僕のヒーローアカデミア ヒノカミ英雄譚   作:枝那

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ちょっとした裏側です。


第6話_Another

【爆発少年のこれから】

 

少年は自分のことを『特別な人間』だと思っていた。

 

『爆破』という恵まれた“個性”を持ち、周囲の人間から囃し立てられてきた。

 

自分だけが凄くて、自分以外は凄くない。

 

自分以外の『凄くない』人間の中で、最も凄くないのが幼馴染の緑谷出久だった。

彼は個性を持たない無個性だった。爆豪勝己にとって道端に転がる石に過ぎなかった。

爆豪は何かにつけて緑谷のことをあげつらい、優越感に浸っていた。

 

だというのに―――

 

『大丈夫?たてる?』

 

緑谷は爆豪を助けた。今まで見下していた人間が、自分に手を差し伸べた。

 

自分を顧みず他者を助けるその姿が、爆豪にはとても不気味に映った。

だからいじめた。緑谷出久を遠ざけるように。

 

成長するにつれて、彼のプライドは膨れ上がっていった。

 

やがて雄英高校に入学し、これからNo.1ヒーローへの出世街道が始まる。

同じ学校に通うクラスメイトも、自分の人生を飾り立てるためのモブでしかなく、自分を阻む者は誰一人として存在しない。そう思っていた。

 

何の間違いか、無個性の出久も雄英に受かっていた。挙句の果てに……

 

『SMASH!!』

 

“無個性”であったはずの彼は、“個性”を使っていた。

 

『なぜ?』『ありえない』『あいつは自分より下のはず』…そんな考えが、頭の中を錯綜していった。

 

その上。

 

『火神が今年の首席合格者だ』

 

モブでしかないと思っていた人間は、自分の遥か上にいる存在だった。

 

衝撃の連続だった。

 

そしてその折り重なった衝撃は、彼の肥大化したプライドを容易に粉砕した。

 

 

帰宅後、彼は自室のベッドの上に転がっていた。どうやって帰ったかも覚えていない。爆豪の頭の中を占領していたのは、緑谷出久と、火神縁壱の姿。2人の顔が頭の中に生まれては消えていく。

 

「ふざっけんな……!!」

 

自然と、涙がこぼれる。

 

「こっからだ……!!」

 

彼のプライドが粉々にされてもなお、

 

「俺は()()()()…一番になってやる……!!」

 

彼の心は折れていなかった。

 

改めて、決意を固める。首席合格者(火神縁壱)も、憧れ(オールマイト)も超えるヒーローになると、今一度胸に刻み込んだ。

 

◇◇◇◇◇

 

【首席合格の裏側で】

 

―――個性把握テスト終了後、職員室。

 

「以上が、A組の生徒の成績になります」

 

相澤は他の教員ヒーローに今回のテストの結果を共有していた。

 

「全く、入学式にも参加させないなんて…」

 

「まぁまぁ、先輩がこうなのは今に始まったことじゃないでしょう」

 

相澤の行動を非難する声が上がるが、それを宇宙服のようなコスチュームを着たヒーローがたしなめる。

 

「それで、どうなんだい?()は?」

 

「…やはり、異常と言わざるを得ません」

 

校長が相澤に火神縁壱について聞く。

 

「テストの時あいつを視ましたが、身体能力は変わらずでした」

 

「素でオールマイトに匹敵するということか」

 

「あいつが競技に取り組むとき、呼吸の音が聞こえました。恐らくあれに種があるのでしょう」

 

雄英教師陣には一つの懸念があった。

それは、火神縁壱が複数の個性を持っているのではということだ。

 

他者から個性を奪い、他者に個性を与えることのできる“個性”。教師たちには心当たりがあった。

 

かつて、“個性”という異能が発現し、社会が混乱の最中にあった超常黎明期。

その時代に『魔王』として君臨した敵。

火神縁壱はその手の者ではないかという懸念だった。

 

校長は、その『魔王』についてよく知るオールマイトに聞く。

 

「どう考える?オールマイト」

 

「…校長、私は奴がこんな目立つことをするとは思えません。もし仮に奴が生き延び、間者として雄英に生徒を送り込むとしても、あからさまに疑われるような個性を与えるとは考えにくい」

 

「それもそうだね」

 

校長はオールマイトの言葉に納得する。奴と直接相対した彼が言うのだから、説得力はある。職員室の張り詰めた空気がほどける。

 

火神縁壱が敵ではないこと。これ以上生徒を疑わなくてよいことに安堵の声が漏れる。

 

そんな緩んだ空気の中、校長は「だが」と続けて、

 

「引き続き注意はしよう。彼が敵じゃないとしても、あの力の秘密を解明しようとし、あわよくば利用しようとする輩が出てくるかもしれない。彼だけじゃない。生徒たちは絶対に守らなければならない」

 

『了解』

 

ひとまず、火神縁壱への疑惑は晴らされた。

 




かっちゃんの内面を書くの凄い苦労しました………
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