僕のヒーローアカデミア ヒノカミ英雄譚   作:枝那

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ほんっとうに遅れて申し訳ありませんでした……!!
プライベートが忙しく、小説に割く時間があまり取れませんでした。
これからはなんとか投稿ペースを上げていきますので、何卒ご容赦ください。


第14話 特訓、そして開幕

「と、こんな感じだろうか」

 

戦いが終わり、縁壱は観客たちに呼びかける。皆に衝撃を与えたあのド派手な戦いを見せた二人はケロっとした表情をしている。

 

さっきの戦いの衝撃が抜け切らない観客たちは、プルプルと小刻みに身体を震わせていて。

 

「…す」

 

「「す?」」

 

「すげぇぇえええ!!!」

 

その歓声と同時に、体育館が一斉にワァっと沸き立つ。

 

「やべぇ!アレが呼吸の力なのかよ?!」

 

「プロ級じゃん!」

 

「これが『全集中の呼吸』…火神くんを見ていたから少しはその力を把握していたと思っていたけど、改めて戦いを見てみると全然違うな。生まれつき呼吸が使える火神くんはもとより、拳藤さんも凄まじい練度だ。やっぱり鍛えた年数が違うのかな?呼吸の力だけでこんなに強くなれるなんてヒーロー社会に革命が起きるぞ……」ブツブツブツブツ・・・

 

呼吸の力を改めて目に焼き付けた皆はさながら小鳥の群れのように感想を自由に言い放つ。縁壱は人差し指を口の前に置く仕草をする。それを見てさっきまでの興奮冷めやらぬといった様子からは一転、スン…と一瞬で静かになった。

 

「呼吸の力を分かってもらえただろうし、今から呼吸を皆に教えよう」

 

皆その言葉を聞いて興奮と期待感が抑えられないが、縁壱はとは言え、と続ける。

 

「一朝一夕で身につけることのできるものではないことは留意してくれ。何事も、地道にやるほかない」

 

縁壱の忠告に落胆するどころか、俄然やる気を出す。

 

「では、早速始めるとしよう」

 

 

「まずは、呼吸の仕組みについて理解してもらう。体の動きや仕組みを理解しているのとしていないのとでは練度が大きく違う」

 

皆は一言一句聞き逃さないよう耳を傾ける。

 

「第一に、全集中の呼吸を身に着けるには強靭な心肺が必要だ。一度に大量の酸素を血中に取り込むことで血管や筋肉が反応し、飛躍的に身体能力を向上させることが出来る」

 

呼吸の概要については皆も知っていたので、そこまで驚きはない。

 

「そうは言っても、ただ話を聞いただけではピンと来ないだろう。だから、俺が一人一人見て教える。一佳にも手伝ってもらう」

 

僅かにどよめく。彼が一人一人指導するというのは呼吸の力を習得する上で効果的ではあるだろうが、効率的とは言えない。その様子を見た一佳があぁ、と納得したように。

 

「そんなに心配しなくてもいいぞ。こいつびっくりするくらい教えるの上手いから」

 

この訓練は縁壱がマンツーマンで教えていくという運びになった。縁壱は一人ずつ見て、それぞれに合わせて呼吸の仕方を教える。

 

「お前にはこういう型が合っているだろう。試してみてくれ」

 

「スゥーー…ハァーー……こんな感じ?」

 

「その調子だ。それで徐々に時間を伸ばしていくんだ」

 

一佳の言っていた通り、縁壱の指導は簡潔ながらとても分かりやすく、皆が呼吸のコツを掴むのにそう時間はかからなかった。

 

縁壱が言うには、現在皆が習っているのは今の未成熟な身体に合わせた()()もので、全集中の呼吸と呼ぶには至らないものだそうだ。これから肉体を鍛え上げていって、徐々にその呼吸の練度を高めていく。彼の言っていた通り、地道に努力するしかないのだ。

 

呼吸の基礎を覚えた後は、体力増強のトレーニングと縁壱が個性を用いた戦い方を教えることになった。

 

「火神」

 

「尾白か。どうした」

 

「俺と組手をしてくれないか?お前と戦ってみたら、何か掴める気がするんだ」

 

「あぁ。構わない」

 

尾白が縁壱に組手を申し込んだ。彼の“個性”は『尻尾』。肉弾戦で輝く個性であり、また本人も武術に長けているため、さっきの二人の戦いは刺激となった。

 

「どうだ?何か参考になったか?」

 

「……」

 

数分程度の組手を終えると、尾白はさっきから感じていた違和感の正体に気付き始めた。

 

「やっぱり……戦ってみて思ったけど、火神って速いのはそうなんだけどそれだけじゃない気がする…まるで俺の動きが最初から分かっているみたいな……」

 

その違和感は他の者も感じていて、確かにと心の中で頷いている。尾白の言葉を聞いて縁壱は口を開く。

 

「打ち込んでくる前に肺が大きく動く。骨の向きや筋肉の収縮・血の流れをよく見ればいいんだ」

 

聞いていた全員がその言葉の意味を理解するのに暫くかかった。いち早くその衝撃から抜け出した者が戸惑いながら聞く。

 

「えっと…つまり火神くんは、人の身体が透けて見えるってこと?」

 

「ああ。俺は生まれつき生物の体が透けて見えるんだ」

 

またもや言葉を失う。

A組の生徒たちは今まで散々彼の非常識っぷりを見て来た。全員が彼の強さを理解した気でいた。

 

だが違った。

 

生まれつきの特別な視覚。それに即応できる身体能力。縁壱との距離は想像している以上に遥か先だった。

 

皆が唖然として沈黙している中、その静寂を破って峰田がなにやら興奮した様子で縁壱に尋ねる。

 

「な、なぁ火神……お前のその体内が透けて見えるやつって…服の下も見えるのか…?」

 

「……?何故そんなことを聞く?」

 

「いいから答えてくれ…!回答次第では……ブハァ!!」

 

あの縁壱が困惑するレベルのとてつもない剣幕で問い詰める峰田が突然吹き飛ばされる。吹き飛ばしたのは蛙吹だ。彼女の長い舌にビンタされた峰田は、空中で3回半綺麗に回転した後地面に力無く落ちた。世界を狙える回転だ。

 

「律儀に答えなくていいのよ火神ちゃん」

 

「そうか……」

 

気絶した峰田を回収する。

 

「あの身体能力に加えて透視能力もあるのか…相変わらず凄まじいな火神くんは」

 

「道理で強いはずだぜ…」

 

「チートにもほどがあるでしょ」

 

さっきまでの沈黙はどこへ行ったのか、さっきまでの張り詰めた空気が緩む。

 

「さて、もう時間だ。そろそろ訓練を終えよう」

 

「えー?もうそんな時間?」

 

窓から外を見ると、空はもう赤く色づいている。物足りなくはあるが、そろそろお開きだ。

 

「最後に、これだけは覚えておいてくれ」

 

下校の準備を始めている者たちに向けて、縁壱は最後に言葉を告げる。

 

「道を極めた者が辿り着く場所は()()()()()()

 

その漠然とした言葉に首をかしげる。

 

「時代が変わろうとも、そこに至るまでの道のりが違おうとも、()()()()()()()()()()()

 

抽象的で、要領を得ない言葉だ。だが、その言葉がやけに脳に焼き付いて離れなかった。

 

◇◇◇

 

2週間はあっという間に過ぎていき、体育祭当日。

 

例年よりも厳重な警備で開催され、全国からプロヒーローとメディアが集まっている。

 

ステージは1年、2年、3年と学年ごとに分かれているが、今年は特に1年が大きな注目を集めている。

 

それもそのはずだ。なぜならば。

 

今年は『彼ら』がいる。

 

 

『雄英体育祭!!ヒーローの卵たちが我こそはとシノギを削る年に一度の大バトル!!』

 

熱気に包まれたスタジアムで、放送席からプレゼントマイクが観客たちに向けて声を張り上げる。

 

『どうせてめーらアレだろこいつらだろ!⁉敵の襲撃を受けたにも拘らず鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!!』

 

待合室からぞろぞろと軍隊のように生徒たちが集まる。だが、観客たちの視線は一点に集中していた。

 

ヒーロー科!!1年!!!A組だろぉぉぉ!⁉

 

闘志に満ちた眼差しで、フィールドを一歩一歩力強く踏みしめていく。

 

全国から注目を集めるビッグイベント。熾烈を極める雄英体育祭が、今始まる。




戴冠戦のギル様マジでかっこよすぎません?
アズライールといいなんで実装しないんでしょうね。
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