「にしたって驚きましたよ。自分から変な気は起こすなとか言っといて、結局自分から突っかかりにいくんですもん」
「そりゃ、お前にあれやらせても半殺しにされるだけだろうからな。もしやると言ったとしても、お前にゃやらせねぇよ」
振り返ってみれば、どうやら先程の戦闘は一種の教訓を与えるつもりだったというか、無駄に挑発的な言動や行動もそれだったらしい…それにしたって身を張り過ぎとは思うけれど。
「
よく言うもんだ。俺がああしてなきゃ結果は『挑発してわざと追い詰められて、簡単に反撃する』事で警戒を促そうなんて、あいつがそんなに素直なタイプとは思えなかった。
「ちゅー…」
いつの間にか俺の肩に乗っていたあのねずみが、少しバツが悪そうに小さく鳴いた。
そうだ、俺達の猿芝居のような人形劇じみた茶番の経緯はどうあれ、事実俺達はこの一匹のねずみに助けられたのだ。ある意味では恩人…恩…ねずみなら恩鼠とでも言えばいいんだろうけど、こいつは普通のねずみじゃなくてモグラネズミ ―何? 恩土竜鼠とでも書けばいいの?
暴走族みたいになっちゃうけど?
…まぁ、戯言だよ。こんなんさ。
「そういえば、フルトーさん。こいつ飼っていいですか?」
彼は品定めをするようにそのモグラネズミを見る…と思いきや、見ているのは俺の方だった。
「…大丈夫か?」
「俺はねずみ一匹も世話できないって思ってるんですか?」
そんなに信頼ないの、俺。
…まぁ、当然か。昨日あったばかりの奴を信頼しろって方が無理だよな。
「大丈夫ですよ、ネズミくらい死なせませんて」
「いや、食糧の余裕を疑ってるんだ。案外喰うからな、モグラネズミってやつは…」
「そうなんですか?」
片手で収まる手乗りサイズ…ひょっとしたらそれよりも小さいかもしれないのに、こいつそんなに大食なの?
「それでも魔獣の近縁種…それに、基本雑食だしな」
「ははっ…はっ…」
そう聞くと途端に恐ろしく思えてきた…
彼の指摘に苦笑しかできなかったけれど、何故だかこいつには可能性を感じる。それが良いものという確証はない。鬼が出るか蛇が出るか、それすら判っていないこの小さな勇者がきっとなにか ―目に見えないものを与えてくれると信じて。
…もしかしてフルトーさんが俺を助けた理由もこんな感じなのか?
そう思うと、申し訳なくなってきた。
「名前どうすんだ?」
「そうですね…」
じゃあシンプルイズベストって事で―
「『ちゅーた』…ってのはどうですか?」
俺の答えに彼は苦笑しかしなかったけれど―まぁ、今はこれでいいと思う。
―無鉄砲なくらいが、
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