてもらうよ」

「……ッ!」

 

 照陽の手札にカードが2枚、加えられる。

 あくまでも照陽の目的はドロー。

 此処で《弐天》が残ろうが残るまいが関係ないのだ。

 《洗打》の放つ泡によって《弐天》も手札へと戻されてしまうが──

 

(……結果的に手札を増やしてターンを終えやがった!! 次のターンに仕掛けてくるつもりだ!!)

 

(よし、コンボパーツは揃った。問題は天津が次のターンに何をしてくるか、だけど)

 

「前回とデッキを変えたんだろうが、中身は結局サムライ! どうせ──《ボルメテウス・武者・ドラゴン「武偉」》からの《ドスファング》だろがァ!!」

 

 サクガミが3枚のマナをタップする。

 飛び出したのは──豪奢な装飾に身を包んだ轟車。

 

「──《創世竜(ジェネシス)ゴルギーネクスト》召喚ッ!! こいつでテメェはクリーチャーを2体までしか出せねえ!!」

「《ゴルギーネクスト》!? マズいワ、ダーリン!!」

 

 ごくり、と照陽は息を呑む。

 彼の出身の世界ではまだ発売されていないカードだ。

 フィールドには鎖が広がっていき、照陽の展開を大幅に制限する。

 サムライは《ドスファング》からの大量展開を狙うデッキだ。しかし、クリーチャーを2体しか出せないのでは攻撃力は大きく削がれてしまう。

 無論、本来ならばこのようなクリーチャーは《「武偉」》の効果で破壊すれば良いのであるが──

 

「テキストの確認良いかな? 《ゴルギーネクスト》の効果は……クリーチャーを出せなくするだけじゃないだろう?」

「流石にカンが良いな。ウソを吐いても仕方ねえ──教えてやるよ。こいつは()()()()()()()だッ!!」

「……成程、道理で」

 

 面白くなってきたね、と照陽は口角を緩めた。

 

「破壊してもシールドを犠牲にして生き残る!! サムライは……破壊以外の除去に乏しいのは俺だって知ってるぜ?」

「流石六禍仙……か」

「そのデッキは赤白サムライ!! リースカラーから色を減らして攻撃力に特化させた構築!! ……そして、時代の流れで表舞台から消えた型落ちデッキだ!!」

「そいつはどうかな。今の環境は《ボン・キゴマイム》も少ないし、案外やれるかもしれないよ」

「うおっ、粋がるねえ。だけどよ、俺ァ知ってるぜ? そのデッキはテクノサムライよりも対応力に欠く!! そのデッキじゃあ《ゴルギーネクスト》を退かせられない!!」

 

 照陽は手札のボルメテウスに目を向けた。

 不安そうに主人である照陽の顔を見ている。

 

『……照陽。いつものデッキじゃなくて良かったのか?』

「大丈夫、ボルメテウス。このデッキは……僕の原点だからね。むしろ──年季はこっちの方が古いよ」

 

 それに、と彼は付け加える。

 

「温故知新。古いデッキだって、新しいカードを取り入れて、どんどん強くなっていくんだ」

 

 観戦している澪音に向けて──照陽は微笑む。

 

「見てて、澪音。そしてボルメテウス。僕は──このデュエルも全力で楽しむよ!」

 

 照陽は天津の手札とマナを確認する。

 次で4マナだ。悠長な動きは許されない。

 

(4マナってことは──強力なハンデスカードが使える。もう《弐天》を出してドローをしている場合じゃない。仕掛けるッ!!)

 

(仕掛けようにも仕掛けられねえだろ?)

 

 冷笑するように天津は自らの手札を見た。

 そこにあるのは──《七王無き宮殿》。

 相手の多色カードを手札から全て捨てさせる4マナの呪文だ。

 

(だから手札を溜め込んでくるはずだッ!! そこをコイツでまとめてドボンッ!! 《弐天》も《ドスファング》も全部墓地に落としてやるよ!! さあ、《弐天》をもう1回出して来いッ!!)

 

「僕は──2マナで《ゴウソク・タキオンアーマー》をジェネレート!!」

 

《ゴウソク・タキオンアーマー》

・サムライクリーチャーとクロスギアのコストを1軽減するクロスギア

 

 意外な照陽の行動に目を丸くする天津。

 だが同時に──彼がまともに動けない事を彼は知っている。

 《ゴルギーネクスト》でクリーチャーは2体しか出せないのだから。

 

「どひゃーッ!! それどころか、今更コスト軽減クロスギア!? オマエ、頭にウジでも湧いたかァ!?」

「《ゴルギーネクスト》はクロスギアの展開は止められない。それは分かっているよね?」

「ああ、分かってるさ。そして、クロスギアだけじゃ勝てねえ事もなァ!!」

 

 クロスギアはクリーチャーに装備するカード。

 それを大量に並べたところで天津のシールドに攻撃は通らない。

 かと言ってクリーチャーの展開は《ゴルギーネクスト》に止められてしまっている。

 

 尤も──既に照陽は回答を用意している。

 

「──そして1マナで《ボルメテウス・武者・ドラゴン「武偉」》を召喚ッ!!」

 

 法螺貝の音が鳴り響き、合戦場に全ての始まりを告げる武者竜が現れる。

 炎が舞い上がり──ボルメテウスが照陽に目配せした。

 

「信じるぞ照陽ッ!! オマエは──いつも通り、楽しめッ!!」

「ああ、行こうボルメテウス!! 僕達は……止まらない! 先ずは僕自身のシールドをブレイクして……《洗打の妖精》を破壊する!!」

 

 照陽残りシールド:5→4

 

 斬撃が飛び、ジャストダイバーが解除された《洗打の妖精》が真っ二つになって爆散する。

 

「ッ……お話にならねーな!! どの道、《ゴルギーネクスト》が生きている限り──」

「侍流ジェネレートで《リュウジン・ドスファング》を出す。サムライ・メクレイド5を発動!!」

 

 ごくり、と唾を飲みこみ──照陽は山札の上から3枚を捲った。

 そして、そのうちの1枚をすかさず場に出す。

 

「ジェネレート──《竜装ザンゲキ・マッハアーマー》ッ!!」

「だからクロスギアだけ並んだところで──」

「……いや、これで良いんだ」

 

 照陽は笑みを浮かべた。

 

「このターン、()()()()()()()()()()()()は4つ」

「……あ? いきなり何の話をしてやがる」

「《タキオンアーマー》、《武者「武偉」》、《ドスファング》、そして《ザンゲキ・マッハアーマー》の4枚だ。そして僕のマナゾーンには光のカードがある」

「だから、何の話を──まさか」

 

 何か思い当たる節があったのか、天津は引き下がる。

 

「……オマエ、正気か!? ()()()()()()()()()()()()()()()()ァッ!?」

「生憎手持ちに余裕が無くてね──カドショの30円ストレージさ。()()()()()()()ので──僕はコイツを()()()()()()()ッ!!」

 

 照陽が呼び出すカード。

 それは無限の回転を生み出す創世の竜だ。

 

 

 

「──《チャラ・ルピア》をG-NEO進化。

創世竜(ジェネシス)ゴルファウンデーション》ッ!!」

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