追放令嬢のスローライフ〜主目的生存戦略〜   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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ハンスとジョンが戻ってきました!

 俺ことハンスがジョンと一緒に物資をミディア様のお父様……ギレッド様から貰って帰ってくると、砦の周りにレンガ造りの家が増えていた。

 

「ミディア様〜」

 

「あ、ハンスにジョンお帰り!」

 

 ちょうど魔法の鍛錬をしていたミディア様が見えたので声をかけると、俺達が居ない間にモンスターを進化させて魔族を生み出すことが出来る天才のルル·ドッペル博士が住み着いたのだと聞かされ、ルル博士が生み出した元ホブゴブリン、現オーガ達が増えたレンガの家に住んでいるらしい。

 

「そのオーガ達は日中何してるんだ?」

 

「魔法の練習をしたりため池で泳いだりしてるわよ」

 

「ふーんなら俺達が使っても問題ないよな?」

 

「ん?」

 

 

 

 

 

 

「1、2、3、4……」

 

 ブンブンブンとオーガ達が1列に並んで剣を振るっている。

 

「いい調子だ! 流石オーガの魔族だな! 筋力がずば抜けているな」

 

「「「ありがとうございます!」」」

 

 俺がやったのはオーガ達に剣と盾の鍛錬をさせた。

 

 ダンジョン探索に手伝ってもらおうという算段で、剣の扱い方を教えて、俺とジョンの2チームに分かれてダンジョン探索を行えば、効率は2倍。

 

 オーガ達も役立てるのでタダ飯食らいではなくなる。

 

 win-winの関係だ。

 

 今日はジョンがオーガ2人を引き連れてダンジョンに潜っている。

 

 多分ミミックと戦っているか、3階層まで降りて大狼やコボルトなんかと戦っているかもしれない。

 

 ミミックがあるフロアを抜けた先にある3階層もまだまだ洞窟が広がっていた。

 

 こちらが攻撃しなければ攻撃してこないホブゴブリンとホブオーク、それに箱に閉じこもっているミミックがメインだった2階層とは違い、3階層では宝石獣と言う体に宝石が宿っている猫、ウサギ、犬、亀、ヤギ、ネズミなんかの動物とこちらを攻撃してくる大型犬並みの大きさの大狼に犬の姿をしたコボルト、吸血コウモリなんかが生息している。

 

 どのモンスターも1対1でも勝てる程度の強さであるが、万が一もあるのでチームを組んで探索をしていた。

 

 もしくは1階層で黄金スライム狩りをして体を鍛えているかのどちらかだろう。

 

「100! 振り終わりました!」

 

「よし少し休憩にするか」

 

 休憩と言うと、オーガ達は服を脱いでため池に飛び込んで汗を流す。

 

「ふう! さっぱりして気持ちいい!」

 

「だな!」

 

 オニマルにタケマルの奴らは水浴びで気持ちよさそうに泳いでいる。

 

 一方でオーガ達の中で紅一点のスズは俺をじっと見ている。

 

 赤い肌に額から生える2本の角、黒髪黒目で、ミディア様は和風の顔って言っていたが、和風ってなんだろうか。

 

「スズ、どうした?」

 

「あ、いや……ハンスさんカッコいいなって思って……」

 

「そうか?」

 

「あ、あの覚えてませんか? 私……ハンスさんに魔力の実とクッキーを交換してもらったホブゴブリンで」

 

「ん! ああ! え! スズがそうだったの!?」

 

「はい! あの時にもハンスさんがカッコいいなって思って近づいたんです。あの時のクッキーの味は忘れていません!」

 

「そうかそうか……あの時のホブゴブリンだったのか……気づいてやれなくてごめんな」

 

「い、いえ……姿が大きく変わってしまっているので、わからないのも仕方がないかと」

 

 話している感じ、スズは俺に気があるらしい。

 

 元々赤い顔を更に赤らめて恥ずかしそうに喋る姿は好きな人と喋る時と同じである。

 

 いや~もしかして俺にも春が来たか? 

 

「あ、あの……もし良かったら私が作った料理食べてはくれませんか! リリンさんやルビーさんよりは美味しくないかもしれませんが」

 

「いやいや! 女の子が作ってくれる料理を不味いとは思わないけどな俺は!」

 

「そういうものですか?」

 

「そうそう! 是非食べさせてよ!」

 

「はい!」

 

 それから俺とスズは徐々に距離を縮めていき、2週間後にはスズの家に同棲するようになり、付き合い始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 少し時間は遡り、俺とジョンがギレッド様にミディア様の手紙を渡し、回復薬を渡すと、結構有難がられた。

 

「宝石とかもそうだが、回復薬は幾らあっても足りないからな。ポーションにして5000個分くらいか? これだけあればうちから出している方面軍1ヶ月分にはなりそうだな」

 

 ギレッド様はニヤリと笑っていた。

 

「で、ミディアはあの不毛の土地を開拓して食料生産を行うと?」

 

「はい、なるべく自給自足出来る体制を整えようとしているらしいです」

 

「ふむ……リストに載っている種は全て用意しよう。他に欲している物はあったか?」

 

「そうですね……衣服や寝具類が砦のはボロボロで……出来れば軍用のでも良いので幾らか恵んで下さると助かります」

 

「うむ、それはそうだな。用意しておこう」

 

「……戦局の方を聞いてもよろしいでしょうか。ミディア様も気にされていましたので」

 

「うむ……中央から離れても仕事の事で頭がいっぱいか……ミディアは……」

 

 ギレッド様は地図を取り出して状況を俺とジョンに教えてくれた。

 

 四天王自ら教えてくださるとは……。

 

 内容的には魔王軍内部でも8つの軍閥に分かれており、四天王がそれぞれ1つずつの軍閥を展開し、3つが魔王に忠誠を誓っている獣人やリザードマン等の少数民族の軍、そして中央に存在する親衛隊である。

 

「親衛隊はここ最近で1つの軍閥となった。前線に出ることは少ないが、練度は魔王軍の中でも1、2を争うだろう」

 

 親衛隊を除き7つの方面軍が人類側と交戦を続けており、方面軍同士は比較的仲が良い。

 

 ただ中央でぬくぬくしている親衛隊と他の方面軍の仲は悪いし、手柄を奪うことを度々されているので不満が蓄積されているとのこと。

 

「四天王及び少数民族の族長の意思疎通はできているし、ロロス王子の戦略的撤退の成功により、久々に魔王軍は戦力の充実することができている」

 

 占領地は縮小してしまったがなと笑っていた。

 

 そもそも戦争は魔族の領地の不毛さが原因で起こっており、鉱物資源の枯渇と魔王軍をまとめ上げるために共通の敵として人類を選んだというのがあるため、勝利するまで辞められない理由があった。

 

 ただミディア様はその事を鼻で笑い、ダンジョン資源と魔法をもっと内政に投入出来れば、問題は解決すると仰っていた。

 

 不毛とされている土地でも農業は行えることを証明しているし、ダンジョンにて鉱物資源は確保出来る。

 

 なぜ戦う必要があるのか疑問でしか無いとも仰っている。

 

 ギレッド様にその事を伝えるべきか……いや、ミディア様が手紙に書いてない以上、口出すべきでは無いな。

 

 現状は防衛側の魔王軍が有利であるが、反攻作戦が成功するかは不明……この情報を俺とジョンはミディア様に持ち帰るのであった。

 

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