みっちりはやらずに、死ぬまで飛ばし飛ばしでやります。
……小さな子供の前に、額に傷の入った女が立っている。
「ふむ…。実験で作ったとはいえ、流石は特異体質、さらには九相図を一部取り込んだだけのことはあるね」
何を言ってるのか、子供にはよく分からないのか、はたまた聞こえていないのか。何も無い場所で只々茫然自失と立ち尽くしているだけだった。
「……にしても、流石にやりすぎでしょ、これ。いくら放出手段がなかったからって、呪力だけで
そう、何もなかったのだ、この少年を中心に。まるで何かが爆発したかのように。
「…………お、じぃ……ちゃん、みんな………」
「お、意識が戻ってきたみたいだね」
子供は一言言った後、周りの状態が視界に入ってくる。
「ヴッ…オ゛エ゛エ゛エ゛エ゛!」
ビチャビチャ!と、少年は蹲って吐いてしまった。
「俺が…こ、殺し…ヴッ」
「そうだね、君が殺した。この街の大きさは三十キロくらい、住民は、ざっと5万人かな?
驚いたよ、昔蒔いた種が、まさかここまでのものになるなんて」
殺した?俺が、皆を?何で?何で?なんで?なん…
「
…そうなるように、ちょうせいした?
少年は、その言葉の意味がよくわかっていなかった。だが、一つだけ理解した事がある、
…
「お前の…せいか……!!!」
「ん?聞こえていたのか…。質問に答えるとするなら、そうだね。私が君を作り、私が調整した。まあ、その時の私は男だったから、君を孕んだ女を、すぐに乗っ取った感じだね。お父さんでも、お母さんでもあるよ」
好きな方で呼びなだとかなんだとか、気持ちの悪いことを行っていたが、少年の耳にはもう聞こえていなかった。
その少年は、溢れんばかりの殺意で包まれていた。
「コロス…コロシテヤル……!!!!」
ボウッ、と音がなった気がした、少年の目からは血が流れ、
「!!!術式の覚醒……九相図のか!!!それにこの呪力量は、やばいね…!爆発しても尚、これほどの量を……!」
コロス、コロス、コロス、コロス、コロスコロスコロスコロス!!!
「いや、この量を、一瞬で作り上げ…
少年を中心に、呪力の渦ができる。
「ブチコロス!!!」
そう言った瞬間、少年の身体と、浮かんでいた血液が一瞬で女の視界から
「!速いっ…だが若いね、真っすぐ過ぎる。もっとフェイントを加えたほうがいいよ」
女は見えはしなかったが、長年の感から少年の動きを予測し、少年の攻撃をよけた。
「っ!血液が当たったか。わざと広げて当たりやすくしたね。初めての戦闘にしては、筋がいいじゃないか…っ!?」
だが、全てを避けきれたわけではなく、血の槍がわずかに頬をかすめた。
その時、
「ダマレ!!」
再度、少年は突撃した。
「…それから、突っ込むなら相手の実力を測ってからの方が良かったね」
ドゴォッ!!!
「ウグッ…!」
そのまま遠くに蹴り飛ばされる。
「肉体はかなりの成長を遂げている、年齢の割にはかなり強いし、当たったらただでは済まないね、この体は戦闘向きではないし」
「何を…した…!ゲホッ」
「復帰が速い、驚いたね。せっかくだから質問に答えよう。この肉体の術式でね、
一応聞いてはみたが、結局わからなかった。仕方がないので、もう一度突っ込んでみる。
「だから、単調すぎるんだよ。君の攻撃」
パシィ、ガッ!!
「ウグッ!?」
ドサァ!
今度は手でいなされて、そのまま蹴られた。もう一回だ。
「オラァ!……ウガッ!」
どうやら、この技にはクールタイムがあるらしい。
ガッ、ドサァ!
また蹴られてしまった。……次は、少しだけ時間をおいて、
「まだ来ないのかい?…まさか、この術式の弱点に気が付いたのかい?すごいね、戦闘のセンスも十分あるようだ…おや?血液を落として、術式を解除したか…まあ、何を狙っていようとも、君が私に攻撃を当てることはできないがね」
…………まだ、
「どうしたんだい?絶好の機会だぜ?」
…………。
「煽りには乗らないか、つれないね」
(……待ってる…?いやまさかね)
…いま!
(来たね、
少年はまた正面から突撃、策は無いと断じた女はまた同じく術式を発動する。が…
(
今回、は当たらなかった。
そのまま横から近付き、渾身の蹴りを…
「「!?」」
放とうとした瞬間、少年は
ガッ!!
「いやはや、驚いたよ。まさか、
「ハァ…ハァ…クソッ!!」
「今のもだけど、結構呪力込めてるんだけどね、さっきから溢れんばかりの呪力で無意識に防御しているのかな?いやはや、君には驚かされてばかりだよ」
「黙れ!殺す!殺してやる!殺して……」
ドサッ!
「っ!体力切れか、君の呪力と身体能力には驚いたけど、街一つ吹き飛ばすほどの呪力放出に、急激な術式の覚醒を二つ、さらにどちらも使うだなんて、肉体は耐えれても脳と精神は疲弊に耐えきれなかったのか」
クソッ、何で、何で動かない!!動けよ、クソ、クソ!!!
「こ…ろして…や…る…!」
「まだ意識があったか、疲弊してるんだよね?そこは気絶しときなよ、人として」
クソ、クソ、ク…、ソ……………。
そこで、少年の意識は途絶えた。
「………流石に気絶したか。あわよくば、連れて帰ろうとも考えたんだけどね、君は少し面白そうだ。私の手から離れた混沌になってくれるかもしれない」
「術式が二つ………か。後天的なら理論上は可能なのか。私の術式も似たようなものだし、まあありえなくはないのかな」
「術師に見つかっても面倒だから、私はもう行くよ。じゃあね、もう一つの台風の目、
そう言って女は、踵を返した。
残ったのは、完全に塵になった街と、その中心にいる、気絶した少年だけだった。
そこに、二人の人間がやってきた。
「うわーひどっ。ホントに街一つ消え去ってるよ」
一人は白髪で、サングラスを掛けている軽薄そうな男。名は五条悟。
「五条先生、早く出ていきましょう。この場所、呪力が濃すぎます。いるだけで気持ち悪くなる」
もう一人は、外張千夜と同じ位の年で、黒髪の……
「そうだね、生で見てないのに、僕の六眼も痛くなってきた。こんなの初めてだよ」
二人…と言うより五条悟は、総監部からの報告で、ある呪災現場を調査しに来ていた。
現場は九州の、ちょっとした街。しかし都市部からの交通もあり、それなりに人のいるような場所だった。
住民はみな明るく、なんなら近くの街と比べても、呪霊の発見計数もとてつもなく少なかったというほどに。
今朝、その街が消えた。
原因は、その街の近くに住んでいた窓曰く、超巨大な呪力爆発。
ただの放出で、数万人の命が呪力と共に溢れかえっていた。
本来なら呪霊がよってくるようなものだが、あまりの威圧感に、両面宿儺の指と同等の魔除け効果を発揮しているようだ。
呪霊が原因か、はたまたそれ以外か。それを見極め、あわよくばその場で祓ってもらうため、五条悟を直接出向かせたのだ。
…そんな五条悟は、
「…五条先生、何を見てるんですか?」
「………この呪力、あの当たりに集まっていってるね」
五条悟でなければ感知できぬほど、ゆっくり、滑らかに。
「呪力が…そんな見てわかるほどに…ですか?」
五条悟の感じた違和感。ある一つの例外を除き、呪霊に変化した後や、術師が指向性を持たせない限り、呪力はその周囲を漂うだけだ。
その呪力が、何処か一点に集まっていってる。
(何かの呪具…?にしてもこの量、どんだけ死んだんだ?量もそうなんだけど、明らかに呪力としての質も段違い「……!五条先生、あそこに人が!!」……っ!?)
一瞬動揺したが、子供の手前その様相を隠しながら、会話をする。
「……ほんとだ。そして、この呪力…この子が原因だね」
「は…?この爆発を?」
子供が疑うのも無理は無い。今目の前に倒れているのは、自身と同じくらいの少年なのだ。
しかし、五条悟は確信している。してしまった。
(…ハハッ、マジかよ……)
彼は、外張千夜を直接見た。その結果…。
(……人間が、持てていい量じゃない。とんでもない質と量の呪力…)
「この少年が、一人で?」
「多分…いや、絶対だね。…それと、この辺に別の呪力が混ざってる。多分戦闘したんだろうね」
(
一つの例外と言ったが、それがこの呪力収集だ。この特異体質自体は特段珍しいものでもなく、かなりの頻度で発現するのだが…。
その誰しもが、集めた呪力により、内部から破壊される。
…もしこの少年が、持っていたとして、そして内部からの破壊がこの爆発だとしたら…。
(…僕に並ぶ、怪物に化けるかもしれない…)
…そう、確信したのだ。
「この爆発を起こしたあと、さらに戦闘を…?」
「しかも、呪力にはまだ余裕がある。多分精神が疲弊して、倒れただけじゃないかな」
「そうですか…。先生…この子、泣いてます」
その少年は…気絶しながら、涙をながしていた。
「…どうやら、訳ありみたいだし、報告は後回しにして、取り敢えずうちに匿っておこうか」
そして二人は、千夜を連れて消えていった。
……それから、数年。
千夜の引き起こした呪力災害は、人も呪霊も近づけない危険区域を作り出してしまった。
数日後……。
「ん、んん…」
「お、起きたみたいだね」
外張千夜は、目を覚ました。
「ここは、一体…」
「ここは、呪術高専の地下、封印をするための部屋だね」
「ふう…いん…?」
どうやら千夜は、封印されていたようだ。
「あなたは、一体…」
「気絶した君を発見して、ここに連れてきた張本人」
「そう…ですか…」
「どうして、あんなことになったんだい?」
「………わからない」
「どういうこと?」
「何も分からないんです。いつもみたいに、普通に学校いって、勉強して、友達とあそんで、家でおじいちゃんと飯食って、それで…オ゛エ゛ッ」
ビチャビチャ!
「…辛いことを聞いたね、もう大丈夫だよ」
「いえ…はなします。話させてください。ただ、爆発する前の記憶はそれで終わりなんです」
「爆発した後は?」
「朝、何かから落ちる様な衝撃で起きたんです、そしたら、何もなくて…ただぼうっとすることしかできなくて、それで…急に女人が来て、こう言いました」
「なんて言ったんだい?」
「『そういう風に調整した』、とか『流石は私の子』、とか『その時は男だった』、とか…」
「………ありがとう、もう十分だ」
そう言って、問答は終了した。
「………あの、これから俺ってどうなるんですかね、やっぱり、死刑とか…」
「………聞きたい?」
「はい。……覚悟したいので」
「…………上の連中は君が爆発の原因だと知った途端、秘匿死刑にするべきだ。と言ってきたよ」
「……ハハッ、やっぱり…「ただ、僕は君に原因があるとは思えない」………え?」
「あの時君の身体の近くには、君とは別の呪力があったんだ。だから、誰かと戦闘したと思ってたんだよ。そして、それが今確信に変わった」
「………」
「後は、君がどうしたいかだ。ここで死ぬか、それとも真犯人に一矢報いるか。…どっちがいい?」
「………俺は…」
「聞かせてくれ」
「……生きたいです。そんで、あの時のあいつをぶっ殺したい。もう、俺みたいなのが生まれないために」
「………いいね、いい答えだ」
「でも、そんなこと聞いてどうするんですか?秘匿死刑って、あなたよりも上の人の判断ですよね?」
「あー、大丈夫。何とかするよ」
「何とかするって…」
「取り敢えず、君は此処で待ってて。此処ならご飯は不要だから、またねー」
「えっちょっま」
ガタンッ!
……扉を閉められてしまった
「何とかするって…どうするんだよ…」
………一人だ。
「じいちゃん、皆、待っててね。絶対あいつをぶっ殺して、そんで…」
─数時間後─
「君、これから僕の養子ね」
「…………はい?」
はい、幕間の第一話、完!
何と千夜の両親があの人だったなんて…!
原作準拠にしない分、幾分か書きやすいカモ…。
このあと、もう一本あります。
判明したこと
千夜、一人で街を吹き飛ばす。
千夜、両親が同一人物
千夜、術式が二つ
千夜、秘匿死刑になりかけ、五条の養子に
幕間にする程長くないけど、じゅじゅコラムに載せると長くなっちゃう話、どうする?
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纏めて幕間
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長くていいからじゅじゅコラム
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知らんわカス(作者の好きにしていーよ♡)