僕のヒーローアカデミア ヒノカミ英雄譚   作:枝那

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鬼滅の映画を見てきて熱が再燃したので前々から考えていたのを書いてみました。
縁壱の作品増えろ増えろ…


第1話 プロローグ 

中国慶慶市。発光する赤子が誕生。

 

それ以降、世界中で異能を操る人々が確認された。

 

いつしか「超常」は「日常」へ。

 

世界は、人口の約8割が何らかの特異体質…“個性”を持つ超人社会へと変化していった。

 

だが、“個性”は必ずしも正義の為に使われるわけではない。

 

“個性”を犯罪に悪用する(ヴィラン)。そして、その脅威から人々を守るヒーローが脚光を浴びていった。

 

 

―――これは、そんな世界の理から外れた少年が、ヒーローになるまでの物語だ。

 

◇◇◇◇◇

 

朝の訪れを告げるように、小鳥がチュンチュンと囀る。

 

「起きろ、みんな」

 

顔に赤い痣のある少年が惰眠を貪っている子供たちに起床を促す。

 

「う〜ん、あと5分…いや10分…」

 

「むにゃむにゃ……」

 

「早く起きないと朝ごはんが冷めるぞ。顔を洗ってきなさい。雷人、服が乱れてるぞ。直すからこっちに来なさい」

 

「うん……」

 

この部屋の中で最年少の子の服を直しながら、少年はしっかり者の少女に声をかける。

 

「遥花、みんなを洗面所に連れて行ってくれ。俺は他の部屋の子を起こしに行く」

 

「分かった、おにい。ほら、みんな行くわよ」

 

『はぁーい』

 

他の部屋の子供たちも起こしに行った後、みんなを連れて食堂に行く。食堂には優しい出汁の香りが充満していて、それが空っぽの胃袋を刺激する。

 

「おはよう、みんな」

 

「おはようございます、佐藤さん」

 

「お腹空いたぁ」

「今日の朝ごはんなーにー?」

「良い匂い…」

 

食堂の料理長と朝の挨拶を交わす。次第に他の部屋の子も集まり席につく。全員が席についたのを確認すると、少年は手を合わせる。他の子供たちもそれに合わせて手を合わせる。

 

「みんな、手を合わせて。いただきます」

 

『いただきます!!』

 

口を揃えて元気に言った後、みんな朝食を食べ始めた。子供らしい、実に気持ちのいい食べっぷりだ。

 

 

ここは児童養護施設ウィステリア。様々な理由から身寄りを失った子供たちを集め、育てる孤児院である。そして少年の名は火神(かがみ)縁壱(よりいち)。現在14歳。ウィステリアの最年長であり、みんなにとって兄のような存在だ。

 

 

「ごちそうさまでした」

 

朝食を食べ終わったら、今度は洗面所に行き歯を磨く。しっかりと磨いた後は、服を着替えて学校に行く準備をする。

 

忘れ物が無いか確認し、子供たちを見送った後、縁壱も扉を出る。

 

「行ってらっしゃい。縁壱」

 

「行ってきます。所長」

 

ウィステリアの所長に見送られ、通学路を歩く。歩いている彼に、背後から近づいてくる気配が。

 

「おはよー縁壱!」

 

「おはよう、一佳」

 

バンッ、と勢いよく彼の背中を叩くオレンジ色の髪の少女。彼女の名は拳藤一佳。彼女と縁壱はいわゆる幼馴染であり、小学生の頃から交流がある。一佳は縁壱の隣に立ち、並んで歩く。

 

「ねぇねぇ、昨日の特番観た?」

 

「ああ。子ども達と一緒に観た」

 

「やっぱりすごかったよね!個性無しのガチンコファイト!」

 

「そうだな。手に汗握る、素晴らしい戦いだった」

 

友人と他愛ない会話をしながら通学路を歩く。

 

施設の子ども達と食卓を囲み、一緒にテレビを観たり遊んだりする。

 

同じ境遇を持つ子らと助け合い、時には心優しい大人たちに助けられながら日々を送っていく。

 

穏やかで、とても暖かい日常だ。自分にはもったいないくらい。

 

 

こんな幸福がいつまでも続くと思っていた。

 

 

「えー、みんなももうすぐ3年ということで、少し早いですが、進路希望調査を行おうと思います。と言っても…」

 

 

「みんな大体ヒーロー科志望ですよね」

 

担任の先生の言葉を皮切りに、その教室の生徒たちは一斉に個性を使う。

 

「うんうん。良い個性ですね。でも校内では原則個性使用禁止ですからね」

 

生徒の個性使用を軽く窘め、先生は話を続ける。

 

「自分の将来に関わる重要なことです。『まだ大丈夫』なんて軽い気持ちで決めちゃだめですよ。先生も相談に乗りますから、遠慮なく来てくださいね」

 

『はーい』

 

「それでは、HRを終わります。宇月さん、号令お願いします」

 

 

朝のHRが終わり、授業が開始した。そして4限目の授業も終わり、昼休みに入った。

昼食に持ってきた弁当を食べていると、一佳が縁壱の机に来る。

 

「縁壱、一緒に食べよう!」

 

「いいぞ」

 

「よし、椅子持ってくる!」

 

1つの机を共有し、向かい合わせになって昼食をとる。周りの男子から嫉妬の目が向けられるが、2人はそんなこと露知らず。

 

「なあ、進路どこにするか決めた?」

 

「いや、まだだ。近くの高校にしようと思っているが。そういう一佳は…雄英か」

 

「うん!ヒーロー科」

 

雄英高校。ヒーロー養成科を有する国立校である。その偏差値は79を誇り、毎年高い倍率を叩き出すマンモス校。ヒーローランキング上位に名を連ねる者たちは大抵が雄英出身である。

 

「一佳なら問題なく受かるだろう。応援している」

 

「縁壱は雄英受けないの?」

 

「…普通科なら受けてみようと思うが、ヒーロー科は受けるつもりはないな」

 

「やっぱそっか。もったいないなー、縁壱なら絶対凄いヒーローになれるのに」

 

「過大評価だよ、一佳。俺はそう大した存在ではない。」

 

「もう。いっつもそれ。謙遜も過ぎたら嫌味だぞ?」

 

彼の自己肯定感の低さに、一佳は頭を抱える。

 

実際のところ、一佳は火神縁壱がヒーローにふさわしい人物だと考えている。もしかしたら、No1ヒーロー、オールマイトにも並ぶようなヒーローになるかもしれないと。しかし、争いごとを好まず、悪人であっても誰かを傷つける行為に不快感を覚える彼の生来の気質から、彼がヒーローになる道を選ぶことはないという確信も同時にあった。

 

だが、頭では分かっていても、やはり納得できないものだ。彼ほどの強さを持つ人間がヒーローにならないのはたまらなく悔しい。彼女は不貞腐れる。

 

「…そうだ!今日も()()の訓練に付き合ってくれるよな?」

 

「いや、今日はスーパーの特売があるんだ。遠くにあるから、今日は付き合えない。申し訳ない」

 

「そっかー…まぁいっか。訓練は別の日でもできるし」

 

やがて昼休みは終了し、午後の授業が始まった。

 

そして放課後、彼は隣町のスーパーまで目にも止まらぬスピードで駆ける。その途中、個性を使用していると思われ警察に引き留められてしまい、思わぬタイムロスを食らってしまった。

 




児童養護施設ウィステリア→藤を英語にするとウィステリアになる
縁壱の苗字:ヒノカミ→日の神→火の神→火神

ちなみに縁壱は別に転生したとかではないです。
純粋にヒロアカ世界に生まれただけのただの人類のバグです。
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