ARMORED CORE 2199〜ルビコンの戦士たち〜   作:ルビコン侍

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クロスでのキャラ掛け合いって難しい……


第六話『重要会談』

 

 次元潜航艦からの通信から一時間後。

 惑星ルビコン3の地表にて。

 ルビコン3の東部には、ベリウス地方と呼ばれる地域がある。そこにはルビコン解放戦線の勢力圏が広がっていた。

 コーラル災害の後、様々なものを失ったルビコン3での生活は困窮を極めている。地球連邦政府はこの地を封鎖し、ルビコンで育った人々──所謂ルビコニアン──を完全に見捨てたのだ。

 その結果、この地はルビコニアンにとって食料やエネルギーを調達するのにも苦労する、貧しい土地になっていた。

 汚染のせいで農業もままならない中、生き残ったルビコニアン達は、コーラルが少し湧き出る井戸を秘密裏に保有し、なんとか生き延びている状況であった。

 

「通信内容に間違いはないのか?」

「はい、間違いありません。こちらの言語で正しく翻訳されています」

 

 ルビコン解放戦線の拠点にある地下司令部。薄暗い部屋にモニターが点灯するこの司令室にて、同組織の実質的指導者であるミドル・フラットウェルは、オペレーターの言葉を聞いて唸っていた。

 

「ついに彼らが、コンタクトを取ってきたか……」

 

 オペレーターが言っているのは、ガミラスを名乗る外宇宙勢力からのメッセージについて。

 話は遡ること数週間ほど前。軌道上にいる惑星封鎖機構の動きが急に活発になったかと思えば、何か別の勢力と戦闘をしている形跡が見られたのだ。

 執念をかけた模索により、解放戦線は相手が地球人類ではない可能性を発見した。そこで封鎖機構を目の敵にする解放戦線は、その謎の勢力とのコンタクトを模索していたが、結果として相手の方からコンタクトを求めてきてくれた。

 それはいいのだが、解放戦線内部にはこの謎の勢力とコンタクトを取ることに対し、慎重な声もあった。

 

「やっぱり怪しいって。宇宙人を名乗ってるけど、それが本当かどうかは分からないし、騙してくる可能性だってあるし……」

「だがツィイー、我らの現状は厳しい。藁にもすがる思いだ」

 

 解放戦線の数少ないAC乗り、リトル・ツィイーとインデックス・ダナムはそう言った。

 宇宙人の可能性があるとは言っても相手は謎の勢力。こちらの味方に着いてくれるかも怪しい。

 そんな彼らの意見も踏まえた上で、ミドル・フラットウェルは決断を迫られていた。補佐官のアーシルは決断を求め、フラットウェルに言葉を投げかける。

 

「帥叔フラットウェル、今の我らの実質的指導者は貴方です。貴方に決めていただきたい。そうすれば我々はついていきます」

「…………」

 

 フラットウェルは一呼吸置き、自身の見解を述べる。

 

「……宇宙人が本当に信用できるのか。本来なら時間をかけて見極めたいところではある。だが同志ダナムの言う通り、我々には余裕がない。企業の侵略を前に味方は一人でも欲しい」

 

 フラットウェルは解放戦線の現状をよく理解していた。

 地球連邦政府からは見捨てられ、密航してきた企業からは侵略されている。ルビコニアンは全ての地球人類から見捨てられ、搾取されていると言っても過言ではない。

 だがしかし、宇宙人ならば……

 もしかしたらこの厳しい戦況を覆すきっかけになるかもしれない。そう思った。

 

「まずは彼らとの会談に望んでみよう。場所は……武装採掘艦"ストライダー"の近くがいい。あの砂漠ならまだ安全だ」

「分かりました。では、そのように返信してみます」

 

 フラットウェルの決断を受け、解放戦線は通信を送ってきた相手に対して返信を行なった。

 そして両者は、武装採掘艦〈ストライダー〉がいるボナ・デア砂丘で会談を行うことが決定された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方で、その会談のメッセージを捉えた勢力がいた。

 アーキバス・コーポレーション、と言う企業が存在する。コーラルを巡ってあらそう二大企業のうちの一角で、ライバルのベイラムより一歩先んじてルビコン入りを果たした会社だ。

 先進性を突き詰めた製品設計と、弛まぬ優秀な経営陣、そして"ヴェスパー"と呼ばれる専属AC部隊を抱える大企業であった。

 

 そんなアーキバスがルビコンで活動する拠点となっている基地にて、一人のバンダナを携えた男が廊下を早足で歩いていた。

 彼はヴェスパー部隊の情報部門担当のオキーフ。上司の執務室に、ある報告をしに行っていた。

 

「第2隊長スネイル閣下。失礼する」

 

 執務室の扉を開けて中に入ると、眼鏡をかけた理知的な人物がパソコンを前に執務作業を行っていた。

 彼はパソコンに目を向けながら、オキーフに片目だけ向けて話を聞こうとする。

 

「なんの用ですか。V.Ⅲ"オキーフ"?」

「軌道上からの通信を傍受しました。それによると、ガミラスを名乗る勢力がこのルビコンに向け、コンタクトを取る内容の様です」

 

 オキーフは上司に簡潔な説明を行う。

 情報部門担当のオキーフは、つい一時間ほど前に傍受した軌道上からの通信内容を資料にし、上司のV.Ⅱ スネイルに手渡した。

 スネイルは片手で眼鏡を直すと、資料をわずか数秒で流し読みし、ため息をついた。

 

「ガミラス?なんですかこれは、自分たちは地球人とは違う、宇宙人だなどと……」

 

 オキーフが何か重要な通信を傍受したのかと思ったら、あまり信憑性のない通信内容だったので、スネイルは期待外れで呆れていた。

 

「ただの悪戯でしょう。気にしてはなりません」

「しかし、解放戦線がこれに反応した様です」

「……なんですと?」

 

 そこまで言うと、スネイルは再び興味を取り戻したのか、オキーフに向き直った。

 

「彼らからの返信を暗号解析をしたところ、どうやら6時間後にボナ・デア砂丘で組織のトップが集い、ガミラスと会談すると」

「彼らは馬鹿なのですか?こんな話を信じるなど……」

「しかし、これは好機です。早急にその地点に向かい、奇襲を仕掛け、解放戦線のトップを一掃してはいかがでしょうか?」

 

 オキーフはそう言う。彼としてはルビコンでのコーラル調査を妨害してくる解放戦線のトップを、これを好機として一掃したかったのだ。

 それを聞いたスネイルは、顎に手を当てて少し考え込むと、ねちっこい口調でオキーフの提案を受け入れた。

 

「そうですね……確かに、迂闊にもトップが一ヶ所に集まるというのは好機です。ここで叩いてしまいましょう」

「作戦はどうしますか?」

「ボナ・デア砂丘までは突破する他ありません。単機では困難でしょう。足が速く、航続距離のあるACを二機、適当に出撃させなさい」

「分かりました。すぐに取り掛かります」

 

 オキーフはそれだけ告げると、軽い敬礼を挟み、スネイルの部屋を後にした。スネイルの方は作戦には興味なさげに、執務に戻っていった。

 オキーフは司令室に戻る途中、派遣するACの編成について考えていた。単機では困難な作戦である以上、ちゃんと連携が取れる編成でなければなるまい。

 

「(足が速くて航続距離が長いACを二機……順当に考えればV.ⅤとV.Ⅷのコンビが妥当か)」

 

 オキーフは短時間で編成につい考えると、ポケットから軍用端末を取り出し、司令室に繋いだ。

 

「ああ、俺だ。閣下から許可が降った。ホーキンスとペイターを呼び出せ。出撃だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 広大な砂漠の中に、脚が降りた。

 それは巨人のような力強い脚で、この砂漠の砂を踏み締め、巨大な足跡を作った。そして少しずつ前に進んでいく。

 脚の持ち主は、連結された巨大な構造物だった。人やACを遥かに超えるその巨体は、三つに分割されて強固に連結されている。

 脚は各車両につき一対二本。それらが三つ連なることでバランスを取っている。そして先頭車両には、巨大な目玉の様な構造物と、掘削用の設備が備わっていた。

 これがルビコン解放戦線の抵抗の象徴、武装採掘艦〈ストライダー〉である。元々はコーラルを汲み取って分け与えるだけの船だったが、これを改造して武装化を施してあるのである。

 

「帥叔フラットウェル、間も無く約束の時間です」

「ああ」

 

 武装採掘艦〈ストライダー〉の艦長は、同艦の艦橋にて待機しているフラットウェルに対し、そう言葉を投げかけた。

 だが艦長はまだ懸念することがあるのか、続けてフラットウェルに対してこう言った。

 

「……彼らは宇宙から来るとのことでしたが、本当に会談場所はここで良かったのでしょうか?」

 

 解放戦線の実質的トップが、未知の勢力と会談を行うと聞いて、艦長を含めた多くの同志達はまだガミラスとやらを疑っていた。

 自らを地球人とは違う、別の星で生まれた種族だと名乗り、宇宙空間から通信を行ってきた。その話を与太話だと思う者も少なくない。

 そして会談場所についても心配だった。ここボナ・デア砂丘はまだ企業の手が迫っていないとはいえ、宇宙にいる彼らが会談を行うには少し遠い場所である。本当にここでいいのだろうか。

 だがフラットウェルは自身の決断に迷いを持っておらず、こう言い返した。

 

「場所はどこでもいいと言っていた。つまり彼らはすでにルビコンに潜入しているか、もしくは何かしらの策があるかのどちらかだろう」

「そうでしょうか……?」

「無策とは思えんさ。彼らには何かある」

 

 フラットウェルが確信を持っているかのようにそう言うので、艦長はこれ以上の懸念をばら撒くのをやめ、仕事に戻った。

 そして──会談の時刻の5分前。

 突如として、艦長にある報告が電撃の様に走った。

 

「艦長!見張りより報告!本艦右手前方で、空間の歪みが見えるとの事!」

「なんだ、それは?」

 

 艦長がそれを聞き、慌てて双眼鏡を取り出してその方向を見た。

 するとその方向、艦の右手前方の砂地に、空間の歪みというべき裂け目ができていた。それは光すら吸収し、あらゆるものを飲み込む様に見えるナニカだった。

 

「なんだ、あれは……?」

「わかりません……なんでしょうか?」

 

 ただの見間違いか、それとも何かの異変か。艦長がそれを図りかねていた時、その空間の歪みから別のものが出てきた。

 それは、緑色に塗られた船だった。まるで過去に存在した水中を進む潜水艦の様な威容をしたその小型艦は、裂け目から浮上し、その姿を露わにした。

 

「空間が歪んで、船が出てきた……だと……!?」

 

 まるで次元の裂け目から出てきたかの様に、小型艦は難なく浮上して来た。艦橋にいる者たちが全員呆気に取られる中、その小型艦からメッセージが入る。

 

「し、出現した小型艦より入電です。"こちらはガミラス、そちらとの会談を求める"──以上……」

「……分かった。すぐに応じると伝えろ」

 

 艦長は度肝を抜かれたが、ひとまず自分の仕事に戻り、オペレーターにそう伝えた。その言葉を受け、艦橋に真面目な雰囲気が戻った。

 そんな中、ミドル・フラットウェルは次元の裂け目からいきなり出て来たその船を見て、顎に手を当てある確信を得た。

 

 両者の会談は、まずヘリコプターで砂丘に降りてから挨拶が行われる。

 小型艦の前に立っていたのは、見慣れないスタイルの制服に身を包んだ背の高い男。髭を綺麗に整えており、一見すると優しげな雰囲気を感じられるが、その瞳の裏に何を隠し持っているのやら……

 

「初めまして。私は帝政ガミラスより、貴方方との交渉において全権大使を務めるローレン・バレルと申します。よろしくお願いします」

「補佐官のクラウス・キーマンです」

 

 彼らが挨拶をして来たのを受け、解放戦線側の責任者として赴いたフラットウェルと、その補佐官アーシルが敬礼を行い挨拶を返す。

 

「ルビコン解放戦線のミドル・フラットウェル

だ。今回は私が解放戦線の全権大使を務める」

「……私はアーシル。今回は同志フラットウェルの補佐を務めております」

 

 フラットウェルはそこまで言うと、彼らの顔立ちを見た。

 どこからどう見ても同じ人間だった。宇宙人と聞いていたので、人間とは違う化け物の様な姿を想像していたが、これでは人間と変わらぬように見える。

 フラットウェルは早速、それに関して発破をかけることにした。

 

「失礼するが、あなた方は本当に宇宙人なのですかな。見た目も肌も同じに見えるが、嘘はついていないと?」

「まあ、そう見えるでしょうな。ではこうしましょう」

 

 バレルと名乗った大使がそう言うと、彼は首元につけられた首輪のようなアクセサリーを触り、何かを解除した。

 すると彼らの肌の色が青くなった。血色が悪いと言うレベルではない。いきなり肌が深い青色に変わったのである。

 

「っ!?」

「肌が、青い……?」

「これで、信じていただけますかな?」

 

 その言葉を受け、フラットウェルは彼らが宇宙人である可能性を確信した。これはただ単に青く塗ったのでなく、青い肌が彼らに取って自然なのだと理解したのだ。

 

「青はガミラスでは高貴な色です。私もこの肌に誇りを持っております」

「…………」

「そして見たところ貴方も、この星で生まれ育ったことを誇りに思っているようだ」

 

 バレル大使は見透かしたようにそう言う。これにはフラットウェルも、相手の立場が上であることを認めざる得なかった。

 

「……疑いをかけて失礼した。あなた方を艦内へ案内する。こちらへ」

「ありがとうございます」

 

 フラットウェルはそう言ってこちらの非礼を詫び、早速両者の会談に向けて動き出す。

 




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