ハム子に憑依転生したら何故かキタローもいるんだけど?   作:がははw

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原作に入ると言ったな? あれは嘘だ
(原作開始直前だから)お兄さん許して!


さようなら八十稲羽、久しぶり厳戸台

 

 「遂に来たね、この時が」

 

 ピカピカに輝く制服に身を包まれながら、ハム子は1人口を開く。

そう、この日は4月6日(原作開始日)である。そんな中、彼女は鏡の前の自分にのめり込んでいた。

 

 「う〜ん、やっぱ凄いね! この可愛い顔に出るとこは出てる麗しいボディー。それにこの月光館学園の制服のマリアージュ…美人だ。美人が目の前にいる」

 

 鏡の前で、ハム子は延々と自画自賛を続ける。そしてそのまま、どれが一番良いポーズか模索し始めた。

 

 「ヤバい。どのポーズも捨てがたい…こんなに可愛いのに勉強も運動も出来るの? っかー、ヤバい。完璧美少女すぎる…もう存在が罪でしょ…」

 

 完全にトリップしているが、別にそれを咎めるものはいない。孤児としてこれまで1人で生きてきた彼女には、それを言う人なんていないからだ。

 

 「………ハァ」

 「なに? この天才完璧美少女高校生ことハム子ちゃんに惚れちゃった?」

 「いや、貴様の愚かさに呆れていた所だ」

 

 そう、ここが霧の中で、目の前にイザナミがいなければの話ではあるが。

 

 ♢

 

 ハム子達は今、ハム子シャドウがいた前世のハム子の部屋、その中のちゃぶ台を取り囲んでいる。それもそのはず、ハム子はこれまでここで生活していたからだ。

 

 「…最初は、此処に住むと聞いた時は聞き間違いかと思ったものだがな」

 「特訓に一番効率的だったし…それに霧があること以外は前世と全く同じ部屋だし…」

 「ペルソナ使いも長時間いれば有害なこの空間でか? 笑わせるな」

 「うーん、否定できない」

 

 そう言い手を上げ、降参(お手上げ侍)をする。実際、ハム子は自分の中にいる『デス』の影響か何かでメガネ無しでも不自由ないだけで、他者が同じことをしていたら正気を疑う。

 

 「…で、話って何?」

 「最後の忠告に来ただけだ。それ以上の意味はない」 

 「素直じゃないね。ま、私も最後に会っとこうと思ってたけど」

 「_率直に言おう。貴様はこの10年で強くなった。おそらく、いや確実に、貴様より強いペルソナ使いはこの世にいないだろう」

 

 そのイザナミの言葉に、ハム子は目をパチパチさせる。今まで罵倒された回数は数え切れないが、素直に褒められたことなど数えるほどしかなかったからだ。

 

 「え…そんなに褒めてどうしたの? 変なものでも食べた?」

 「客観的事実を言っただけだ。良くも悪くも、貴様は成長したという意味でな」

 「良くも…悪くても?」

 

 首を傾げるハム子に、イザナミは話を続ける。

 

 「以前、貴様はバタフライエフェクトについて話していたな」

 「あったね。それが何?」

 「本来の世界だと存在しない貴様という存在により、この世界の運命はどう転ぶか未知数だ」

 「あー…なるほど」

 

 つまり、ハム子(イレギュラー)がいるおかげでプラスになる_原作より死亡者を減らせたりすることもあり得る。逆に、ハム子がいるせいでマイナスになる_最悪、世界が滅ぶこともあり得る。くれぐれも滅ばないようにしろ、と言いたいのだとハム子は悟った。

 もちろん、キタローを救う救えない以前に世界が滅んだら元も子もないことはハム子も分かっている。特に否定せず、イザナミに肯定する。

 

 「うん、分かった」

 「ならいい。それともう一つある」

 

 イザナミはハム子に指をさし、力強く発した。

 

 「いいか、貴様は良く言えば純粋…悪く言えば、馬鹿だ」

 「そこ強調するの酷くない?」

 「褒めているんだ_最近、ジュネスが建つことで商店街が滅ぶと言うこの町の人間がいる。人間として腐ってきている証拠だ。貴様には、そんなものがない」

 

 指を下ろし、ハム子の顔をジッと見ながらイザナミは言う。そんなイザナミに、言いたいことがさっぱりなハム子は疑問を浮かべた。

 

 「私も嫌いとか馬鹿とか言うよ?」

 「そうじゃない。文句しか言わず、努力しない人間が多くなったと言うことだ」

 

 なるほど? とハム子はなんとなく理解した。

息をするように文句を言うイザナミでも、この10年でハム子が強くなるために努力してきたことは知っている。口だけの人間よりはマシだと言いたいんだなと感じた。

 

 「つまり、町の人にも頑張ってほしいなーってこと?」

 「そうだが、そうじゃない」

 

 そう言うと何かを思考するように、イザナミは目を閉じて腕を組む。少しすると、目線を逸らしながら小声で言った。

 

 「貴様には期待している。頑張れよ、ハム子」

 「何て?」

 「…いいや、何でもない」

 「ふーん…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  応援の言葉1つ言うだけで恥ずかしいの?

 

 「もういい。さっさと行け

 

 ♢

 

 「_そう言ってアイツ私を外に吹っ飛ばしだよ? 酷くない?」

 「…確かに、強引な行動なのは否定できませんね」

 「でしょー? セットした髪も荒れちゃって…」

 

 ベルベットルームの中で、文句を言う女とそれを聞く男。

 

 「しかし、それほどハム子様を信頼しているとも取れます」

 「イザナミが? うーん、そうかな…そうかも…?」

 「ええ、きっとそうです」

 「そっかー…ありがとね、テオ」

 

 そう、ハム子とテオドアである。

吹っ飛ばされた後、ハム子はイザナミの愚痴を言いに今までの感謝を伝えにベルベットルームを訪れたのだ。

 

 「今更だけど、イゴールは?」

 「主でしたら、今はエリザベスの元に」

 「…あ、そろそろだからってこと?」

 「恐らくは」

 

 もちろん、そろそろなのはキタローのことである。

 

 「エリザベスなら問題ないと思うけどね」

 「もちろん、私もそう思います。ただ…」

 

 そこまで言うと、テオドアは口を閉ざす。これ以上言うと命がないとでも思ったのだろう。ハム子も続きを促すことはしなかった。話題転換の為、露骨に別のことを切り出す。

 

 「ところで、この制服どう? 可愛い?」

 「ええ、可愛いですよ。着ている人が素敵なのもあるでしょう」

 「そうでしょ? いやー、それほどでもあるよね」

 

 お世辞だと分かっていても、嬉しいものは嬉しい。

そう思いハム子はニコニコと笑う。そうしていると、テオドアはたちまちハム子に真剣な眼差しを向けた。温和な態度から急に変わったその目に困惑しているハム子に、テオドアは口を開く。

 

 「ハム子様、貴方は強いです。少なくとも、()()()()()程に」

 「…ハンデありなら、でしょ?」

 「だとしてもです」

 

 テオドアの右手に、アルバム程の大きさの本が現れる。それがハム子のペルソナ全書なのは明白だった。そんな全書のページをパラパラと開きながら、テオドアは言葉を続ける。

 

 「未だ契約できていないペルソナも数多くいる。その中で、貴方は私に勝ったのです」

 「苦労したよ? でも私としては、何とか勝った先月までの…10年でそのくらい()()行けないのかって思ったけどね」

 

 自嘲気味にハム子は笑う。キタロー(主人公)なら1、2年あれば勝てるようになるのを知っているハム子は、ペルソナ全書がmaxになっていないのを加味しても10年は遅いと感じていたのだ。

 

 「謙遜は不要です」

 「本心だって。本当に、真面目に言ってる」

 「…まあいいでしょう。私が言いたいのは、ハム子様は強いということなので」

 

 渋々ながらも納得したテオドアは、改めてハム子の目を見る。何がしたいんだろうと?を浮かべるハム子に、何か納得したのか、微笑みながら、

 

 「私は_いえ、我々は、最後まで貴方を支えます。応援していますよ」

 「_うん、ありがとう!」

 

 

 

 「所で、頼まれていたものが見つかりましたので、こちらを」

 「おお…! 本当にあったんだ…!」

 

 

 ♢

 

 

  (久々の故郷か…思い出はそんなにないけど)

 

 厳戸台に向かう電車の中で、ハム子は1人思考にふける。彼女が彼女(ハム子)だと自認したのはあの事件の日、事件前の記憶もないことはないが、ぶっちゃけ『あーこんなことあったね』レベルで、そこへの感情はあまりないのだ。まあ、つまり…

 

 (まず厳戸台駅周辺を3周、そして商店街を全部ハシゴした後に寮に行くべきか…!? でもポロニアンモールも行きたいしなぁ…! 駅周りの散策は1周に止めておくか? いや待て、そもそも影時間にならないと最初のキタローごっこ*1はできない。だったら今日は影時間まで待って…って馬鹿か!?今日キタローが来るのに出来るわけないでしょ!? あれか? 同じタイミングで駅から降りて『あら奇遇ですわねウフフフフ』とかしたいのか!? いやこの場合は『オドろいたねェ ボウヤ 奇しくも同じ構えだ』の方か…じゃなくて!そんなことしたら原作壊れる! あーでもキタローを覗き見に行くくらいはしたいな…でも美鶴先輩たちに挨拶行った後に『じゃあ影時間になるんで外出してきまーす』なんて言ってOK貰えるか…? うーん、ワンチャン?*2)

 

 この認識でしかなかった。彼女は向かう先でエンジョイしか考えていなかった。

妄想にふける(頭お花畑な)間に、厳戸台駅に到着する。噛み締めるようにして駅のホームに降り立った。*3

 そんな脳の12割が観光で独占していたハム子の前に、1台の車が停車する。お、とハム子がその車に目を向けていると、次第に車の窓が開かれ、中から1人の男の姿が現れた。

 

 「お久しぶりです、幾月さん…じゃなかった、幾月理事長」

 「久しぶり。さ、乗って。寮まで送るよ」

 

 _____

 

 

 「長旅だっただろう? そこから歩いて寮までっていうのも申し訳なくてね」

 「なるほど…ありがとうございます」

 

 サイドミラー越しに朗らかに語りかける幾月に、後部座席に座ったハム子は感謝を伝える。事前に荷物を寮に届けて行けてなかったので、シンプルにこの申し出はありがたかったのだ。*4

 しかし、やはり忙しい中で来てくれたことに申し訳ないとも思うわけで、

 

 「でも良かったんですか? 明日から学校なのに理事長が女子生徒1人に時間を使って」

 「心配無用だよ。私としては、君に何かあった時の方が胸が苦しく…。心配、胸が苦しい…

 

 言葉を止め、何かを考えるかのように幾月は口籠る。そして時間が少し経った後、決め台詞を言うかのように、

 

 ()()しすぎて()()停止!」

 

 唐突なダジャレに、ハム子は目を丸くさせ驚く。思わず『はい?』と口にでかけたが、その言葉を打ち消す程の発想が頭を巡った。

 

 「どうだい? 即席とは思えないくらい面白いだろう?」

 「はい、とても。でも実際にはそんなことはないですよ」

 「うん? どうしてだい?」

 「簡単なことです。私には、心肺停止するほどに心配してくれる()()()()ないので」

 

 「ふ、ふふふ…ごめん汐見くん、メモしてもいい?」

 「運転が終わってからにしましょ?」

 

 なんて平和な会話が続く。このまま和やかに寮まで_そう考えていたハム子だったが、寮がそろそろとなってきた段階で幾月はまるで別人かのように口調が変わった。

 

 「さて…そろそろ口裏合わせの準備をしようか、『同志』として」

 「……そうしましょうか、幾月さん」

 「フフ…ようやくだ。ようやく滅びへの1歩を踏み出せる!」

 

 その時の幾月の目は、何かを心酔するような、歪んだ目をしていた。

 

 

 『いいですか? 私たちは同志です…共に『デス』を求める者という意味で。

 対等な取引をするために、私はあなたに手紙を送りました』

 『10年後、私の他に『デス』を身に宿す少年が再びあの街に現れます。それまでに、私の指示通りに動いて欲しいのです。対価はもちろん、確実な『デス』の招来です』

 『大丈夫です、運命は私たちに…あなたに、微笑んでいますから』

 

 

_____

 

 

憑依ハム子

 遂に*5高校生になった霧の中に住む狂人。現地点でもかなり強い。*6

幾月と早い段階で接触し、パイプ作りをしていた。指示内容は原作と変わらず*7

 

イザナミ

 町の人に苛立っている系の土地神。ハム子に素直じゃないが、強さは認めている

最初に霧の中に住むと聞いた時は「何を言ってるこの馬鹿は?」となった。人間…凄ぇ。めちゃくちゃ可能性秘めてるし…*8

 

テオドア

 10年のうちにハム子を妹のように扱うことになった力を司る者。ちなみにハンデはテオドアのアイテム禁止のみ(原作のエリザベス、テオドア戦と同じ)

 

幾月修司

 黒幕。ハム子の中に『デス』がいると確信しているのでウキウキで協力している

 

 

 

 

 

*1
影時間中に駅から寮まで行くこと

*2
ねーよ

*3
駅員 (さっさと降りてくれないかなぁ…)

*4
観光は後日になりそうだが

*5
まだ4話

*6
レベル、HP、SPカンストetc…

*7
ゆかりパパのビデオの工作や、幾月を理事長にしたりなど

*8
皮肉マシマシ




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