生粋のE.G.O.I.S.T   作:ペスト医師団

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情報︰F-02-k49

 

アブノーマリティ記録

 

 巣の学校には一部『夏休み』という制度を採用しているものがある。都市の子どもの多くはそれをうらやましがるが、I社を代表とする都市東部の学校を出身とする者たちは、よく共通の話題として『夏休みの宿題』について話す。『夏休みの宿題』について、子どもたちがうらやましがることはない。

 

 巨大な甲虫の姿をしたアブノーマリティ。その宗教団体は我々と異なるアプローチでアブノーマリティを抽出した。

 

 その形態は甲虫のセンチコガネと一致しているが、三つの点で元のセンチコガネと異なる。

 

1.身体中から緑色の葉が生えている点。

  この特徴のため、本来は黒い甲虫であるアブノーマリティは、遠目から見ると緑色に見える。

  葉をちぎってもまた生えてくる。ちぎった複数の葉を生物分類学的分析にかけたところ、都市に存在しないさまざまな種の植物の葉であることがわかった。

 

2.身体から断続的に大きな鳴き声を鳴らす点。

  この鳴き声は標準的なセンチコガネの鳴き声と一致しているが、それが通常では見られないこと、その鳴き声がセミに近しく、また大量のセミが鳴いているかのように収容室内に響くことなどから、『セミのような鳴き声』と多数の職員に認識されている。

  鳴き声の特異な反響現象は音響学的に説明がつかないため、アブノーマリティの能力であると考えられる。

 

3.体内を寄生されている点。

  アブノーマリティの体内と体表にはアリのような生物(F-02-k49-1と呼称)が住み着いている。F-02-k49-1は人間にも寄生することができる。

  そのため、管理職員は自らの体内にアリが入ってきていないか定期的に確認する必要がある。小さな虫が身体を這うような感覚が消えない場合、除染室の使用が推奨される。

 

 

 

〈誰かのメモ〉

 この支部ではすべての職員に定期的な休暇が用意されている。私も例外ではない。

 

 私はどこか遠くへ行くことが好きだった。それはどこでも良い。様々な見知らぬ場所は私の頭を豊かなもので満たしてくれる。そのような趣味を持つ人物が休日に些細な旅行を行うのは必然のことだった。

 

 その日、私は外郭の調査隊に参加した。私がその調査隊に参加するのは初めてではなかったが、放棄された怪しげな団体の施設が近ごろ見つかったという話を聞いたために、妙な緊張感と妖しい好奇心があったのをよく覚えている。

 

 その日の調査隊の目的はまさにその施設だった。地下深くの施設の調査で、拷問の痕跡や目的のわからない粗悪な装置、儀式に使われていたらしき遺物などを見ると心が踊った。

 

 しかし、怪しげな儀式の痕跡が残っていた空間の奥、いま思えばある種の隔離措置がなされていたあの部屋で、それら全てが吹き飛んでしまうほどの衝撃を受けた。

 

 私はそこで、アブノーマリティを見つけた。

 

 


アブノーマリティ情報

 

F-02-k49

蝉時雨

生き急ぐセンチコガネ

 

◇アブノーマリティ 基本情報

 

危険度 HE

ダメージタイプ WHITE

 

◇管理方法

 

1.作業結果が普通以下の場合、中程度の確率で生き急ぐセンチコガネのクリフォトカウンターが減少した。

 

2.生き急ぐセンチコガネによってパニックになった職員はF-02-k49-1に寄生された。

 

3.寄生された職員は殺人性パニックとシャットダウン性パニックの両方の傾向が見られた。ただし、WHITEダメージを与えても意識を回復することはなかった。

 

4.職員クロイーはF-02-k49-1に寄生されたのち、意識を回復した。自制ランク3以上の職員は一定時間が経過するとF-02-k49-1の寄生から逃れることができる。寄生から逃れるまでの時間は自制ランクが高いほど短くなった。

 

◇アブノーマリティ 作業好感度

 

作業成功率

本能作業洞察作業愛着作業抑圧作業

ランク

高い低い低い最低

ランク

高い低い普通最低

ランク

普通低い普通最低

ランク

普通普通低い最低

ランク

普通普通最低最低

 

◇脱走情報

クリフォトカウンター 2

 

アブノーマリティ 防御

RED(1.2) - 弱点

WHITE(0.4) - 耐性

BLACK(1.0) - 普通

PALE(2.0) - 脆弱

 

脱走時HP:800

脱走時行動︰

 アブノーマリティがゆっくりと収容室外を歩く。同じ部屋にいる職員に、一秒ごとに小さいWHITEダメージを与える。

 

◇E.G.Oギフト(獲得確率:4%)

 

焦燥(左背中)

 

見た目︰

 背中にセミの(はね)が生える。

 

効果︰

 体力 +10

 作業速度・作業成功率 -6

 

◇E.G.O武器

 

HE

焦燥

 

見た目

 大量の青葉に覆われた大砲。二枚のセミの翅が生えている。

 

武器タイプ 大砲

ダメージタイプ WHITE

ダメージ 30-40

速度 最低速

射程 長距離

 

*自制ランク3以上の職員が使用すると、現在の精神力を10%消耗して、この武器の攻撃を受けた対象に一定時間のBLACKダメージ

 

夏休みに行方不明になった彼は、蝉時雨に消えていった。最後に撮影した彼の顔が広葉樹の枝葉に隠されていたように、この武器は夏の青葉に覆われています。

 

この武器を使用するたびにセミの鳴き声が聞こえますが、すぐに止みますので気にしないでください。

 

自制心の強い者は、アリを味方につけることができるでしょう。

 

◇E.G.O防具

 

HE

焦燥

 

見た目

 緑色の葉っぱで覆われたスーツ。ポケットはアリがたかったかのように黒い。

 

耐性

 

RED(0.8) 耐性

WHITE(0.6) 耐性

BLACK(1.5) 弱点

PALE(1.5) 弱点

 

*自制ランクが高いほど、BLACK属性の耐性が上昇する。

 

何もかもを忘れられるような楽しさは、何かを忘れるためにあります。楽しさを食いつぶすアリは忘れてしまいましょう。

 

道端に落ちたセミの死体に、アリが群がっていました。夏の終わりが近づいています。

 

夏に歌を歌っていたなら、冬は踊りを踊るのはどうでしょうか。

 

 

 

裏話(読み飛ばしても問題ないです)

 

 F(fairy tail)型のアブノーマリティです。F型はおとぎ話がモチーフになります。

 

 今回モチーフになったおとぎ話は『セミとアリ』または『アリとセンチコガネ』です。

 

 そこまで有名ではないと思うのですが、これらは『アリとキリギリス』の元ネタ的な話です。(自分もアブノーマリティのネタ探しするまで知らなかった)

 

 つまり、このアブノーマリティにおける『セミ』も『センチコガネ』『コガネムシ』も、『アリとキリギリス』におけるキリギリスのことを指していると思っていただければ、全体的に読みやすくなるのではと思います。

 

 わざわざセミだけではなくセンチコガネ成分も入れた理由は、アリに寄生させたときのなんとなくのホラー的な絵面の良さ(グロいとかキモいとかの意味で)です。

 

 現実的に考えるとキリギリスが死んだらアリはその死体を食べるよなーみたいな話をどこかで見たんですよね。

 

 その話が好きだったので、このアブノーマリティではアリにセンチコガネを寄生させました。

 

 ゲーム的な話だと……そもそもパニックになって作業中止になってもギフトの抽選ってされるんですかね?

 

 抽選がされる場合このアブノーマリティ、

 

作業中にパニック

焦燥ギフトをもらう

自制ランクが下がる

本来のステータスならF-02-k49-1に寄生されても回復するはずの職員が回復しない

 

 みたいなクソコンボがありえることになるんですよね。まあそれを狙ってギフトを設定したんですけど。

 

 パニック時のしっぺ返しがまあまあエゲツないですが、逆にパニックさえしなければ問題ないので、作者はこのアブノーマリティはそこそこ優先的に収容する気がします。

 

透明な一言︰このアブノーマリティ、要素多すぎない?




次回のアブノーマリティ→
『君がどんな顔をするのか、知りたかったんだ』
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