凶宴よりもお先に此方が完成しました、大変お待たせして申し訳ありませんでした。今回は別所にて協議を重ねておりました、単発企画の第二弾となります。
それでは、本編スタートです。
この場を借りてご連絡します。
今回のお話ですが、ヴァンガードの対戦描写を盛り込んだ都合上……前回の企画よりも二倍近くの文字数があります。多少目は疲れるかもしれませんが、最後に軽く告知もありますので、最後までごゆっくりとお楽しみくださいませ。
「……よし、これで準備はバッチリかな」
「颯樹、お疲れ様です。私はこれから佐倉さんたちを迎えに行くので、お車の方をお借りしますね」
「了解。下駄箱の上に鍵は置いてるから、好きに使って」
「わかりました」
そう言って僕は千歌を送り出し、自宅の中の最後の点検に取り掛かった。彩たちを自宅に招く事は過去に何度かあるとは言え、今回みたいに部外者も招く事があまり無いので、普段では見落としがちな汚れすらも取っておこうと思えた。
後にファイトスペースとして貸し出す地下は、特に念入りな最終確認をしたかったので、全員分の昼食を用意した足でそのまま確認に向かった。たまに何にもお仕事が無い時だからこそ、身の回りの整理整頓は確りとしておきたいのが常と言う物だろう。
そんな事をもし千歌に聞かれでもしたら、母さん直伝の掃除テクニックで鬼指導間違いナシだろうけど。
「……うん、これで粗方良いかな。そろそろ千歌が
僕がそう思って最後に確認していた客間の扉に目を向けた時、下の居間から賑やかな声が聞こえて来た。……それじゃあ、始めますか。
そうして数分後、勇たちを乗せた千歌の運転する車が自宅の駐車場に到着し、一部を除いた全員が揃った事で今回の集まりが始まった。……とまあ、先程全員揃った、と言ったばかりではあるのだが……千聖に関してはこの例から漏れてしまい、夕方までの仕事を終えてから合流するとの連絡が入る事になった。
僕自身は特に気にしていないうえ、他のメンバーたちにお預けを強要してしまうのは酷だと考えたので、彼女には仕事を済ませてから自宅の方に来る様に言伝として残した。
「さっくん、あたしとファイトしよー! 今日こそ絶対に負けないから!」
「あ、ジブンも良ければ良いですか? 新しく取り入れたカードの性能を確かめてみたいんです」
「わかった。順番に受けてあげるから、ちょっと待ってね」
日菜と麻弥からのファイトのお誘いを受けたので、僕は二人に軽く断りを入れて……少し前に済ませた昼食の後片付けに取り掛かった。そこまで油汚れのしつこい物を用意していた訳では無いので、洗い物などは苦では無かったのだが。
「しかしお前、妙に手馴れてるよな……。いつからひとり暮らししてんの?」
「高二の頃から。高一の終わり頃にこっちに戻って来て、そこからは一人だよ。母さんからは了解を貰ってるし、千歌や千聖がたまに状況確認がてら見に来る事があるけどね」
「叔母様からは厳しく見てる様に言われてますから、これくらいは当然です」
「は、ははは……。何と言うか、お前の苦労が垣間見えた様な気がするよ。俺だって、あの人に理不尽な呼び出しを受ける事あるし」
……おっと、それは初耳なんだが?
「……念の為に聞きますが、何故です?」
「驚かないで聞いてくれよ。あの人……だいたい俺を呼ぶ時はスタジオを貸し切って、そのうえでお小言を正座して聞かせるんだぞ? 一度ならまだしも、何度も受けちゃ堪らねぇって」
「だから、そのお小言について僕は聞きたいんだけど」
「え? 彩の事」
勇からその一言を聞いた時、僕と千歌は揃って頭を抱えてしまった。千聖からある程度話は通っているので、そうなった次第を聞き出せば教えてくれるとは思うが……彩は一癖も二癖もある男を、自分の恋の相手に選んだ物だと思ってしまう。
今はその
とは言えど、それを引き起こしてるのは、他ならぬ勇だったりするので……それはそれでまた考えものだと思ってしまうが。
「……佐倉さん。アナタは少々乙女心と言う物を学んだ方が良いかもしれませんよ。颯樹、確か私たちが小学生くらいの時に何かあってませんでしたか。唐突に思い出したんですけど」
「え? んー、そこら辺は強くなかったからなぁ……割と覚えてるか微妙なんだけど」
「え、えっ。何話してんの」
「ア、ハイ」
はぁぁぁ……。
ほんと、彩の今後が心配になって来るよ。そりゃあ千聖も過剰に反応するし、挙句CiRCLEのスタジオを借りてお説教する、なんて事もするよねぇ……まあ、それをまりなさんが許可した、ってのにも驚きだけど。
そうして昼食の片付けを済ませた僕たち三人は、彩たちに混ざってファイトの相手をし始めた。以前ファイトした時からは更に磨きがかかっていて、彩に至ってはケアレスミスが殆ど無くなっていた。
……だが、一つだけ、課題があるなら。
「詰めが甘いですよ。このターンで攻めきれなかった事、そして私からのお返し……後悔しないでくださいね。丸山さん?」
「は、はひ……」
……肝心な所で詰めを誤る、と言う事だろうか。
攻撃の手順や使用している軸の基本的な動きは、僕自身も触れていた事のある物なので、彩に教える事はできていた。攻撃した後の動きは本人の感覚に掴ませようと思い、暫くは彼女の好きに動かす事にしていたが……これが完全に裏目に出てしまった。
最後の最後の大一番、と言う時に攻撃するパワーラインの計算を間違えてしまい、千歌に防がれて猛反撃を喰らってしまったのだ。
これが本人にとって、どう言う変化を齎すのかは本人次第なのだけれど。
「うぇぇぇん、勇くぅぅぅん!」
「あー、よしよし……仇は俺が取るからな」
「……では、次は佐倉さんが相手なのですね。お引き受けしましょう」
「彩の仇は取らせて貰うぞ、千歌さん」
そうして話が纏まり、始めようとした所で……。
「颯樹、少し提案が」
「ふむ?」
「……地下のファイトスペース、お借りできますか。あそこには一台だけファイトテーブルがあったはずですから」
千歌さんの提案を受けた俺たちは、自宅の地下にあるファイトスペースに足を踏み入れた。この場所は今回に限りファイト場所としてしているだけで、本来はバンド練習をする為の機材やら何やらが置かれていた場所だ。
それを早急に片付けて整えたみたいで、多少ごちゃごちゃしてるかもとは思ったらしいが……俺からすれば気にならない程だったけど。
「……では、始めますよ」
「いつでも」
「未来の魔法師 ベルクレア」
「号笛の奏者 ビルニスタ」
千歌さんのFV……確か、この前箱買いした【幻真星戦】の中に入ってたユニットだったっけか。颯樹からたまにはユニットストーリーも見る様にと言われてたから、時間がある時に目を通していたけど……実際に見るのは初めてだ。
「スタンド&ドロー、手札を1枚破棄して《見習い魔法師 ベルクレア》にライド。ライドした時《エネルギージェネレーター》をセット。そして《見習い魔法師 ベルクレア》のスキル発動。このユニットが《未来の魔法師 ベルクレア》からライドして登場した時、
(手札5→6→5)
(ソウル0→1→0/ドロップ0→1→2)
……それぞれ別名の、魔法カード?
「私は山札から《
(オーダー0→3)
山札からいきなりオーダーカードが置かれたか。
ただこの展開、スキルの詳細は違うけど何かで見た事があるんだよな……。何だったかな……。
「スタンド&ドロー、手札を1枚破棄して《愛琴の奏者 アドルファス》にライド。《エネルギージェネレーター》をセットして、今回は俺が後攻なので
(手札5→6→5→6→5)(エネルギー0→3)
(ソウル0→1/ドロップ0→1)
「《メロディア・ポメラ》でガード」
(手札5→4)(ドロップ2→3)
「ドライブチェック《加護の魔法 プロロビ》。ゲット・ドロートリガー。パワーはイーグレットに付与、1枚ドロー。イーグレットで攻撃」
(手札5→6→7)
「ノーガード。チェック・ザ・ダメージ《
(ダメージ0→1)
「ターンエンド」
さっき見たのと違うカードが、ダメージに置かれたな。
恐らく先攻1ターン目に置かれたのは、いつだったかテレビで見たヴェイズルーグと同じ系統の物で、今見えたのはそのデッキのキーカード。ファイトがある程度進んだところでそれを唱えて、此方を詰みに持って行く為のカードか。
……なら、なるべく最速で決めたい所だが、相手はあの千歌さんだ。恐らく颯樹から俺のデッキの傾向については、予め予備知識として入ってる可能性が高い。下手に余計な刺激を与えて、猛反撃を食らうのは他でも無い俺自身……慎重にならないとな。
「スタンド&ドロー、EC3。手札を1枚破棄して《稀代の魔法師 ベルクレア》にライド。ライド時効果は無く、このままメインフェイズ。そしてここで……前のターンにセットした魔法オーダーの能力が起動します」
(手札4→5→4)(エネルギー0→3)
(ソウル0→1/ドロップ3→4)
……どう言う意味だ?
「ベルクレアは、それぞれ条件を満たした中から、どれか1枚の魔法オーダーを使用する事が出来ます。私は《促進魔法 ヴォクストール》を使用。その効果で、私のヴァンガードが魔法師を含むグレード2以上なら、このカードをレストさせる事で、デッキから1枚ドロー。ただし、これ以降は今使用した効果が使用出来なくなります」
(手札4→5)
「どう言う事?」
「《促進魔法 ヴォクストール》には、2つの効果がある。まあ何方も共通してるのは、使用コストとしてこのカードをレストさせる事と、そのターン中はオーダーゾーンの魔法カードを魔法師の効果以外でレストできなくなる事だけどね」
「なるほど……ちなみに今使ったのは?」
「デッキから1枚ドローする効果です。先の颯樹が仰っていた様に、そのターン中はオーダーゾーンの魔法カードを魔法師の効果以外でレストできなくなるデメリットを負います。それに加え、私はこの効果をファイト中に再び使えなくなるデメリットもあります」
……なるほど、実質ファイト中に1回だけ、って事か。
でもそうなると……さっき颯樹が言っていた『2つの効果がある』、と言う話の説明にはならない気がするぞ?
「《碧天白燐 アスプロニア&サフィラ》をコール。登場した時にスキル発動。デッキの上から1枚を破棄し、その後CB1をコストに支払う事で、以下1つを行います」
(手札5→4)(ドロップ4→5)
【破棄されたカード】
《アミアブル・フェアリー》
「以下1つ?」
「そうです。ドロップからノーマルオーダーを1枚選んで手札に加えるか、同じくドロップからグレード2以上を1枚選んでコールするかの二択。私が今回選ぶのはドロップからグレード2以上を1枚選んでコールです。《アミアブル・フェアリー》、戦場に咲きなさい!」
(ドロップ5→4)
ドロップから新しく仲間が蘇生された……!
手札を減らさずに盤面形成をするとは、この人……相当の手練だ。
「ここで《アミアブル・フェアリー》のスキル発動。私のヴァンガードがベルクレアなら、山札の上から3枚を見て、その中の1枚を破棄します。……チェック」
【山札の上から3枚】
《晴朗の乙女 レェナ》
《メロディア・ポメラ》
《悠久の幻真獣 ニルズベイグ》
「私は《悠久の幻真獣 ニルズベイグ》を破棄。これでバトルに入ります……ベルクレアで攻撃」
(ドロップ4→5)
「《ブレードフェザー・ドラゴン》でガード!」
(手札7→6)(ドロップ1→2)
「チェック・ザ・ドライブ《晴朗の乙女 レェナ》。ゲット・ドロートリガー。アミアブルのパワー+10000、1枚ドロー。サフィラでイーグレットに攻撃」
(手札4→5→6)
……くそっ、ヴァンガードの攻撃が通らないと分かったら、即座に攻撃対象を変えて来た。考える時間はほぼ使っていないし、おそらくはリアガードを狙う事で俺の戦力を潰しに来る寸法か。
「……ノーガード」
(ドロップ2→3)
「このターンで手札を1枚使わせて、尚且つリアガードを減らせたなら僥倖でしょう。私はこれでターンエンドです」
「ゔぇっ!? 千歌ちゃん、攻撃を止めちゃった!?」
「……さすがは千歌。ストイケイアの主要ギミックを使いながら、盤面上では優位に立ってる。相変わらず容赦無いな」
「油断も隙もありませんね……まるで、水澄さんの心にデッキが応えている様です」
「当然ね。千歌ちゃんなら、このくらいは有り得たんでしょうから」
ファイト中にそう聞こえたので、颯樹と千歌さん以外は揃ってその方角を向いた。……そこに居たのは。
「遅くなってごめんなさい。先方の予定が思ったより早く片付いたから、紗夜ちゃんに頼んでここまで連れて来て貰ったの」
「ち、千聖ちゃん……」
「それでどうなの、今の状況は」
「今は千歌さんのターンです。先攻2ターン目、と言いたい所なんですが……それ以上に動き過ぎてて、ちょっと感覚が狂いそうになるんです……」
麻弥さんからの報告に、千聖さんの俺たちを見る眼が更に鋭くなった様な気がした。まあ、見られて困るもんでは無いんだけれど……、あんまりいい気分はしないな〜。その相手が相手だし。
「スタンド&ドロー、EC3。手札を1枚破棄して《麗弦の奏者 エルジェニア》にライド。この時にアドルファスのスキル発動。SB1をコストに支払う事で、デッキから2枚ドロー。その後にノーマルユニットを1枚破棄。このままバトルだ、エルジェニアでヴァンガードに攻撃」
(手札6→7→6→8→7)(エネルギー3→6)
(ソウル1→2→1/ドロップ3→4→5→6)
「ノーガード」
「ドライブチェック《しゔぁるみゃー》。ゲット・クリティカルトリガー! エルジェニアのパワー+10000、クリティカル+1!」
(手札7→8)
……よし来た、クリティカルトリガー!
これで千歌さんのダメージは3になる……こっちのダメージは未だ0だし、これは流れが来てる!
「チェック・ザ・ダメージ。《煌結晶》《フラワリー・トーン》。ゲット・ヒールトリガー。ダメージ1回復、ベルクレアのパワー+10000」
(ダメージ1→3→2)(ドロップ5→6)
「ターンエンド」
「なかなかやりますね、佐倉さん。しかし、気を抜いては行けませんよ。私の本当の力はここからなんですから」
……そうだ、ヴァンガードはここからが本番。
例え何が来ても、俺が勝ちを収めてみせる!
「スタンド&ドロー」
(手札6→7→6)(エネルギー3→6)
(ソウル1→2/ドロップ6→7)
「これが……千歌さんの、
「ここで《稀代の魔法師 ベルクレア》のスキル発動。このユニットがベルクレアを含むグレード3以上にライドされた時、山札の上から7枚を見て、その中から2枚を破棄します。……チェック」
【山札の上から7枚】
《悠久の大魔法師 ベルクレア》
《悠久の幻真獣 ニルズベイグ》
《カストーディアル・ドラゴン》
《メロディア・ポメラ》
《碧天白燐 アスプロニア&サフィラ》
《フラワリー・トーン》
《梢弓の狩人 トゥリータ》
「私はこの中から……アスプロニア&サフィラ、トゥリータの2枚を破棄します。残りをデッキに戻してシャッフル。そしてメインフェイズに入り、オーダーゾーンにある《回復魔法 エクスルーナス》のスキルを使用。このカードをレストする事で、ドロップから守護者を持たないユニットを1体コールします。ただし、この効果でコールしたユニットの自動効果は使用できません」
(ドロップ7→9)
……さあ、誰を呼んで来る!
「サフィラの意志を受け継ぎ……降り立ちなさい」
(ドロップ9→10→9)
「げ、幻真獣!?」
「貴女の使うウルティニアスと同じよ、彩ちゃん。それにエクスルーナスの効果で、ドロップからニルズベイグを呼んだ、と言う事は……」
「そうだね、千歌には全てお見通しだ」
「ここでベルクレアのスキル発動。オーダーゾーンの魔法カードの起動効果を使った時、そのターンに限り自身のパワー+5000。そして本来、エクスルーナスの効果でコールされたユニットは自動効果が使えなくなりますが……ニルズベイグはその例に含まれません。と言う事で、ニルズベイグのスキル発動。CB1をコストに支払う事で、山札の上から5枚を見てベルクレアを含むカードか極大魔法カードを1枚選んで手札に加えます。……チェック」
【山札の上から5枚】
《天恵の源竜王 ブレスファボール》
《梢弓の狩人 トゥリータ》
《パフォーミングペタル ディアンサ》
《悠久の大魔法師 ベルクレア》
《憧憬の乙女 アラナ》
「私は《悠久の大魔法師 ベルクレア》を手札に加え、残りをデッキに戻してシャッフル。そしてベルクレアの効果を発動。SB1をコストに支払い、オーダーゾーンの魔法カード1枚をレストする事で、この効果でレストされた魔法カードの使用コストを支払わずに使用できます」
(手札6→7)
(ソウル2→1/ドロップ9→10)
……おいおいおい、冗談キツイって……。
「私がレストするのは《強化魔法 スタルキング》。因ってスタルキングの効果が有効になります。私の場にあるユニット1体のパワー+5000。ベルクレアのパワー+5000。更にベルクレアのスキル発動。オーダーゾーンにある魔法カードの起動効果を使用したので、ベルクレアのパワー+5000」
ベルクレアのパワーは、スタルキングの効果と自身の効果を2回受けた影響で、合計28000まで上がってる。アミアブルとニルズベイグのパワーは上がっていないから、トリガーチェックの結果次第では、受ける傷を軽く済ませられるけれど……これはさすがにキツイな。
「バトルに行きますよ、ベルクレアで攻撃。ここでニルズベイグのスキル発動。私のヴァンガードが攻撃した時、自身のパワー+5000」
「初撃は受ける、ノーガード」
「チェック・ザ・ドライブ。《晴朗の乙女 レェナ》。ゲット・ドロートリガー。アミアブルのパワー+10000、1枚ドロー。《メロディア・ポメラ》。ゲット・クリティカルトリガー。ニルズベイグのパワー+10000、ベルクレアのクリティカル+1」
(手札7→9→10)
はぁっ!?
ここでダブルトリガーを抜くとか、容赦無しかよ!
「ダメージチェック。
(ダメージ0→2)
「バトル終了時、ベルクレアのスキル発動。CB1をコストに支払う事で、自身をスタンドし、ドライブ-2。アミアブルでヴァンガードに攻撃」
「しゔぁるみゃーでガード!」
(手札8→7/ドロップ6→7)
「ベルクレアでヴァンガードに攻撃。再びニルズベイグのスキルが発動し、自身のパワー+5000」
ベルクレアはクリティカルが上がってる……。
ここで使わされるのは、少々癪だけど仕方ないか!
「《パラディウムジール・ドラゴン》、完全ガードだ!」
(手札7→5)(ドロップ7→9)
「ニルズベイグでヴァンガードに攻撃」
「ノーガード。ダメージチェック《悠音の運び手 アラウヌス》。ゲット・ヒールトリガー! ダメージ1回復して、エルジェニアのパワー+10000!」
(ダメージ2→3→2)(ドロップ9→10)
「ターンエンド」
……あ、あれ……?
なんか、本気で叩き潰される勢いで攻められてる……?
「言ったでしょう、気を抜いては行けないと。……さあ、向かって来なさい。貴方の全てで!」
「スタンド&ドロー」
(手札5→6→5)(エネルギー6→9)
(ソウル1→2/ドロップ10→11)
「これが……」
「う、美しいです……」
……正直な話、今回は俺が後攻だから、千歌さんの全力を先に受けきらないと行けない状況。しかもそれに拍車を掛ける様に、手札は10枚と万全なうえで……その中にはペルソナもある。ここで俺が中途半端な攻撃をすれば、確実に手痛いしっぺ返しが飛んで来かねない。
俺と千歌さんのダメージは互いに2。
CBを多めに使うのは双方共に同じとは言え、あっちはその対策も出来てるかもしれない。このターンに俺が使えるカウンターコストは2つ。そのうえでストレートにフィニッシュまで持って行くのは、確実に危険と隣り合わせだ。
「エルジェニアのスキル発動。ドロップのノーマルユニットを望む枚数選んで、それらを山札の下に置く。この効果で3枚以上選択したら、その後にデッキから1枚ドロー出来る。……俺が今回選ぶのはリィエル﹦アモルタ、イーグレット、パラディウムジールの3枚!」
(ドロップ11→8)
「では、1枚ドローをどうぞ」
「……有難くそうさせて貰います。続けて《シーケンス・ウィザード》をコールして、登場時のスキル発動。俺のヴァンガードがリィエルを含むグレード3以上なら、CB1をコストに支払う事で、山札の上から5枚を見て、その中からグレード3以下のユニットを1体選んで、リアガードとしてコール出来る。……チェック」
(手札5→6→5)
【山札の上から5枚】
《焼尽の精霊王 ヴァルナート》
《聖なる時の運命者 リィエル﹦ドラコニス》
《聖竜 ガブエリウス》
《明刃の騎士 レリジアル》
《悠弓の騎士 アルモーヴ》
「《明刃の騎士 レリジアル》を選択し、残りをデッキに戻してシャッフル。その後にリアガードとしてコール。そのままスキルを発動。俺のヴァンガードがリィエルを含むグレード3以上なら、SB1をコストに支払う事で、山札の上から7枚を見て、リィエルを含むグレード3以上か《聖竜 ガブエリウス》1枚を選んで手札に加える。……チェック」
(ソウル2→1/ドロップ8→9)
【山札の上から7枚】
《パラディウムジール・ドラゴン》
《突空の騎士 パルナセトラ》
《明刃の騎士 レリジアル》
《時の運命者 リィエル﹦アモルタ》
《聖なる時の運命者 リィエル﹦ドラコニス》
《しゔぁるみゃー》
《加護の魔法 プロロビ》
「俺はリィエル﹦アモルタを手札に加え、残りをデッキに戻してシャッフル。《悠弓の騎士 アルモーヴ》をコール。登場時にスキル発動。俺のヴァンガードがリィエルを含むグレード3以上なら、EC1。ここでリィエル﹦ドラコニスのスキル発動。EB4をコストに支払って、ドロップから《聖竜 ガブエリウス》をバインドし、手札を1枚破棄する事で、リィエルのドライブ+1!」
(手札5→6→5→4)(エネルギー9→10→6)
(ドロップ9→8→9)(バインド0→1)
「(ガブエリウス……と言う事は、粗方準備は出来ているみたいですね。その状態で次の攻撃権を渡せば、確実に私の首を絞める事に繋がりかねない。なら、ある程度のダメージは覚悟したうえで、全て受けきるプランに移りましょう)」
「レリジアルの後ろにイーグレットをコールして、バトルに行くぞ。レリジアルでヴァンガードに攻撃。レリジアルは俺のヴァンガードがリィエルを含むグレード3以上なら、自身のパワー+5000されるが、俺のバインドゾーンに《聖竜 ガブエリウス》があるなら、+5000の代わりに+10000される!」
(手札4→3)
「レェナでガード、更にニルズベイグでインターセプト。レェナのスキル発動。相手のヴァンガードがグレード3以上の時、自身のシールド値を+5000します」
(手札10→9)(ドロップ10→12)
げ、幻真獣をガードに使った……!?
自分の仲間が敢え無く退却するのが、アンタは惜しくないって事か……。いや、これは少ないガード値で済ませられる所を、可能な限り最低限の消費で抑えようとしてるのかもしれない。
……や、やりづらい……!
「アルモーヴのブースト、リィエル﹦ドラコニスでヴァンガードに攻撃。ここでリィエルのスキル発動。CB1をコストとして支払う事で、レリジアルをバインドして、バインドゾーンにあるカードと同名のユニットカードを山札から1枚選んで、リアガードとしてコール出来る。レリジアルをコール。そしてそのままスキル発動」
(バインド1→2)
(ソウル1→0/ドロップ9→10)
「確か……山札の上から7枚を見て、その中にあるリィエルを含むグレード3以上か《聖竜 ガブエリウス》1枚を選んで手札に加える、でしたか?」
「……その通り。チェック」
【山札の上から7枚】
《アライト・イーグレット》
《パラディウムジール・ドラゴン》
《加護の魔法 プロロビ》
《悠音の運び手 アラウヌス》
《聖竜 ガブエリウス》
《聖なる時の運命者 リィエル﹦ドラコニス》
《明刃の騎士 レリジアル》
「リィエル﹦ドラコニスを手札に加え、残りをデッキに戻してシャッフル。……ここでシーケンスのスキルも発動する。俺の他のリアガードがバインドされた時、自身のパワー+5000し、
(手札3→4)
……さて、ここでソウルを増やすか否か、だが……。
現状で千歌さんの手札は残り9枚、ダメージは変わらず2のまま。手札の中にはさっき見えた《メロディア・ポメラ》や、ペルソナ分のベルクレアがある。さっきのドライブチェックでレェナを引いていた事を考慮すれば、恐らくあの手札の中には完全ガードも潜んでいる危険性がある。
片やこっちは【ディヴァインスキル】を使ったとしても、攻撃回数が1回増える程度。
「(決めた、鬼が出るか蛇が出るか……勝負だ!)」
「SC1!」
(ソウル1→2)
【ソウルチャージされたカード】
《焼尽の精霊王 ヴァルナート》
「……
「……けれど、まだリィエルの攻撃の途中ですよ。さあ、合計パワー21000の
「ノーガード」
……しめた! これで、可能な限り追い詰める!
「トリプルドライブ。1枚目《ブレードフェザー・ドラゴン》。ゲット・クリティカルトリガー。シーケンスのパワー+10000、リィエルのクリティカル+1。2枚目《アライト・イーグレット》。3枚目《加護の魔法 プロロビ》。ゲット・ドロートリガー。レリジアルのパワー+10000、1枚ドロー!」
(手札4→7→8)
「チェック・ザ・ダメージ《梢弓の狩人 トゥリータ》《フラワリー・トーン》。ゲット・ヒールトリガー。ベルクレアのパワー+10000、ダメージ1回復」
(ダメージ2→4→3)(ドロップ12→13)
「バトル終了時、アルモーヴのスキル発動。自身をソウルに入れる事で、俺の前列に居るリアガード全てのパワーを+5000。シーケンスで攻撃!」
(ソウル2→3)
「メロディア・ポメラでガード。更にアミアブル・フェアリーでインターセプト」
(手札9→8)(ドロップ13→15)
ここをガードするか……なら!
「この攻撃は通す! イーグレットのブースト、レリジアルでヴァンガードに攻撃!」
「お望み通りにノーガード。チェック・ザ・ダメージ《悠久の大魔法師 ベルクレア》。トリガー無しです」
(ダメージ3→4)
「……ターンエンド」
俺のダメージは2で、千歌さんは4。
手札は8枚あるから……余程の高火力じゃなければ凌げる可能性がある、とは言え、それ以上に油断出来ないのが。
「(超トリガー、今の今まで見えてないんだよな……)」
「スタンド&ドロー、EC3。……ここで決めます」
(手札8→9)(エネルギー6→9)
その千歌さんが発した言葉に、颯樹以外の全員が驚きに満ちた表情となった。現時点で俺のダメージは2で、千歌さんは4。確かにこの状況は彼女にとって、残りのリソースを全て注ぎ込んででも突破したい苦しい局面。
……だからと言って、こんな状況でって……。
「ペルソナライド、ベルクレア。この時にペルソナライドボーナスが発動し、このターン中前列ユニットのパワー+10000した後に、デッキから1枚ドローします。続けてドロップの《煌結晶》のスキル発動。このカードを除外する事で、山札の上から5枚を見て、その中にあるヴァンガードのグレード以下のユニットカードを1体コールできます。……チェック」
(手札9→8→9)(除外0→1)
(ソウル1→2/ドロップ15→14)
【山札の上から5枚】
《悠久の大魔法師 ベルクレア》
《メロディア・ポメラ》
《フラワリー・トーン》
《パフォーミングペタル ディアンサ》
《カストーディアル・ドラゴン》
「私はディアンサをコールして、残りをデッキに戻してシャッフル。手札からもう1体《パフォーミングペタル ディアンサ》をコール。このユニットは手札からコールした時、CB1をコストに支払う事で、私のヴァンガードがグレード3以上なら、ドロップからグレード3以下のユニットカードを1体コールできます。《アミアブル・フェアリー》、戦場に戻りなさい! 続けてアミアブルのスキルが発動。山札の上から3枚を見て、その中から1枚を選んで破棄します。……チェック」
(手札9→8)(ドロップ14→13)
【山札の上から3枚】
《悠久の幻真獣 ニルズベイグ》
《天恵の源竜王 ブレスファボール》
《カストーディアル・ドラゴン》
「私はニルズベイグを破棄して、残りをデッキに戻してシャッフル。ここで《回復魔法 エクスルーナス》を使用。このカードをレストする事で、ドロップからニルズベイグをコール。その登場時効果は使用しませんが、ベルクレアの効果が有効となります。自身のパワー+5000。ベルクレアの更なるスキル。SB1をコストに支払い、スタルキングをレストさせる事で、たった今レストした魔法オーダーの効果を発動します。スタルキングの効果でベルクレアのパワー+5000。ベルクレアの更なるスキル。自身のパワー+5000」
(ソウル2→1/ドロップ13→14)
……や、ヤバいな……。
ここでヴァンガードに集中的にパワーを集めた、って事は本当に決めきるつもりだ。俺の手札は彼女の攻撃を受けきれるほど、そこまでガード値がある訳じゃない。その気になれば何撃か受ける事を覚悟したうえで、反撃への態勢を整えるつもりでいた。
……だがこれは……。
「まだですよ」
……はい?
「今こそ見せましょう、ベルクレアの奥義を」
「この極大魔法はドロップからでも使用でき、使用後はバインドに行きます。そして……相手のヴァンガードがグレード3以上であるなら、ベルクレアのドライブは減少しなくなります」
(ドロップ14→13)(バインド0→1)
……今日だけで何度驚けば良いのやら。
明らかに此方を潰す気しか無いオーダーだし、千歌さんから伝わる迫力がどんどん強くなってる様に感じられた。
「ここで《梢弓の狩人 トゥリータ》のスキル発動。このターンに極大魔法をプレイした時、このカードと同名のユニットが居ないなら、ドロップから自身をコール。その後自身のパワー+2000」
(ドロップ13→12)
「ど、どうしよう……千聖ちゃん……」
「……こうなると、いよいよどうしようも無いわ」
「バトルです。ベルクレアでヴァンガードに攻撃。ここでニルズベイグのスキル発動。自身のパワー+5000」
「ノーガード!」
……最初はなるべくカウンターを貰って、その後を全力で死守すれば何とか……!
「チェック・ザ・ドライブ《天恵の源竜王 ブレスファボール》。ゲット・オーバートリガー」
……こ、ここで来るのかよっ!?
「このカードを除外した後、1枚ドロー。そしてこのカードがドライブチェックで公開されたので、追加効果が発揮します。ベルクレアのクリティカル+1、前列全てのパワー+10000、ダメージ1回復。そしてデッキから1枚ドロー。オーバートリガーのパワー上昇は、ニルズベイグに付与します。《憧憬の乙女 アラナ》。ゲット・クリティカルトリガー。アミアブルのパワー+10000、ベルクレアのクリティカル+1」
(手札8→9→10→11)
(ダメージ4→3)(ドロップ12→13)
「だ、ダメージチェック。1点目《パラディウムジール・ドラゴン》。2点目《時の運命者 リィエル﹦アモルタ》。3点目《聖竜 ガブエリウス》。……トリガー無し」
(ダメージ2→5)
「あぁっ!? 勇くんのダメージが!」
「もうここからは一撃も喰らえません……ベルクレアにオーバートリガーのパワーが与えられてないのが、せめてもの救いですけど、それを加味しても危険な綱渡りッス!」
「イサムさん、諦めちゃダメです! 最後の最後まで頑張って下さい!」
「バトル終了時、ベルクレアのスキル発動。CB1をコストに支払う事で、自身をスタンドしてドライブ-2。ですが、先程使用した極大魔法の効果で、ドライブの減少はありません。次の攻撃はさっきより強烈ですよ」
……覚悟は決めた、来い!
「行きますよ。トゥリータのブースト」
「この瞬間……俺は手札にある、《時の運命者 リィエル﹦アモルタ》のスキルを発動させる! 手札を1枚破棄して、バインドのカード2枚を山札の下に置く事で、この攻撃はヒットしない!」
(手札8→6)
(ドロップ10→12/バインド2→0)
「チェック・ザ・ドライブ。ドライブ1《カストーディアル・ドラゴン》。ノートリガー」
(手札11→12)
……頼む、ここで……追加のクリティカルトリガーは勘弁してくれ……!
「ドライブ2」
俺や彩(千聖さんと颯樹を除く)たちの祈りを他所に、千歌さんは流れる様な手付きで、山札の1番上を捲って俺たちにそれを見せた。……さあ、どうだ……。
「《メロディア・ポメラ》。願い届かずでしたね。ゲット・クリティカルトリガー。アミアブルのパワー+10000、ニルズベイグのクリティカル+1」
(手札12→13)
「そ、そんな……!」
「終わりね……」
「ディアンサのブースト、ニルズベイグでリィエル﹦ドラコニスに攻撃。ちなみに先程のベルクレアの攻撃で、ニルズベイグのパワーは更に+5000されていますよ」
(パワー100053000/★★)
「……ノーガード。ダメージチェック《聖なる時の運命者 リィエル﹦ドラコニス》。トリガー無し」
(ダメージ5→6)
「はぁ……負けた負けた。格の違いを見せつけられたわ」
「どんまい。まあ、あそこまで捲られると僕も無理だよ」
「颯樹を以てしても無理と言うなら、やっぱあの人相当強すぎるって」
ファイトが終わったその後、彩たちを千歌さんに任せた俺と颯樹は、彼の自室に足を運んでいた。何でも女子だけを集めて座談会みたいなのをしよう、と言う事みたいで、男である俺たちが居ても蚊帳の外確実だったので、颯樹の計らいでこの状況が実現していた。
今は俺が颯樹の普段就寝に使っているベッドを、椅子代わりとして借りていて、そんな颯樹はと言うと、自らのデスクの近くにあった滑車付きの椅子に腰を下ろしていた。
「しかし、あの人にヴァンガードを教えたのは……やっぱりお前なんだろ?」
「ん、そうだよ。まあ、話の流れからするとそう来るか」
「千歌さんって元からああだったのか?」
「どうなんだろ。ただ、一度目は初心者にありがちなミスもあったんだけど、二度目は無かったかな。むしろ、僕から教えられる事が少なくなるくらいには」
……マジかよ。それなら千歌さんって、かなりの実力者と言う事になるけど。
「それはそれとして。さっきのファイトを見てたら、僕もやる気が湧いて来てね……どうかな、僕とも1戦」
「いや、良いよ。今は少しゆっくりさせてくれ……あんなにボロ負けした後なんだ、クールタイムが欲しい」
「……わかった。下から飲み物を取って来るよ」
「ありがとう、それじゃあお言葉に甘えて」
そう言って颯樹は椅子から立ち上がって、部屋を後にして行った。その後、少しの休憩の後に颯樹ともファイトしたのだが……どうなったのかは、読者の想像に任せて貰う事にしよう。
今回はここまでです。如何でしたか?
次回は本編の更新をしたいと考えておりますので、続報をお待ちくださいませ。
「……なんだ、これは……」
世間はガールズバンド戦国時代、そしてヴァンガードが大流行しているこの頃。京介たちの住む東京に、突如として異常現象が観測された。
「千聖ちゃん、もしかして私たち……」
「ええ。もうこの世界に、私たちの居場所は無いわ」
街を覆う霧は次第に範囲を広げ、何れ世界の全てを幻に呑み込まんとしている。
「でも……わたしたち、には……」
「この子たちが居る」
そんな脅威に対抗出来るのは……幻真獣カードを持つ6人の少年少女たち。
だが。
「この世界を、消させる訳には行かない」
「あたしからおねーちゃんを取らないでよッ!」
「幻を消し去るか、真に取って代わるか」
互いに譲れない願い、想いのために……世界の、己が存在の全てを賭けた死闘が、今ここに始まる。
という訳で、新規小説として先程お知らせ致しましたあらすじの内容を投稿致します。その都合上、原作キャラの何人かは性格だったりが変わっておりますので、ご了承ください。
そしてタイトルの方は未定なので、投稿予定として設定している【伝説の先導者たち】の発売日である5月15日までには、タイトルも確定させて公開できる様に準備をしたいと思いますので、お楽しみに。続報はBlueskyにてお知らせします。
それでは、また次回の更新にてお会いしましょう。
重ねて最後に。本作品投稿日の4月10日は、カードファイト!! ヴァンガード ブースターパック【赫月ノ使者】の発売日となります。前弾より初登場しました【幻影】ユニットの新規追加や強化は勿論、過去に登場したテーマの強化カードも収録されていますので、見かける事がありましたら是非手に取ってみては如何でしょうか。
では、また。