魔法少女リリカルなのは~ある提督の秘蔵っ子の物語~ 作:桃矢
身支度を整えたゲイルは、出向先の部隊へとむかっていた。
暫く通路を歩いていると、目的の部隊長の部屋の前についた。
ひとまず、ゲイルは、深呼吸してドアをノックし、
「ゲイル・F・ロウラン、入ります」
と言った。
そうすると、部屋の中から、女性の声で
「どうぞ」
と返ってきたので、ゲイルは、中へと入った。
部屋の中で待っていたのは、部屋の隅に立っている少年と局員服を着ている緑の髪をした女性だった。
女性は、ゲイルに、微笑みながら言った。
「いらっしゃい、ゲイル君、ひとまず、着任挨拶を終わらせましょうか?」
「そうですね、では、ゲイル・F・ロウラン二等空尉、本日09:00をもって、リンディ・ハラオウン提督の指揮下にはいります」
「はい、承認します。じゃあ、もう自由にしてもいいわよ」
「じゃあ、唐突ですが、何で俺を呼んだんです? 俺がいなくとも十分な戦力を保有しておいでだと思うんですが」
「本当に直球ね、それは、クロノが説明するわ」
リンディ提督がそう言うと、部屋の隅に立っていた少年もといクロノは、口を開いた。
「久しぶりだな、ゲイル」
「そうだな、クロノ。士官学校以来か?」
ゲイルとクロノは、微笑みながら握手を交わした。
「あぁ……さて本題に移るがいいか?」
「いいよ」
「じゃあ、これを見てくれ」
そういって、モニターに写し出されたのは、惑星だった。
「俺は、こんな映像見て喜ぶような性格ではないんだが……」
「茶化すな!!」
「分かった、分かった。見たところ、管理外世界だろ、俺が呼ばれた理由に関係あるのか、ここが?」
「僕たちがパトロール中にここで、次元震らしきものが観測された」
「本当か」
「あぁ、本当だ」
「それなら、一大事じゃないか!!」
「これで、僕が君を呼んだ理由が分かるだろ?」
「……ようやく分かったよ、茶化してる場合じゃないな」
ゲイルの顔には、驚きと焦りがにじみ出ていた。
クロノは、ゲイルのその顔を見て、次の話題を切り出した。
「一旦、補給及び対策会議のために本局に戻って来て、僕達の戦力を鑑みた結果、緊急事態への対応力不足と判断し、レティ提督へ応援要請を送ることとなった。そして、君という戦力が届いた。ゲイル、現在、僕達がどういう行動をとらなきゃいけないかわかるよな?」
「やることは、……次元震が何故起きたかの調査及び敵対勢力などの存在が確認された場合は、それの排除というところか? アースラの状況は?」
「補給も終了し、発進準備は、ほぼ完了してる。何時でも出られる。」
「そうか……っと、リンディ提督は?」
「えっ? さっきまでいたはずだ」
ゲイルとクロノは、辺りを見渡していると突然、部屋の扉がノックされた。
「エイミィ・リミエッタ、入ります」
そう名乗るのが早いか、部屋に入ってくるのが早いか、どちらが先だったかわからないスピードで一人の女性が入ってきた。
それを見たクロノは、目を白黒させた。
「エイミィ? 僕は、呼んでないぞ」
「お茶を持って行ってあげてって、リンディ提督に言われたの」
そう言われて、ゲイルもクロノもリンディ提督のいない理由が分かった。
そんな彼らにエイミィは、お茶のはいったカップを手渡した。
それからアースラ発進までの間、3人は旧交を温めていた。
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発進時刻となり、皆が艦橋へと集まった。
「提督、定刻となりました」
「そうね。これより本艦は、第97管理外世界『地球』に向け発進します。この世界では、前回のパトロール中に次元震らしきものが観測されています。皆、くれぐれも油断しないように」
「「はい!!」」
「……アースラ、発進します!!」
リンディの訓示を受け、皆が気合いを入れ直した後、アースラは地球へと向け発進した。