僕のヒーローアカデミア ヒノカミ英雄譚   作:枝那

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ワイルドハントイベント・アリウス編開始
………相変わらずミニの情報量じゃなさすぎる


ちょっとリアルの方が立て込んでまして遅れてしまいました。すみません。


第7話 首席、その実力

入学2日目。

 

午前は必修科目・英語等の普通の授業を行う。

 

現在A組はプレゼントマイクによる英語の授業を受けている。

 

「んじゃ次の英文のうち間違っているのは?おらエヴィバディヘンズアップ盛り上がれー!!!」

 

(普通だ)

(普通だ)

(くそつまんね)

(関係詞の場所が違うから…4番!)

 

 

昼は大食堂で一流の料理を安価で頂ける。

 

「んん〜〜〜!!美味しいぃ〜〜〜!!」

 

縁壱は一佳と一緒に食堂で昼食をとっている。彼女が食べているのは中華丼だ。学生食堂で提供される料理とは思えないクオリティに悶絶している。クックヒーロー・ランチラッシュの腕前に感服せざるを得ない。

 

「縁壱も食べてみなよ!」

 

そう言って隣の縁壱にレンゲを差し出す。彼は特に遠慮する素振りを見せず、それをパクリと口にする。

 

「…美味しいな」

 

「でしょ!!……どうしたんだよ、みんな?」

 

「イエ、ナニモ」

「アレで無自覚ノコ……?」

(ナチュラルに間接キス……!!)

 

一佳についてきたB組の女子たちが信じられない物を見るような目で2人を見ている。そんな彼女らの反応の理由が分からず、2人は首をかしげるばかり。たまたまその様子を見ていたブドウのような頭の生徒は血涙を流していた。

 

ちなみに、縁壱が食べていたのは山かけうどんである。

 

 

そして、午後の授業がヒーロー基礎学である。

 

「わーたーしーがー!!」

 

「来っ」

 

「普通にドアから来た!!」

 

No.1ヒーロー・オールマイトがハイテンションに笑いながら教室へと入って来た。

 

「オールマイトだ…!!すげえや本当に先生やってるんだな…!!!」

銀時代(シルバーエイジ)のコスチュームだ………!」

「画風違いすぎて鳥肌が…」

 

生で見るトップヒーローに皆浮足立っている。流石の縁壱もその姿を見て目を見開いている。

 

ヒーロー基礎学とはヒーローの素地を作るため様々な訓練を行う課目である。単位数も最も多い。

 

「早速だが今日はコレ!!戦闘訓練!!!」

 

「そしてそいつに伴って…こちら!!!」

 

オールマイトがそう言うと同時に、教室の壁の一部が盛り上がり棚になった。

 

「入学前に送ってもらった「個性届」と「要望」に沿ってあつらえた…戦闘服(コスチューム)!!!」

 

『おおお!!!』

 

念願叶ってコスチュームを着れることにヒーロー候補生たちのテンションは更に上がる。

 

「着替えたら順次グラウンドβに集まるんだ!!」

 

『はーい!!!』

 

 

「火神のコスチューム侍みたいだなー」

 

「特にこだわりはなかったから、デザインを会社の方に任せたらこうなった」

 

「そうなのか」

 

縁壱のコスチュームは山吹色の長着に、臙脂色の羽織だ。金髪に黒いメッシュのクラスメイトに言われたように、侍のような衣装だ。

 

「丈夫だが軽い素材を使っていて、見た目より動きやすいとある。ここまでしてもらえるとは凄いな」

 

「あれ、その耳飾りしてたっけ?それもコスチューム?」

 

金髪の少年、上鳴は見覚えのない耳飾りを指摘する。花札のような形で、日輪の模様が描かれている。

 

「ああ、これは母がくれたものだ」

 

「へぇー、かっけぇな」

 

 

「始めようか有精卵共!!!戦闘訓練のお時間だ!!!」

 

コスチュームに身を包んだ生徒たちが続々とグラウンドにやって来る。

 

「良いじゃないか皆、カッコイイぜ!!………ムム!?」

 

オールマイトはなぜだか口元を手で抑え、肩を震わせている。

全身鎧を身にまとった飯田がオールマイトに質問する。

 

「先生!ここは入試の演習場ですがまた市街地演習を行うのでしょうか!?」

 

「いいや!もう二歩先に踏み込む!屋内での()()()()訓練さ!!」

 

「敵退治は主に屋外で見られるが、統計で言えば屋内の方が凶悪敵出現率は高いんだ」

 

「監禁・軟禁・裏商売…このヒーロー飽和社会…ゲフン、真に賢しい敵は屋内(やみ)に潜む!!」

 

「君らにはこれから「敵組」と「ヒーロー組」に分かれて2対2の屋内戦を行ってもらう!!」

 

訓練の概要は分かった。しかしまだ解せないところがあるとカエルのような少女の蛙水が質問する。

 

「基礎訓練もなしに?」

 

「その基礎を知るための実践さ!ただし今度はブッ壊せばオッケーなロボじゃないのがミソだ」

 

言い終えたオールマイトに他の生徒も口々に質問する。

 

「勝敗のシステムはどうなります?」

「ブッ飛ばしてもいいんスか」

「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか………?」

「分かれるとはどのような分かれ方をすればよろしいですか?それと、2人一組だと1人余ってしまいますが」

「このマントヤバくない?」

 

「んんん〜〜〜聖徳太子ィィ!!!」

 

一部関係の無い者もいたが、一気に質問されさすがのオールマイトも右往左往する。彼はカンペを取り出して説明を続ける。

 

「いいかい!?状況設定は「敵」がアジトに「核兵器」を隠していて「ヒーロー」はそれを処理しようとしている!「ヒーロー」は制限時間以内に「敵」を捕まえるか「核兵器」を回収する事。「敵」は制限時間まで「核兵器」を守るか「ヒーロー」を捕まえる事」

 

(((設定アメリカンだな!!)))

 

「コンビ及び対戦相手はくじだ!」

 

そう言って箱を取り出す。思わず飯田がツッコむ。

 

「適当なのですか!?」

 

「プロは他事務所のヒーローと急造チームアップする事が多いしそういう事じゃないかな…」

 

「そうか…!先を見据えた計らい…失礼致しました!」

 

「そして!八百万少女の指摘通り、1人だけ余ってしまうが!」

 

オールマイトは今度は縁壱の方を指差す。急に注目された縁壱が俺?と戸惑う。

 

「全コンビの訓練が終了した後、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!つまり、2回戦うコンビが出てくるということになる」

 

オールマイトの発言にざわざわと皆が騒ぎ出す中で、八百万が再び挙手をする。

 

「理由をお聞かせ願えますでしょうか」

 

「知っての通り、火神少年は首席合格者でありその実力はプロヒーローと言っても過言ではない。正直言って、入学したばかりのひよっこたちでは勝負にならない。だが、だからと言って訓練に参加させないのはあまりにも理不尽!」

 

そこで、と続ける。

 

「テッテレー!超圧縮おーもーりー!」

 

どことなくアウトな雰囲気を漂わせながら取り出したのは無骨な輪っか。

 

「雄英と提携しているサポート会社が試作したこのアイテム!ハンデとして体重の約半分の重量を火神少年に装備してもらい、2対1で戦ってもらう!」

 

「加えて、勝利条件に敵チームの確保を必須とする!つまり、兵器を確保できても、敵を捕まえることができずに制限時間を超えたら火神少年の敗北となる!」

 

そこまで説明されたが、皆の困惑はまだ消えない。いくら縁壱が強いとはいえ、流石に不利なのではないかと心配している。

 

「まぁ、何事も百聞は一見にしかずだ!これは火神少年の実力を見るためのものでもあるからね!では早速くじを引いていこう!」

 

 

最初の訓練は緑谷・麗日のAコンビと爆豪・飯田のDコンビの対決になった。

 

爆豪は昨日の攻撃性が鳴りを潜め、飯田と共に冷静に立ち回り緑谷と麗日を追い詰めた。ヒーローコンビの敗北と思われたが、緑谷の個性を使用した奇策により一転攻勢。Aコンビの勝利となった。

 

……緑谷・麗日の作戦が後に酷評されたが。

 

 

AからJコンビが戦闘訓練を終え、遂に縁壱の出番がやって来た。

 

「どのコンビが火神くんと戦うんだろ?」

 

「またくじ?」

 

「その通り!コンビはそのままに、誰が火神少年と戦うのかはくじで決める!というわけで早速…」

 

トントン拍子で箱の中に手を突っ込む。皆どのコンビが選ばれるのかとハラハラしている。そして出たのが…

 

「Bコンビだ!!」

 

一気にざわついた。Bコンビは轟焦凍と障子目蔵の二人組。特に轟は推薦合格者の1人である。先の戦闘訓練で、半冷半燃という強力な個性で敵チームを一方的に制圧した。間違いなくこのクラスのトップにいる生徒だ。

 

対するは首席合格者であり特待生の火神縁壱。クラス最強格のマッチアップ。一体どんな戦いになるのかと胸を躍らせる生徒が多数である。

 

「轟少年と障子少年も問題ないかな?」

 

「あぁ、問題ねぇ」「俺も」

 

「今回火神少年はヒーローチームで、制限時間5分間以内に敵を捕まえるか、核兵器を確保しなければならない!覚悟はいいかな!?」

 

「えぇ、ヒーローとして恥じぬ戦いをします」

 

 

「さて、どうする?」

 

障子が轟に作戦を聞く。

入学してわずか2日だが、火神と轟、両名の規格外さは嫌というほど分かっている。

 

本気でかからなければば容易く打ちのめされるだろう。

 

轟は少しの間考えたあと、口を開いた。

 

「…まず、核兵器は氷の防壁で守る。障子は火神がビルに入ってある程度入口から離れたら教えてくれ。その瞬間一気に建物全体を凍らせる」

 

核を配置しているのは5階。凍らせることで足止めして制限時間まで粘る算段だ。

 

「なるほど。だが足止めできなかった時はどうする?」

 

「その時は俺が迎え撃つ」

 

「大丈夫か?1人で戦うのは危険じゃないか?」

 

「それより、2人で戦って全滅のパターンが最悪だろ。障子は核を見張っててくれ」

 

「了解した」

 

作戦を共有した障子は、訓練開始に向けてアップを始める。轟は窓越しに外を眺め、物思いにふけっている。

 

(火神縁壱……俺の“個性(ちから)”が雄英(ココ)でどれ程通じるのか、確かめさせてもらう)

 

 

『火神がビルに入った』

 

「了解。ある程度経ったらまた教えてくれ」

 

無線を通じて障子から連絡が来る。

轟は3階にある部屋で待ち構えており、いつ戦いが始まってもいいように準備している。

 

『轟!!今すぐ凍らせろ!!』

 

「…ッ!分かった!!」

 

焦った口調の障子から連絡がくる。その尋常ではない様子から轟は即座に個性を使用し、建物を凍結させた。

 

「なにがあった?」

 

『もの凄いスピードで部屋を走る音が聞こえた。すぐ凍らせないと足止めにならないと判断した』

 

「そうか……火神はどうなった?」

 

『…まだ足音が聞こえる。全然効いてない』

 

「だろうな。こんなものじゃ簡単に倒せないのは分かってる。手筈通り、俺が火神の相手をする」

 

『気をつけろよ』

 

ーーーーー

 

――モニタールーム

 

「轟もバケモンだけど、火神も大概チートだな…」

 

「また一瞬で終わるかと思った」

 

「まさか()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なんて…並大抵の身体能力・バランス感覚じゃできないことですわ」

 

訓練用ビルの地下にあるモニタールームで、縁壱・轟・障子以外の生徒は戦闘の様子を見学している。

 

葉隠・尾白のIコンビとの戦いを一瞬で制した轟の個性が通じなかった。改めて縁壱のその実力に感嘆せざるを得ない。

 

それはオールマイトも同じだった。

 

(ふむ……入試の時にも思ったが、彼の実力は常軌を逸しているな。もしかしたら、戦闘力なら全盛期の私と同等、いやそれ以上かもしれない。)

 

その力の持ち主が悪に堕ちなかったことに安堵しつつ、オールマイトは訓練の監督を続ける。

 

ーーーーー

 

『来るぞ。火神が3階に上がって来た』

 

「ああ、こっちも足音が聞こえる」

 

コツコツ、と足音が近づいてくるのが聞こえる。ハア、と白い息を吐きながら、轟は角で縁壱を待ち伏せている。

 

そして、

 

「ハァ!!」

 

一歩。縁壱のつま先が見えた瞬間に、彼は氷の壁を放つ。今まで彼が見せたことのない攻撃的な氷。まともに食らえばひとたまりもない。

 

「ッ、いねぇ!!」

 

当たれば、の話だが。

 

氷を出した先に彼の姿はなかった。

 

(どこへ消えた?まさかもう上へ…)

 

彼の行方を捜していると、右手首に何かが触れる。人肌ほどの温度と、長い紙のような何か。

 

「シィッ!!」

 

いつの間にか縁壱は轟の背後にいた。そして確保証明のテープを轟に巻き付けようとしていたのだ。完全に巻き付けられる前に、彼は右腕を振り払い、同時に針のように尖った氷壁を繰り出す。

 

縁壱には当たらない。彼は後ろへ跳び、躱す。

 

轟は自分の周囲に氷の防壁を作り出す。分厚く、並大抵の力では破壊できない。

 

だが、轟にはある確信があった。

 

(アイツは絶対コレを破って来る……わずかでも破壊されたら、その瞬間に大氷壁をぶちかます!!)

 

そう考えたのが運の尽きだった。

 

「は?」

 

太陽を思わせる炎が一瞬自分の視界に映ったかと思うと、気づけば轟は地面に倒れていた。そして数秒ほど遅れて、腕、腹、脚に激痛が走る。ガラガラと氷が地面に崩れ落ちる音が聞こえたのと、彼の身体がその痛みを感じたのは同時だった。

 

日の呼吸 灼骨炎陽

 

視界が暗くなり、意識が沈んでいく中で轟が最後に聞いたのはその言葉だった。

 

縁壱は気絶した轟にテープを巻き付け、彼を背負いながら上がっていく。

 

そして―――

 

「おい、どうした!?轟、返事をしろ!!」

 

5階。核を防衛している部屋で、障子は仲間の身を案じていた。

連絡が来ない。轟が負けてしまったことを把握すると、今度は自分の番だと覚悟を決める。

 

彼の個性は複製腕。触手の先端に自分の身体を複製することができる。その個性で複製した耳で、縁壱の足音に注意を払う。

 

彼が部屋に近づいてくるのを確認すると、扉の向こうでドサリと何か重いものを地面に置く音が聞こえる。

 

ギィ、と錆びついた音を響かせて、縁壱が部屋に入る。身一つで、抜き身の刀を構えている。

 

障子は限界まで精神を研ぎ澄ませ、縁壱が何をしても反応できるようにする。

 

しかし。

 

彼は目の前から煙のように消えた。それを認識し、狙いは核かと振り返った頃にはもう遅い。

 

自分の腕には確保テープが巻かれていて、核兵器を守っていた氷はバラバラに切り刻まれていた。

 

「終わりだ」

 

露出した兵器に触れる。

 

『ヒ、ヒーロー、WIN……!』

 

あまりにも圧倒的。蹂躙とすら呼べるその戦いに、観戦している生徒たちは言葉が出なかった。オールマイトも同じだったが、いち早く調子を取り戻し、訓練の終了を宣言した。




最終シーズンの主題歌担当がポルノグラフィティさんで胸アツ。



第5話を少し書き加えました。
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