真面目なシーンばっかりだったのでギャグ要素を入れようとしたり、仕事が忙しかったりなどでなかなか執筆ができませんでした(土下座)
通勤・退勤時にスマホで書いたので誤字脱字などが多々あるかも?
UAが2000超えてお気に入りも20超えてとても嬉しいです(小並感)
・・・あの皆さん?見る作品間違えてません?
「なにが目的だ?」
あまりの急展開に思わず後ずさる。
「目的だなんて・・・栞はただ兄さまに確認したいことがあるだけです」
「確認だと?」
「はい。ですが、兄さまはいつもその場しのぎの適当なことばかり言うじゃないですか」
「そんなことは・・・ない・・・と思う」
心当たりがありすぎて言葉尻が自然と弱くなってしまう。
「ですが、今は栞にも非があったと思っています。そこで今回は兄さまが栞の欲しい答えを出したらご褒美を上げることにしました」
「ご褒美だと?」
「そうですね。ちょっとしたクイズを出しましょうか」
そう言って栞は指を1本立てる。
「1問目。この映像はどこから撮っていると思いますか?」
ディスプレイが見えるように栞が体をずらす。俺はしっかりと画面をのぞき込んだ。
(正面に映っているのは正面玄関の扉。見える背中と横顔から奈々華さんと梓さんが笑いあってる。おそらく撮影場所はカウンターの上だがそんなところにカメラがあればさすがにみんなが気付くはず。それに栞が理由もなく盗撮をするとは考えずらい。つまり、俺が下宿してからあそこに置かれるようになったものは・・・)
念のため色々な角度から画面を見る。
「あの・・・まだわかりませんか?」
1分ほどすると横から栞が聞いてくる。別のことに集中していたため思わず考えていたことが口に出る。
「いや、もう少し角度をつければ梓さんの胸元が見えそうで」
ハッとした時にはすでに遅く栞が虫を見るような眼でこちらを見てくる。
「あと3秒以内にこたえてください。3、2・・」
急ぎ、俺の灰色の脳細胞が導き出した答えを口にする。
「カメラはお前が送ってきたあの人形に仕込んであるんだろ」
「正解です。さすがは兄さま」
そう言ってパチパチと拍手をされるが、蔑むような眼は変わらない。
「そ、それで?これがどうご褒美につながるんだ?」
栞はため息をつきながら今度は指を2本立てる。
「2問目です。あの人形は夜になるとどこに置かれるでしょうか?30秒以内に答えてください」
「まずリビングだろ?それから俺の部屋、あとは千沙の部屋と奈々華さんの部屋か?」
答えていくうちに電流が走るようなひらめきが生まれる。
「正解です。それでは「待て」はい?」
次の問題に行こうとする栞を止めて、俺は今思い浮かんだひらめきを口にする。
「そこに保存されているのか?奈々華さんのお宝映像が。」
「いいえ。兄さまの想像しているようないやらしい映像はありません」
思わず膝から崩れ落ちる。
「このカメラは高性能でして、そういった場面になりそうな場合は自動的にカメラがオフになるんです」
「なんでそんないらない機能を付けた!ちくしょう!」
思わず床をたたきながら慟哭する。
「兄さま、落ち着いてください」
そう言われ肩に手を置かれる。顔を挙げると栞は笑顔で言葉をつづけた。
「映像はないのですが、音声の方はそのまま記録をしているんですよね。だから、兄さま的に言うのならお宝音声?のようなものがあります」
「グッジョブ!」
思わず方に置かれた手を両手で握りしめる。
栞は即座に振り払い、握られた手をハンカチで丁寧に拭く。
そんなばい菌のような扱いをされているのが見えたがそんなことはどうでもよく、天を見上げながらガッツポーズをする。
「それで?確認したいことって言うのはなんだ?何でも聞いてくれ!」
そう言って目を合わせる。
「それではこれから確認することに対して正直に答えてください」
「わかった。その代わりお前も報酬はちゃんとよこせよ?」
「それは兄さまの回答次第ですから」
それでは、と栞が一呼吸置く。
「兄さまの余命が一年というのは本当ですか?」
先ほどまでの熱が一気に冷えるのを感じた。
カチカチと時計の音だけが部屋に響く。
頭の中ではなぜそのことが?どこからばれた?という疑問が浮かんでは消える。
「そ・・・そんなわけないだろ?ほら見ろ、こんなに元気な人間が余命一年なんてあり得ないだろ」
気付くと口が勝手に動き出していた。
「そんな変なこと誰から聞いたんだよ。親父か?」
そう言いながら笑いかけるが栞は無言でパソコンを操作する。
「え~と・・・栞?」
そう恐る恐る声をかけるとパソコンから何やら音が聞こえてきた。
どうやら盗撮した映像の録画を再生しているようだった。画面に表示されている日付は昨日の夜。
気が付いたときにはすでに遅く、パソコンから情けない声で余命一年のことをつぶやく俺の声が再生された。
「これはどういう事でしょうか?」
「それは・・・映画!そういう映画を見たんだよ!」
「映画ですか。タイトルは何というのですか?」
「えっと、洋画だったからタイトルが読めなくてな」
「そうですか。主演の方はどなたでしたか」
「あ〜、あんまり洋画を見ないから名前はわからん」
「では、監督の名前は?」
どんどんと栞から追求の質問がくる。思いつきでついた嘘のため深掘りされればされるほど答えに詰まる。それと同時にこれが嘘だと栞にはバレていると言う確信が強まる。
「映画で印象的だったシーンは?」
「え〜、ちょっと待ってくれ、今思い出すから」
なんとか捻り出そうとするがそもそも存在しない映画のあらすじなど俺の頭では思いつかない。
「そんなに栞は頼りないですか?」
答えに詰まっていると栞がそう言ってくる。
「兄様が言っている映画なんて存在しないことは分かってます。余命一年というのも本当のことだというのも薄々気が付いていました」
「・・・」
「急に帰ってきたのも本当は母様達に報告と相談をするためなんでしょ?2人とも隠していましたが涙の跡がありました。それなのにどうして栞には本当のことを言ってくれないのですか?」
何か反論しようとするがうまく言葉出てこない。
「本当のことを言ってよ・・・お兄ちゃん・・・」
そう言って涙を流す栞を見て思わず頭を胸に抱き寄せる。
「誤魔化そうとして悪かった」
謝罪の言葉を口にすると流れるように言葉が出る。癌のこと、余命のこと。栞は俺にしがみついて泣きながら聞いていた。
「黙ってたのは、お前の受験勉強に支障が出ると思って・・・」
本当にそうか?自分の心が問いかけてくる。余命のことを伝えることに都合のいいタイミングなんて存在するはずがない。むしろ伝えるのが早いほど残された時間でやれることが増える。それでも俺が栞に黙っていたかった理由。自覚すると自然と口が動いた。
「いや、そんな理由じゃないな。ただ単にお前が悲しむ顔が見たくなかったんだ。そのせいでどれだけお前が苦しい思いをするかも考えずに・・・ほんとにごめん」
そう言いながら頭を撫でる。
今日はもう出ないと思っていた涙が堰を切ったように溢れる。
「いなくなっちゃ嫌だよ、お兄ちゃん」
泣きながらそう言う栞に俺は頭を撫でながらごめんと何度も謝った。
「兄様、このままうちで過ごしましょうよ。家の手伝いをしろとか勉強しろとか言いませんし、無理やり朝早くに起こしたりもしません。食事も私が全部作りますから」
しばらくして泣き止んだ栞が顔を埋めたまま提案してくる。
「そんな至れり尽くせるな生活夢みたいだな」
思わず笑みが溢れる。
「でも、ごめん。やっぱり俺は伊豆に戻るよ」
栞の背中をあやすようにポンポンと叩く。
「出会ってまだ半年ぐらいだけど、Pabのみんなからいろんなことを教えてもらったんだ」
思い出すのは泳げないことを言い訳にしていた時にかけたくれた寿先輩の言葉や、時田先輩達が沖縄でオトーリの前に述べていた口上、初めてダイビングした時に俺が楽しめるように一生懸命頑張ってくれた千紗。
「それに、ダイビングが本気で好きになったんだ。だからもう少しだけやらせて欲しい」
沖縄、パラオで海の中の世界に圧倒されたこと、そのことを船の上で皆と共有し笑い合ったこと。半年で本当に様々な初めてと出会った日々だったと実感する。
(パラオといえば・・・)
日本に帰ってから千紗の見せたあの笑顔が頭によぎる。
(この気持ちにもケリをつけないとな)
そう考えていると栞が頭を離す。
「わかりました。でも、絶対ここに帰ってきてくださいね?」
「当たり前だろ?俺の家はここなんだから」
栞にニカっと笑いかけた。
「でも、あっさり引き下がったな。俺はてっきりお前に監禁でもされるかと警戒していたんだが」
「もちろん今でも兄様を拘束して部屋に閉じ込めておきたいとは思っていますよ」
当たり前のことのように栞が言う。
「でも、兄様は変なところで頑固ですし、さっきの言葉が本気で言ってるんだと言うのも理解しています。だから栞はここで兄様が帰ってくるのを待ってます」
「おう、全部終わったらちゃんと帰ってくるから」
「言質は取りましたからね。あ、でもやっぱり心配なので」
そう言うと栞はこちらに左手を出してくる。なんとなく手を乗せるとパシンッと即座に右手で叩き落とされる。
「汚い手を乗せないでください。兄様の携帯を貸してください」
強めに叩かれ少し涙目になりながらも指示に従う。携帯を受け取ると何やら操作をしてすぐに返してくる。
今のはなんだったんだ?と考えているとピロンと携帯が鳴る。
画面を見るとL⚪︎NEの通知で送信者は『栞』となっていた。
「これでいつでも連絡が取れますね。何かあったら遠慮なく連絡してください。すぐに飛んでいきますから」
「いやいや、俺のパスコードをなんで知ってるんだよ」
「そんなの当然じゃないですか。私はお兄ちゃんのたった1人の『妹』なんですから」
笑いながらそう言ってくる。
その笑顔は久しぶりに見る心の笑顔だった。
〜おまけ〜
「ところで俺への報酬はまだか?」
「何言ってるんですか?無しに決まってるでしょ?」
「最後はちゃんと誠心誠意答えたんだから報酬をもらう権利はあるはずだろ」
「最初に言ったはずですよ?『栞の欲しい答えを出したらご褒美を上げる』と。最後の『うちで過ごしましょう』に対して欲しかったのは了承のみですから条件未達成です」
「お前、最初から渡す気無かっただろ!」
「そもそも録画を止める機能があるのに録音を止める機能が抜けてるわけないじゃないですか」
俺は膝から崩れ落ちた。
当初の予定だと伊織の実家の話は2、3話で終わる予定だったのにどうしてこんなことに・・・(汗)
評価や感想ありがとうございます。まだ執筆の熱は冷めてません。が、先にネタが尽きそうです。
次の話はそこそこ書けているので1週間以内にもう一本出せる・・・かな~?
当初は栞ちゃんは確認ではなく質問という表現にしてたんですが、執筆中に脳内でブチャラティが出てきて「答えろよ質問はすでに、、、拷問に変わっているんだぜ」と栞ちゃんに言わせようとしたため表現を変えましたw
最後に・・・普段は猫被ったり、ツンツンしてる幼馴染、妹キャラが弱音とかキュンとしたときに思わず子供のころに使ってた呼び方で呼ぶのって・・・いいよね。