ガトランティスVSゼントラーディ   作:増えることに飽きたプラナリア

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決断の時

ここではない銀河の遠い場所、100を超える基幹艦隊に守られた何人も立ち入れぬ聖域と化したその星系があった

 

10個の惑星からならその星系のちょうど中間に位置する青い惑星…そこに設けられたキノコ型の巨大なビルのような建造物……ここはゼントラーディの全てを定める軍司令部。とでもいうべき場所だった

 

その場所に存在する、カイザすらも上回る巨大な五人の巨人…自らをゼントラーディの支配者にして、プロトカルチャーの後継者であるとする「大提督」たちは、ある艦隊の処遇について話し合っていた

 

【確かなのか?】

大提督の1人が尋ねる。それにもう1人が答えた

 

【あぁ…第1001基幹艦隊は自らの意思で我らの指揮系統を離脱し、独自行動をとっている】

沈黙が空間を支配する

 

【これはゼントラーディに対する明確な反逆である。我ら始まって以来のこの大逆を野放しにすることはできない】

大提督の1人が怒気を滲ませながらそう宣言し、それに残りの大提督全員が異論はないと言わんばかりに肯定を示す

 

【結論は出たな……「監察軍」の出動の是非を問おう】

 

【【【【出動を支持する】】】】

 

【満場一致だな。では監察軍による「浄化作戦」の発動をここに宣言する】

この決定の直後、この星系を防衛していた艦隊の一部がカイザ達の元へ向かって移動を開始した

 

世界は、カイザ達へのさらなる試練を貸すのだった

 

 

 

 

 

 


同時刻、私は艦隊を前話で出て来た地球型惑星…その星の姿が火星のような赤色だったことから「レッドアース」と名付けたそれに向けて移動すべく。その軌道上へのフォールド…簡単にいうと次元跳躍を行おうとしていた

 

【先遣隊30万のフォールドを開始します】

副官の一人がそう宣言するのと同時に先遣隊として艦隊の前面に展開していた30万席の大艦隊が一斉にフォールドを開始する

 

1分とかからないうちに艦隊は全てフォールドを完了し、少しの時間を空けて無事にデフォールドした事と、目標となる惑星の軌道上の空間を確保したことが報告される

 

【全艦ただちにフォールドを開始】

私の命令に従って残りの艦隊も次々にフォールドを開始し、最後に旗艦要塞がワープを開始する

 

因みにだがこの旗艦要塞の上部にはこれまで接収したプロトカルチャーの兵器の生産工場…箱型だったり円盤型だったりとさまざまな形状のそれらを無理やり固定化させているため、見た目はかなり悪いし戦闘力も低下している

 

そんな旗艦要塞もまた無事にフォールドを完了させ、目的地のレッドアースを眼下に収める

 

【司令官閣下。全艦のデフォールド成功を確認いたしました】

副官の1人が報告をあげ、私はうむ、と肯定を示すと速やかに命令を下した

 

【直ちに資源採掘を開始せよ。同時に旗艦より各工場の切り離しも行え】

私の命令を副官たちは速やかに艦隊に伝達した

 

と、いうことで船団内で新たに鉱物資源の採掘、精錬、加工を目的とした産業艦の担当となる予定の人員が降下を開始する

 

彼らが使うのは原始的なツルハシやスコップなどの採掘用道具であるが、これは文化の記憶データを元にしてカルチャー機関が作り出したものだ

 

【次はもっと素晴らしいものを生み出して見せます!】

と、彼らはとても頼もしいことを言ってくれていた

 

そうして採掘が始まると、同時並行で採掘した鉱物資源の精錬、加工が可能なプラントの建設……こちらは接収した工場に備わっていた精錬、加工ラインをカルチャー機関が解析、コピーしたものである。が開始していた

 

これに関しては精錬や加工だけではなく、実際に建築などの生み出す行為を専門とする産業間の担当となるもの達にノウハウを蓄積させることを目的としていた

 

またこの間にカルチャー機関による保有兵器の解析も開始しており、兵器の生産だけではなく、修復、整備、改良が可能になれるよう研究が日夜行われている

 

そうして本格的にレッドアースへの入植を始めた私たちのもとに凶報が届いた

 

【艦隊正面に大規模なフォールド反応を検知しました。敵艦隊がデフォールドしてきます】

と、副官の1人がそう報告をあげてくる。これには記憶データでまた歌を聴いていた私もたまらず中断し

 

【前衛艦隊は直ちに戦闘配置!】

と命令を与える。その直後に次々とメルトランディの艦隊が姿を現し始め。そしてメルトランディの旗艦たるエラプラミズ級機動要塞が、本隊であろう大艦隊と共に姿を現す。その威容に私は内心で身震いしながらも、副官にこう命令をくだす

 

【メルトランディ旗艦との間に通信回線を開いてくれ】

それを聴いた副官は最初は意図が全く理解できずに間の抜けた声をあげ

、その後すぐに意図を理解したのか

 

【お待ちください司令官閣下!】

と、私を止めようと声を張り上げるが、それを無視して私は命令を続ける

 

【全艦微速後退! 敵艦隊との相対距離を保ちつつ、命令があるまで攻撃、反撃を禁止する!】

と命令する。されに副官が再度私のことを呼び、それに対して私は

 

【ここで道を示さねば我らが文化によって立つことなど永劫に不可能だ!】

と、その言葉を遮るように反論する。それに副官は目を見開いて口をつぐむ中、彼は続けて

 

【我らは確かに戦うために生み出された存在だ! だがそんな我らでも変われる道があるのだと! 戦い以外の道を進むこともできるのだと今見せねばならんのだ! 我らと同じように生きることができるのだと! 彼女らに!】

そう決意を込めて宣言する。だってそうじゃないか……誰かと一緒に楽しいことをして笑って、泣いて、怒って、そうしてただ平和に生きることだってできるはずなのに……大昔の創造主達のエゴでその全てを奪われたまま、機械のように与えられた命令に従って死ぬまで戦い続ける人生なんて、そんなの寂しすぎる

 

【示さねばならん! 我らは手を取り合えるのだと! 文化に触れ、それを愛し、戦いではなく文化をもって互いに生きることのできる世界が作れるのだと!!】

それが、前世の記憶を持って生まれた自分にしかできない役割なのだと信じて。今まさに真なる意味でゼントラーディという戦闘民族から独立するか否かの瀬戸際に立っているという実感を得ながら、彼は争いではなく、対話を選び取った

 

【敵艦隊前進を開始しました! 後1分半で敵艦隊の射程に捕捉されます!】

別の副官が報告を上げる。そして私と問答を繰り広げていた副官と私のことを、他の副官達全員が見守る中、深いため息を吐き出すと

 

【全く……随分とプロトカルチャーじみて参りましたね。司令官閣下?】

と、諦めたように……しかしどこか満足げにそう言って副官が笑い

 

【そ、そうか…? それは嬉しいなぁ…】

と、ズレた回答をしながらも、本当に嬉しそうに彼は笑う。それに呆れながらも、嬉しそうに笑った副官達は、次の瞬間には私の命令を遂行せんと動き出す

 

【全艦敵艦隊との相対距離を保て、機関増速】

 

【敵艦隊の短距離フォールド通信ネットワークへの侵入を開始】

 

【前衛艦隊の各艦隊は艦載機の発進準備に入れ】

 

それを頼もしそうに見つめながら、彼は眼前のスクリーンに映るメルトランディの艦隊を見つめ

 

【彼女らとだって、必ず分かり合えるはずだ……】

そう呟く私の声には、どこか祈るような必死さがあった

序章もうちょっと伸ばしてもいいですか?

  • いいよ!
  • だめに決まってんだろ!
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