魔法少女リリカルなのは~ある提督の秘蔵っ子の物語~ 作:桃矢
面白くない可能性が高いので、ご了承下さい。
「………、……ル、ゲイル!!」
「……はい!!」
眼鏡をかけた女性は、心配そうにゲイルという少年の顔を覗き込んでいる。
「ゲイル、どうしたの? 仕事中に居眠りとは、あまり感心しないわよ」
「すいません、レティ提督」
居眠りしていたという事実を突きつけられたゲイルは、レティに謝るほかなかった。
「全く、お兄さんが生きていたら、なんて言われるか分からないわよ……」
「はい……」
レティの言葉にゲイルは、亡き兄を思い浮かべていた。
「そういえば、あれから……もう、七年経つのよね」
「そうですね……時の経つのは早いです、本当に……」
ゲイルは、そう言って、遠い過去に目を向けるかのように目を細めた。
ゲイルの両親は、ゲイルが小さい時に亡くなっていて、ゲイルと年の離れたゲイルの兄は、二人で生活していた。
その時、ゲイルの兄は管理局に勤めはじめていて、お金の心配はしなくてもよかった。贅沢な生活ではなかったが、兄弟、仲よく暮らしていた。
七年前、ある事件が起きるまでは――――
その日、ゲイルは、一人で学校から帰っていた。
その途中、ゲイルは、急に意識が遠のいていって、目が覚めた時には、猿ぐつわをされ、手足を縛られて、どこかの床に転がされていた。
数人の男たちが周りをうろついているのが見え、いろいろなもので武装していた。
ゲイルは、怖くなって、目をつむり静かに時間が経つのを待っていた。
時間がどれほど経ったのか分からなかったが、目を開けた時、窓から入ってくる光がなくなっていたことで夜になったことを理解した。
そうして、また意識がとおのいていった。
その後、ゲイルは、病院のベッドの上で目が覚めた。そのとき、傍らに座っていたのは、レティだった。
ゲイルは、急に病院に移動しているのが不思議でならなかった。
「レティさん? 僕、どうして病院にいるの?」
「ゲイル……覚えてないの?」
ゲイルの言葉に、レティは、驚きの表情を浮かべた。
「それに、レティさん。お兄ちゃん……どこ?」
「ゲイル……よく聞きなさい。あなたのお兄さんは死んだのよ」
レティは、ゲイルの言葉に淡々と答えた。
「嘘でしょ!! お兄ちゃんは生きてるんでしょ」
「いいえ……あなたを助けようと、単独で突入してあなたを連れて戻ってきたときには、傷だらけでほとんど気力だけで立っている状態だったわ」
ゲイルには、この間の記憶がなく、レティが話している事が理解できなかった。
そうして、ゲイルは自らの住むところも失い、肉親も失った。
そんな中でレティは、ゲイルの母の姉であったこともあり、両親が亡くなってからも、ゲイルとゲイルの兄のことを見守っていた。
ゲイルは住む家がなくなり、肉親たる兄も失ってしまったので、レティにしばらくの間預けられることになった。
この時、レティは、ゲイルに士官学校を経て、管理局に入ることを勧めた。
レティに勧められた通りに、この後すぐに、ゲイルは士官学校に入学した。
士官学校自体は、かなり難関だった。七才の子供が入学することに、やっかみや反発がないはずはなかったが、ゲイルは、その度に自分の実力を見せつけ、そのやっかみをはねのけた。
そうして、卒業し、今に至るわけである。
「ゲイル君!! またぼっーとして私の言ったこと聞いてる?」
「すみません……何でしたっけ」
「まったく……あなたにちょっと異動してもらおうと思って……」
「はぁ……は!? 異動って時期じゃないでしょうに!」
「正式には、出向って形になるわね。ちょっとね……リンディの抱えてる案件が厄介ごとみたいだから、戦力の貸し出しっていう事になるわね」
「しかし、あそこは、捜査や作戦遂行に十分な力を持った魔導師がいるでしょうに」
「一応、念のために、お願いだそうよ」
「了解です、それでは、出向は何時からでしょうか?」
ゲイルは、至極真っ当な質問をしたつもりだった。
しかし、次にレティから返ってきた言葉は、予想外のものだった。
「急で申し訳ないんだけど、明日からになるわ」
「えっ? 本当に明日からですか?」
「というわけで、今やってる仕事は、キリの良いところまでやっちゃってね」
「えーと、それだと多分帰れないんですが……」
「説明中、意識飛ばしてたのは誰だった?」
ゲイルは、この言葉に自分を省みて、確かに居眠りしていた自らが悪いと考え、そこで、会話を打ちきり手を動かすようにした。
レティは、ゲイルのその姿を見て、
「うん、よろしい」
と言って自分の仕事に戻っていった。
時間が深夜になってから、ゲイルの作業の手が止まった。
「うーん、やっと終わったー」
そういって、ゲイルは、凝り固まった体をほぐすように伸びをした。
「はい、お疲れさま」
「まだ残っておられたんですか?」
ゲイルは、ずっと作業に集中していたので、皆帰ったものだと思っていたが、レティは違ったらしい。
「私もやることがあったのだし、部下を残して、帰るわけないでしょう、まぁ明日からリンディのところで頑張りなさい」
「了解です、レティ提督、コーヒー入れますね」
そう言って、ゲイルは、コーヒーをいれようと席をたった。
「そんな、別に良いわよ、もう帰るから」
「そんなこと言って、顔に今日も帰れないわって書いてありますよ」
「……バレたか、まったく鋭いわね」
「まぁ、明日から出向ですから、その前に副官らしいことさせてくださいよ。どうぞ、コーヒーです。少し濃いめにしときました」
「ありがとう」
そうして、また二人とも暫く書類に向かうのだった。
「ゲイル、最終的に私の仕事が終わるまでいたけど、大丈夫なの」
「大丈夫ですよ、レティ提督の顔には、泥は塗りませんから。それじゃあ、一旦身支度整えに帰ります」
「そのまま向こうに行くんでしょうから、言っておくわ。行ってらっしゃい」
つかれを見せず、レティがゲイルにそう言うと彼は、微笑みながら
「行ってきます」
と言って出ていった。
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年齢や何年前とかの部分に打ち間違いがあったため訂正しました。