デュエルカフェの店員さん   作:盆回

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やっつけの割に結構読んでくれているし評価を貰えている……君もオレのファンになったのかな?(笑)
いやホントありがとうございます。嬉しくて小躍りしてます。


水面下

 

 

 びぴぴぴ、と無機質な機械音。

 Dゲイザーが映し出す俺の顔のモニターに、WINの三文字。

 

 

「勝っ……た?」

「負けた……だと?」

 

 

 決闘の終了によりホログラムがぱらぱらと崩れていく中、ぽかんとする俺と神代凌牙。ちょっと待てお前が驚くんじゃない、失礼だろ。自分の運命力の無さを実感してる俺はともかくとして。

 

 

 

 

 決闘をしていた当人がいまいち状況を飲み込めていない中で、ボックス席から勝負を見ていた観客がワッと声を上げた。

 

「すっげえ! あの店員さん、シャークに勝ったぜ!? めちゃくちゃ強いじゃんかよー次は俺! 俺と決闘してくれよ!」

「いいえ、次は私が。凌牙が敗北したとなれば黙っていられませんわ……!」

 

 

 その声で我に返る。

 

 

「ああと……団体のお客様であれば決闘できるのは代表者一名様のみでして」

 今の俺はカフェの店員だ。それも例の如くワンオペの。食事をしに来た相手にデュエルばかりをしていられない、もし今新しい来店があればすぐに立ち行かなくなってしまうのだから。

 

「ええっ!? ズルいぜシャーク! じゃあさじゃあさ、半額にするのはしなくていいからデュエルだけ!」

「遊馬、無理言わないの! また来た時でいいでしょ!」

 自然な流れでデートの約束!? 約束されたヒロイン仕草だ!

 

 詰め寄ってくる決闘者と自分の中の口笛を吹きたくなるミーハー心をどうどうと宥めて注文を取り、すぐさまキッチンへ引っ込んだ。

 

 

 

 

 一人になり、調理を進めながら先程の決闘を振り返る。前まで負けばかりだったのに、今回は何故勝てたのか? 運の上振れだと言えばそれまでだけれど。

 

 神代凌牙──原作キャラが、原作が終わったことによる運命力の減少でもしたのだろうか。いや、否。肌感でしかないが、きっとその逆。

 

 

 

 ──初手に引いた手札が一枚も腐らなかった。思っていた通りのコンボができた。運要素の強い戦略が通った。

 それら一つ一つは小さな要因で、個別ならば今まででも普通にあった、けれど。……その全てが組み合わさったのは、初めてである。こんなに熱い決闘も、初めて。デッキが応えてくれるとはこういうことなのかと前頭葉が熱を持つ。

 

 もしかすると俺に、デッキに愛されていないという自負があったこの俺に──運命力が巡ってきたのでは? たった一回の勝利で何を自惚れているのかと理性が囁くが、胸の高鳴りがそれを凌駕する。まるで、前世で擦り切れるほど見ていたアニメの登場人物のようだと。遊戯王の世界に生まれたと気付いた時の感情に近しいものが沸き上がって。

 

 

 

 ふふ、ふふふ、と笑いが溢れる。

 

 

 

 

「これで俺も本当の決闘者だ!!!」

 

 

 

 

──────…………

 

 

 

 一方その頃。

 

「むう。負けたのに妙に冷静ですわね? 凌牙。舐めてかかった相手に敗北しておいて悔しくないのかしら」

「負け負けうるせぇ。舐めちゃいねえし、そんなに驚いてもねえよ。……あの店員のデュエルタクティクスは前から優れてた。今までは奴の運が悪かっただけ、でもって今日たまたま噛み合ったんだろうな」

 

 デッキを仕舞い、同行者の三人が座るボックス席へと戻った凌牙の脳裏を巡るのは、今までの店員の姿。ここぞという場面でキーカードを引けなかったり、二分の一を外したり。彼には決闘者にとって必要不可欠な勝負運が決定的に足りていなかったように思う。

 

 

 ……だが今回、その運を拾い上げた相手に負けた。

 

 勝ち越していた相手に対しても、その根幹の強度は十分に理解していた。故に驕りは無かった。それでも敗北を喫した。

 元よりプレイングも知識も突出したあの店員が、幸運すら自分のものとすれば……己は以前のように安定して勝ち越すことは出来るだろうか。

 

 プライドが叫ぶ。今度は勝たなければ、と拳を握る。先ずは店員と感想戦でも──

 

 

 

『これで俺も本当の決闘者だ!!!』

 

 

 

「うおっ」

「おわあ!?」

「きゃっ!」

「……なんなんですの?」

 

 

 ──厨房から突然響いた叫び声にもれなく全員肩を跳ねさせた。……マトモな大人だと思っていたが、変人だったかもしれない。

 

 

 

 

──────…………

 

 

 

 

 誰かが囁く。

 何かが囁く。

 

 

『キサマの役目は盾。この世界は滅びの運命に在らず』

『アナタの軸は凡人。主役の運命には進めません』

 

 

 ひとつは威厳に満ちた男の声。

 ひとつは光輝に溢れた女の声。

 

 

『力無きキサマは今この時より』

『今この時から、今だけは』

 

 

 

 どこから?

 デッキの、決闘者の魂の束から。

 

 

 

『これまでの人生の』

『これからの人生の』

『全ての運命力を集約させよ』

『全ての運命力を使い果たし』

 

 

 

 

 ──終焉の王デミス。

 ──破滅の女神ルイン。

 

 

 

 

 破壊を齎す姿を模した二枚のカードは、異世界からの魂に囁く。

 

 

 

『次元の防壁となるがいい』

『世界の守護者となりなさい』

 

 

 

 




次回、黒咲兄妹来店。「アレここエクシーズ次元???」

嘘です。もう続きません。デュエル描写が1ミリも書けないからです。


精霊さん『お前凡人で運命力並だから一期間に集約して融合次元の侵略の時だけ勝てるようにするわ! それ以前とそれ以降? 知ら管』
主人公「絶許ドン千」
続きがないから思い付きでデミスとルインをぶっこみました。何も考えてない。そもそも主人公のデッキすら考えてない。
非力な私を許してくれ……
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