スメラギがラナヤを背負って疾駆している頃、地上では吹き抜けた冷風により
そして、地下施設そのものは、氷河期めいてすべてが凍りつきモノ動く存在はスメラギとノーティム達だけである。ゴウランガ!
更に、地上では施設へ向かう道をあまりに強大なアトモスフィアが通過していた。
「…………」
無言。しかし、彼らの通る道には数多のモータル達が跪く――いや……違う! 全員リアリティショックだ!
おお……何と言うジゴクめいた光景か。それは独裁者に頭を垂れるミンシュウ!
『シックス・ナイツ』でも息を呑むアトモスフィアを纏うシャクラカンの移動にモータルでは意識を保つだけでワザマエと言えよう。
シャクラカンに引き連れられた『シックス・ナイツ』――スカイハンター、デリートランサー、ストリングドールの三人を含める計四人のアトモスフィアはタイフウキケンの域である。
「お、オツカレサマデス!!」
「オツカレサマデス!!」
「オツカレサマ、守衛ガードナー諸君」
普段から『シックス・ナイツ』のアトモスフィアに耐えられる守衛ガードナーでも、シャクラカン相手ではベイビーゴジカめいて膝が笑う。
「サンダーエフェクト=サン。…………返事は無いか」
シャクラカンはヤグラシャチクであるサンダーエフェクトに電波マジックにて連絡を取るも、彼はムジョーにも冷凍マグロめいて停止している。
「シャクラカン=サン。私と『機人』が行きましょうか?」
ストリングドールの提案。彼女は閉鎖空間におけるイクサはお手の物なのだ。
「三人は外を見張れ。逃げてきたヤツは全員カイシャクしろ」
「「「ヨロコンデー!!!」」」
「私が地下へ行く」
「「「イッテラッシャイマセー!!!」」」
シャクラカンは凍った扉をノックするように一度、コン、と叩くと……なんと! 剥がれるようにフローズンロックが砕け落ちたではないか! タツジン!
「シャクラカン=サン! ナビゲーションを――」
「必要ない。全部見えている」
ゴウランガ……
シャクラカンは扉を素手で開くとそのまま下階へと降りて行く。
ウサギめいて飛ぶ様に駆けるスメラギはノーティムとの指定位置、F5の端へ到達。そこには、なんと壁に巨大な穴が空いているではないか!
「ノーティム」
「お疲れ様。その方が、貴方の目的?」
ノーティムの他にオーロラとササラも待機していた。他の生存者はグラウンドホールから既に脱出済みだ!
「うむ。お主も無事に完遂したようだな」
「お互いにね。おかげで助かったわ」
「オーロラだ」
「ササラっす!」
シツレイの無い絶妙なタイミングで、オーロラのアイサツ。それに乗っかるササラはヨワタリジョーズである。
「ドーモ、【烈風忍者】スメラギです」
「……ドーモ、【白髪鬼】ラナヤです」
「綺麗なヒトっすねー」
「先ほどの冷風。ラナヤ殿の仕業だな?」
『
「……あまりにも煩かったのでな。色々と黙ってもらった」
「それで地下施設全部凍らせるとか、えげつないっす……」
怒らせるとコワイ! ササラはラナヤのトリアツカイには慎重を期する事にした。
「世間話はここを出てからにしましょう。色々と今後の事も話し合わないとね」
「うむ」
イインチョウめいて場をまとめるノーティムの先行で5人はグラウンドホールへ。ホールの出口は安全圏まで続いている。
歩み出した、その時!
そこか――
「!」
「!?」
「!」
「!」
「?」
ササラ以外の全員が反応! 向けられるアトモスフィアと……視線!? 彼らは天井を見あげるも、そこはF5である故に、地面しか見えないハズだ!
「これは……」
「来るとは思ったが……」
「……」
「え? なに? なんすか?」
「シャクラカン」
次の瞬間、唐突なアンブッシュ! なんと……地面が持ち上がる様にズレ始めたではないか!
グラウンドホールが塞がる様にこちらの地面が上昇していく! ゴウランガ!
「っ!」
咄嗟にノーティムは跪く様に地面に手を付けて抗う!
『
再び異常なまでのアトモスフィア! ノーティムの拮抗は……エレベーターめいて徐々にグラウンドホールが塞がる方へ傾いて行く!
「い……まのうちに……」
「いや――」
その時、突風! ノーティムとオーロラを運ぶ様にズレの向こう側へ吹き飛ばしたではないか!
「!? ラナヤさん!?」
その風はラナヤが放った!? 彼女は一体何を……
「ヤツの狙いは私だ。お前達まで追っては来るまい」
無慈悲! ノーティムとオーロラが言葉を返す前にグラウンドホールは閉じてしまった!
「え? え? ウチは?」
無慈悲! 突風よりもこちら側にいたササラは吹き飛び損ねてしまった! ナムサン!
「スメラギ、この気配は『荒地の魔王』に匹敵するレベルだ」
こちらの退路を塞いだ事でズレは止まり、強大なアトモスフィアが改めて向かってくる。
「もしかして……シャクラカンが来てるっすか?」
「間違い無いだろう」
「うわ゛ー! 終わったっす!」
スメラギの断言にササラは頭を抱えて、セルフリアリティショックだ!
「いや、これは逆に好機だ。ヤツは私に執着している。正確には私に宿る『旧世界の力』なのだろうが……利用できる」
冷風! 絶対零度の風がF5よりブリザードめいて断続的に流れてくる!
それは地下施設で唯一動く生物――シャクラカンへあてたモノだ! しかし、
「誘っているか。面白い」
シャクラカンからすれば冷風はラナヤまでのナビゲーションに過ぎない。モータルが凍りづけでヨカッタ。今、彼の放つアトモスフィアを受ければ間違いなく心停止の重体となっていただろう。
ジュウヤクめいて、悠然と歩を進めるシャクラカンの歩みは遂にF5へ! するとそこには――
「ドーモ! シャクラカン=サン!」
両手を合わせるスメラギが仁王立ちしているではないか!
「ドーモ、スメラギ=サン。『凍結のオトメ』はどこだ?」
その時、唐突に空間は『白い炎』に包まれた! おお、これは一体……まさか、スメラギの魔法とでも言うのか!?
「『白炎』……ブレイジングヒート=サンの死体を燃やしたモノか」
シャクラカンは地下施設へ向かう道中、ブレイジングヒートの報告を受けていた。
そして、臆する事無く、一歩……また一歩と……スメラギへ足取りを進め――
「!」
目の前で両手を合わせて仁王立ちのまま動かないスメラギの様子にようやく気がついた。
「ドーモ! シャクラカン=サン!」
「『土法師』か」
ワザマエ! シャクラカンでさえ見間違う『土法師』に『音魔法』による記録発音! 完全なオキミヤゲだ! しかし、三人はどこへ?
シャクラカンが『土法師』を追い抜き、天井を見上げるとそこには不自然な穴が! しかもイッパイある!
「地上か……」
『白炎』と『凍結』のコラボレーションにて、スメラギ達は地面を溶かし登りつつ垂直に地上へと到達していた。
「フヘェ……生きてるっす……」
ラナヤを背負うスメラギが登った後にササラも這い出て、外の空気を吸う。
「はぁ……はぁ……流石に少し休ませてもらう……」
ラナヤは限界だ。ネオキからここまで魔法を酷使した故に意識もブラックアウト寸前である。
「後は任せよ」
その言葉にラナヤは瞳を閉じた。これ以上、彼女に頼る事は出来ない。
「このまま、『エクストラ』との国境へ向かう。そこでノーティムと合流する予定だ」
「ダッシュは得意っすよ」
スメラギは自分達の通った穴を『土魔法』にて防ぐ。上手い具合にシャクラカンを出し抜けた。このまま……
捕らえろ――
その声が再び場に響く! シャクラカンだ! ヤツは地下深くにいるにも関わらず、こちらを的確に捉え続けている! コワイ!
そして……その声に同調するかのような、三つのアトモスフィアが場に現れる!
「スメラギ=サンの背中にいるのは……『凍結のオトメ』か?」
「逃がすわけには行かないな」
「ふふ。お話し出来るかしら?」
「ゴヨー!!」
『シックス・ナイツ』と守衛ガードナーだ! たちまち包囲網が広がり始める!
「げげげ……」
「ササラ殿、ラナヤを頼む」
スメラギは帯を解き、ラナヤをササラに託した。ササラはダキマクラめいて彼女を抱える。
「スメラギさんは……囮っすか?」
「いや、『旧世界の力』に呑まれた奴らをカイシャクする!」
決して野放しにしてはならぬ異界の力。スメラギの意思を汲み取ったササラは、
「じゃ、後は任せるっすー!」
ラナヤを抱えて離脱! タメライナシ! ノーティムの待つ国境へ、チーターめいて夜の闇へ消える。
「! 逃が――」
スカイハンターの追撃! しかし、その行く手は――
「イヤー!」
「!? グッ!!」
飛び上がったスメラギのアンブッシュ蹴り下ろし! 受けたスカイハンターは地面スレスレで体勢を整えて対空! アブナイ!
そして、スメラギは着地すると、力強く両手を合わせる。
「ドーモ! スカイハンター=サン! デリートランサー=サン! ストリングドール=サン!」
そのアイサツから放たれるアトモスフィアに『シックス・ナイツ』三人は息を呑む。
「【烈風忍者】スメラギです!」
バック・トゥー・ザ・フローズン――完!!
『ゴルド王国』を巡る彼の戦いは『ゴルド・イン・ザ・オールドワールド』へ。
そして、スメラギとラナヤが何者なのか? 『トワイライト』とは? 『旧世界の力』とは?
と疑問に思った読者諸兄は下記より彼らの物語を拝読されたし!
『トワイライト』
https://kakuyomu.jp/works/16817330652583551341/episodes/16818093090557550440