「ほらほら鬼さんこちら!」
「クソが!!!」
辺りを破壊しながらその戦いは続く
しんのすけがマスキュラーの筋肉を避けるたびに何かが壊れ破片が弾丸のように飛び跳ね死地の空間になっていた
切島は硬化で弾き芦戸はアシッドマンで溶かしてそれを防ぐ
ヒーロー志望なら周りの被害を考えなければならないがあいにくしんのすけにそんな殊勝な心掛けはない
むしろ積極的に壁にして攻撃を防いでいた
しんのすけは既に血まみれケガの程など本人にしかわからないが重症なのは確か しかしそれでもしんのすけの動きは洗練されていくまるで歯車が噛み合っていくように
その凄さはまだ誰にもわからないが【しんのすけはまだ目覚めたて】
記憶の自分と今の自分が擦り合わないのはひとえに怪我のせい理想のパフォーマンスが出せないからだ
だからしんのすけは今、慣らしている完全を引き出すために
「だったらァ!」
マスキュラーは筋肉を広範囲に広げ逃げ道をなくす
「潰れろ!!」
筋肉の広範囲攻撃に四方を囲まれたしんのすけは
「いつついつでも芋虫行脚!」
スルルルルルル
「なぁ!?」
芋虫のように床を進み地面と筋肉の隙間を抜けた
「あの体勢でメッチャはえぇ!!」
「でも血が!!」
しんのすけが進んだ地面には少なくない血の跡
今も流れ続けているこのままでは持たないそれを確信して二人も動く
芦戸が酸を振りかけるが筋肉が邪魔して届かない
切島も硬化して殴りつけるがソレも筋肉でガードされる
「緑谷とやるために防御はある程度考えてんだよ!お前らには力が足りねぇ!火力不足だ!!」
マスキュラーはこれまでの戦いからこの三人は緑谷のような超パワーはないと確信油断しなければ消耗戦しかししんのすけは既に死にかけ 状況的に自分の有利だと疑わなかった
しかし、相手は【イレギュラー】野原しんのすけ
マスキュラーよりも不動のアンストッパブル
その勢いは止まるどころか加速していく
「鼻毛出てるぞ」
「なぁ!!?」
殺す気マシマシの相手に超至近距離での接近
物間当たりなら唇を奪われているであろう距離にマスキュラーも気圧される
拳を繰り出すもやはり避けられる
死ぬかもしれないプレッシャーを一切感じないしんのすけは正真正銘悪すらドン引かせるクレイジーなのだと状況が物語る
まるで踊るように笑顔で楽しく即死の攻撃を避ける
そこだけお遊戯会のステージのようでマスキュラーはどんどん調子を崩される
相手のペースを狂わせ自分のペースに持ち込むしんのすけの得意技
自分を倒す有効打なんてないと分かっていてもマスキュラーは何故か焦りが止められない目の前の生き物が理解ができない
「ちっ! 俺は負けない!それは確かだろうがぁ!!!」
そんな自分を誤魔化すように叫び声を上げ子どもの癇癪のように暴れる
それが隙となった
「やっつやっぱり柔軟弾丸!」
「「「!!?」」」
しんのすけは身体を丸めてボールのような形になり跳ね回るそして球体のまま
ゴチン!!
「おっ!!!!!!」
股の間にストライクをかました
切島が一瞬青ざめるがすぐに立て直す
そしてポヨポヨと跳ねたまましんのすけは二人に合流
「切島くん!剣だ!」
「!」
しんのすけの言葉に切島は直立不動になる
「斬切島剣(きりきりしまけん)!!」
切島を竹刀代わりにしてマスキュラーに畳み掛ける
股の痛みが抜けきっていないマスキュラーは面、胴、篭手の三連撃を素の肉体で受けてしまう
鈍い痛みだが耐えられると前を向くと正面の二人を捉えようとするが
本命は後ろ
「アシッドマン・ALMA!!!!」
「何!?」
溶解度MAXの酸撃 自分の手がとけるほどの大技
二人が囮になり芦戸がマスキュラーの後ろに素早く回り込みぶつける
信頼関係があるからこその高速連携
「腕がァァァァ!!!!!」
筋肉でも覆ってもギガントマキアすら溶かした酸はマスキュラーの右腕を溶かしていく
一部分からは骨が見えていた
「油断しないよ!マスキュラー!!」
それがマスキュラーの怒りを引き起こした
全身から筋肉を出しまるで翼のように形作る
「うあ!」
「しまった!」
その2つの筋肉の塊が硬化したままの切島とアシッドマンの芦戸を包む
硬化のトゲで刻まれようが芦戸の酸で溶けようがお構いなしに二人を締め上げていく
しかしマスキュラーは無個性のしんのすけを軽く見て拘束を怠った
「捕まえる必要はもうねぇ!潰れて死ねぇ!!!!」
「「しんちゃん!!」」
二人を拘束したまま正面のしんのすけに筋肉でデキた鞭の連撃を浴びせる
一撃一撃が人間を真っ二つにするほどのしなりと威力
だが
ポワン
ポワンポワン
ポワンポワンポワンポワンポワンポワンポワン
「みっつみだらに猫手反発!」
その全てをパリィしていく
両手を猫の形にして人すら切断しそうな凄まじい攻撃をしんのすけはいなしていく
マスキュラーは攻撃を止めない
しんのすけは何度も反発する
全身全霊で攻撃を反発して避けていく
「お前なんか怖くない」
「!!」
そしてしんのすけは未だに笑顔だった
切島が既視感を感じた
それはもう随分前の記憶
最初にヴィランと戦ったUSJの記憶
そのクライマックス
「あの時の、、オールマイトと同じ、、」
それはヒーローの凄まじさを理解した最初の衝撃
後から緑谷に聞いた話
オールマイトはショック吸収の個性の脳無との戦いで
一発一発が全部100%以上
切島がそれと同じものを今感じているということは
(あの猫手反発って技がどういう技なのかまだわからねぇ!けど!間違いねぇ!しんちゃんは!)
あの技をやみくもに出してるんじゃない!
一発一発が全部!100%以上の集中で立ち向かってる!
爆風が巻き起こるほどの攻撃の嵐にしんのすけは血を流し吐きながら自分だけの嵐で相殺する
そしてマスキュラーに近づいていく
「ヒーローは諦めない!何度でも立ち上がって正義のために戦うからカッコいい!!」
今までで最も近い距離にたどり着いたしんのすけは
拳を握る
(何だ!?コイツに火力のある技はねぇ!応援二人もまだ捕まえてる!コイツに脅威はねぇ!!)
振り上げる
「オラはお前より怖いものを知ってる」
全身全霊の力を込める
それは【暴力】を超えた【お仕置き】
しんのすけが現時点で出せる最大の大技
それが炸裂した瞬間マスキュラーは地面に叩きつけられた
「お前より怖いもの、、、それは母ちゃんだぞ」
最凶にして最大の大技・野原家母ちゃん流拳骨
倫理感の問題で【暴力】を振るえないしんのすけが出せる最大の技本人的には【お仕置き】の技
「かっ、、、、、、、」
脳を揺らす衝撃にマスキュラーの意識は暗く飲み込まれていく
拘束なんて解けて動くことができない
解放された二人は胸の高鳴りを抑えられない
しんのすけの戦いは見るものに勇気を与える
まるで行進曲のように
(このままじゃ気絶しちまう!その前に奥の手を!)
マスキュラーは最後の力を振り絞ってポケットからあるものを取り出す
それは【DX】と書かれた瓶だった
ブラックスターから渡された新しい力
それを口の中に瓶ごと放り込んで噛み砕く
動物化ドリンクの【DX】を
「オオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!」
雄叫びが響き渡る
その姿は元から巨大な上に更に巨大な姿
キングコングの姿だった
しかし切島と芦戸の二人にもう恐れはない
何故なら
「間に合ったか!?」
「何だあれ!!?」
「マスキュラーなのか?」
「エエエ!なにこれどういう状況!!?」
ファットガム事務所のみんなが来てくれた
そして
自分達よりもボロボロなのに身体が動いてしまう男
だからこそ自分たちも負けはしないと力を込められる
しんのすけが彼らに行進曲を聞かせるように
「「行こう!しんちゃん!!」」
「ホホイ!!!」
行進曲は前に進む者のためにある