追放令嬢のスローライフ〜主目的生存戦略〜   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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ダンジョン生成です!

 ここに来てから1週間。

 

 毎日プールの水を張り替え、意味もなくレンガ造りの家を建ててみたり、ゴーレム農園のゴーレムの数を増やしてみたり、寝る前に魔石を作ったりと結構充実した毎日を過ごしていたが、魔石が7つ貯まったので、今日はダンジョンを生成してみることにする。

 

「いよいよですか」

 

「モンスターが出てきたら任せてくださいよ! 俺とジョンでやっつけますから」

 

「頼もしいね」

 

 砦の外に建てられたレンガ造りの家の中でも大きな建物の中に入り、魔石をメイドのリリンとルビーに持ってもらい、私はダンジョンのコアを手に持つ。

 

 ダンジョンのコアは正八面体かつ拳くらいの大きさの物体で、紫色に光り輝く。

 

 私はそれに魔力を一気に注入する。

 

 体からコアに魔力がどんどん吸い込まれていく。

 

「リリン魔石を」

 

「は、はいっす!」

 

 私の空いている左手にリリンが魔石を渡すと、虹色に光り輝いていた魔石がどんどん色を失い、最後には灰になって消えてしまう。

 

「次のやつ」

 

「はいっす!」

 

 体の魔力だけでなく、蓄えていた魔石の魔力もどんどんダンジョンコアに注ぎ込む。

 

 最後の魔石の魔力を注ぎ込むと、ダンジョンコアは輝きを強め、空中に浮くとガコガコ音を鳴らして形を変化させていく。

 

 どんどんダンジョンコアは大きくなり、最終的に高さ3メートル、横幅6メートルほどの大きな門が出現した。

 

 門の柱は豪華な装飾で飾られ、悪魔が林檎の木から林檎を取ろうとしている様子の彫刻が掘られている。

 

 勿論、私の意図したものではない。

 

 門は異空間に繋がっていることが分かるように紫色の渦が門の中で渦巻いている。

 

「ダンジョン生成成功! よしよし上手くいった!」

 

 亜空間ゲートみたいなのが開通し、ゴゴゴと迫力がある。

 

 というかちょっと音もするし……。

 

「あっ……ちょっと魔力消耗し過ぎた……ダンジョンの確認は明日にしない?」

 

「あ、俺とジョンで軽く中を探索していきますよ」

 

「そう……じゃあお願い」

 

 私はハンスとジョンにお願いすると、砦の部屋で休むことにするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと、ミディア様が作ってくれたダンジョンだ。どんなダンジョンになっているかな」

 

「ハンス、ダンジョンの中ではおちゃらけは無しだ。気を引き締めていくぞ」

 

「おう」

 

 俺とジョンはダンジョンの中に足を踏み入れるのであった。

 

「んん……おお、結構明るいな」

 

「ダンジョンは何処も洞窟のようであると聞いていたが……入り口は広い空間か」

 

 ゲートが繋がっていた場所には広いドーム状の空間で、壁に光り輝く石が幾つも埋まっていて、青白い光を出していた。

 

 お陰で足元を気にしなくて歩き進む事が出来そうである。

 

 俺達はまず壁を確認する。

 

「壁は……結構硬いな」

 

「鉄製のピッケルなら掘れなくは無い硬さだな。鉱石が埋まっていると有り難いけど」

 

 俺とジョンは壁の質感を確認し、剣の柄で軽く掘ってみるが、見た限り光源になっている石がある感じで、一応数個回収しておく。

 

 砦も夜になると真っ暗になるし、地下なんかは薄暗いからランプを持っていかないと危ないしな。

 

 この光る石があるだけで夜の活動がだいぶ自由になるだろう。

 

「さてさて、どんなモンスターが生み出されるようになっているか……」

 

「なるべく俺達で分かるようなモンスターだと有り難いけど……」

 

 光る石を腰巾着に入れて先に進んでいくと、道が3つに分かれていた。

 

「初っ端から分かれ道かよ……」

 

「どの道を進む? 結局はどれかの道を進まないといけないと思うんだが……ハンス決めて良いぞ。お前の方が運が良いからな」

 

「そうだな……左に進もうか」

 

 左の道に進んでいくとまだ出来立てのダンジョンだからかモンスターが全く居なかった。

 

 で、道なりに300メートルほど進んでいくと、また開けた場所に到着した。

 

「地底湖か?」

 

「水の中透けているな……光る石が水の底にも沈んでいて幻想的だな」

 

 とりあえず水を手で掬ってみる。

 

「んん……この臭い」

 

 嗅いだことのある臭いがして、一口飲んでみることにする。

 

「お、おい毒かもしれねぇぞ」

 

 ジョンが慌てるが、俺は口の中で水を転がしてみると、口の中に出来ていた口内炎の痛みが綺麗さっぱり消えてしまった。

 

「ジョン、この水は回復薬だ。この湖全体が回復の泉になってる」

 

「なんだと」

 

 回復薬は軍でも重宝されていて、幾らあっても困るものではない。

 

 傷を瞬時に治せる回復薬は普通錬金術師が作っているが、それも元々はダンジョン等で天然物はなかなか調達できないから錬金術師や薬剤師が薬草を使って劣化コピーを作ったのが始まり。

 

 天然の回復薬であれば腕や足を欠損しても治すことができるくらい再生能力が高いとされていたが……。

 

「流石お嬢様のお作りになったダンジョンだな。質が段違いだ」

 

「光る石、回復の泉……次は何が出てくる」

 

 すると湖の中からプカプカっと何かが浮かび上がってきた。

 

 そのまま陸地に転がると、ポヨンポヨンと弾み始める。

 

 スライムである。

 

 ただ色が金色だ。

 

「金色のスライムって見たことあるか? ジョン」

 

「いや、普通緑か水色だよな……とりあえず倒してみるか?」

 

「そうだな」

 

 剣を抜いてスライムの核を潰すように、俺は剣を振り下ろす。

 

 ジュポンとスライムに当たった剣は液体を切るように沈んでいき、金色のスライムの中の核に刃先が触れると、ビチャっとスライムが飛び散った。

 

「倒したのか」

 

「倒したっぽいな」

 

 俺は最初何事も無かったが、次第に体がどんどん熱くなってくる。

 

「うぉぉぉ!? すっげぇ……力が湧いてくる! なんだこれ! なんだこれ!」

 

 体の内側から力が湧いてくるような感覚に襲われ、俺は興奮する。

 

 ジョンは俺の急変に驚くが、俺は近くにまだ居る金色のスライムを指差し

 

「ジョン、お前も倒してみろよ」

 

「お、おう」

 

 ジョンも金色のスライムを剣で突くと、破裂し、数秒後。

 

「うぉぉぉ!? 体の内側が、筋肉がはち切れそうだ! 力が湧きまくる!」

 

 ジョンも何が起こったのか分からない様子。

 

「ジョンこれってなんだ」

 

「わからねぇ。でも体がめちゃくちゃ熱を持っている。熱い!」

 

「ちょうど湖があるから体を冷やさないか」

 

「そうだな」

 

 俺達は鎧を脱いで裸になると互いの体を見合わせた。

 

 鍛えていた為に筋肉質であったが、腹筋がバキバキに割れて、腕や足の血管が浮き上がっていた。

 

 そして力こぶをしてみるといつもよりも大きく膨らんだ。

 

「全身がパンプアップしてやがる」

 

「体が別人みたいだ」

 

 そのまま回復の泉に浸かると、熱を持っていた体は冷やされていき、疲労等も綺麗さっぱり無くなった。

 

「高濃度の回復の泉ってこれほどまでに効能が凄いのか」

 

「というかさっきのなんだったんだ? スライム倒しただけで全身の筋肉がパンプアップするなんて普通じゃないぞ」

 

「確かに……」

 

 回復の泉から出た俺とジョンは鎧を着直して奥を見る。

 

 すると奥には地下に続く道が繋がっていた。

 

「ここが地下に繋がるポイントだったか」

 

「回復の泉は地下に行く前に回復してから行きなさいってメッセージか? いやダンジョンが意思を持っているわけ無いからそんな訳無いけど」

 

 俺とジョンは顔を見合わせて、一度ミディア様に報告するために元来た道を引き返すのであった。

 

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