僕のヒーローアカデミア ヒノカミ英雄譚   作:枝那

3 / 28
ここら辺はサクサク行きますよ。


第3話 入試①

雄英高校ヒーロー科

そこはプロに必須の資格取得を目的とする養成校。

全国同科中最も人気で最も難しく、その倍率は例年300を超える。

 

 

2月26日

縁壱と一佳はこの日に備え、約1年もの間互いに高め合った。

 

そして今日この日、2人は雄英高校の校門の前に立っている。

 

「はー………」

 

「大きいな」

 

バリアフリーというやつだろう。その大きさに一佳は圧倒され、縁壱は呑気に感想を口にする。とてもこの後すぐに人生を左右する入試が始まる者とは思えない。

 

校門をくぐり並びながら歩いていると、

 

「どけデク!!」

 

「かっちゃん!!」

 

怒号が聞こえる。その声が聞こえた方に目を向けると、目つきの悪い少年が、緑髪の地味な少年を怒鳴り散らしていた。

 

「あ、アイツ爆豪だよ。ヘドロの」

 

「あぁ、1年前のニュースの」

 

ヘドロの個性を持つ敵が少年を襲うという事件が報道された。その敵はオールマイトによって退治された。そしてその襲われた少年が、さっき怒号を放っていた爆豪勝己だ。弱冠14歳の少年が、敵相手にあそこまで持ちこたえたのは賞賛されるべきことで、将来有望なヒーロー志望として話題になっていた。

 

「感じ悪いなぁー。さっさと行こ」

 

そんなことを言いながら、2人は校舎に入る。

 

 

「今日は俺のライヴにようこそー!!!エヴィバディヘイセイ!!!」

 

シーーーン……

 

「こいつあシヴィーーー!!!受験生のリスナー!実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!!アーユーレディ!?YEAHH」

 

沈黙が痛い。

 

入試の説明をしているのはボイスヒーロー・プレゼントマイク。雄英高校の講師は皆プロのヒーローである。

 

レスポンスが返ってこなくても、彼はそのまま次の説明に入る。鋼のメンタルだ。

 

「入試要項通り!リスナーにはこの後!10分間の『模擬市街地演習』を行ってもらうぜ!!持ち込みは自由!プレゼン後は各自指定の演習会場へ向かってくれよな!」

 

「演習場には“仮想敵”を()()・多数配置してありそれぞれの『攻略難易度』に応じてポイントを設けてある!!各々なりの“個性”で仮想敵”を()()()()にしポイントを稼ぐのが君達(リスナー)の目的だ!!」

 

「もちろん他人への攻撃等アンチヒーローな行為はご法度だぜ!?」

 

基本的なことを説明すると、眼鏡をかけた真面目そうな生徒が立ち上がる。

 

「質問よろしいでしょうか?プリントには()()の敵が記載されております!誤載であれば日本最高峰たる雄英において恥ずべき痴態!!我々受験者は規範となるヒーローのご指導を求めてこの場に座しているのです!」

 

プレゼントマイクの説明とプリントの矛盾点を挙げた後、彼はさっき爆豪に怒鳴られてた緑髪の少年の方を向く。

 

「ついでにそこの縮毛の君」

 

「⁉」

 

「先程からボソボソと…気が散る!!物見遊山のつもりなら即刻雄英(ここ)から去りたまえ!」

 

「すみません…」

 

苛立った表情で言われ、少年は完全に萎縮してしまった。周りの生徒もその様子を見てクスクスと笑っている。

 

プレゼントマイクは眼鏡の彼からの質問に答える。

 

「オーケーオーケー、受験番号71くん。ナイスなお便りサンキューな!四種目の敵は0P!そいつは言わば()()()()!各会場に一体!所狭しと大暴れしている『ギミック』よ!」

 

「なるほどね、倒す必要はない感じか…」

「とは言え、これを避けながらポイント取るのは一筋縄ではいかなそうだ」

 

少年は疑問が解けたのか、礼をしながら着席する。生真面目な性格なのだろう。

 

「俺からは以上だ!最後にリスナーへ我が校“校訓”をプレゼントしよう」

 

「かの英雄ナポレオン=ボナパルトは言った!『真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者』と!」

 

 

 

Plus Ultra(更に向こうへ)”!!!

 

 

 

「それでは皆良い受難を!!」

 

 

「でけー」

「もう街じゃん」

「こんなのが敷地内にいくつもあんの?すげーな雄英」

 

他の受験生たちは雄英の規格外さに圧倒されている。試験の開始に備えて静かに立っている。

自分の個性に合わせた装備をして自信がある者もいるが、やはり緊張している者も多い。

 

気持ちの整理もついておらず、試験開始はまだかと身体を強張らせている者もいる中で、

 

『はいスタートー!』

 

覇気のない、あまりに自然に試験開始の合図が出た。

 

その合図を聞いた瞬間、縁壱は走り出す。

 

『どうしたあ!?実戦じゃカウントなんざねぇんだよ!!走れ走れぇ!!賽は投げられてんぞ!!?』

 

他の者もようやく先ほどの言葉の意味を理解し、彼に続いて一斉に走り出した。

 

 

『標的捕捉!!』

 

縁壱が街中を走っていると、路地裏からロボットが飛び出して来た。敵を捉えた彼は、鞘から刀を抜き、その黒い刀身を露出させる。

 

ゴォォオオオオーーーッ!!

 

力強い呼吸音が轟く。

 

日の呼吸

 

『ブッコ─』

 

円舞

 

柄を両手で持ち、弧を描くようにして振り下ろす。その黒曜石のような刀身は紅く輝き、ロボットの首を刈り取る。その姿はまさに燃え盛る太陽の如し。

 

続いて、今度は2体の仮想敵が同時に出現した。1Pと2Pだ。

 

『『標テ』』

 

日の呼吸 烈日紅鏡

 

目にも止まらぬ速度で、左右に水平斬りを放つ。ロボットたちは二の句を継ぐことができないまま無残に破壊されてしまった。

 

 

これが彼の“力”だ。

彼は呼吸という、誰もが当たり前に行っているものの方式が生まれつき他人とは異なっている。その呼吸によって、身体能力を劇的に飛躍させ、常人離れした力を発揮することができる。

 

 

呼吸の力がこの試験でも通用することが分かり、縁壱は更にギアを上げていく。

 

彼はその身体能力を以てフィールドを縦横無尽に駆け巡りながら、仮想敵を的確に切り伏せていく。

 

その中で、

 

「きゃあ!!」

 

「!!」

 

誰かの悲鳴。周囲の戦闘音にかき消されて普通なら聞き落としてしまうそれを、彼は逃さなかった。

 

その音が聞こえた方を見ると、尻もちをついた少女にロボットが今まさに襲いかかろうとしている。

 

ここにいる者は皆ヒーロー志望。多少の怪我は承知の上だ。加えて、合格というトロフィーを奪い合うライバルでもある。他の受験生を助けることにメリットはない。

 

皆自分の試験に精一杯で他者を助けられる余裕はない。しかし、彼は──

 

ビュン!!

 

──目の前にある助けを必要とする存在を取りこぼさない。

 

彼は自分の刀を躊躇なくロボットに向けて投擲する。流星の如く放たれた黒刀はロボットの頭部を破壊した後、貫通し、勢いよく壁に突き刺さる。

 

「は?え?」

 

目の前でロボットが突然鉄くずと化したことに、彼女は混乱する。

 

「無事か?」

 

「あ、うん、大丈夫………」

 

「足を傷めているな。無理をせず休んだ方がいい」

 

「へ、平気!これくらいなら」

 

「そうか。健闘を祈る。では」

 

そう言い残し、彼は文字通り目の前から消えた。残された彼女は、あまりの急な出来事に夢でも見ていたのではないかと、頬をつねった。

 

 

残り6分。火神縁壱の現ポイント、63P。




ポイント盛りすぎた気しなくもないですがまあ縁壱ですし………

2025/8/10 呼吸の音を書き足しました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。