追放令嬢のスローライフ〜主目的生存戦略〜   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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戦利品です!

「お嬢様、お嬢様」

 

「ん、ふぁぁぁ……やば、寝てた?」

 

「ええ、ガッツリと」

 

 私はジョンに起こされると、慌てて服を着始める。

 

 一応ここはダンジョンの中、気持ちよくなって忘れかけていたが、危ない場所でもある。

 

「ここの階層はほぼ危険は無さそうですが、無防備で寝るのは感心しませんな」

 

「すみません。反省してます」

 

「全く……ハンス、メイド2人は起きたか?」

 

「ああ、今起こした。流石に駄目だろ。無防備に寝るのは」

 

 おちゃらけ者のハンスでも同意見らしく、メイド2人含めて、私達はこっぴどく怒られた。

 

「というかミディア様ならセーフティハウスを作ることも出来るんじゃないか?」

 

 ハンスがそう言うので、私が魔法を使ってレンガ造りの家を作り出すと、安全性は確実に増した様に思える。

 

 あとは木製の扉を付けるだけだな。

 

 セーフティハウスの中に石で出来たビーチチェアを設置して寝転がる事が出来るようにし、とりあえずの安全な場所を確保する。

 

「ここでなら寝て良い?」

 

「いや、なるべく寝ないで欲しいですけど……」

 

 それでもジョンは苦々しい顔をしていた。

 

 

 

 

 

 軽く寝たことで心身共にリフレッシュでき、レベルアップ効果で蓄積していた疲労感みたいなのも吹き飛んだ。

 

 ステータスみたいなのは見ることができないが、一気にレベルが上がったのは確かだろう。

 

 皆はこれを成長と呼ぶが、ゲームだとキャラごとにレベル表記があったので、私はレベルがあると思っている。

 

 レベルアップの効果として体力や筋力、防御力が上がるのは分かりきっているが、魔力総量や魔力の出力、魔法に対する防御力の魔防なんかも向上する。

 

 つまり今まで出来なかった魔法を使えるようになったり、魔法の威力が上がったりもする訳だ。

 

 レベリングしていけば私には届かなくても魔法使いとして一定の戦力にはなるんじゃないかな? 

 

 私は皆に黄金スライムを倒すと莫大な経験値が体内に蓄積されて、それが身体のレベルアップに繋がり、筋力だけじゃなくて魔力についても底上げされる事を説明すると、ジョンが納得した表情を浮かべた。

 

「なるほど、だから俺のファイヤーボールの威力が強くなっていたのか」

 

 ジョンは2階層でミミックと戦闘したらしいが、その時に魔法の威力が跳ね上がっていた事に驚いたらしい。

 

 手っ取り早く強くなるなら黄金スライム狩りで、肉体的な経験値を得ていくしかない。

 

 ちんたらやっていたら勇者が来てバッドエンドになる可能性もあるし……。

 

「皆も魔族だから強く成りたいでしょ?」

 

 私が聞くと皆頷いた。

 

 だったらやるべきことは1つ、黄金スライム狩りである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジョンから襲ってこないゴブリンやオークの事を聞き、彼らの鳴き声がホブホブ言ってなかったと聞くと、言っていたと言われた。

 

 ゲームにも出てきたレアモンスターのホブゴブリン達である。

 

 普通のゴブリン達より強くて、それでいて友好的なのが特徴で、食料や彼らにとって価値ある物を渡せば相応の品を貰えた筈である。

 

 ジョンが彼らから貰ったという食べ物を渡されると……これは……

 

「魔力の種だね」

 

「魔力の種?」

 

「そう」

 

 食べると魔力が上がる種がなる食べ物で、これは種が育って可食部位が増えている感じかな? 

 

 種を食べると魔力総量が上がるため、魔力総量が少ないユニットの強化アイテムとして使われるお助けアイテムである。

 

 現実だとどれぐらい食べたら効果があるか分からないけど、体に悪い食べ物でも無いので食べても大丈夫だと伝える。

 

「一応種だけもありますが」

 

 ジョンが種だけを渡してきたので、私は手で1粒掴んで口に入れると、種を口の中で転がす。

 

 噛み砕いて見ると、クルミの様な味が口の中に広がった。

 

「うん、美味しいよ」

 

「そうですか……」

 

 皆も恐る恐る食べてみると普通に食べられる味に満足していた。

 

 大量に食べるとしたら砕いて、粉末状にして、クッキーにして食べるのが良いかもしれない。

 

 黄金スライムで経験値を稼ぎつつ、魔力の種でMPを底上げ……どんどん強くなれそうである。

 

「ホブゴブリンやホブオークは敵対しなかったら襲ってくることも無いから関わってきたらクッキーあげる程度の反応で良いはずだよ」

 

「へぇ……お嬢様のモンスターの知識は一体何処から……」

 

 そりゃ疑われるわな。

 

 ゲームの知識って言っても分かるわけないので、後方に居たから色々なモンスターの知識を頭に叩き込んで、有効活用できないか考えていたりしたと説明した。

 

「例えばさ、ホブゴブリンは魔族に対して友好的な態度を取ってくれるから調教するのも楽なんじゃないかとかね」

 

「なるほど……それなら確かに……」

 

 ジョンも納得してくれたらしい。

 

 ダンジョンから出た私達は砦に戻って、ジョンとハンスの戦利品を確認していく。

 

 と言っても魔力の種の実と魔力の種、それに宝箱から手に入れた宝石が少々であった。

 

「宝石かぁ……これもお父様に送って物資と引き換えにしてもらった方が良いかな」

 

 現状ここでは宝石を活用出来る物も無いからね。

 

 だったら父親へのおねだりに使った方が良い。

 

「魔力の種は栽培することはできないんっすか?」

 

 リリンが私に質問してくるが、勿論栽培を試みた事例が報告されていたが、どれも失敗。

 

 ダンジョンの中での栽培も失敗していたので、何か根本的な部分に問題があるのかもしれない。

 

 まぁ私達の場合、栽培することができなくても、ホブゴブリン達から譲ってもらえば良いのでそれで十分だろう。

 

 ルビーが食事を作って並べてくれたので頂くことにする。

 

 今日の料理はじゃがいもとベーコンの炒め物とパン、それに人参のスープである。

 

 食事をしながら今後の方針を話しておく。

 

「ハンスとジョンは引き続きダンジョンの探索を続けてほしい。ルビーとリリンは当分黄金スライム狩りでレベリング。私は新しく倉庫作ったりダンジョンの外での作業をするからそのつもりで」

 

「「「「はい」」っす」にゃ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日。

 

 私がやるべきことは魔法の鍛錬。

 

 それと父親におねだりするための交渉材料集めである。

 

 まずはストーンゴーレムを幾つか作り、彼らにバケツを持たせてダンジョンの回復の泉から水を汲んできてもらう。

 

 汲んできている間に、私は粘土を成形して大きめの壺を作って窯で焼いていく。

 

 魔法の力で一気に焼き固めて、ひび割れないように補強の魔法をかけてそこに回復の泉の水を入れていく。

 

 あとは2階層に落ちている樽をゴーレムに持ってきてもらって、中に回復薬を詰めて地上に持ってきてもらう。

 

 それを繰り返すだけでも魔法の鍛錬になるし、おねだりの交渉材料も貯まっていく算段である。

 

 早速ストーンゴーレムを作り出してダンジョンに向かわせ、私は壺作りをしたり、ゴーレム農園に水をかけたりするのだった。

 

 

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