「短編集」連邦捜査部シャーレの七海建人の日常 作:馬鹿め!そっちは本体だ!
ナナミンは年相応なところも含めて可愛く強く聡いアロナちゃんのことを信用しているし信頼しています。
どこぞの
ワカモは保護観察の一環として七海の家の部屋の一つで寝泊まりさせられています。
実質(ワカモにとっては)ひとつ屋根の下での同棲ですね。
AM 06:30 七海建人 アロナ 起床
「6時30分です!おはようございます、先生!」
「ん……おはようございます。」
シャーレの先生である七海建人と、その秘書(本人自称及び実質)であるアロナの朝は遅くない。
アロナによるモーニングコールより少し前に目を覚ましていた七海は、起き上がると同時に背筋を伸ばした。
「今日のスケジュールはトリニティでティーパーティの皆様との会談とアリウス復興支援の視察。午後からは山海経高級中学校、玄武商会で玄龍門との会食です!」
「急を要するメールなどは来ていますか?」
「ありません!昨日の就寝後からもメールは来ていませんでした!」
「そうですか、ありがとうございます。あなたがいると仕事がスムーズに出来て助かります。」
「えへへ~。それほどでも無いですよ~。」
七海はアロナによる業務連絡を聞くとシッテムの箱を手に取って画面の幼い少女に向かって、微笑んだ。
感謝と一緒に褒められて満更でも無いアロナを横目に七海はリビングに向かってシッテムの箱をスタンドに立て掛けた。
「身だしなみを整えてきます。それが終わったら朝ごはんにするので少し待っていてください。ワカモさんにもそう伝えるようお願いします。」
「分かりました!」
七海が洗面所に足を運んだあと、アロナはメッセージアプリを立ち上げてワカモに送るメッセージを生成した。
「えーっと……『おはようございますワカモさん!あと10分くらいで朝ごはんにするそうです!先生のお部屋のリビングまでお越しください!』っと!……わっ!もうお返しが来ました!」
『おはようございます。私も準備が出来次第お手伝いいたします。』
「ふんふふーん♪ちょっと時間がある内に今日使う書類もまとめちゃいましょう!」
「今日の朝ごはんは何だろな~♪」
アロナは鼻歌交じりに電子化された書類を手元に出現させて選別し、オフィスのプリンターに接続して印刷を開始させた。
しばらくして支度を整えた七海が洗面所から出てくるのと、ワカモがキッチンに足を運ぶのは同時だった。
「おはようございます♪あなた様♡」
「おはようございます。私は卵とベーコンを焼くので味噌汁とご飯の用意をお願いできますか?」
「お味噌汁の具材はいかがいたしましょう?」
「油揚げと大根でお願いします。冷蔵庫に切ったものがあるのでそれを使ってください。」
「かしこまりました♪」
七海は換気扇下のフックに引っ掛けられていたフライパンの内の一つを手に取って火にかけた。
鉄製のフライパンから仄かに煙が出てくると、オリーブオイルを少量引いてペーパータオルで敷き延ばした。
そこに少し厚めに切られたベーコンを加えると、脂が跳ねて焼ける音と共に朝の食欲を駆り立てる旨味の香りがリビングにもほんのりと広まった。
片面に香ばしい匂いと色の焼き色が付いたベーコンを裏返した後、七海は冷蔵庫から卵を3つ取り出して割り入れた。すると液状の白身が瞬く間に膨らんで固まり、その様子を確認した後は火の強さを少し抑え目にして蓋をして蒸し焼きにする。
ワカモは小鍋に出汁と一緒に、冷蔵庫から取り出した刻み揚げと大根を入れて火にかけた。
大根の色が透き通ってくるまでの間に、温めておいた急須に茶葉を入れてお湯を入れる。
それが終わると鍋の火を止めて、白味噌を味噌漉しで溶かし入れて味噌汁も仕上げ終えた。
炊飯器からご飯をよそって3人分の茶碗に盛り付けた後にはお茶も抽出し終えたようだった。
言葉を交わさずとも、七海もワカモも手早く丁寧に支度を終わらせており、7時を迎える頃には全ての準備が整っていた。
「お待たせしました。アロナさん、朝ごはんができましたよ。」
「ありがとうございます!わあっ♪美味しそうです~!」
ワカモはアロナの存在を視覚でも聴覚でも感知できないが、七海が穏やかな笑みを浮かべながらシッテムの箱の前に皿を掲げる様子と、それが吸い込まれるように消えて行った様子を見るとその光景を想像できるようだった。その様子もまた微笑まし気に見守る様子は子供と父親を見る母親のようであった。
「うふふ♪では……」
「いただきます!」
「「いただきます。」」
「はむっ……ん~~っ!このベーコンすごく美味しいですね!」
「本当ですね。値段以上に美味い……また今度買いましょう。色々と使えそうです。」
「あなた様、お味噌汁のお味はいかがでしょうか?水で取った昆布の出汁にかつお節と、少しの煮干しを加えてみたのですが……」
「とても美味しいです。煮干しだったんですね。」
「はい♪お気に召して頂いたようで何よりです♪」
「ええ、今日のは特に……お茶も何か変えましたか?」
「お気づきになられるなんて……嬉しい限りですわ♪その茶葉、実はトリニティの方で買いまして……」
「ふふふっ♪」
仲睦まじく話す様子の二人を見ながら微笑み、アロナはお茶を啜った。
「んっ……確かにこのお茶美味しいですね。甘いのにも合いそうです♪」