「短編集」連邦捜査部シャーレの七海建人の日常   作:馬鹿め!そっちは本体だ!

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クッソ雑に扱ってくるようで、誰よりも自分のことを案じて心配して手伝ってくれるナナミンに脳を焼かれるアコはいいぞおじさん「クッソ雑に扱ってくるようで、誰よりも自分のことを案じて心配して手伝ってくれるナナミンに脳を焼かれるアコはいいぞ。」


天雨アコの場合

「先生!今日こそは私との賭けに乗ってもらいますよ!」

「結構です。賭け事はしない主義なので。」

 

右手にコイン、左手にリードのついた首輪を持ってにじり寄るアコ。

結構ですと言わんばかりに両手を前に突き出す七海。

 

風紀委員会の執務室にて2人の男女が向かい合っていた。

 

「確率は2分の1です!先生が勝って私に首輪を付けるか!私が勝って先生が私に首輪を付けるかです!さあ!」

「おひとりでどうぞ。どっちの面が出てもアコさんがご自身で、首輪を付けることになりますが。」

「どうして乗ってくれないんですか!」

「どうして乗ると思ったんですか?」

 

「以前やった時は私に首輪を付けた上に四つん這いにさせて歩かせてワンと言わせたクセにですか!?」

「付けてませんし、させてません。少なくとも私からは。あなたが勝手に自分から首輪を付けて四つん這いになってワンと言っただけでしょう。風紀委員以前に人としてどうかと思いましたが。」

「ヒトッ……!?先生は私など、ヒトですらないイヌだと申し上げているのですか!?」

 

キャンキャンと騒ぎ出すアコに七海は顔をしかめて呆れた表情を浮かべた。明らかにめんどくさがっている時の顔である。

 

「言ってませんし思ってもいません。バカなこと言ってないでさっさと業務を終わらせましょう。私はただあなたを助けるために来ただけですので。ヒトであるならちゃんと働いてください。」

「なっ……本当にあなたという人は!分かりましたよ!私は人間ですからキチンと業務をこなせます!先生こそ大人なんですから業務を早く終わらせてくださいね!それが終わったら今度こそ私のストレス発散に付き合ってもらいますからね!」

「はー……分かりました。付き合いますよ、賭け事以外でしたら。」

 

これ以上長くなって退勤が遅くなってたまるかと言わんばかりに七海はアコの横を通り過ぎて机へ向かって歩き去った。椅子に座って書類を手に取ったのを見て、アコも慌てて自分のデスクに向かい書類を仕分けだした。

 

七海はアコの奇行ゆえか、積み重なった書類を見てか、どちらか判別しがたいため息をついて2人して業務に取り掛かった。

 

 

 

 

 

 

「……先生はどうして私に愛想を尽かさずに、ここまでしてくださるのですか?」

「私は先生であなたは生徒。それ以上の理由は必要ないでしょう。」

 

しばらくして、予想以上に早く業務が終わった後、アコは机に突っ伏しながら七海に零した。

アコの問いに七海は当然と言わんばかりにコーヒーを入れながら答える。

 

「それでも、私は先生から見ても相当にめんどくさい、イヤな女じゃないですか。愚痴は言うわ、無理に迫るわで、これではどちらが不良か……」

 

とんっ

 

「あいたっ……!何するんですか先生!?」

 

七海はコーヒーの入ったマグカップをアコの机に置くと、空いた手の指でアコの額を軽く小突いた。

 

「あまり自分を卑下しないように。アコさん、確かにあなたは色々とめんどくさいですが、それでも私の大切な生徒です。大丈夫、あなたはよくやっています。イオリさんにチナツさん、ヒナさんもあなたのことを信用しているし信頼している。無論、私もです。」

「だから大丈夫です。めんどくさいと思うことはあれど、私はアコさんのことを見捨てたりなんかしませんし、愛想を尽かしたりもしませんよ。あなたは私の大切な生徒ですから。」

 

普段と同じ仏頂面のように見えて口元に笑みを浮かべて自分を見つめる七海に、アコは頬を赤らめてそっぽを向いた。

 

「……本当に、先生は狡い人です。」

 

そう零した頃には七海の姿は既になく、万魔殿の方までマコトに説教をしに向かった後であった。

 

その後、七海はもぎ取ってきたアコを含めた風紀委員会たちのための休日を手土産にアコをちょっと良い店へと連れて行った。

 

そこでもアコの分まで出した七海と、自分の分は自分で出すといったアコとの小競り合いと賭けがあったのは言うまでもない。

 

アコは再び賭けに負けたようだった。




おまけ
・マコトへの説教の様子

「マコトさん。なぜ私が来たかはお分かりですね?」
「え、えっと……あー、そ、それはだなー、えーっと……」
「以前もこちらに風紀委員会への処遇について伺いましたが……私は同じ内容で説教をするのは二度手間なので嫌いです。」
「そ、それならだな!」
「それなら、なんなんですか?」
「うっ……」

「マコト先輩。また先生に怒られてるのー?」
「そうですね。本当に毎度毎度怒られているというのに、何故ああも繰り返すんでしょうね。」

「イ、イブキ~~~~!見ないでくれ~~~~!」
「後輩にとって少しは誇れる先輩である努力を少しはなさったらどうです。」
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