追放令嬢のスローライフ〜主目的生存戦略〜   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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黄金スライムです!

「お、黄金のスライム!?」

 

「そうそう、ミディア様何か知らない?」

 

「知らないも何も……」

 

 ハンスとジョンがダンジョンから戻ってきて、報告を受けた私は仰天した。

 

 まず光る石があること……これは別に良い。

 

 石に蓄えられた魔力が枯渇するまでは光り輝いてくれるだろうが、ただそれだけ。

 

 光源として有り難く利用しよう。

 

 回復の泉もまぁ良い。

 

 ゲームだとダンジョンに潜れば時々出てくる場所だ。

 

 軍でも欲しがっていたし、壺を焼いて、それに詰めて父親に流せば支援の量が増えるかもしれない。

 

 問題は黄金のスライムである。

 

 ゲームだと激レアモンスターであり、倒せば莫大な経験値をもたらしてくれる存在。

 

 それが黄金スライム。

 

 黄金スライムの湧くダンジョンは完全ランダムであり、そこを抑えることでレベリングの効率が一気に楽になる場所でもある。

 

 そんな黄金スライムが1階層で自然湧き……これは神ダンジョンだ! 

 

「黄金スライムは倒した相手に莫大な経験値を与えるモンスターで、本来トレーニング等で身につける筋力とか戦闘の経験を一気に身体に染み込ませる事が出来る特殊なモンスター……それが黄金スライムだよ」

 

 ハンスとジョンに説明するとすっげぇと大喜び。

 

「ミディア様をもっと守れるようになりますね!」

 

「そうだね」

 

 ただジョンが黄金スライムを倒した後に回復の泉で身体を冷やさないと、体が熱を持って動きが悪くなるとも言われたので、ゲームとは違い、急速なレベルアップに身体が追いつかなくなるのだろう。

 

 筋肉が成長する時に1回ボロボロになって超回復で前よりも強靭な筋肉になるように……。

 

「その黄金スライムって危なくないっすか? 危なくないなら私も倒して強くなりたいっすが」

 

「わ、私もにゃ!」

 

 やっぱり魔族なだけあって本能的に強くなりたいという気持ちがメイドのリリンとルビーにもあるのだろう。

 

 ハンスとジョンは顔を見合わせるが、危険は無かった、剣で核に当てれば破裂すると説明し、明日からは私を含めて黄金スライム狩りを行う事にした。

 

「俺達も最初は見守りますが、ダンジョンはまだまだ広さがありそうなので、俺とジョンは大丈夫そうなら奥の階層の探索に向かいますからそのつもりで」

 

「了解。今日はお疲れ様ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ベッドの上で、私は今後の魔王軍の流れを考える。

 

 私が追放されたことで親衛隊の権限は四天王の方々並みに強くなった。

 

 そして軍権を握ったロロス第一王子は全戦線の戦略的撤退及び戦線の整理に取り掛かる筈である。

 

 人類側でプレイしていたら必ずこのフェイズに魔王軍は入る。

 

 そして人類側が攻勢を仕掛けてきたのを数ヶ月耐え抜き、人類側が疲弊した所に親衛隊率いる予備戦力を投入して一大攻勢を開始。

 

 疲弊していた人類側は撤退を余儀なくされて、最終的にこの大陸の3分の2が魔王軍の手に渡ることになるけど……兵站を軽視しているロロス王子は前線部隊が物資が届いていないのに攻勢命令を繰り返すから、前線部隊は略奪で物資を賄うしかなくって……。

 

 人類側は焦土作戦で抵抗して、魔王軍に物資を奪われないようにしたから、魔王軍の前線部隊は飢餓状態に陥って、最悪の共食いが頻発するようになるんだよね。

 

 ただ人類側もダメージが大きいから軍の立て直しに時間がかかり、反撃のキーマンとして勇者が召喚されて……人類側各国が聖女、大魔法使い、剣聖、賢者と勇者の5人パーティーを組んで魔王暗殺を決行。

 

 結果ボロボロになっていた前線を浸透して魔王軍中枢に近づき、四天王全員、魔王様が死亡、ロロス王子も重傷を負って指導者不在になり、魔王軍は崩壊。

 

 政治音痴かつ成り上がり者のユリール親衛隊隊長のカリスマでは方面軍の魔王軍の統率はできなくなり、魔王軍は軍属化。

 

 結局力を取り戻した人類軍が次々に魔王軍残党を倒していき、魔王軍はこの世から消滅する……というのがシナリオだったはず。

 

 私の力では勇者の召喚の阻止をすることも、父親の暗殺を阻止することもできないから、魔王と勇者が相討ちになった後で巻き起こる戦乱をどう生き抜くか……だろうなぁ。

 

「やっぱりダンジョンの中に籠もるのがベターかな?」

 

 そんな事を考えながら私は眠りに就くのだった。

 

 

 

 

 

 

 翌日、私達は私の作ったダンジョンの中に潜る。

 

「へぇ……ダンジョンって洞窟の中っぽい感じなんだ」

 

「足元にお気をつけくださいにゃ」

 

「綺麗っすね!」

 

 ルビーは私にが転ばないように支え、リリンはダンジョン内の綺麗さにうっとり。

 

 ちなみに今の私の服装は短パンにTシャツ。

 

 リリンとルビーも同じ服装で、動きやすさ重視である。

 

 それぞれ腰にナイフをぶら下げて、武装している。

 

「じゃあハンス、ジョン案内お願い」

 

「おう! 任せておけ」

 

「こちらですお嬢様」

 

 ハンスとジョンに付いていくと、確かに地底湖になっている回復の泉と黄金スライムがぷにぷにと弾んでいる。

 

 始めてスライムを間近で見たが、外からでも核の部分が丸見えで、ゲームの雑魚敵として出てくるスライムらしいスライムであった。

 

「お嬢様、ナイフを構えて突いてみてください」

 

 ジョンに言われてナイフを構える。

 

 プルプル震えるスライムをジョンががっしりとホールドして動けなくし、ゆっくりとスライムの中にナイフと手を突っ込む。

 

 スライムの中はひんやりしていて気持ちが良い。

 

 核の部分にナイフが当たり、傷が付くと、スライムはブルブルと震えた後にバシャリとスライムの液体を周囲に飛び散らせて黄金スライムを倒すことに成功する。

 

 ハンスとジョンから言われていたが、体の内側から熱くなるような感覚に襲われ、体が火照る。

 

「あっつ! あっつ!」

 

 私は服を脱ぎ捨てて回復の泉に飛び込むと、ようやく火照りが軽くなっていった。

 

「ね、ミディア様言った通りでしょ」

 

「筋繊維が急激に破壊と回復を繰り返すから身体に熱を溜め込むんだろうね。それで回復の泉で回復しないと多分高熱出すことになるわね……これ」

 

「慣れてくれば無くなりますかね?」

 

「どうだろう。多分慣れるとは思うけど……」

 

 プカプカ泉で背泳ぎをしながら浮かぶと、私はリリンとルビーも倒してみることを勧めた。

 

 2人も恐る恐る近づいて、黄金スライムをそれぞれ倒すと、服を脱ぎだして泉にダイブ。

 

「熱かったっす!」

 

「火照りがやばいにゃ!」

 

 とりあえず私はジョンとハンスに泉に浸かりながら黄金スライム狩りしているから先に進んでも大丈夫だよと伝えて、彼らは下の階層に降りていった。

 

 

 

 

 

 

 

 火照りのイメージはサウナや岩盤浴、もしくは炎天下の外で運動をしていて熱が籠もる感じだろうか。

 

 黄金スライムを倒すと全身から汗吹き出して、冷たい回復の泉にダイブする。

 

 泉の温度は20度ちょっとくらいなので少々冷たいが、身体を冷やすのには持って来い。

 

 温泉の水風呂に浸かる様に身体を冷やしたら少し休憩。

 

 深呼吸やストレッチをして体調を整える。

 

 これがまた気持ちいいんだ。

 

 私は魔法でビーチチェアみたいな椅子を石を固めて作り出し、座って休憩をする。

 

「あぁ~整う」

 

 気分は完全にサウナ後に水風呂に入ってキンキンに冷やして休憩すると脳内麻薬が分泌されて究極のリラックス状態になる整うと呼ばれる状態である。

 

「凄く気持ちいいっす……」

 

「眠くなってきたにゃ……」

 

 3回、4回と繰り返していると、眠くなってきて、私達はダンジョンの中なのに、裸の状態でうたた寝をしてしまうのであった。

 

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