─Side ギィ─
「ギィ様、ご客人です」
そうミザリーが言う。客人…まあ、魔王の誰かだろうな。
「通せ」
「……というか、もう通られていま「ワハハ!いきなり襲ってくるとは随分なご挨拶だな!」…ハァ」
どうやら、既に入って来ているようで。
襲うっつうか、無理矢理通ろうとでもしたんだろうな。…ま、よしとしよう。
「ようミリム、久しいな。まずは座れよ」
「久しぶりなのだ、ギィ!!今日は訳あってお話をしに来たのだ!!」
とかなんとか言うので、聞いてみると…。
「最近ジュラの大森林に
と聞いてきた。
「ああ、なんでもスライムが国を興しただとか」
その噂は遠い地であるここにも届いている。
「うむ!リムルの他にも、
…?何か後半言っていたような…。
「…?む!!そういえば、これをお土産に、と
と言って出したのは、お菓子の入った小袋。…しかし、
「随分と質素な造りだな、
「?だから
ミリムも気が付いた様だ。…まさか、俺達すら僅かに違和感を感じる程度だとはな。
「少し待て…、よし。話してみろ」
「む?しかし、幾ら
仕掛け自体は余り複雑な物では無かったので、簡単に解除できた…が。
(妙な力を感じた…精神に干渉されるような…しかし)
「直接会ったお前はともかく、俺まで喰らっていたとはな」
「む?そうか…まあいい!とにかくセンヤからのお土産だ!食べるがいい!!」
そう言って無理矢理渡してきた…。
「こんな質素な物、俺の口に合うとは思えんがね」
「とにかく食べてみるが良い!…まさか、ワタシの
そう言って手に力を…待て待て。
「いくらミリムと言えど、流石にここで暴れられては困る…分かったよ、食ってやるよ」
仕方ないので一口…む、悪くないな。
「この甘み、なかなか…いやしかし…」
もっと無いのか?
「残念だったな。センヤが渡してきたのは全員分、丁度九つなのだ。おかわりは無いぞ?」
九つ…お前のはどうしたんだ?
「ワタシは来る途中で食べきってしまったのだ!!…はっ!?まだ八人もいるのに、食べるものが無い!?ギィ、一つだけ「やらん」…」
まあ、俺が食えるほどの腕はあったようだな。…そういえば、
「結局何の用で来たんだ?」
「む!すっかり忘れていたのだ!!リムルとセンヤ、二人はワタシの
それを魔王達に言うついでに、土産を渡そうとしているようだ。
「…ふ、センヤとやら、俺が直接見極め「手出しは厳禁だぞ?」…チッ」
まあ、後で気付かれないように行くだけさ。
「では、ワタシはもう行くぞ!!ワーッハッハッハッハ!!」
そう言ってミリムは、天井を突き破って出ていった。…玄関から出ていけよ。
「…ギィ様、ミリム様は…?」
ミザリーか。さっき帰って行ったぞ。
「そうですか。…失礼ですが、そのお菓子は?」
……気になるのか。
「とっても」
…まあ、一つ位なら赦してやる。まだあるのだしな。
「レインも呼んで「お菓子をくれるのですか?ギィ様」…速いな」
いつもはもっとマイペースだろうが。
「それでは失礼します。…っ!!美味しい…」
「…美味しい。誰が作ったんですか?」
「左様ですか。…もっと無いのですか?」
残念ながらな。またミリムの土産を待「ギィ、私の分は無いの?」…あ、ヴェルザード。
「……悪い、さっきので最後だった」
「…そう。えぇ、分かっているわ。貴方は悪くないものね?だって貴方宛のお土産を、私が欲しがっているだけだもの」
……面倒な事になってしまった。
「悪かった。また時間を作って持ってきてやる。だからそう周囲を凍てつかせるな」
本気で悪かったと思ってるから。
「…そう、ありがとうね?ギィ」
…ふう、天災は去ったようだ。
…しかしセンヤ、か。
俺が複製出来ないスキルを持っているとはな。
いや、正確には複製自体はできる…が、
下手すりゃあ、魔王クラスであっても魔素が枯渇する程には。
こんな事は一度も…いや、アイツのは色々無しだな。
……ミリムには悪いが、見極めなければなるまいよ。
…そして、数日後。
「お帰りなさいませ、ギィ様。…それで、結果の方は?」
「…ああ、達成はした」
それは何よりで…か。
………アイツ、本当にただの人間なのか?全てのスキルが、あのスキルと同等の燃費の悪さだった。
それを十全に扱って…。
それに、仕返しがてら何度か精神に干渉しようとしたが、ことごとくが弾かれ…いや、効いてもいなかった。
スキルかと疑ったが、それではない。
それに、あの時見せられたあの魔素量…底が見えなかった。
呪力魔素化…あの力は呪力と言うのか。俺の知識には無い「…あの、ギィ様?」…何だ?
「余り待たせると、ヴェルザード様がまたお怒りに…」
よし、直ぐに持っていこう。
…センヤ=テンペスト。お前とは長い付き合いになりそうだ。
─Side センヤ─
今日はちょっとしたスキルの特訓…だったのだが。
「センヤ先生が戦うってさ」「誰と?」「リムル先生よ、どっちが勝つのかしら」「ぼ、僕はリムル先生だと思う…」「私は…センヤ先生かな」
「よーし、やるぞーセンヤ!あ、
なんでさ。
「ちょっと待って?俺スキルの特訓っつったよね?」
「うん、だから
そゆいみちゃうんやけど。
「えー、センヤ先生使わないのかよ…」
「でも、先生にしかないスキルを使った戦闘よりも、僕達でも参考になりそうなやつだし」
「ま、私は直接はやらないけどね!」
好き勝手言われてら。
「俺とセンヤ、どっちが強いかなんてセンヤで決まりだし、ハンデ兼あいつらの見学授業って事で…」
いや、お前も十分強え…まあいいさ。
「生徒の前なんでね、カッコつけさせてもらうよ」
準備運動しながら、そんな事を言うと……。
「うへー、センヤには似合わねー」「センヤ先生カッコつけんなよ!」「ダサいわね」「正直似合ってないですね」「ぼ、僕はかっこいいと思う!」「いつもの方が…かっこいい…」
ボロクソで草。五条先生、あんた評判悪いぜ…。
…今更だが、もう二年も時が経ってるのか。俺も年齢的には成人になるし、お酒やらにも慣れた方が「…始め!」あ、こらケンヤ!
「俺から行くぞ!」
正面から来たリムルは、俺に真剣で切りかかって…、
「…って、真剣かよ!」
ガキィン!
とりあえず腕で受け止めて…。
「早速参考になんねえことすんなよな!」「センヤ先生、今人からならない音してましたね」「俺達も鍛えれば…!」「剣ちゃん、流石にあれは無理だと思う」「人ってあんな、金属みたいな音してたっけ…」「多分…先生、人じゃない…」
人じゃないのはリムルだけどね。
「ハクロウの剣は効いてたのに、どうして俺のは…やっぱ俺って弱いのかな?」
そんな事は無い…どころか、大賢者による補助のお陰で、ハクロウよりも戦いたくはない。
じゃあ何故俺が耐えられるのかと言うと、天賦之肉体と適応者によるものだ。
身体適応と、天賦之肉体の効果…つまりは耐性ではなく、俺の肉体そのものが進化しているのである。
つまるところ、今の俺にはハクロウクラスの物理攻撃はほぼ通用しない。
…ハクロウの技術なら、上手いこと貫通してくるかもしれんが。
(なんだよそれ!ずるいじゃねえか!?)
ずるくないですー!肉体そのものであってスキルじゃないですー!
「おらぁ!!」
ドゴォ!
軽く吹っ飛ばす。スライムであるリムルは痛覚無効があるので、そこまで悪影響は…?
「フグッ…っ!………っ!!!」
「えちょ、リムル?大丈夫か?」
おいおい、蹲っちゃったよ。大丈b「センヤ様!お覚悟を!!」…ランガァ!?
《告。マスターの影に、ランガを送り出した様です》
なるほど、一応スキルではあるが…。
「引っ掛かったなセンヤ!これも作戦のうちよ!!」
「リムル先生卑怯!!」「流石リムル先生!」「あー、安心するわー」「ら、ランガの乱入は流石に駄目じゃないかな…?」「がんばれー…、センヤ先生ー…」
「おいおい、勝負に卑怯もクソも無いだろう?卑怯ではなく天才と…うぉっ!?」
ドザァッ!!
「わ、我が主…申し訳ございません…ワフッ」
「センヤ先生、ランガぶっ飛ばしちゃった…」「まあ、センヤ先生だしね」
「くそう、ここまでか…」
「降参ってこ「喰らえ!不意打ち
そのあともう一度ボコボコにした。
「…武器に魔法を…ねぇ?」
「そうそう、ケンヤがやってるみたく」
物理だけじゃ太刀打ちできないものもいるのだよ。悪魔とか。
「ふーん…」
「なんだリムル先生、できねーの?」
「いや出来るんだけど、いまいち必要性が感じられなくて…」
いま遠回しに、ケンヤのやってることも否定した?
「…暴食者だとか、人前で見せる訳にゃいかんでしょーよ」
「とかいいつつ、ギルドではめっちゃスキル使ってたよなセンヤ」
うるへー。
今現在は、一度休憩して昼飯を食べている。最近いつもヨシダさんの店にお世話になってんな…。
「センヤ先生ー!」
んー?どしたのケンヤー。…ってこら、口元に食べかすついてんぞ。
「はーい。…でさ、俺に剣教えてくれない?」
んー…、俺ぁ別に剣が主軸ってわけでもないし、そもそもの技術体系がなぁ……。
「…あ、ハクロウの剣術横流しするくらいなら」
「はくろう?」
「センヤ、流石にそれは……つか、お前教えられるほど使えるのかよ?」
?つかえっけど。
「そもそも、ゴブタ抜けば俺が一番模擬戦してたからな」
「そんなんで技盗めるも「ほれ、瞬動法」…んぁ゛!?」
朧流って名前らしーよ、かっこいいよね。
まあ前述の通り、技術体系違いすぎて俺の呪術とはまだ噛み合わせわるいんだけどね。
つまるところ、この型を使いながら簡易領域やらを使えるようになりたいってわけ。
解答者にばっか頼ってると、万一の事態で何もできませんでしたとかなりかねんからね。
聞いてっかリムル。
「カッケー!!それそれ!それ教えて!!」
「…ちょっと俺にも」
あいよー。
「ゼヒュー…ッ!カヒュッ!ゲホッゲホッ!!」
開始二十分あたりでケンヤはダウン。今はリムルにマンツーマンだ。
「せ…センヤ先生…ッスパルタすぎんだろ……!」
「バカねー、あんなヤバい動き一日で出来るわけないじゃないの」
ははは、ハクロウの指南受けたら死ぬかもな。
「ケンヤがやりたいってなら、今後も続けっけど…どうする?」
「…や、ヤリマス…!」
やる気は十分、と「おいセンヤ、こっちに集中しろよ」…あいあい。
「んで、ここはこうで…」
「…え、こうなの?こっちじゃなくて?」
え?いやだから、ここの振り方はこうで……、
「え?ど、どう?」
…リムル、あんたハクロウに訓練付けてもらってたじゃんかよ…。
「いやなんか……それとちょっと違うし!変!」
……?気のせいじゃね?
「おらここは…ああもうじれったい!!」
「……ひゃっ!?」
なに女子みたいな声出してんだよ。
(や!だって、急に後ろから…!!?)
しゃあないやん、後ろからの方がやりやすいんだもん。
「ほら、ここはこうで…つか握り方が…腰…足……前見る前!」
ニギニギ…サワ……ガッ!
(ヌガーッ!?せ…センヤの感触が後方から……!!ま…不味い!!俺は男!センヤも男!俺は男!センヤも「聞いてんのか?」耳元ぉ!!)
「わ…!わかった!わかったから一回離れろよ!」
えー?ほんとに分かって……っ!?
『ジーー…………』
…君達、何そんなじっと見て…?
「……センヤ先生、リムル先生と付き合ってんの?」
………!?
ケンヤが急にそんな事を…
「……は!?いやなんでそうなんの!?」
「そんなベタベタくっつくとか、恋人じゃなきゃやんねーって!」
ふっつーに友人とかでもやるだろ!!つかそもそもリムル男だし!!
「先生、考え方が古いのね?今時男同士で付き合うなんてフツーよフツー」
アリス、多分それ偏った思考……。
「…勘違いされたくないんだろ?ならとっとと……いや!このまま続けろセンヤ!!」
リムルも何言ってんだよ!!
『ふゔゔゔゔゔ……』
一日の仕事が終わり、飯も食い、今は風呂場。俺とリムルの声がすっごい響く。
ちなみに子供達は大浴場で入浴している。なんか罪悪感感じるな…。
「こーんなことしてるから、恋人に間違えられるんじゃねーの?」
んー?…いやいや、風呂一緒に入るとか普通だろ普通。
「前世でも一緒に入る奴とかいたし」
「…流石に男だよな?」
そうに決まってんだろ!?
…そういや、仲いい奴で一人だけ、緒に入らなかった奴がいたな。
「…?どんな奴なんだ?」
「お前と同じくらいとか…どんなバケモンだよそいつ」
転生前だし、中学ん時の話だからまだ普通だったが?
「寝泊まりはやってたのに、風呂はだめだったんだよなー、なんでだ?」
「…もしや、そいつ………」
…?なんか思い当たる節が?
「…なんでもねーよ、このタラシめ」
なんで急にディスったん!?
─Side ???─
……あ?ここは…。
俺は確か…いや、何故生きてる?
俺はあの時、確かにごじょ「えー!?なんでウチ、こんな所にいるの!?」…あ?
「そう言うなよキララ、何か意味ありげだしさ」
「あ?なんでこんな人沢山いるんだよ?」
「…おお、召喚されたか。勇者達よ」
…勇者?
なんやかんや(ツンツン髪の男が近くにいた奴らを殴り殺し)あり、その間に何故ここに居るかを説明された。
俺達は…つまり、別の世界から召喚されたらしい。その目的は勇者、もとい戦略兵器を確保するため…そんな感じか。
んで、異世界人はここの奴らと違って特別な力…ユニークスキルとやらを持っているらしい。
俺には無いがな。
「そして、そんな力を持っているお前達を野放しにはできない。儂に逆らえないように呪詛をしこんでおる」
俺以外の三人がギャーギャー喚く。…これだから学のないガキは…。
「…貴様は、不満は無いのか?」
…あ?俺?
「言っても聞かねえだろ。…ま、美味い飯でも出てきてくれりゃあ文句はねえ」
「…そうか、自分の立場をよく分かっているようだな」
呪詛なんざ俺には効かないし、どうやらこいつはそれに気が付いていないようだ。何かしらのタイミングで逃げ出すのも苦ではない。
それまでのらりくらり「おい、オッサン。あんたのスキルはなんだよ」…あ?
「どうせウチらよりも弱っちいスキルなんでしょ?だって、魔素ないんだもんね!」
あー、めんっどくせ…。
「んだよ、えーと……バカ女」
バカっぽい発言が鼻につくから。
「バカ…っ!?てめえ!死にてえのかよ!!」
「だからやめなってキララ。…まあ、急にそんな事を言うそっちの男にも非はあるけど」
「相手にすんじゃねえ。俺達とは年も離れたオッサンだぞ」
そうだよ。俺ぁガキとつるむ趣味はねえんだ。
美味い飯が食えればいい。そう思いながら街を歩き回ってみたが…。
「…どこもかしこもクソマズい飯しかない…。流石にゲロよかましだが…」
…こりゃあ、とっととずらかるのが吉だろうな。
ギィがコピーできなかった理由として、呪縛者、それと呪力と魔素の関係に原因があります。
呪縛者によって、センヤのスキルをコピーした場合、どうあがいても呪力でしか動かなくなるので、最適化などもできなくなります。
ユニークスキルのくせに、やっぱこいつおかしいって…。
…最後の?さて、なんのことやら…。
それと勝手ながら、この後のプロット見直そうと思っているので、次回の投稿がかなり遅くなります。
毎日楽しみにしてくれている皆さん、申し訳ございません。
幕間にする程長くないけど、じゅじゅコラムに載せると長くなっちゃう話、どうする?
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纏めて幕間
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長くていいからじゅじゅコラム
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知らんわカス(作者の好きにしていーよ♡)