銀麗の魔女   作:龍翠

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エピローグ

 のんびりまったり。ウルとラビを連れて、スピカは森を歩きます。自然と集まってくる動物たちに挨拶しつつ、いつもの広場へ。

 広場に到着すると、すでにソフィアがいました。大きな木の側で、横になって眠っています。ソフィアのお腹の上ではカーバンクルのくるくるも丸くなって眠っていました。

 起こさないようにそっと近づき、ソフィアの顔をのぞき込みます。むにゃむにゃと口が動いています。

 

「ししょーのばか……ちょっとはかたづけて……」

 

 思わずスピカの頬が引きつりました。なんだか聞いてはいけないことを聞いてしまったみたいです。スピカは何も聞いていないことにして、ソフィアの隣に座りました。

 ウルとラビを撫でながら、小さく欠伸をします。隣で気持ち良さそうに眠っているのを見ると、スピカも眠たくなってきます。でも今日は待ち合わせの日なので、寝るのはもう少しおあずけです。

 

 そうして待っていると、ひょっこりとフェルトが顔を出しました。フェルトはソフィアを見て薄く微笑み、しぃっと人差し指を立てたスピカに頷きます。フェルトはソフィアを挟んで反対側に座りました。

 会話もせずにのんびりとしていると、森の方から動物たちが現れます。動物たちはこちらへと走ってこようとしましたが、ソフィアがお昼寝中だということに気づくと、すぐに立ち止まって静かに歩いてきました。とても良い子たちです。

 動物たちは三人の周りに集まると、それぞれ横になりました。自分たちの過ごしやすいように寝そべっていきます。どうやら今日はみんなでお昼寝することになりそうです。

 

「私たちもお昼寝します?」

「そうしよっか」

 

 フェルトの小声での提案に、スピカも頷きました。二人そろってソフィアにくっつきます。こうするとあったかいのです。

 そうしてくっついていると、すぐに睡魔が襲ってきて、スピカとフェルトはそのまま夢の世界へと旅立ちました。

 

   ・・・・・

 

 ふと、ソフィアはなんだか温かくなっていることに気が付いて目を覚ましました。体を起こして、欠伸をして。両隣を見て、ぎょっと目を剥きました。

 スピカとフェルトが眠っていました。いつの間に来ていたのでしょうか。

 起きたソフィアに気が付いたのか、ウルがこちらを見つめてきます。ソフィアは小さく微笑むと、何でも無いと首を振りました。

 よくよく周囲を見てみれば、驚いたことにたくさんの動物たちが眠っています。どうやらみんな、ソフィアに気を遣ってくれたようです。申し訳なく思うのと同時に、嬉しくもなりました。

 

 旅立った当初、ソフィアはずっと一人でいることを覚悟していました。間違い無く友達なんてできないだろうと思っていました。

 けれど、どうでしょう。気づけばソフィアには何物にも代えられない大切な友達が二人もできました。この二人のためなら、ソフィアは世界を、至金の魔導師すら敵に回してもいいと思っています。

 

 もぞもぞとスピカが動きます。ソフィアを探すように手が動いています。噴き出しそうになるのを堪えながらその手を握ると、ふにゃりとスピカが笑いました。うん。かわいい。

 どうやらこの二人はまだまだ起きそうにありません。ソフィアは少し考えて、もう一度寝ることにしました。この二人と一緒なら、とても楽しい夢が見られるかもしれません。

 ソフィアは早速その場に横になると、またまぶたを閉じました。

 

   ・・・・・

 

 そんな三人の様子を、少し離れた場所で先代さんと至金さんが見守っていました。かわいい愛弟子に頬を緩めっぱなしの先代さんと、少しだけ呆れつつも微笑ましく見守っている至金さん。

 

「私の弟子はやっぱり世界一かわいいね。うん。その友達もかわいいね。うん」

「弟子大好きは分かったから。君もぶれないね……」

 

 ある日、この世界が作られた頃からの付き合いである先代さんが弟子を取ったと報告に来た時は、本当に心底驚いたものです。ずっと冷たい印象があったのに、途端に柔らかくなったことにも。今ではもうすっかり親馬鹿ならぬ師匠馬鹿です。

 先代さんにとってはやはり愛弟子が一番かわいいようですが、その友人にして弟子、つまりは孫弟子に当たるスピカのことも気に入っている様子。頬が緩みっぱなしです。とりあえず突っ込むのも面倒なので、カメラ片手に写真を撮りまくっているのは気にしないことにしておきます。

 

「こう、この世界の文明を考えなよ。カメラって」

「そんなもの今更じゃないか。あたしたちにとっては」

「それは、まあ……。そうだけど」

 

 二人はこの世界最初のAIであり、父とも言える科学者にこの世界のことを託されています。それ故にリアルについても知っている二人は、その文明についてもしっかりと理解しています。特に至金さんは。

 

 銀麗の魔女は、この世界で発生するバグやエラーへの対処が本来の仕事であり。

 至金の魔導師は、外部からの攻撃、ハッキングなどへの対処が仕事です。

 

 それが、銀麗と至金の正体です。ただのレアキャラじゃないのです。弟子大好きな親馬鹿ではないのです。

 

「ああ……。かわいいなあ……」

「…………」

 

 訂正。ただの親馬鹿だこれ。

 

「おっと……。仕事だ」

 

 ふと至金さんが顔を上げました。その表情は威圧感のあるものになっています。先代さんはそれを見て、肩をすくめました。

 

「懲りないね、ほんとに。まあ気をつけて」

「ああ。行ってくるよ」

 

 そう言って、至金さんは姿を消して。手痛い反撃があることを知っているにも関わらず懲りないハッキングへの対処へと向かいました。

 

 

 

 先代さんと至金さんにより、世界はいつも通りに回ります。この世界を楽しむ人たちのために。自分のかわいい弟子のために。彼と彼女は今日も本来の業務を必死にこなすのです。

 

「んー……。ぎゅっとしたいなあ……。でもあんまり関与しちゃうと、拗ねちゃいそう……」

 

 訂正。本来の意味での銀麗の魔女さんは適度に頑張るのです。

 

   ・・・・・

 

 後日。掲示板にて。

 

 500 銀の先代

 秘蔵の画像だ! 私の宝物だけど見せてあげよう! すぐに削除するから、さっさと保存したまえ! 

 <添付ファイル>(もふもふに囲まれて眠る銀麗組三人)

 

 

 501 赤の剣士

 あなたが神か!

 

 

 502 緑の弓士

 おおおおお! 一生について行きます先代様!

 

 

 503 青のテイマー

 もふもふに美少女! なんだこの素敵画像!

 

 

 504 青の武闘家

 保存した! ありがとうございます先代様!

 

 

 505 白の剣士

 尊すぎる……。俺、もうしんでもいいや……。

 

 

 506 白のヒーラー

 私も保存したけど、落ち着こうよ……。

 

 

 507 青の武闘家

 何やってんすか先代様。でもありがとうございます先代様!

 

 

 ちょっとしたお祭りが、あったとかなかったとか。

 

 

                          了




壁|w・)ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
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