バック・トゥー・ザ・フローズン   作:真将

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第7話 拘束後にインタビューさせてもらうぞ

 意識を失ったサメマルを治安ガードナーに任せ、地下4Fに続く階段を二人は下る。後はメントスのエムブレムで各階のマジックセキュリティを突破するだけだ。

 

「ノーティム=サン。ほんとに……すみません」

「メントスさんが謝る事じゃないわ。ああ言う輩に迫られるのは慣れてるの」

 

 豊満な胸を持つノーティムからすれば凌辱目的のアウトローのあしらいには慣れている。ヤンナルネ。

 

「……ですが、僕もある意味、サメマル=サンと同じなのかもしれません」

 

 メントスは己が見て見ぬふりをしてきた被害者達の事を思う。

 テスラコーボーのF6インテリジェントシャチクとして、目を反らし続けてきた。しかし彼は変わった。不正を正す、正義のワビサビを宿したのだ。

 そのキッカケは、フィールドワークに出た時に『ゴースト』の群れに襲われた時に解放軍にレスキューされた事である。

 

 メントスはミズシラズの自分を助ける事に何も見返りをヨーキューしなかった彼らに心から感謝し、誓ったのだ。

 

 見て見ぬフリは止めよう、と。

 

 それは綱渡りめいた危険な道。それでも、今自分の命があるのは、そのヒトのワビサビによるモノだと胸に刻み、捕まえている『エクストラ』の実験体からノーティムへの連絡手段を得て、彼女を呼んだのだ。

 

「メントスさん。貴方の勇気は多くを救います。これまでの罪を洗い流すには生涯を賭しても足りないと思うかもしれないけど、救われたヒトは貴方に感謝するハズです」

「ノーティム=サン……僕にはモッタイナイコトダマです……」

 

 過酷なマイロードを歩くことを決めたメントスは今回の件が終わっても贖罪の日々が待っているだろう。

 ショッギョ・ムッジョ……彼の行く末はゴッドのみぞ知る。

 

 

 

 

 F4の倉庫区画はスルーフリー。加工食品であるカンヅメやナゾ肉、マゼモノネギトロなどが袋詰めされて保管されているのだ。シャチク割引の対象食品である。

 

「止まってください」

 

 F5へ続く階段ゲート前に守衛ガードナー! いつもならフリーパスな扉が封殺されている!? ナゼ!?

 

「ドーモ」

 

 メントスがその事を問いただそうとした時、背後からアイサツの声が――

 

「サンダーエフェクトです」

 

 二人が振り返ると、そこに立つのは逆立つような黒と金色の髪をして、口元を襟首の高いコードで隠した青年だ。

 

「ど、ドーモ! サンダーエフェクト=サン! メントスです!」

「どーも、ノーティラスです」

「ドーモ、メントス=サン、ノーティラス=サン」

 

 合わせた両手を解くとサンダーエフェクトはガンマンめいて片手をポケットに突っ込む。するとF4を照らす為に点在している発光魔法灯が風に揺れるカーテンめいて明滅し始めた。

 

「メントス=サン。今日のあんたはヤキンシャチクのハズ。ここで何をしている?」

 

 予想外のコンタクトと予想外のインタビューにアドリブヨワイのメントスは上手く言葉が出ない。

 いや、恐らくそれだけではない。

 サンダーエフェクトの放つ常人とはかけ離れた『シックス・ナイツ』の持つアトモスフィア。その“敵意”を向けられればモータルなど失神か発狂の二択に分かれる。

 

 今はまだ、“疑惑”の段階だがそれでもモータルなら失禁もののリアリティショックが襲う。メントスは何とか耐えているが、インタビューが続けば漏らすのは避けられないだろう。

 

「さ、サンダーエフェクト=サン……」

「どうした? 何が不都合でもあるのか?」

 

 サンダーエフェクトのアトモスフィアが増す。メントスは失禁寸前! 守衛ガードナーもメントスの様子を察し武器を構える。

 次にサンダーエフェクトはノーティムを見る。

 

「あんた、ノーティラス=サンと言ったな?」

「ええ」

「あんたは、平気そうだな」

「平気?」

 

 !? なんと、次の瞬間にはノーティムを見下ろすようにサンダーエフェクトが立っているではないか! フクロコウジ!

 

「リアリティショックだ。『シックス・ナイツ』の欠点でね。異質なアトモスフィアのおかげで少し疑いを向けただけでモータルとは会話が出来ないんだ。だが、あんたは平気そうだな?」

「……ここまでね」

「あん?」

 

 ノーティムは早撃ちめいてポーチのポケットに手を入れて引き抜く。しかし、そこから何か行動する前にサンダーエフェクトがその手首を掴んだ。ハヤイ!

 

「小瓶……抵抗するか。何者なのかはここで語る必要はない。拘束後にインタビューさせてもらうぞ」

「それは、少し難しいと思うわよ」

 

 その時、孵化する雛めいて小瓶にヒビが入ると、飛び出すような蹴りがサンダーエフェクトの顔面を襲う!

 

「イヤー!」

「!!? グワーッ!!?」

 

 それは、瓶を破壊して飛び出したスメラギのアンブッシュ! その一撃にサンダーエフェクトは怯み、ノーティムから手を離した。

 

「アイェェェェ!!?」

 

 下がるサンダーエフェクト。

 叫ぶメントス。

 着地するスメラギ。

 後ろの守衛ガードナーに目を向けるノーティム。

 そして、

 

「ドーモ!」

 

 スメラギは片ひざ立てで怯むサンダーエフェクトに対して両手を強く合わせる。

 

「【烈風忍者】スメラギです!」

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