いや、私は見るだけで十分だから……   作:新緑葉

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ふふふ……フォックス!!

 

「おはよ〜せんせ……まだ来てないか」

 

夜が明け、朝日が煌々と差し込むシャーレへと足を踏み入れる

 

……毎回思うんだけど、こんなに窓大きくする必要あったのかな

外からパソコンも見放題だし、狙ったりもしやすいのに

 

ブラインドを下げ、机に向かう

いつもの椅子に腰掛けて、脚を伸ばす……

 

 

 

 

 

ゴッ

 

「キャン!?」

 

ん?机の下に誰かいる?

 

まったく……こんなことをするのは……

 

 

 

 

参った……やりそうな生徒がそれなりに多い……

 

「えっと……誰か知らないけど、なんでそんな狭い所にいるの?てか鍵閉めてたはずなのにどうやって入ったのさ」

「……先生を想っていたら、気付けばここに……」

「あ〜……」

 

この声と、中々に狂った言動

 

「……なるほど。相変わらず、先生のことが大好きなんだねぇ」

「えぇ、もちろん。そして……!!」

「うわっ!?」

 

机の下の生徒に、足を掴まれ引きずり込まれる

 

狭い机の下で彼女に覆われる

 

……ワカモの顔が目と鼻の先にあった

 

「──貴方のことも、好いているのですよ?」

「遊び道具として、ね?」

「そうではないのですが、まぁ、貴方には理解できないのでしょう」

「?よく分からないけど、取り敢えず退いてくれないかな。重いとは言わないけど、動けない……仕事ができないよ」

 

いくら私が小柄でも、流石にここ(机の下)で二人は狭すぎる

 

「それでも、良いのでは?」

「はい?」

「貴方も先生も。『誰かのために身を粉にして働く』とは、美しいものかもしれませんが、些か働きすぎでは?このままでは貴方たちが先に倒れることになりますが」

 

あぁ、そういう事ね

なるほど、確かに私たちの健康状態も良いとは言えない

 

だけど

 

「……それでも、私たちがやらなきゃいけないんだ。驕ってる訳じゃないけど、力がある私や、先生が、生徒を導かなきゃなんだ」

 

それが"大人"の役割だから

 

「……私、これでも貴方に感謝しているのです」

「感謝?なんで?」

「貴方のおかげで、先生の負担も半減……いえ、それよりも減少しているでしょう。最近は顔色も少し良くなりましたし。何より、私に構う時間も増えていますから」

「……そう、役に立てたなら、よかった。……ところで、その……退いてくれない?」

「嫌です」

 

なんでよ

話終わった感じだったじゃんか

 

「何が目的?また先生の私物?あれ私が変態扱いされたからもう嫌なんだよね」

 

前手伝って貰った時の報酬に、先生の服をあげようと回収したとこ

他の生徒に見られて危うく言い触らされるところだったんだから

 

「それは申し訳ありません。ですが違います、今欲しい物は……そうですね」

 

 

 

 

 

 

「貴方の乱れた姿なn「失礼するよ、先生」……チッ、邪魔が入りましたか」

 

なんか変なこと言ってた気がするけど

てかそれよりもこの状況不味くない?

こんな姿見られたら生徒と机の下で怪しいことしてる変態としてヴァルキューレのお世話になっちゃう

……う〜ん。マトモな生徒なら、話せば分かってくれるかもしれない

 

「……おや、誰も居ないのか。話し声がしたと思ったのだが。鍵も閉めずに、不用心だな」

 

この声……セイアちゃんか

 

……セイアちゃんか〜

セイアちゃんはな〜

別にセイアちゃんがめんどくさいとかマトモじゃないとかじゃないんだけど

でもセイアちゃんはな〜

 

……てゆうか、ここ、入口から見えないのか

それだったら覗かれない限り大丈夫かな?

それなら早くセイアちゃんには帰ってほしいんだけど

 

「ふむ……仕方ない、紅茶でも淹れて待っていようか。前に一式持ってきたものがどこかにあるはず……」

 

帰ってよ

給湯室の右の棚の一番下の大きい引き出しに入ってるから、

私紅茶飲まないんだからついでに持って帰ってよ

結構大きくて邪魔なんだよ

 

「……行きましたわね」

「行ったね」

「では、こちらもイキましょうか……!」

「どこに!?」

「あるじどの!!コノミどの!!」

 

この超分かりやすい声は……

先生大好き狐っ娘が1人、イズナちゃんじゃないか!

 

イズナならまぁ、純粋だしかくれんぼしてるとでも思ってくれるでしょ

 

「イズナちゃ「シッ!」もがっ!?」

 

く、口の中がモフモフする

これは……ワカモの尻尾!?

 

「?何でしょう、何か聞こえた気が……」

 

声が出ない……

しっかり抑えつけられてるから動いて音を出すこともできないし……

 

「……気の所為だったのでしょうか?」

 

あぁ待って!行かないで!

数少ないマトモな狐枠なんだから!

 

「……あっ!そう言えば前に、コノミどのに驚かされました。今度はイズナが驚かせましょう!」

 

あ〜……イタズラなんてするんじゃなかった

驚かせる……普通に考えたら、隠れてから飛び出すとかかな?

そんなに隠れる場所ないけど

 

「むむむ……忍法!隠れ身の術!」

 

……あれ?ホントに消えた……?

 

「……成功しました!ここなら気づかれないはず……!」

 

上から声が……天井……天井裏?

……またどっか穴空けたな?さては

 

勘弁してよ、何回目なのコレ

また修理費プラス空間の埋め立て費用かかるじゃん

どうやって穴掘ってるの?

純粋に気になるんだけど、シャーレに潜む生徒たちはどうやって隠れる空間を作ってるの?

 

「……どうして、今日に限ってこんなにも邪魔が入るのでしょうか」

「……さぁ……私にとっては、厄日そのものだけど」

「もう面倒です。さっさと連れ帰るとしましょう……あぁ、忘れていました。抵抗できないように」

 

そう言ってワカモの手が私の胸元に向かって……

 

「ってちょっと待って!?なんで服脱がすの!?」

「?言ったではありませんか、『抵抗できないように』と。貴方程度の力ではびくともしませんが……こうしておけば、叫んで助けを呼ぶこともできないでしょう?」

「待って!流石にそれは……あ」

 

視界の端に誰かの足が……

見上げれば、可愛らしい縞パ……ユキノ!?

 

「何を……している?」

「あら、飼い慣らされた犬風情が何の用で?」

「ユキノ!?なんでここに!?」

「始業時間になっても連絡がないからおかしいと思ったんだ」

「連絡する約束なんてしたっけ……?」

「まさか薄汚い女狐にうつつを抜かしているとはな……コノミは返してもらうぞ」

「お断りします。先生も、コノミも、全ては私のものです」

「違うよ。強欲すぎるでしょ」

「……その手を離せ、災厄の狐」

「貴方こそ、回れ右をして帰りなさい。コノミは……」

 

はだけた私の肩辺りにワカモが口を近づけて……

ちょっ待てまさか

 

「私の獲物ですから」

「いっ……!?」

「なっ!?」

 

か……噛みやがったこの野郎!?女だけど!

 

「ッ!返せ!!」

「うわっ!?」ビリッ

「ふふ……あら?」

 

無理矢理引きずり出されて……やっと机から出られた

 

「……ユキノ、ありがとう」

「大丈夫か?怪我は……ッ!?」

 

え?なに?

急に天を仰いで……私の顔になんか付いてた?

私の……

 

「コノミ、その……せめて前は隠してくれ。あと……少し、離れてくれ……」

「……!わあぁ!?」

「くっ……ぐぬぬ……」

「ぐぬぬ……じゃないよ!ワカモが服掴んだままでユキノが引っ張ったから私の服破けたんだけど!?」

 

裸で生徒に抱きついて……

さっきより人に見られちゃいけなくなったんだけど!?

 

人に……あ

 

そう言えば、今天井に……

 

「こ、コノミどの!?どうして裸に!?どこに隠れて居たのですか!?」

「あ、イズナちゃん……これは……」

「うん?何やら騒がし……おや。コノミ、これは一体どういう状況だい?」

「セイアちゃんはさっさと帰って」

「私だけ雑じゃないか?いずれではあるが、将来の伴侶にその反応はないんじゃないか?」

「それは聞き捨てなりませんね」

「コノミはお前たちの物ではない!私……たち、FOX小隊のパートナーだ!」

「なんで言い淀んだの?ねぇ?」

「そ、その……コノミどの、お相手を探しているのなら、イズナもいいですよ……?」

「……ここにも女狐が居たか。災厄の狐、すぐに残りのFOX小隊も来る。大人しくしておけ」

「戯言を。あのような失態、二度も犯してなるものですか……!」

 

 

あ〜あ、滅茶苦茶だよ

ワカモは机の下から今にも飛びかかってきそ……きたし

ユキノは一切離してくれないし……私を挟んだまま取っ組み合わないでくれない?

イズナちゃんは顔真っ赤にしてモジモジしてる……ちょっとずつ近付いて来てるなぁ……

 

私なんかしたっけ?

悪いことはしてないと思うんだけど

こういう役回りは先生のはずなんだけどなぁ……

 

"いや〜ごめん、入り口でカホと会ったんだけど、話してたら遅れちゃって……"

「あ、先生」

"……コノミ?なんで……裸なの?"

「あはは……まぁ、ちょっとね。悪いんだけど、替えの服持って来てくれない?」

"わ、わかった"

 

……流石に裸を見られるのは、ある程度隠してても恥ずかしいな

こんな身体に、先生が惹かれるとも思ってないけど

 

「……なぁ、コノミ。破いた私が言うのもなんだが、気にしないのか?その……先生に、見られて」

「そうです。まさか恥じらいを持たないのですか?乙女としての矜持は無いのですか?」

「ちょっとは恥ずかしいけど、まぁ、どうでもいいかな。ワカモは黙って」

「えっ……」

「……第一、私には皆と違って魅力が無いし。仕事優先で可愛くなろうともしないからね。先生が、私なんかに惹かれることは無いよ」

 

私の無価値さぐらい、とっくに分かってる

ずっと言われ続けてきたから

 

「……驚きを通り越して、もはや呆れました。まさかこの期に及んでこんな……これは、クソボケとは、少し違うような……」

「……決めた。コノミが魅力的だということを、今夜『わからせる』。寝させはしない。覚悟しておけ」

「自分を卑下するのはやめたまえ。君がどう思っていようが、君に救われた者もいるのだから」

「コノミどの!イズナはずっと、ずっとずっと!お慕いしていますから!」

「な、なに?なんか皆目がちょっと怖いんだけど。ちょ、なんで無言で近付いてくるのさ!?ねぇ!?」

 





自己肯定感が低い女の子は、いくらでも甘やかしてドロドロに愛してあげていいって、ばっちゃが言ってた

そろほろ溜まった最終編のネタ書きたいなぁ……
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