IS―NEON GENESIS―   作:枯木の竹光

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いよいよ原作要素が大幅に入ってきます。


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6.

 

―*―*―*―

 

 

 

きっかけは千冬ちゃんから、駄兎と一緒の高校へ進学したとの連絡を受けてからしばらくした頃だった。

あの駄兎のことだから高校なんていかず、大学をすっ飛ばしてうちあたりに押しかけてくるもんだと思っていたが、親友と一緒にいることを選んだようで。

存外年頃な考え方もできるようだと感心していたところで、それが起きた。

とある国際学会にて飛び入りで持ち込まれてきた論文。

論文の著者、発表者はもちろん駄兎こと篠ノ之束。

弱冠16歳の小娘が発表する論文だということで、学会に集まっていた大部分の学者たちは彼女を軽んじた反応だったが、彼女が発表した内容がそれを加速させた。

IS(インフィニット・ストラトス)

宇宙空間で人間が活動することを目的としたマルチフォーム・パワードスーツ。

ISコアと呼ばれる部品を中核としたそれには、宇宙空間に漂うスペースデブリから装着者を守る絶対防御やバリヤー、重力圏においても重力の影響を受けず3次元空間を自由自在に駆け回ることを可能にするPIC(パッシブ・イナーシャル・キャンセラー)制御、装着者に自身を中心とした全方位を視認することを可能にさせるハイパーセンサー、さらには武装や機体の量子化・データ化技術等々、現代技術の水準をはるかに上回る超技術が盛りだくさんに搭載されていた。

そんな現代科学を置いてけぼりにした論文を、頭の固い老人たちが到底受け入れるわけもなく。それもしょうがないことだったのかもしれない。この時学会に参加していたアッシやユイさん、冬月先生でさえも、あまりの衝撃で思考停止状態になっていたのだから。

 

そんなわけで虚しいかな駄兎の書いた論文は子供の戯言とバカにされる結果となったのである。

だけどまぁ、この時ばかりは自分の夢をバカにされた駄兎には同情したもんだ。

いつもいつも尊大な振る舞いで周りを振り回し、しつこいくらいにアッシや先生に付きまとい、シンジ君たちにもちょいちょい余計なちょっかいをかけてきた駄兎。

正直うっとうしかった。前世のパリ作戦で大量のエヴァ44A型に集られた時ぐらいうっとうしかった。やれるならエッフェル塔をぶち込んでやりたいと現実逃避したもんだ。

だけど自分の夢である無限の成層圏(インフィニット・ストラトス)へと行くことを語る時だけは、目を輝かせて年相応の子供のようにはしゃぐ姿は嫌いじゃなかったし、彼女の語る人類が宇宙へ進出する未来には私も惹かれるものがあった。それが人類の歩んでいくべき未来として歓迎して然るべきものだと直感していたから。

 

けれどもそんな未来を閉ざしてしまう行動を、他ならない駄兎本人が犯してしまうことになる。

凡人と見下して興味もなかった他人から自分の発明をバカにされたアホ兎はあろうことか実力行使でそれを認めさせる方針に転換したのだ。

 

1ヶ月後、駄兎は世界各国の日本を射程内にするミサイル基地を同時にサイバー攻撃をしかけハッキングした。日本に2000発以上のミサイルを撃ち込むために。そして、それを迎撃する人類史上初のIS『白騎士』の晴れ舞台を演出するために。

迫りくるミサイル軍の前に突如として現れた白騎士。

これが従来の兵器なら圧倒的な物量の前に撃墜されてしまうはずが、白騎士は手にしたプラズマブレードのみで瞬く間にミサイルを殲滅してしまった。その後出撃してきた空自の戦闘機や世界各国から送り込まれた兵器軍に対し死者をださずにこれを無力化するという圧倒的な性能を見せつけ、白騎士は姿を消した。

これを機に世界はISの存在を認知することになる。

ISの本来の姿である宇宙開発のためのマルチフォーム・スーツではなく現代兵器をことごとく凌駕する最強の兵器として。

 

ほんと、本末転倒というか。マッチポンプをやるにもやり方があるだろうとか。言いたいことがありすぎて何が何やら。てか『白騎士』に乗ってた女の子って絶対にあの子だよね?

あの兎が自分の発明品を使わせるとしたらあの子をおいてほかにいないだろうし。

というかテレビ中継中にチラッと映ってたけど、ヘッドギアからはみ出てた黒髪とか、あの太刀筋とか見覚えがありすぎるんですけど?

まぁ何も言わないけどさ。本人も言ってほしくないだろうし。

 

ともかく肝心の天災は姿を隠し、風の噂では篠ノ之家も国の重要保護プログラムとやらによって離散状態となってしまったそうだ。

何時の時代も、というかどの世界でも世界を動かすのは独りの狂人なんだなとしみじみ感じる。それによって一番の被害を受けるのはその身内だということも。

 

 

はてさてこの世界はいったいどこに向かっていくんだろうかね。

 

 

 

―*―*―*―

 

 

 

 

「ハロハロ、束さんだよー!」

「何しにきやがったファッ()ンラビット」

 

なんで通常運転でここに会いに来てンだこいつは。

束さんはふぁっきんじゃないもん!!という抗議には耳を傾けてやらない。

だいたい国際指名手配犯だろうがおめー。

あのあとこの駄兎の関係者として睨まれてどれだけ長時間の取り調べという名の拘束を受けたことか。しかもシンジ君たちに『おねーちゃん悪いことしたの…?』と涙目で言われた時の罪悪感ときたら一入だったんだぞ。心臓に悪いわ。

 

あのミサイル事件、巷では白騎士事件と名付けられたそれから、世界は激動の毎日だった。

IS白騎士が国内の企業に技術提供され、ISに関する技術の解析が行われていたが、

ISでもっとも重要な部位であるISコアがブラックボックスとなっており、製造もこの駄兎本人でしかできないと判明。前日の件もあり駄兎は国際指名手配され雲隠れ状態。

駄兎のラボや自宅から見つかったコアは467個のみ。というわけで世界各国は日本に対し、数少ないISコアの各国への平等な配布と技術情報開示を要請。

結果として上記の内容と、ISの軍事転用への制限を定めたIS運用協定、通称アラスカ条約が締結された。

つまり何が言いたいかというと、世界はいまだにこの天災によって混乱の日々を送っているということだ。

研究室にあたし以外の人がいなくて良かったなお前、というかあたしが一人でいる時間を狙ってここにきただろ。

 

時刻は夜中の10時半、他の職員のほとんどが帰っている時間である。

 

「もぅ意地悪なマーちゃんにはプレゼントなんてあげないんだからね!?」

「陳腐なツンデレ構文を使うんじゃないよ。てか、何?プレゼント?」

「そう、プレゼント!」

 

気になるー?気になっちゃうー?

 

にへへ、と腹立つ笑顔で煽ってくる駄兎。

さっさと用件を言いなさいよ、追われる身なんでしょうがあんた。

 

「このプレゼントはね、その時の学会で真剣に聞いてくれていたマーちゃんとセンセーへのプレゼントなんだよ!束さんの夢を嗤った老害どもと一緒の扱いしたらマーちゃんたち可哀想だしねー。」

 

真剣に聞いていたというか呆気に取られていただけというか。

そんな私の様子を介さず光り輝く丸っこい物体を頬り投げてくる指名手配犯。

なんぞこれ?

 

「ISコア」

「は?」

「いままで467個作ったんだけどさー、無知蒙昧どもじゃつまらないことばっかに使いそうじゃん?だからマーちゃんやセンセーに渡してみたら楽しいことやってくれるんじゃないかと思って」

「おい待て」

「センセーのところにも同じやつ何個か置いといたから!」

 

それじゃーそういうことでー、と言いながらダダダッと走り去る駄兎。

 

暫く思考が止まる。

手元にはピッカピカに光るISコア一つ。

これが先生のとこにも?

しかも複数?

 

 

あんのやろー、特大の爆弾置いて逃げやがった…!!

 

 

振り上げたこぶしをISコアごと机にたたきつけたい衝動に駆られるが、一歩のところで踏みとどまる。

その状態のまま2,3拍おいて深呼吸してからすでに自宅に帰っているであろう冬月先生に電話をかける。

 

「マリ君かね?実は先ほど篠ノ之君が来たのだが…」

「先生、言いたいことはわかります。とりあえず明日にでも所長を交えて相談しませんか?」

「…それが無難か。」

 

それではまた明日。と電話を切る。普段感情を表に出さない先生も今回ばかりは動揺を隠しきれていなかったようだった。

無理もない。国際指名手配犯からISコアを、ましてやナンバーが無記名な(・・・・・・・・・)コアをもらったなんてどう考えてもこのご時世じゃ爆弾案件すぎる。

下手すれば政治的圧力を受けて研究所がつぶされるぞ。

せっかくゲンドウ君とアンチSEELE共同戦線(仮称)を組んで、研究所を中心にしたコネやら情報網やらハッキングルートやらを構築しつつあったというのに、こんなことでパーにされては目も当てられん。

我らがいとし子たちのためにこんなところで立ち止まるわけにはいかないのだ。

 

あー頭痛がいたい。

 

あまりの頭痛にIQがゴリゴリ減っていく音がする。

 

おかしいにゃー?

前世通りのポジショニングなら、アッシがみんなを引っ掻き回す側だったんだけどにゃー?

それがいつの間にやら過労死ポジションだぜぃ?

どこで間違えたー?

 

もういいや、もうどうにでもなれ。

どうせこの手の政治事はゲンドウ君の分野だ。

面白そうなこと考えてる凡人と興味だけは向けられていたようだけども、

自分だけあの天災の感性ネットを潜り抜けおってからに。

今のところは面倒ごとの匂いを感知したら雲隠れする陰キャの特性をフル活用して逃げ回っているようだが、今度ばかりは逃がさん。

貴様も道連れだからな(`・ω・´)

 

明日先生の分含めて全部丸投げしてやる、と決意しながら、

てきとーな金庫にISコアをぶち込み、帰る準備を始めるアッシなのであった。

 

もぉーちかれたちびっこたちのにおいかぎたい

 

6.fin

 

 




来週、再来週は原稿ストックを書き溜めるため投稿をお休みしようと思います。
楽しみにしてくださっている方々には大変申し訳ありませんが、なにとぞご容赦を。
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