ヘクトール先生   作:パリス君

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攫われたセリカの救出へ

ピンポーン。

 

「セリカちゃん?セリカちゃん、いる?」

 

アヤネが語りかける。

ピンポンピンポーン。

インターホンを何度も押すが、中から返事はない。

 

「セリカちゃーん?どうしたんだろう、電話にも出ないし……スペアキー、どこだっけ……」

 

アヤネはゴソゴソと鞄の中を探り、スペアキーを探す。

 

「あった」

 

 

思いの外早く見つかり、安堵しながら扉を開ける。

 

「セリカちゃん……?まだ帰ってないのかな?」

 

アヤネは部屋に入り、中を見渡すが誰も居ない。

 

「……こんなこと、今まで一度もなかったのに」

 

セリカが深夜まで帰ってこないことは今まで一度もなく、いつもならバイトから帰っているはずだ。

 

「ま、まさか……!!」

 

不安になりながらもアヤネは一度、みんなにこのことを伝えるべく、アビドスの校舎へ走りだす。

 

 

 

 

「電話はしてみました?」

「……はい。でも数時間前から、電源が入っていないみたいで……」

 

涙目のアヤネにノノミは寄り添いながら話している。

 

「バイト先では定時に店を出たみたい。その後、家に帰ってないってことかな」

 

そう語るシロコ。

それにノノミが反応する。

 

「こんな遅くまで帰らないなんてこと、これまでなかったですよね……?」

「まさか……ヘルメット団の連中?」

 

そうシロコが言うと、アヤネが驚いたように話す。

 

「えっ!?ヘルメット団がセリカちゃんを……!?」

「とりあえず待とう。ホシノ先輩と先生が調べてるから」

「……」

 

 

 

「みんな、お待たせー」

「悪いな。少し時間がかかった」

 

俺とホシノが部屋に入ると、部屋の中で待っていた三人の視線が集まる。

 

「ホシノ先輩!先生!」

「どうだった、先輩?」

「先生が持ってる権限を使って、連邦生徒会が管理するセントラルネットワークにアクセスできた」

「セントラルネットワークに……先生、そんな権限までお持ちなのですね……」

「うへ〜もちろんこっそりだけどね。バレたら始末書だよー?」

「ええっ!?だ、大丈夫なんですか、先生?」

 

ホシノの言葉を聞き、心配するアヤネ。

 

「セリカのためだからねぇ?使えるものは使わないと……それに、こういうのはバレなきゃ良いんだよぉ?」

「先生……」

 

アヤネ、心配は要らないぜ。

しっかりとバレないように工作したからな。

例え、ユウカが調べてもバレることはないだろう。

 

「連絡が途絶える直前のセリカちゃんの端末の場所、ここだったよー」

 

ホシノはそう語りながら、地図に指を指す。

 

「ここは……砂漠化が進んでいる市街地の端の方ですね?」

「住民もいないし、廃墟になったエリア……治安が維持できなくて、チンピラばかりが集まってる場所だね」

「このエリア、以前危険要素の分析をした際にカタカタヘルメット団の主力が集まっていると確認できた場所です。ということは……やはりカタカタヘルメット団の仕業……!!」

「なるほどねー、帰宅途中のセリカちゃんを拉致して、自分たちのアジトに連れて行ったってことかー」

 

地図の置いてある机を囲むように四人が話し合っている。

 

「学校を襲うくらいじゃ物足りなくて、人質を取って脅迫しようってことかな」

「考えていても仕方ありません!急いでセリカちゃんを助けに行きましょう!」

「うん、もちろん」

「よっしゃー、そんじゃ行ってみよー!」

 

シロコとノノミが、今すぐ出発するという結論に至ったのを見て、ホシノが掛け声をあげた。

一応、敵の主力が集まっている場所へ行くんだ、作戦は練りたいとこだが……まあ、道中で良いか。

 

「よし、なら出発と行こうか!」

 

 

 

 

ガタン、ガタン。

体が揺れている、いや、地面が揺れている。

 

「う、うーん……へ?」

 

ガバッと体を起こすセリカ。

 

「こ、ここは!?私、さらわれた!?あ、う……頭が……」

 

ガタン、ガタン。

 

「ここ……トラックの荷台……?ヘルメット団め……私をどこに連れて行くつもりなの……」

 

セリカを荷台に乗せたトラックは、今もどこかへ走り続けている。

 

「暗い……けど、隙間から少し光が漏れてる。外……見えるかな」

 

隙間を除き、外を見る。

 

「……砂漠……路線!?路線がある場所って……ま、まさかここ、アビドス郊外の砂漠!?」

 

セリカが隙間から見たのは、路線のある広大な砂漠。

 

「……そ、そんな。ここからじゃ、どこにも連絡が取れない!もし脱出できたとしても、対策委員会のみんなにどうやって知らせれば……どうしよう、みんな心配してるだろうな……」

 

セリカの脳内では、対策委員会のみんなとの思い出が思い出される。

 

「……このままどこかに埋められちゃうのかな。誰にも気づかれないように……連絡も途絶えて……私も他の子たちみたいに、街を去ったって思われるんだろうな……」

 

セリカの視線の先は、もう砂漠ではなく、暗闇の中でわずかな光で照らされている床だった。

 

「裏切ったって思われるかな……」

 

床に一粒の涙が落ちる。

 

「誤解されたまま、みんなに会えないまま死ぬなんて……そんなの……ヤダよ……」

 

ボロボロと涙が落ちていく。

 

「う……うぐぅ……うっ、ううっ」

 

セリカはその場で座り込み、泣き続けている。

その時──。

ドカーーーーン!!!

──外から轟音が鳴った。

 

「う、うわあああっ!?」」

 

ドゴーン!

二度目の轟音でトラックは完全に破壊され、セリカは太陽の光を浴びる。

 

「カハッ、ケホッ……ケホッ……」

 

砂塵の中で咳をするセリカ。

 

「な、何っ??爆破!?トラックが爆発した!?砲弾にでも当たったのかな……一体どこから?」

 

 

 

「セリカちゃん発見!生存確認しました!」

 

ドローンでセリカを発見したアヤネが、通信でそう伝えてくれた。

 

「……あっ、アヤネちゃん?!」

「こちらも確認した、半泣きのセリカ発見!」

 

シロコがそう報告し、セリカをよく観察すると……確かにセリカの目には少量だが涙が残っていおり、泣いていたことが分かる。

 

「!?」

 

顔を赤らめ、すぐに涙を拭うセリカ。

 

「なにぃー!?うちの可愛いセリカちゃんが泣いてただと!そんなに寂しかったの?ママが悪かったわ、ごめんねー!!」

 

ホシノはそう言いセリカを揶揄っている。

 

「う、うわああ!?う、うるさいっ!!な、泣いてなんか!!」

「嘘!この目でしっかり見た!」

 

シロコがそう大きく言う。

 

「泣かないでください、セリカちゃん!私たちが、その涙を拭いて差し上げますから!」

「あーもう、うるさいってば!!違うったら違うのっ!!黙れーっ!!」

「なんだぁ、随分と元気じゃないかぁ。オジサン安心したよ」

「な、なんで先生まで!?どうやってここまで来たの!?」

「可愛い生徒が攫われたなら、助けないとなぁ?」

「ば……ばっ……!バッカじゃないの!?か、可愛いって!!冗談やめて!ぶ、ぶん殴られたいの!?」

 

セリカは顔を赤らめ、言い放つ。

 

「うへ、元気そうじゃーん?無事確保完了ー」

「よかった……セリカちゃん……私、セリカちゃんに何かあったんじゃないかって……」

 

通信越しにアヤネが泣きそうな声で言う。

 

「アヤネちゃん……」

「まだ油断は禁物。戦術サポートシステムを使ってトラックは制圧したけど、まだここは敵陣のど真ん中だから」

 

シロコの言葉にホシノが反応する。

 

「だねー。人質を乗せた車両が破壊されたって知ったら、敵さん怒り狂って攻撃してくるよー」

 

実際、周囲には複数、敵の気配がする。

……敵陣のど真ん中なんて、普段なら絶対避けるんだがなぁ。

 

「前方にカタカタヘルメット団の兵力、多数確認。さらに巨大な重火器も多数確認しました!徐々に包囲網を構築しています!」

「敵ながらあっぱれ……それじゃー、せっかくだから包囲網を突破して帰りますかねー」

 

アヤネの言葉的に、巨大な重火器ってのは戦車のことか。

いやー、話には聞いていたが、ありゃあ強力な兵器だなぁ……何台か欲しいぐらいだ。

……まあ、あの戦車は、不死身の英雄を乗せて高速で動かないだけマシだな。

 

「……気をつけて。奴ら、改造した重戦車を持ってるわよ」

「知ってる、Flak41改良型」

「ああ、あの重戦車ならオジサンに任せな。砲身を切り飛ばした後、中にいる子たちを確保すれば無力化できるってもんだろう」

「先生、任せたよ?……それじゃ……行こうか?」

 

五人が銃を構え、不良達と交戦を始める。

余裕ができるまで指揮をして、隙ができたら重戦車を無力化するとしますか。




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