守れなかったモノを見ないふりして
傷んだ上から蓋をして
浅ましくも築き上げてきた
そんな言葉を誰かが言った
もしかしたら何とか出来た 助けられた可能性
しかし【この問題】は【解決策】が無かった
本当にどうしようも出来なかった
だが【当たり前が壊れる時】必ずぶり返しが来る
明確に【無】の名前を付けられたそれは絶対の確率で劣等を生むのだから
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少なくない者たちが看板や絵を掲げて大声を上げる
「動物化ドリンクを合法にしろーーー!!!」
「外国の動画を見たか!?」
「今必要なものだろうがーー!!」
「人間は平等だろう!」「無視するなーー!」
「無個性に救済をーー!!!」「危険性皆無だ!!」
「今までが可笑しかったんだーー!!!」
「俺達だけが我慢しろってか!?」
「力がないからって抑圧するのか!!?」
「肩身の狭さなんてわからないだろう!!」
「俺達に個性をーーー!!!」
「テロが起こったら無個性の者たちは自衛の手段が限られるんだぞ!」
「世界中が望んでいるんだ!!!」
「一部の国では既に公式にしていいとの情報があるんだぞ!」
「個性を持って何が悪い!?」
「私達もほしいんです!生まれたときから!」
「緑谷出久も元は無個性何だろう!?」
「そんな彼が英雄になった!」「あいつだけずるい」
「僕たちに可能性をーーーー!!!」
「何も悪い事してないのに生まれたときから俺達は」
「生まれで人生が決まり過ぎなんだよ!!」
「動物化ドリンクがアレば!僕もヒーローに!!」
それは市民のデモ
大打撃を受けた日本では今さら珍しいものではない
目的は動物化ドリンクの合法化
だが【内容が同じデモが世界中】で起きていた
世界総人口の八割が何らかの個性を持って生まれる
逆にいえば【二割】も無個性がいるということ
生まれたときからどうしょうもない劣等感や嫉妬する人生を定められた無個性に生まれた人間達
そんな彼らが動物化ドリンクという個性に対応しうる力を手に入れた もしくは手に入れられる可能性が出来た
動き出すものがいるのも仕方ないことだった
そして
ここにはその二割の人間だった少年がいる
「もし、、、オールマイトに出会わなかったら、、、僕もあの中に」
緑谷出久
無個性である身でオールマイトの個性を受け継いだ
人生が一変した 夢を見た少年
無個性達のデモを直視しなければという責務を背負いながら目をそらしてしまいたいと思う彼の反応は怠惰でも惰弱でもない
彼らを見るたびに心がざわつく
自分は人に恵まれた ただそれだけ
緑谷出久はそう思っている
見てて辛い
自分がデモの理由の一つになっているのが心の底から申し訳ない
ミシミシミシミシミシミシミシミシミシミシ!!!!
「いったたたたたたたたた!!?」
だが周りはそう思っていない
「ずいぶん傲慢だな 緑谷出久」
「物間くん」
緑谷の頭にアイアンクローを決めていたのは物間だった
「ただ選ばれただけで真面目に努力してた僕たちが抜かされてたまるか、お前もカリキュラムをこなして努力していた違うか?違わないね、自分を卑下したら僕たちに屈辱を与えるとがわからないのか?僕たちの努力すら恵まれただけで乗り越えたと言うつもりか?」
「ご!ごめん!!」
たとえ緑谷出久が元は無個性でも彼の死にものぐるいの努力があったからこそ
オール・フォー・ワンを倒し英雄と呼ばれるのは当然のこと
確かな偉業を成し遂げておいて自分を卑下するのは周りへの侮辱になると物間は伝えたかった
緑谷出久はオール・フォー・ワンとの戦いで世界中に勇気を与えた
だが世界には善人もいれば悪人もいる
悪人が緑谷の勇気を理由に動いてしまう事も
善人が緑谷の勇気で正義を暴走させる事も
どんな影響を与えるのかは人の数だけその可能性がある
デモの大義名分の理由になるのもその可能性の一つ
「、、、、もし彼らが声だけでなく暴力すら使ってきたら本来あっち側の君も、その恵まれた力を叩きつけて止める、たとえ傷つくことになっても罪悪感を感じることになっても、、、それはわかるな?」
「うん」
そしてヒーロー志望である以上ルールによる人への対処もやらなければならない
たとえ自分に覚えがあり共感できるものであったとしても
「その前に俺が止めてやるよ」
「「!」」
「御生憎様、俺は無個性いじめには慣れてるからな」
「、、、かっちゃん」
爆豪勝己は別に緑谷が無個性だからいじめていたんじゃない
その奥にある勇気を否定したかったからだと一部は知っているがそれでもいじめをしてしまったのは事実
そしてどんな理由でもいじめは肯定されない
「俺が一番に突っ込んでそんでそのまま制圧してやるよ、、罵倒する暇すら与えねぇ」
人並みの責任を感じながら爆豪は作り笑いでそういった
「じゃあオラがかっちゃんをお助けしようかな〜」
「「「!」」」
「ほら、、、、爆発使わなかったら、、、多分オラの方が足速いし」
「憶測で俺を測るんじゃねぇ!!」
そしてシリアスな空気なんて一息で吹き飛ばして台無しにする男 野原しんのすけ
「こいつを見ろ 誰もが欲しいと即答する身体能力を持って誰もが欲しくないと即答する脳みそを持っているグレートアンバランスの生命体を」
「物間くん!?」
物間のあんまりな言葉に緑谷は口をポカンと開ける
「野原しんのすけはもっと考えろ 緑谷キミは考えすぎるなってことだ」
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プルルルルルル ガチャ
『もしもし俺だ』
『おう、バレル こちらママ』
『準備しとけ』
『人数は?』
『予想の3倍だ』
そこは彼らのアジトの一つ
そしてそこでとある計画が練られていた
『俺達の動物化ドリンクがジワジワ広がってずいぶんな人数になったぜ!時間をかけたかいがあった!』
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「またお会いできて光栄です!教祖様!!」
そこにはフレクト・ターンとかつての信者たちがいた
「しばし待て 時期に動き出す」
思想団体・ヒューマライズ
復活した教祖からの呼びかけに世界中の元信者たちが集まった
「これは病を持つ者たちと戦うための聖武器である」
教祖自らが配ったそれは動物化ドリンク
団体の中身からしてほとんどが無個性
それ故にドリンクへの意識は高い
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世界中で似た形のデモが起きている
そして【招集】されたのはほんの一欠片
しかし世界中から集めた無個性の同士は一つの国にならば十分な数と言える
「酷使させてもらうぜ黒霧」
バレルがトリガー・ボムの類似品【トリガー】の薬物を黒霧に注射する
個性がブーストしたことによりワープゲートが更に広がり
【国境】のショートカットすら可能にした
「ヒューマライズの信者共、そして、動物化ドリンクを求めた無個性の過激派共、世界中から集めた即席の軍隊総勢三十万人」
三十万の即席ヴィランが日本になだれ込む
彼らの狙いは一人の【英雄】
無個性が動物化ドリンクで【英雄】を倒せば
その影響は世界中に届く
そしてデモの有用性が証明され
無個性の叫びが届く
自分たちはやり遂げたと自分たちは間違っていないと
それが集められた彼らの望み
「前々から考えてた計画だ、緑谷出久に三十万人をぶつける、、、優しさ故に同情と共感ができる相手に手加減しちまうのを期待してな」
無個性の理想が悪意に利用された