デュエルカフェの店員さん   作:盆回

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一気見があまりに楽しい。(面)白き盾ドルベ、ネタ抜きで好きです。ネタありだともっと好きです。ベクターは警部モードが一番好き。


然らば決闘

 

「……貴様、アカデミアの名を呼んだな? 何者だ」

 

 

 逃げなければ。

 

 頭の中にガンガンと警鐘が響く、けれど足が動かない。決して背を向けてはならないと脳味噌が騒いでいる。それは負けん気などではなく、防衛本能だ。

 もし、逃げ出せば? ……ARC-Vでの融合次元における非決闘者の扱いからして、無抵抗と見てカード化なんて未来がありありと想像出来た。

 

 

「答えないか、ならばデュエルで吐かせるまで!」

「ッDディスク、Dゲイザー、セット!」

 

 仮面の男のデュエルディスクが起動し、展開する。……こうなってしまえば戦う以外の選択肢は存在しない。一歩遅れながらディスクを展開した。

 

 

「「決闘!!」」

 

 

 

 

 

 

 

「私のターン! 初めての獲物となることを光栄に思うがいい!」

 男の先行1ターン目。人のことを獲物と称するなど事情を知らない者が見れば変人だが、その中身はとんでもない危険思想の持ち主だ。

 

 

「『古代の機械猟犬(アンティーク・ギアハウンドドッグ)』を通常召喚! 召喚時に①の効果発動! 貴様のライフに600のダメージだ!!」

 

古代の機械猟犬

効果モンスター

星3 地属性 機械族 ATK/1000 DEF/1000

①:このカードが召喚した場合に発動する。相手に600ダメージを与える。

②:このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。

③:1ターンに1度、自分メインフェイズに発動できる。自分の手札・フィールドのモンスターを融合素材とし、「アンティーク・ギア」融合モンスター1体を融合召喚する。

 

 

 

LP4000→3400

「ぐッ、う!?」

 リアルダメージ!?

 

 予想はしてなくもなかったが、事前告知もなしで痛みを体感させられるのはキツいものがある。電流が全身に走ったかのような痛みが走り、よろけて壁に手をついた。

 600程度のバーンでコレか? 大型モンスターからのダイレクトアタックなんてされた暁には……いや、考えないようにしよう。

 

「『猟犬(ハウンドドッグ)』の効果発動! フィールドと手札の『猟犬』2体を融合する! 現れ出でよ、『古代の機械(アンティーク・ギア)双頭猟犬(ダブルバイト・ハウンドドッグ)』!」

 

古代の機械双頭猟犬

効果モンスター

星5 地属性 機械族 ATK/1400 DEF/1000

「古代の機械猟犬」+「古代の機械猟犬」

①:このカードが攻撃する場合のダメージステップ終了時まで、相手は魔法・罠カードを発動できない。

②:1ターンに1度、相手フィールドにモンスターが召喚・特殊召喚された場合に発動できる。そのモンスターにギア・アシッドカウンターを1つ置く(最大1つまで)。この効果は相手ターンでも発動できる。

③:ギア・アシッドカウンターが置かれているモンスターが戦闘を行うダメージステップ開始時に発動できる。そのモンスターを破壊する。

 

「カードを2枚伏せ、ターンエンド。どうした、怖気づいたか!」

 勝ち誇った仮面の男を睨む。そうだよ怖ェよ当たり前だろ、こんな闇のデュエルみたいな痛い決闘、こちとらしたことないんだから!

 

 

 

「……俺のターン、ドロー!」

 幸い手札は非常に良い。近頃は何故だか運が向上していたが、今回は特にだ。問題は奴のバック、2枚の伏せカードだけど……それは後で考えよう。まずは。

 

 

 

「メインフェイズ、手札から『強欲で金満な壺』を発動! EXデッキから6枚をランダムに除外し、2枚ドローする!」

 

強欲で金満な壺

通常魔法

①:自分メインフェイズ1開始時に、自分のEXデッキの裏側のカード3枚か6枚をランダムに裏側で除外して発動できる。除外したカード3枚につき1枚、自分はドローする。このカードの発動後、ターン終了時まで自分はカードの効果でドローできない。

 

 

 本家本元『強欲な壺』は、残念ながらZEXALの世界では前世と同じく万年禁止カード。とはいえ派生はあまり規制を食らっていないので存分に使っていこう。カードを一部使用不可にするので俺以外の決闘者にはあまり好かれていないが、デッキの都合上EXを使うことはほとんどないので使い得だ。

 

「ドローか……だが、何をしようと無駄であることを思い知らせてやろう! 罠発動! 『次元障壁』!」

「……はい?」

 ドローの前にチェーンが組まれる。……次元障壁って、あの?

 

 

次元障壁 

通常罠

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

①:モンスターの種類(儀式・融合・S・X・P)を1つ宣言して発動できる。このターン中、以下の効果を適用する。

●お互いに宣言した種類のモンスターを特殊召喚できず、フィールドの宣言した種類のモンスターの効果は無効化される。

 

 

 

「私はエクシーズモンスターを宣言する! これにより貴様はエクシーズ召喚を行えない、せいぜい貧弱な素材を並べるので手一杯だろう!」

「……ええと」

「どうした? 潔くサレンダーを選ぶか?」

 

 だよな、特殊召喚メタだよな! でもってエクシーズ次元だからって宣言するのもソレ! 俺のテーマカード1枚も見ずに発動するのはガバいぞそれでいいのか融合次元!!

 

 

 

 ちょっと気まずくなってきた。けど相手のミスは有効に使わせてもらう以外の手などない。ちょうど壺で引けたカードをプレイする。

「……手札から、『儀式の下準備』を発動」

「ぎ」

 

儀式の下準備

通常魔法

このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。

①:デッキから儀式魔法カード1枚を選び、さらにその儀式魔法カードにカード名が記された儀式モンスター1体を自分のデッキ・墓地から選ぶ。そのカード2枚を手札に加える。

 

 

 

「儀式召喚……だと……!?」

 対戦相手から素っ頓狂な声が上がった。まあ分からんでもない、ここの決闘者は大体がエクシーズを使うし、俺でなければこのメタは刺さっていたと思う。

 だがしかし俺は基本儀式使い。更にⅣに敗北してからしばらくは、めちゃくちゃ儀式に振ったデッキ構築をしているのだ。Ⅳ様様。

 『次元障壁』で儀式を宣言されていたら危なかったが、ばってんが付いているのはエクシーズ召喚のみ。

 

 

「俺はデッキから儀式魔法『エンド・オブ・ザ・ワールド』、儀式モンスター『終焉の王デミス』を手札に加える」

 

エンド・オブ・ザ・ワールド

儀式魔法

「破滅の女神ルイン」「終焉の王デミス」の降臨に使用する事ができる。フィールドか手札から、儀式召喚するモンスターと同じレベルになるように生け贄を捧げなければならない。

 

終焉の王デミス

儀式/効果モンスター

星8 闇属性 悪魔族 ATK/2400 DEF/2000

「エンド・オブ・ザ・ワールド」により降臨。①:2000LPを払って発動できる。フィールドの他のカードを全て破壊する。

 

 

「『エンド・オブ・ザ・ワールド』を発動! 手札の『破滅の女神ルイン』を生け贄に捧げ、儀式召喚! 現われよ、『終焉の王デミス』!」

 

 フィールドに魔法陣が敷かれ、その外線が途端に燃え盛った。青い炎から姿を見せたのは、黒き鎧をその身を纏った武骨な王。効果は強いがその代償は……痛い。ライフ4000が基本ルールのこの世界ではかなり痛いダメージとなる上、今だけ限定リアルダメージも着いてくる最悪のおまけ付き。

 だがバック除去に壁モンスターの排除を同時に行える、なら躊躇している場合ではない!

 

 

「だ、『双頭猟犬』の効果発動! ギア・アシッドカウンターを特殊召喚されたモンスターに置く! これで『デミス』は攻撃できまい!」

「『デミス』の効果くらい知っとけ! 効果発動! 2000LPを支払い、『デミス』以外のフィールドのカードを全て破壊する! ッいた゛っ!!」

「何ィ!? ぐ、『ミラーフォース』が……!」

 終焉の王が使役者の力を吸い取り、手にした斧を大振りに振るう。それは敵味方関係なく終を齎す暴虐の嵐。大変シンプル、そして豪快な効果だ。

 俺のフィールドにあるのは『デミス』だけ、よって相手の『双頭猟犬』、そして伏せカードだけが割られた。これによりギア・アシッドカウンターを置かれた意味は無くなる。

 捲れて見えた紫色、その絵柄にひやりとして、同時に除去できたことに心底安堵する。一気にライフを削った自傷ダメージもありへたりこみそうになるが、何とか耐えた。地に伏す訳には行かない、今は決闘中なのだから。

 

 

 

 

「しかし貴様のライフは1400! 私の次のターンでその儀式カード諸共潰してやる!!」

「はーっ、はあ、ライフは必要経費! どの道お前に次のターンをやったら負ける未来が見えるんだよ! このターンで倒す!!」

「なんだと!?」

 

 

 

「手札の儀式魔法『魔神儀(デビリチャル)の祝誕』を見せて、『魔神儀(デビリチャル)-キャンドール』の効果発動!」

 

魔神儀-キャンドール

効果モンスター

星4 光属性 炎族 ATK/0 DEF/0

このカード名の①②の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

①:手札の儀式魔法カード1枚を相手に見せて発動できる。「魔神儀-キャンドール」以外のデッキの「魔神儀」モンスター1体と手札のこのカードを特殊召喚する。

②:このカードがデッキからの特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから儀式魔法カード1枚を手札に加える。

③:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分はEXデッキからモンスターを特殊召喚できない。

 

魔神儀の祝誕

儀式魔法

儀式モンスターの降臨に必要。このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。

①:レベルの合計が儀式召喚するモンスターのレベル以上になるように、自分の手札・フィールドの「魔神儀」モンスターをリリースし、手札から儀式モンスター1体を儀式召喚する。

②:このカードが墓地に存在する場合、手札及び自分フィールドの表側表示のカードの中から、「魔神儀の祝誕」以外の「魔神儀」カード1枚を墓地へ送って発動できる。デッキから「魔神儀」モンスター1体を特殊召喚する。その後、墓地のこのカードを手札に加える。

 

 

 手札消費をカバーしてくれる儀式サポートバンザイ! だけど今回はデミスルインに絡めないで単独で動かす!

「手札から『キャンドール』を、デッキから『魔神儀(デビリチャル)-タリスマンドラ』を特殊召喚! 『タリスマンドラ』の効果により、デッキから『魔神儀(デビリチャル)の創造主-クリオルター』を手札に加える!」

 

魔神儀-タリスマンドラ

効果モンスター

星6 闇属性 植物族 ATK/0 DEF/0

このカード名の①②の効果は1ターンに1度、いずれか1つしか使用できない。

①:手札の儀式モンスター1体を相手に見せて発動できる。「魔神儀-タリスマンドラ」以外のデッキの「魔神儀」モンスター1体と手札のこのカードを特殊召喚する。

②:このカードがデッキからの特殊召喚に成功した場合に発動できる。デッキから儀式モンスター1体を手札に加える。

③:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分はEXデッキからモンスターを特殊召喚できない。

 

 

「『魔神儀の祝誕』を発動! フィールドの『キャンドール』と『タリスマンドラ』を生け贄に捧げ、儀式召喚! 現われよ、『魔神儀の創造主-クリオルター』!!」

 

魔神儀の創造主-クリオルター

儀式/効果モンスター

星10 光属性 悪魔族 ATK/3000 DEF/3000

「魔神儀の祝誕」により降臨。このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。

①:自分・相手のメインフェイズに、手札のこのカードを相手に見せて発動できる。手札を1枚選んで捨て、その後、レベルの合計が10になるように自分の墓地の「魔神儀」モンスターを選んで特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズに持ち主のデッキに戻る。

②:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、儀式モンスター以外の自分フィールドの「魔神儀」モンスターは、攻撃力が2000アップし、効果は無効化される。

 

 

 ゆるキャラじみた丸っこい呪術師が『デミス』の隣に召喚される。二体の絵柄が違いすぎるが、デュエルモンスターズにはよくあること。

 

 

 

 さて。相手のフィールドはがら空き、相手の手札は1枚。クリボー等の誘発を握っていれば状況は厳しくなるが……攻めるしかあるまい。

「バトル! まずは『デミス』でダイレクトアタック!」

「ぐ、あああっ!?」

 

LP4000→1600

 

 

 黒鎧の王が斧で切りかかれば、仮面の男はいとも容易く吹き飛んだ。リアルダメージは相手にも作動しているらしい。だからといって躊躇をする必要もなく、追撃を宣言する。

 

 

「トドメだ!『クリオルター』でダイレクトアタック!」

「まさか、エクシーズ次元なんかに──!」

 

 

LP1600→0

 

 

 

 

──────…………

 

 

 

 手汗がヤバい。心臓もヤバい。

 相手の慢心のお陰で後攻ワンキルまで辿り着けたが、『次元障壁』を儀式カードを見せた後に使われていれば為す術なくやられていただろう。

 

「おーい、大丈夫か?」

 倒れ伏した仮面の男に声を掛ける。先程から動いていない、気絶しているんだろうか。いくら危険人物とはいえ路地裏に放置するのは忍びないぞ。

 

「……吹っ飛んだ時にどっかぶつけた? 当たり所が悪かったとかないよな? おい起きろって!」

「ぐ……、うぅ……」

 脳裏をよぎった最悪に焦って肩を叩けば、目覚めはしないものの呻き声が返ってきてホッとする。良かった、お尋ね者にはならずに済みそうだ。……しかしどうしよう、野放しにしとく訳にもいかないし。

 

 

「はあ……一旦ウチに連れて帰るか」

 考えた結果、その結論に至った。今度は俺が不審者みたいになるが、うん、仕方ない。

 散らばったカードをデッキケースにしまい、仮面の男──よく見ればまだ14、5程度だろうか──を背負う。

 

 ああそうだ、このままだと仕事を途中で抜け出す形になってしまう。突然にはなるが、無断欠勤よりは今からでも断りを入れた方がマシだ。まだ付けたままのDゲイザーで店長に電話を掛けてっと。

 

 

 

 

 ぴりりり、と呼出音。2コールですぐに通話は繋がった。

 

「もしもし、店長ですか?」

『もしもし! 全然帰ってこなくって心配したよー、何かあったの? 大丈夫?』

 先程まで非日常に浸かっていたからか、日常の象徴のように能天気な声に力が抜ける。

 

「いやそれが、色々とありまして」

『一旦店閉めて探しに来てるんだけど、商店街と反対の方面だよね? ……あ、いた、?」

「えっ」

 

 

 

 

 

 Dゲイザーからの声と、現実の声が被った。

 

 音の出処は路地の入り口。大通りから差していた光が、女性の体格によって遮られる。

 

 逆光で表情はよく見えない。

 だが、想像は難くない。

 路地裏で男の知り合いが、気を失った人間を背負っている。それもボロボロの、ギリ少年と呼べる範疇の相手を。

 

 

 

 

 

「もしもし警察?」

「誤解です待ってくださいお願いします店長!!!!」

 

 




世のデュエル描写バンバン入れてる遊戯王小説書きさん、本当に凄い。仮想デュエル むずかしい
デュエル描写はガバとかミスとかあるかもしれない。やさしくおしえてください……

名前無しが難しくなってきた。命名とサブタイ付けが一番苦手なんだおれは。


【訂正】
仮面の男が発動した歯車街の存在を消しました。
デミスの攻撃力を修正しました。
報告ありがとうございます!
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