ガトランティスVSゼントラーディ 作:増えることに飽きたプラナリア
結果的には私のとった行動は極めて良い結果をもたらした
各分艦隊の司令官とその副官。そして私自身の副官たちを同志にすることに成功したおかげで、この第1001基幹艦隊の全ての兵士が、今や文化に触れたことで戦い以外の存在意義を獲得することに成功した
私は自身の記憶データにあるさまざまな娯楽を抽出し、それを各ジャンルごとに複製して誰でも閲覧、複製可能にして公開したことは、その深化を促進することとなった
【おい、お前はどんな歌が好きなんだ?】
【いや、歌いいんだが、最近だと俺はこのプラモデルというものにとても興味があってな…】
【へぇ、どんなやつなんだそれ?】
【お、知りたいか? ならこの映像記録を……】
といった会話が艦隊の至る所で行われており、中には艦隊が保有する資材で記憶データの真似事……例を挙げればプラモデルや音楽を聞きながら機動兵器を操縦したり、必要以上に体を鍛えたりなど明らかにゼントラーディの兵士からは逸脱した、文化的行動が見られるようになった
特に驚いたのは自分の乗る機動兵器に好きなキャラクターや動物のペイントをしたり、愛着を持つといった現象が急速に広がりを見せており、私は改めてこの文化という新たな概念が持つ力の偉大さに戦慄を覚えながらも、無事に皆に受け入れられたことにほっ、と一息ついていた
とはいえ問題がないわけではない。私が公開した文化に関する情報は女性に関するものを意図的に避けたものだ。理由としてはカルチャーショックが大きすぎる可能性があると判断したからだ。実際兵士たちの中には文化に衝撃を受けて取り乱したり、情緒が不安定になってしまったものが出てしまうなど、少なくない影響が出ているのだ
他にも問題としては文化に触れながらも戦うことだけに囚われたもの、戦うことそのものが文化なのだと主張するものも少ないながら存在し、これらは総じて頭の痛い問題だが、こうした形で自己を確立しているものたちを排斥するわけにはいかないので、私はそういったものたちを納得させつつ、群れとして変容を始めたこの艦隊を守るためにあることを計画することとした
そのような問題を抱えながら、私はとある計画を実行に移すため、副官たちを招集した
【私はゼントラーディから分離独立を果たし、文化を持つ群れとして立つべく、船団創設計画を発表する】
私はその発表と共に、自らが創案した計画書を副官たちに渡す
【旗艦を中心として複数の特化運用艦と居住用艦からなる完全循環型独立船団の創設…なんと壮大な計画でしょうか】
【第1001基幹艦隊の全ゼントランを本人の意思などの選考基準に基づいて各特化運用艦に割り振ることで、文化のさらなる発達と浸透を促す……理には叶っておりますな】
計画内容を見た副官たちは肯定的な意見を述べるものと
【しかしこの船団創設計画は生み出すことを主眼としたものだ。これまでただの一度として生み出すことをしてこなかった我々ゼントランが目指す最初のものとしてはあまりにハードルが高い】
【我々には生み出すという行為そのものが何かすらもまだ明確には理解できていない。あまりにことを急ぎすぎているように思える】
と言った具合に否定的‥というよりは計画再考に当たる懸念事項を述べるものとに分かれる。それを聞いた私は
【確かに性急であることは認める。しかし我々には多くの時間は残されてはいない。多くの困難が待ち受けていることは承知だがその上で、我らはこれをなさねばならんのだ】
と力強くこの計画を通す意味を解く。それに懸念を述べた副官の1人がこう尋ねてくる
【いったい何が原因で、これほどまでに性急に動こうとされるのですか?】
【それは……】
副官の問いに 私は数秒の沈黙の後に答えた
【我ら以外の基幹艦隊が、我らを見た時どう思うかわかるか?】
その言葉に込められた衝撃はまるで波のように副官たちへと届き、その言葉の意味を正しく理解した
【……間違いなく、我らは処分の対象になりましょうな】
長い沈黙の後、副官の1人が重々しく口を開く。それを私は肯定した
【そうだ。戦うことのみを是とする我らゼントラーディにとって、文化を知り、それを受け入れ、戦いではなく文化を是とすることを決めた我々は、許されざる異端だ】
【…………間違いなく、ゼントラーディの他の基幹艦隊全てがこれを否定せんと行動するでしょうな】
副官の1人が私の言葉を続け、他の副官も続く
【間違いなく、我らは滅びることになるでしょうな】
【文化を武器とすれば、勝てる可能性は多少はあるかもしれませんぞ?】
【それで我らが獲得したたった一つの意味を塗りつぶすというのか? 馬鹿馬鹿しい! そのような愚かな選択肢を取るくらいなら、我らは戦うこと以外の生き方なぞを手にはとらん】
そうはっきりと言い切った副官の1人の言葉に皆が肯定を示す
【エグゼクターの言う通りだ。我らはこれから、文化を愛する一つの群れとして進むことを決めた以上。その意思を絶やすわけにはいかん】
私も副官の言葉に同意を示す
【そのための船団創設計画……となれば、最早ことを性急だと騒ぎ立てる余裕はございませんな。ただちに計画を承認し、実行に移しましょう】
副官の1人が言った言葉が決め手となり、全員一致で計画が承認され。第1001基幹艦隊は群れとして独立するための行動を開始した
まず最初に行ったのは艦隊の周辺に存在する兵器の生産工場を片端から接収して兵器の供給源を確保するとともに、船団創設のために必要な資源を確保するため、近場の地球型惑星への移動を開始した
また、到着までの時間を活用して全将兵を適正や本人のしたいことを元にして、創設される船団の各機能に割り振る用意を進めると共に、科学者になれそうなものを片端から集めて将来的には新兵器の開発ができることを目標にしつつ、現時点では運用する兵器類を自前で修復・改良可能になれるよう第1001基幹艦隊諸研究機関…通称「カルチャー機関」が創設された
前途多難な状況ではあるが、我が艦隊は少しずつ人間への昇華に向けて歩き出すのであった
[司令官閣下。斥候が帰還しました]
[そうか、首尾は?]
[やはり我々は忌むべき男たちを捕捉しました。これが奴らの侵攻予測となります]
[我らの方へと向かってくるか…よかろう。ここで彼奴等を屈服させ、この周辺の勢力確保のための足がかりとしよう]
[では?]
[全艦直ちに敵艦隊正面に向けてフォールド開始、決戦である]
私たちが新たに得たものを否定しようとする強大な害意が、すぐそこにまでせまってきていた
序章もうちょっと伸ばしてもいいですか?
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いいよ!
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だめに決まってんだろ!