ガトランティスVSゼントラーディ 作:増えることに飽きたプラナリア
前話からそれなりの日数が経過し、遂に建造中だったテラフロート級一番船「レッドアース」が就航した。その性能は以前説明した通りで、群れの未来を背負うに相応しい性能を誇る、まさに人工の惑星とでも言うべき船であった
そんな船の性能が実際に要求通りのものなのか…そして実際に無補給での超長距離航海時の問題点や課題の洗い出しを兼ねた約半周期の試験航海を行うこととなった
この試験航海には100万人の群れの男女が乗り込み、それを統合自衛軍の12%…凡そ156万隻の艦隊が護衛する形をとっており、この護衛艦隊にはマクロス級前衛戦闘空母を中心にこれまでカルチャー機関が生み出してきた新兵器、艦船が積極的に編成され、航海中はこれらの運用テストを行う予定となっている
そんな護衛艦隊に配属される新兵器たちの中で、まだ紹介していないものを紹介しよう
最初はマクロス級前衛戦闘空母の武装面だ、主兵装は艦首の荷電粒子ビーム砲塔であり、旗艦級戦艦に引けを取らない火力を誇る。また副砲として連装の荷電粒子ビーム砲を搭載している
両腕部は従来の艦隊の中核を担う標準戦艦を流用しており、高い火力と耐久性を実現している。その他の武装としては多数のミサイル発射管と対空用のレーザー砲塔を備えている
搭載しているのはパワードスーツ250機、グラージ80機 リガード140機と非常に豊富で、一度に30機の離着陸が可能なカタパルトを備えている
次がエグゼクター級中型砲撃母艦……こちらはマイクローンが運用することを前提とした中型艦で、全長は1300m、艦の形状は馬上槍を想起させる円柱状の細長いもので、艦隊上部にブリッジが突き出ているのが特徴、砲撃時には艦体の大部分が上下左右に分かれて開く形態を取る
また艦体に多数のビーム砲、対空用レーザー砲塔、ミサイル発射管を備えているため、サイズの割には高い戦闘能力を持つ
艦載機はVF-1とVB-6と後述のバリエーション機体であり、それぞれVF-1が全機種合わせ140機、VB-6が30機となっている
続いてVF-1とVB-6バリエーション機を解説する
VF-1S 指揮官用に内部機構に改良が加えられたモデル。外観上はVF-1と同じで、通信用モジュールの高性能化などの指揮能力の強化が行われている
VF-1G VF-1の強行偵察仕様として開発された機体で、全身に高性能の各種観測用カメラやレーダーを備えているのが特徴。標準で追加武装のブースターユニットを装備しており、緊急時にはこれをパージすることが可能
またVF-1には継戦能力向上を目的にスーパーパックの着用が標準化されており、これは機体の上部に大型スラスターだ大口径ビーム砲とミサイルコンテナを一体化した大型の複合推進ユニットを装備し、更にミサイルコンテナを兼ねた増加装甲と主翼に懸下式のミサイルコンテナを装備すると言う、盛り盛りに盛った追加装備となっている
続いてはVB-UWACS こちらはVBから武装を廃止してレドームや各種観測、索敵用の機材を搭載した早期警戒機仕様の機体であり、艦隊の目として機能する
これに建造が完了したばかりのSMCの一番艦「オーバーロード」が艦隊旗艦として同行している
SMCは「スーパーマクロスキャノン」の略称であり、正式に与えられた艦種は「超重マクロス級戦術砲撃母艦」である(通常はSMCの名前で呼ばれる)その全長は約40kmと群れが保有する艦艇の中でも最大規模を誇る、トランスフォーメーション機能を備えた巨艦である
本艦のコンセプトはゴルグ・ガンツ砲と標準戦艦の間を埋める戦術級兵器であり、そのコンセプトを達成するためにカルチャー機関が出した答えはシンプルであった
「一撃で数万隻規模の艦隊を破壊できる巨砲を備えた馬鹿でかい戦艦を作ろう」
と言うあまりにも豪快なものであった。その為に本艦には砲撃形態時に主砲として両肩と両腕に搭載された全長12kmと言う規格外の長大さを誇る新型の超重長距離砲が搭載され、この各砲そのものに専用の大型炉心6基を直列に繋げることで他の追随を許さない圧倒的な大火力を誇る
SMCは主砲による砲撃のみを考えた艦艇であるが、同時に自身と前線を守る為に制空用の航空機隊が配属されている。その数はパワードスーツだけで3000機……総機体数はなんと5300機と非常に膨大になっている
最後に艦の形状は上から見ると四つ指の手のような形状となるのが特徴の艦艇である
以上の新兵器と艦船にゼントラーディ、メルトランディを含めた従来の艦艇多数を加えて護衛艦隊が編成される。艦体司令官には旧デメテーラ艦隊の前衛艦隊に属する分艦隊司令官であった「プレナータ」が就任し、その補佐として副司令官に私の艦隊から「ドミレス」を派遣、この2人に試験航海に出るレッドアースと護衛艦隊の指揮を任せることとなり、出発に合わせて式典を開くことにもなった
軌道上の建造ドック内に停泊するレッドアースに100万人の男女…すなわち試験航海に志願した者たちが乗り込んでいく中、その周囲を取り囲むようにして統合自衛軍の核艦隊から抽出、再編された護衛艦隊が展開する
護衛艦隊は前面にマクロス級やエグゼクター級など新鋭艦を中心に構成され、その後方にオーバーロードを中核として、レッドアースの周囲を守るように艦隊が展開されている
そんな護衛艦隊の司令官と副司令官に対し、私とデメテーラはマイクローンを使って2人に激励の言葉をかけていた
【2人ならば必ずや同胞たちを無事に帰還させることができると信じている】
[お前達の武運長久と、船団の無事の航海を願っている]
その言葉を受けて、プレナータとドミレスの2人はそれぞれにこう答える
[我らの意地と誇りに賭けて…必ずや船団を無事に帰還させてごらんに入れます]
【プレナータ司令官閣下に同意いたします。副司令として、私もすべての知識と経験を尽くして補佐します】
その言葉に私とデメテーラは顔を見合わせたあと、笑顔で頷きあうのだった
そのまま私達は端末から元の体に戻ると、群れのすべての人々に対して私が代表して演説を行うこととなった
【文化を得た我々がこうして手を取り合い。今やこれほど巨大なものまで生み出すことが叶った。これは間違いなく我々の普段の努力の成果であり、そして我らがただ戦うだけの存在などではなく文化を対し、文化を生み出すことのできる一つの命であることの何よりの証明なのである!】
私の演説に、人々は口々に自分たちへの喝采を謳い、文化に対する歓喜の声を上げる
【我らの同胞達の勇気ある航海を! 我らの歴史の礎を作らんとする彼らの尊い行動の始まりを共に祝おうではないか!】
【我らの同胞のために! 我らの文化のために!!】
その言葉を持って演説は締めくくられる。人々は万雷の喝采を持ってそれに応える
そして演説が終わったことを合図にレッドアースがドックから出航し、護衛艦隊が陣形を崩すことなく見事な統制を持って陣形を維持したままレッドアースに並行する
その威容に人々の熱狂は最高潮に突入し、皆が口々に彼らの旅立ちを祝い、無事の帰還を願い、そしてレッドアースを守る護衛艦隊へと激励の言葉を発していく中、レッドアースと護衛船団は試験航海に向けてフォールドを行うのだった
【レッドアース並びに護衛艦隊、予定通りフォールド完了しました】
副官がそう私に報告をあげる。それに演説を終え、無事に艦隊が出航したことに安堵のため息を吐いていた私に、同じく報告を受けたデメテーラがこう話しかける
[無事に飛んでいったな。あとは待つだけだ]
【あぁ…どうか無事に帰ってきて欲しいものだ】
デメテーラの言葉に私は一筋の憂いを拭えないままにそう答える。それにデメテーラは私へと優しく微笑みかけながら
[案ずるな、我が夫よ。あの子達はきっと帰ってきてくれる]
と、そう私を励ますデメテーラに、私は心配をかけてしまったと内心で反省しつつ
【あぁ、そうだな】
と、先ほどとは違い、芯の入った声でそう彼女の言葉に答えるのだった