生粋のE.G.O.I.S.T   作:ペスト医師団

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情報︰T-06-k27(検閲解除)

 


アブノーマリティ記録

 

 非常に細身かつ長身なアブノーマリティ。その形態は人間の姿に似ている。

 4mほどの身長と常に開いた瞳孔で、収容室の天井付近から、職員を威圧的に見下ろす。

 ときおりこのアブノーマリティは、服装や顔立ちなどの容姿が変わることがある。この現象は一種の擬態反応だと推定されており、もしその容姿があなたの無二の親友と似通っていても、関連性はない。

 

 それは巣の中小企業で発見された。

 映像記録や記録文書などを辿った結果、このアブノーマリティが外郭の小さな村に始まり、裏路地の組織、巣の工場といった順序で、過去これらのコミュニティに属していた事実が確認できた。

 現在、これらのコミュニティに属していたはずの、アブノーマリティ以外の人間はすべて、その所在を確認できていない。

 

 アブノーマリティはたびたび苦痛に関して言及する。

 その言葉のように、このアブノーマリティの管理作業中、職員は激しい圧迫感を感じる。

 職員███は『収容室にたくさんの人がいる』と証言したのち、再度の作業で姿を消した。

 

 

 

〈事件番号███-█████に関する報告書〉

[警告]この文書はランク3以上の職員のみに閲覧が許可される。

 

 事件の一週間前、T-01-k27の管理作業を行った職員███が姿を消し、T-01-k27の服装が彼のE.G.O防具らしきものに変わっていたことが確認されていた。しかし、単なる危険レベルTETHのアブノーマリティの変わり続ける容姿について、必要以上の注意を払う職員はいなかった。

 事実その数日後に、T-01-k27の容姿は別のものに変わっていた。

 

 その日、T-01-k27が脱走した。しかし、発見された個体の数は一つではなかった。脱走直前に確認された姿の個体だけでなく、T-01-k27が以前見せていた姿の個体が多数確認された。このことから、これまでT-01-k27は容姿を変えていたのではなく、元の個体が姿を隠し、別個体が収容室に現れていたのだと考えられる。

 職員███に似た姿のT-01-k27の個体(事件後T-01-k27-███-3と付番)は、職員███が生前装備していたE.G.Oらしき武器を用いて、職員を攻撃した。

 T-01-k27の個体群は非常に統率の取れた行動を見せ、鎮圧には相当の時間を要した。

 また、T-01-k27-███-3の攻撃により職員がT-01-k27の一個体へと変化する事例が発見され、発見者たちのパニック被害も想定された。鎮圧に参加した職員には大規模な記憶消去処理が行われた。

 

 事件後、アブノーマリティのエネルギー生成量が増加した。

 

 以上の事実から、危険度レベルの引き上げとアブノーマリティの再解釈を提案する。

 T-01-k27の本質はあの人間たちではなかったのだ。あれはただ、アブノーマリティに存在をねじ曲げられ、変化させられた犠牲者だ。

 彼らは苦痛に喘ぐ。他者に苦痛を強要する。苦痛に呑まれた者は彼らの一員になった。彼らが抱えている、またはこれから与えることになる苦痛そのものがアブノーマリティなのだ。

 彼らの抱える苦痛が具体的にどのようなものなのか、誰も知らない。

 

[この提案は承認されました。以降、アブノーマリティの危険度レベルはHEに改められ、情報チーム研究部署は当該アブノーマリティが感情からなるアブノーマリティであることを認めました。このことから、アブノーマリティのシリアルナンバーはT-01-k27からT-06-k27に改号されます。これまでT-01-k27とされてきた人々は、T-06-k27-1と呼称されます]

 

〈破棄されたアブノーマリティ記録T-06-k27改訂案〉

 

 T-06-k27は苦痛、またはそれにともなう感情からなるアブノーマリティである。

 収容室には少し身長の伸びた、我々の同僚が、たくさん……(省略)

 

 


アブノーマリティ情報

 

T-06-k27

私たちの苦しみ

 

◇アブノーマリティ 基本情報

 

危険度 WAW

ダメージタイプ WHITE

 

◇管理方法

 

1.作業結果が普通以下の場合、クリフォトカウンターが減少した。

 

2.作業結果が悪い場合、施設内の職員一名に原因不明の強迫観念が生じ、私たちの苦しみの収容室へ入った。

 

3.職員アナスタシアが姿を消した。勇気ランク3未満の職員は私たちの苦しみに作業を行ってはいけない。

 

4.私たちの苦しみに影響された職員は手足が伸び、T-06-k27-1になった。元々収容室にいたT-06-k27-1はどこかへ姿を消した。

 

5.クリフォトカウンターが0になると、複数のT-06-k27-1が収容室外に出現した。

 

6.脱走中のT-06-k27-1によりパニックになった職員はT-06-k27-1へと変異した。

 

 

◇アブノーマリティ 作業好感度

 

作業成功率

本能作業洞察作業愛着作業抑圧作業

ランク

低い普通低い普通

ランク

低い普通低い普通

ランク

低い普通普通普通

ランク

低い普通普通高い

ランク

低い普通普通高い

 

◇脱走情報

クリフォトカウンター 3

非脱走オブジェクト

 

◇E.G.Oギフト(獲得確率:4%)

 

道連れ(頭部 2)

 

見た目︰深緑色の、頭頂部がふっくらとしたハンチング帽(キャスケット)

 

 

効果︰

 精神力-4

 移動速度・攻撃速度 +6

 

◇E.G.O武器

 

WAW

道連れ

 

見た目

 固く巻かれた鎖の塊のハンマー。

 

武器タイプ ハンマー

ダメージタイプ WHITE

ダメージ 15-21

速度 低速

射程 普通

 

*同名のギフト装着時、ダメージが30%増加

 

鎖によって何かが縛られている。

 

鎖の中身を見た者はいないが、それが縛られていることによってこの武器の強力さが保たれていることを多くの人が確信する。

 

鎖の隙間からは苦痛がこぼれている気がする。

 

◇E.G.O防具

 

WAW

道連れ

 

見た目

 袖が長く、深緑色のスーツ。小さな鎖が左右の下襟を繋げている。

 

耐性

 

RED(0.8) 耐性

WHITE(0.4) 耐性

BLACK(0.7) 耐性

PALE(1.5) 弱点

 

*5以下のWHITEダメージを吸収

 

深緑色のスーツは高級さを醸し出し、周囲の人々に威圧感を与えるだろう。

 

やや袖の長い装備だが、武器を持って振るうことに支障はない。このE.G.Oを装着した者はアブノーマリティのように腕が伸びる……という噂が絶えない。

 

これを抽出した職員は地位が高く部下に嫌われていたが、彼も最初は純心な新入社員だった。

 

苦しみを正当化する心はやがて他者を苦しめるかもしれない。

 

鎖は我々と苦痛を繋げているのだろうか?

 

 

 

裏話(読み飛ばしても問題ないです)

 

 ということで、検閲解除版の『私たちの苦しみ』です。

 

 アブノーマリティ記録の文書が追加されていたり、管理方法が完全に閲覧可能になってたり、あとアブノーマリティやEGOのランクがWAWになっていたりしています。

 

 あとEGOの性能もちょっと変わってたりする。

 

 ピンクの兵隊みたいな(諸説アリ)成長するタイプ。人間を取り込めば取り込むほど力を増すヤバいアブノーマリティです。元々はZAYIN程度だったのかも。本社のループに巻き込まれてたらすぐALEPHになってそうですね。

 

 観測情報では伝わりきらないかもしれませんが、それを感じるだけでなぜか手足が伸びたり化け物になってしまう、異常な感情自体がT-06-k27というアブノーマリティです。トテモコワイ!

 

透明な一言︰ホラー描写書いたらけっこう筆が乗りました。やっぱりこいつはお気に入りですね!

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