デュエマプレイヤーは「カードが全ての学園島」で成り上がるそうです。 作:タク@DMP
現れた巨竜は、手にしたゴルフクラブを大きく振り上げ──《ゴルギーネクスト》目掛けて叩きつける。
「──《ゴルファウンデーション》の効果発動。相手のクリーチャーをシールドに封じ込める──ッ」
「そ、そうダ! エスケープは破壊しか防げない──これで《ゴルギーネクスト》を退かせられたワ!!」
天津シールド:5枚→6枚
シールドと化した《ゴルギーネクスト》。
天津は一歩、引き下がる。
これで照陽を止める者は何も無くなってしまった。
「さあ、此処から始動だ!! 《ドスファング》と《ザンゲキ・マッハアーマー》を《ボルメテウス・武者・ドラゴン「武偉」》に無料クロス!!」
・《竜牙リュウジン・ドスファング》
サムライにコストを支払わずにクロスできる。
・《竜装ザンゲキ・マッハアーマー》
《ボルメテウス・武者・ドラゴン》にコストを支払わずにクロスできる。
《ボルメテウス・武者・ドラゴン「武偉」》にクロスギアが次々に重ねられていく。
何処からともなく法螺貝の音が鳴り響く。
辺り一面は合戦場へと塗り替えられた。
咆哮した《ゴルファウンデーション》は天津のシールド目掛けて斬りかかった。
《ザンゲキ・マッハアーマー》がクリーチャーにクロスされている時、ドラゴンとサムライは全て「スピードアタッカー」を得るのだ。
「──《ゴルファウンデーション》で攻撃する時、革命チェンジ──《音卿の精霊龍 ラフルル・ラブ》に!」
「しまった……!!」
天津は手札を見遣る。
握られている呪文のカードが全て灰色と化した。
《ゴルファウンデーション》と入れ替わるのは──静寂を齎す天使龍だ。
「これで天津は呪文を唱えられないワ!!」
(冗談じゃねえ!! 手札の《真気楼と誠義感の決断》が腐りやがった……!!)
それだけではない。
シールドに眠っているであろうS・トリガーの呪文もこれで使えなくなる。
更に、天津は次のターンの呪文も止められてしまっている。
「《ラフルル・ラブ》でシールドをW・ブレイクだ!!」
「──ふ、ざけるな……ッ」
しかし。
それで終わる六禍仙ではない。
「──全部上から引っ張ってきただけだろがァ、ドシロートがァ!! テメェみたいな運だけ野郎に……この俺が負けるなんて、世界が許しても俺が許さねえッ!!」
「……ッ」
「兄貴は凡才だった。凡才は努力しても一生、努力した天才には追いつけねえ。ましてや……オマエのように、カードに愛されたプレイヤーには一生追いつけねえッ!!」
くくく、と笑みを浮かべながら天津は1枚のカードを照陽に見せつける。
「そんな世界は俺が認めねえ。生まれ持った全てでその後の人生が決まっちまうなら努力なんざ意味はねえ。そんな世界は俺が冷笑してやるのさッ!! 《テンサイ・ハート》をニンジャ・ストライクで召喚するッ!!」
「このタイミングで《テンサイ・ハート》!?」
照陽は場の《「武偉」》に目を向けた。
《テンサイ・ハート》は山札の上から5枚を見て1枚を手札に加え、その後1枚を捨てるシノビだ。
そして捨てたカードと同じコストのクリーチャーの攻撃を止める効果を持つのである。
「……捨てるのは──《斬隠蒼頭龍バイケン》!!
旋風と共に、青き竜が天津の場に現れた。
そして、照陽の《「武偉」》が手札へと送還されていく。
「すまない、照陽──ッ!!」
(《バイケン》は相手のターンに手札から捨てられると場に出るクリーチャー! 《テンサイ・ハート》で捨てる事で場に出したのか!)
「W・ブレイクは……甘んじて受けてやるよ」
砕かれる2枚のシールドは両方共S・トリガーの呪文。
《ラフルル・ラブ》の効果で封じられており、使えない。
だが──
「──テメェに未来は無ェ!! 俺は《ハンプティ・ルピア》を召喚し、《ボルメテウス・武者・ドラゴン「武偉」》を破壊するッ!!」
「……ッ」
手札から燃え落ちる《ボルメテウス・武者・ドラゴン「武偉」》。
更に《ラフルル・ラブ》を狙い、《バイケン》が迫る。
「──《バイケン》の攻撃時に革命チェンジを発動──《完璧問題 オーパーツ》ッ!!」
現れたのは水晶の身体を持つロボットのようなドラゴン。
その剣が幾つも照陽の手札とバトルゾーンのカードを突き刺す。
「お前に選択権を与えてやる。俺はカードを2枚引く。そしてオマエは、場と手札からカードを2枚選んで山札の下に置くッ!!」
「……なら、《ラフルル・ラブ》と手札のカードを1枚を下に……ッ」
《ラフルル・ラブ》が悲鳴を上げて、水晶の剣に突き刺されて消滅した。
形勢逆転。
呪文封じの時間は切れ、そして──場のクリーチャーは全て蹂躙され尽くした。
残る天津のシールドは4枚。そのうちの3枚にはS・トリガーが入っている可能性が高い。
(デッキ内の《ラフルル・ラブ》をもう1枚引ける確証はない。かと言って、これ以上の先延ばしも出来ないな……ッ)
(さあ来いよ、天戸照陽。仕切り直しだ。ケア無しで俺のシールドに突っ込んでくる勇気があるならな……ッ!)
呪文が使えるようになれば、今度こそ天津の独壇場だ。
《真気楼と誠義感の決断》でS・トリガーのカードを乱発し、ゲームが終了する。
剥き身の剣で斬り合うような、戦い。
ただし、天津の方が重装備で、しかも隠し拳銃まで持っているような状況。
静かな緊張感がその場に横たわる──
「……オマエのようなヤツを何人も見てきた。カードに愛された神童……そうだろ?」
「自覚は無いかな。僕より強い人なんて幾らでも居る」
「居るのさ天才って奴が。細い線を通し、必敗を必勝に塗り替える──そんなプレイヤーが」
「そんな魔法のようなことは出来ないよ」
天戸照陽は──笑ってみせる。
「僕はデュエマが好きだから──自分のデュエマを最後まで信じるだけさ」
「そうだ、そういうところだ、大っ嫌いなんだよ──兄貴の死んだ、デュエル・マスターズがッ!!」
「お兄さんが死んだのは誰の所為でもない。只の事故だ」
「抜かせよ──そうなった原因を辿ればッ!! そこのバカ女の母親の所為だろが──」
びくり、と澪音が肩を震わせた。
「……余計な希望を持つから後で痛い目を見るのさ。どうせ努力したところで本当に才能のあるヤツには追いつけっこねえのにな」
「なら、君はどうして此処まで這い上がってきたんだい」
「俺には才能があったんだよ。兄貴とは違う──才能って奴が。だから、分かっちまったのさ。結局、どうやったって兄貴は──プロの世界では生き残れなかった。余計な希望を持たせるべきじゃなかった」
「……違う。君だって努力をしたはずだ。此処に来るまでに、何度も」
照陽は──マナのカードをタップせず、1枚のカードを場に出す。
「──頼むよ。《
現れたのは黒い人型のクリーチャー。
だが、そのクリーチャーに照陽の場にあるクロスギアが全てクロスされていく。
「──そ、そいつは……ッ!!」
「クロコギアはコスト0でパワー0のクリーチャー。だけど、登場時に場のクロスギアを好きな数クロスすることでパワーを増していく。そして──《ザンゲキ・マッハアーマー》の効果により、《クロコギア》はスピードアタッカーだ!!」
すぐさま武装した黒いヒトガタが天津のシールド目掛けて斬りかかった。
「攻撃時に《ドスファング》のメクレイドを発動だ。出すのは──《バザガベルグ・閃光・ドラゴン》ッ!!」
閃光の勢いでそれは戦場へと降り立つ。
畳みかけるようにして照陽は更なるクリーチャーを繰り出した。
「──《閃光・ドラゴン》の侍流ジェネレートで手札から2枚目の《ドスファング》を場に出すッ!! そのメクレイドで──《ヴァルキリアス・武者・ムサシ「弐天」》を召喚ッ!!」
次々と雪崩れ込むサムライたち。
その圧倒的な物量を前に天津は圧倒されていく。
(たった1体のクリーチャーから……いや、場には既に何枚ものクロスギアが敷かれていたッ!! コイツを除去できる手段が無かった時点で──)
《バザガベルグ・閃光・ドラゴン》
・場に出た時に、好きな数のクロスギアを好きなクリーチャーにクロスすることができる。
「そして──攻撃時のD・D・Dを宣言ッ!!」
照陽は──マナゾーンのカードを4枚、タップする。
「《「弐天」》からGーNEO進化──《轟く邪道レッドゾーン》ッ!!」
現れるは邪道貫く轟速の侵略者。
その拳が勢いよく《オーパーツ》を引き潰し、破壊する。
「──そして、《クロコギア》でシールドをブレイクだッ!!」
「……だから、無駄だってんだよ。要らねえ希望を持つから絶望する事になるんだぜ」
砕かれるシールド。
それが光となって収束していく。
「S・トリガー……《忍蛇の聖屯c0br4》!! その効果で墓地にカードを2枚置き──そこからクリーチャーを蘇生するッ!!」
天津が享楽に歪んだ顔で指を差す。
「──ビンゴだ。これで攻撃は全て止まる。
清濁奔流、押し流す──《切札竜ボルメテウス・リバース・ドラゴン》ッ!!」