「どっかいけよ!ガキ!」
突然現れた子どもに■■は声を荒らげるが
「ガキじゃないも〜んしんのすけだも〜ん」
だがしんのすけは全く意に介さない
自分を特別視して基本他人を見下している■■はイライラを募らせる
「俺はヒーローになるために訓練してんだよ!邪魔すんな!」
「えぇ~泣き虫なお兄さんがヒーローになれるの〜」
その瞬間ハッとして目元を拭う
「泣き虫って!いや違う!泣いてない!」
「泣いてたぞ」
「泣いてない!」
「泣いてたぞ」
「泣いてない!」
「泣いてたぞ」
「泣いてない!」
「泣いてない」
「泣いてた!!!」
「あっ」
「お兄さん意外と天然?」
「〜っ!〜〜っ!〜〜〜っ!」
煽りスキルの高い子どもに炎を出しそうになるが最低限の理性がそれを止める
「そもそも火をちゃんと片さないなんて子ども〜」
何故自分は年下に常識を説かれているんだと頭をかきむしる
「ちゃんと消してから帰るつもりだった!」
「あっアクション仮面の時間だからまたね〜」
そしてしんのすけはあっさりと帰っていった
■■は暫くポカンとしたあと
「二度と来んなーーー!!!」
それは実に子どもらしい叫び声だった
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青い炎を纏った髪の毛がバクになったしんのすけに巻き付こうとする
そしてしんのすけは
チュウウウウウウウウウ!!!
「あの髪の毛啜ってんぞ!!?」
「燃えてるのに!?」
巻き付いてきた髪の毛を啜りまくる
「オラ!小籠包の方が熱いと思う!!」
「「えぇ~」」
この状況で食べ物に例えるしんのすけに二人は引いた
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家に帰り父親に注意されていた
外を見ろだの沢山の世界があるだの
わかるはずないのに
後ろに弟を抱えた母がいる
怒りが湧き上がる
炎が、、、
そもそも火をちゃんと片さないなんて子ども〜
その瞬間頭に浮かんだのはあの時の言葉
「っ!!!もういいよ!!!」
真っ当な子どものイラつきが炎を止めた
火は灯らなかった
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「むぐううううううう!!!!!」
「なんだか知らんが頑張れ!」
「お前ならどうにかできるんだろう!?」
「やっぱり熱い!けどまだまだ〜!!!」
しんのすけは髪の毛を吸い続ける炎が熱かろうがお構いなしに
「ヒマなお兄さんしっかりしろ〜!!!」
しんのすけの叫びが響いた
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「なんでまた来てんだよ!!」
訓練の為に瀬古杜岳に登ったらまたあの子どもに出会った
「そこに山があるから?」
「うぜぇ!!!」
■■は怒りのままにしんのすけを捕まえようとするが軽く逃げられるそれが神経を逆なでし本格的な鬼ごっこが始まった
個性は使わなかった
第三者から見ればそれは普通に遊んでいるようだった
そんな事が何度も続いた
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「また、助けるのね」
サキの悪夢が口を開く
「あなたのせいで私、消えかけたっていうのに」
サキが悪夢を乗り越える
それは悪夢の縮小を意味した
「本当に、、、」
だがサキの悪夢は笑っていた
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「俺は、、、失敗作」
弟に縋る時の目で訓練をしていると
「ジィーーーーーーー」
「何見てんだよ!!?」
またあの子どもがやってきた
それがもう何度も続いている
「だって■■くんが言ったんじゃない俺のこと見てよって」
「! あれは父さんに!」
「寂しンボならオラがずっと見てて上げる〜また泣いちゃうかもしれないし〜お兄さん面白いから」
「泣いてない!面白くない!俺はエンデヴァーの息子だぞ!」
その子どもはどんなときでも■■の前に現れた
そしてその時は決まって火傷なんてしなかった
その時の■■はただの子どもだった
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「火が弱まってないか!?」
「今だ一気に吸い込め!」
髪の毛の火がどんどん弱くなっていく
何故そうなっていくのか誰も知る由もなかった
「ちょうどよく温かいぞ〜〜!!!」
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■■の炎が赤から青に変わった
■■は炎が強くなったことを喜ぶ前に
「すぐ焼き芋焼けた〜」
「俺の炎をこんなことに!!」
自分の個性で焼き芋を作るしんのすけにイラついていた
「焼き芋焼き放題じゃ〜〜ん羨ましい」
「そんな使い方しない!」
火力が上がった炎をしんのすけは楽しく使うことに使った
芋を持ってきては作ってと何度もねだるものだから■■は根負けして焼き芋を作った
床に寝転んで虫のようにジタバタするというスタンダードな癇癪にえぇ~と思った
「ほらほら〜オラの特性焼き芋召し上がれ♡」
「俺が!焼いたんだろうが!!」
■■の炎では焼き芋ができる前に炭になってしまう
出来ないというのは彼の自尊心が許さなかった
だから【火力を上げるのではなく火力を調節する技術】をいつのまにか身に付けていた
いつのまにか涙を流さなくなった
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ズズズズズズズズズズズズ!!!!!
「あぁ!?」
「髪の毛が!」
髪の毛の塊が小さくなっていく
そしてその中心に氷叢は居た
意識がないのか動いていなかった
「よっしゃー!もう一息〜〜!!!」
しんのすけはバクの状態のまま氷叢の男に向かって手を伸ばした
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「ちくしょう、、、お父さん」
心の熱が溜まりあふれる
感情の高ぶりによる個性の上昇
強い炎が身体を焼こうとする
熱い
熱い熱い
熱い熱い熱い熱い熱い熱い
口の中が熱い
口の中?
「あっつ!?」
「ホイ、寒い日には肉まん」
いつのまにか口に肉まんが押し付けられていた
「お腹すいたの?元気ないぞ?」
いつもどおりの顔にいつもどおりの声
「っ!」(ポロポロ)
「え!?」
■■の目から涙が溢れる
「えっとホントにお腹すいたの?え?え?お?」
その日は泣いた それだけだった
それくらいしか起こらなかった
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バクのしんのすけはその巨体で氷叢の男を抱きしめる
そして身体にまだわずかに残っている髪の毛を吸い尽くした
「大丈夫!ヒマなお兄さん!!」
しんのすけが動かない彼に声をかける
すると
「アチィ!!」
身体が燃え始めた
髪の毛は既になくなっている
つまり燃えているのは【本人の悪夢】
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その日は■■はビニール袋を持って瀬古杜岳に登っていた
中に入っているのは肉まんだった
年下に貸し借りなんてしたくなかったから
そしていつもの場所につくと
そこは一面焼け野原だった
なんでと驚愕する
目を見開いて周りを見る
あいつは?
まさか!!
嫌な想像が頭を巡り■■は声を出してしんのすけを探す
いつまで【夢】を見てんだよ
そんなやついねぇよ
明日なんてこなかったろ
お前が焼け野原を作ったんだろ
お前が自分でいったんだろ
【過去は消えない】って
でも もしも そんなやつに出会えていたら
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氷叢の身体が高熱を発する
青い炎が周りに散らばり火の粉が弾ける
誰もが苦悶の顔になるその状況でしんのすけは
「花火みたい」
その青い炎をキレイだと思っていた
凄まじい炎 偏執の炎 死の炎
様々な人間が彼の炎を畏怖する中で
しんのすけが しんのすけだけが
人を喜ばせる可能性を見ていた
「でもねヒマなお兄さん」
しんのすけの身体が光りそして
「あいつ!」
「元に戻ったぞ!?」
元の姿に戻る
「しんちゃん、、、」
サキの悪夢がその背中を見る
何故かその時の背中は大きいような気がした
「火は危ないんだぞ」
しんのすけが思い浮かべるのは昔、父親に叱られた時
友達と焼き芋をやってミスをして火が広がって父親に助けられて叱られた思い出
しんのすけは走り出す氷叢に向かって
舞い散る火の粉を避けながら
熱さで肌を痛めながら
今のしんのすけには何故か氷叢が自分よりも子どもに見えた
だからしんのすけは
危ないことをする子どもを叱りつけるようにその拳を握る
あの子にちゃんと危ないんだぞと伝えたいと思いを込めて
■■は目を開けてその男を見た
その男は自分を【全力で見ていた】
「花火をやる時や焼き芋を作る時は〜〜〜!!!」
重なるのは自分を倒した弟の姿
「ちゃんと水を用意しときなさ〜〜〜〜〜い!!!!!!」
その拳から繰り出された拳骨は炎を凌駕する嵐の一撃だった