バック・トゥー・ザ・フローズン   作:真将

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第10話 『氷の魔人』&メイド

「侵入者! 止まれ!」

「ゴヨーだ!」

「グワーッ!?」

 

 F5は被検体の牢獄と実験がセットになったフロアだ。ノーティムが目指すのは、牢獄のマジックロックを制御しているメインルーム。

 そこを目指す過程で、向かってくる守衛ガードナーを『土法師』を使って、殴り、蹴り、ツチウメにして突破する。ワザマエ!

 

「ここね」

 

 カウ型の『土法師』のホーンアタックにて、メインルームの扉をブレイク! 扉は爆発めいて内側に吹き飛ぶ。

 

「ゴヨー!」

「ゴヨー!」

 

 まだ中に二人いた! ノーティムのアトモスフィアは僅かにも焦る事無く、カウ型の『土法師』を闘牛めいて暴れさせると グワーッ! アバー! と断末魔を上げる守衛ガードナー二人を無力化し、オールクリアを成し遂げる。

 

「魔法陣はよく見る一般的なモノね。けど、操作するには鍵となる魔法陣が必要……か」

 

 牢獄のロックはメインルームにある大型マジックサークルによって管理されている。魔力反応でどこが開いたのかが判る仕組みとしても機能していた。カシコイ!

 

「…………」

 

 ノーティムは先ほど気を失わせた守衛ガードナーに近寄り確認すると、彼らは手の平に魔法陣のタトゥーを彫っている。しかし、それらはナイフによって傷つけられており使えない様になっていた。

 

「自分で傷つけたのね」

 

 この程度ではノーティムのアトモスフィアは乱れない。

 しかし、流石のノーティムでも、キーサークルを作るには時間を要する。本来ならばヒッソリコソコソ行う予定ではあった為に、ここで時間をかけるのは更なるリスクを考えねばならない。

 

「ノーティム=サン!」

「メントスさん」

 

 そこへ、半分リアリティショックになりながらもメントスが現れたではないか!

 

「ぼ、僕なら解放できます!」

 

 すると、メントスは手の平のキーサークルを見せてくる。モータル研究員でも、メントスはF5は管轄外のハズ。なぜ彼がキーサークルを手に彫っている持っているのだろうか?

 

「こうなると見越していたの?」

「いつの日か……僕がやらないといけない事ですから」

 

 そして、メントスはキーサークルにて操作を行うと、魔力反応は全ての牢獄ロックを解除した。

 

“全ての牢獄を解放シマスヨー!”

 

 本来ならば起こり得ない事が更なるエマージェンシーとして重なる。

 

 

 

 

 

 檻の中に居た被検体達は、急に開いたロックに警戒しながらもそっと扉から出る。

 

「アイェェェェ!? ロック解除!?」

「ロック解除ナンデ!?」

 

 守衛ガードナーが慌てる様子から、彼らは今がイレギュラーな事であると悟り、

 

 イヤー!!!!

 

 これまでのカリを返す様に暴れ回る。そんなラントー騒ぎの中、一つの扉から一人のメイドが様子を確認するように顔半分を覗かせた。

 

「なんか、急に扉が全部開いたみたいっすね」

 

 彼女はそんな事を言いながら、アバー! と転がってくる守衛ガードナーを、わっ!? と避ける。

 

「何にせよ、ラッキー」

「そこのメイド」

「ん?」

 

 ドサクサに紛れて脱出しようとミコシマツリめいた通路に出たメイドは、通りすがりの牢獄の男にコールアンブッシュされ足を止める。

 

「アンタは出ないんすか?」

「…………」

 

 牢獄の男は僅かに冷気を漂わせる……『氷の精霊(セルシウス)』の『魔人』だ。

 

「死にたくなかったら部屋に戻れ。妙な“冷気”が向かって来てる。こいつは……地下からだな」

「んー」

 

 メイドもメイソーめいて意識を集中する。すると、ソレは高速でF5へ――

 

「うおっす!?」

 

 絶対零度の風となって、空間を凍結に来ていた。メイドは咄嗟に男の牢獄へ飛び込み回避! しかし、凍結は部屋の中へも迫る!

 

「うわー!?」

「…………」

 

 ナムサン! メイドの少女が凍りつく覚悟を決めたその時! なんと、牢獄の男が前に出て、部屋の凍りつきを抑えたではないか!

 

「行幸と言うべきか……」

 

 冷風はF5を通り抜け、F4へと去っていく。コワイ!

 

「削られていた力が補填された」

 

 『氷の精霊(セルシウス)』の男は実験で制限されていた己のマジックゲージが喉の渇きを癒すか如く、一気に回復した様に拳を握る。

 

「だが……今の冷風は何者の仕業だ?」

「た、助かったっす……」

 

 『氷の精霊(セルシウス)』の男の後ろでメイドは立ち上がる。

 

「ウチはT……あ、ササラって言うっす! ヨロシク!」

「俺はオーロラだ」

 

 アトランティス人ではない二人のアイサツは実に淡白である。

 

「なんでメイドがここに捕まってる?」

「え!? あはは……好奇心ってヤツっすかねー」

 

 参ったっすー、とササラの何かを隠すようなスマイルであるが、オーロラからすれば些細な事だ。

 その時、カウ型の『土法師』が扉の前で止まった。

 

「土の牛?」

「……ノーティム」

『オーロラ。今の冷風は貴方の仕業?』

 

 ノーティムとオーロラは余計なモンドーを省略できる間柄だ。彼女の救助目的は彼でもある。

 

「俺じゃない。下に化け物がいるぞ」

「下……って言うと『凍結オトメ』っすかね?」

『こちらのメイドさんは?』

「あ、ウチ! ササラって言うっす! 牛さん!」

『ふふ。ノーティムです。これは『土法師』よ』

 

 その時、帯電する黒い影がカウ型の『土法師』を飛び越えるように扉の前を駆け抜ける。

 

「うぉ!? 今度は何っすか!?」

「今のは……」

『味方のスメラギよ。脱出経路を作るわ。オーロラ、逃がすヒトの凍結を解除してあげてて』

「なるべく急げ。シャクラカンが来たら誰も逃げられんぞ」

「解凍はウチも手伝うっす!」

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