「完全に遅刻だぁ!!」
「いい大人が声を上げるなよこっちが恥ずかしい」
デクとShigarakiが個性の円環状の足場で浮遊しながら貧国地区に向かっていた
デクが交通の整理やらおばあさんの荷物を持つやらで寄り道しまくったからだ
「はぁ、、あのメンツならとっくに手柄取られてるかもな」
「それならそれで早期解決でいいよ」
「俺だって名前を上げたいんだよ」
Shigarakiの文句に答えながら速さを緩めず彼らの所に向かって行く
そこにナニがいてナニが起こるのかまだ二人は知りもしない
「なんか嫌な予感が」
「予感で動ければ世話ねぇよ」
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「埋めてくれ」
「大人が頼むことじゃないと思うぞ」
「大人じゃなくてもだめだろ」
全員が円を作るように集まって座り込んでいる
最初の埋めてくれはオールマイトからでた言葉だった
そして爆豪はさっきとは違う理由でハイライトの無い目をしている
憧れの人の知りたくなかったことを知ってしまったからだ
「取り敢えず元に戻って良かったね!」
葉隠が元気よくそういった
オールマイト・爆豪勝己・峰田実の三人はあの後しんのすけの拳骨を受けて正気に元に戻った
そしてオールマイトは自分のやらかしに絶望していた
「自分の秘密を暴露したばかりか教えるはずの年齢の野原少年に長年命懸けで磨いてきた戦闘行為でボロ負けするなんて」
「うん弱かったよ」
「かはっ!!!」
「もう止めてあげてくれ」
尾白がしんのすけを止めようとするが
「喧嘩に負けていじけるとかそれこそ大人げないぞ」
「ガバッ!!!」
「うわっ!血を吐いた!!」
「前々から吐いてなかった?」
「野原〜〜〜(涙)」
しんのすけはどんな時でもやはりしんのすけだった
その一方で爆豪は割と真剣に考察していた
(オールマイトは今は全盛期の姿に老いを加えた形だあのガイコツの姿じゃねぇだとしてもあそこまで圧倒されたのは何でだ?なにか理由があるとしか思えねぇ、例えば、、、、)
爆豪はこの世界の住人になっていた記憶も掘り起こして推察する
(俺の力は特に変わりはなかった、、、俺の身体は今20代の身体だ、だが強さはそのままだった、そしてオールマイトは、、、、負けはしたが確かにワン・フォー・オールを使えてた、、全盛期の力とは天秤にもかけられねぇほどの小せぇ力だが残り火すら失ったオールマイトの力は確かに少しだけ戻っていた、、、、、、老いている姿は自分がこう在りたいという理想が元になってるのは分かる、俺もこの姿のお陰で少しだが身長が伸びている、、、)
そして色々考えて導き出された結論は
(力の消失を受け入れたから理想に最低限の力しか入っていなかった?)
つまりは【もうこれでいい多くは望まない】という精神がこの世界でのオールマイトの老いた姿と弱さの原因
確証も何も無いただの仮説だが取り敢えずの結論は出た
ただそれだと気になることがある
それはもうひとりのワン・フォー・オール継承者
そしてこの世界に来る直前に力を失った存在
正気に戻ったオールマイトにより語られたあの時、起きていた事
遠隔で緑谷出久がワン・フォー・オールの残り火を使い切ってしまったこと
緑谷の近くにいた者は残り火まで使い切ったことは知る由もなかったすぐに力尽きて気絶してしまったからだ
つまりこの世界の緑谷出久はオールマイトと同じようにこの世界により力を与えられている
何故か胸さわぎがする
「出久はどうなってんだ?」
「ん?どうしたのかっちゃん?」
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「クソ!!」
「うぅ」
黒色は個性を使って逃げていた【ダメージを受けた小森】を引っ張って
「ウエディングローズニードル!!!」
「キャンドルサービスファイヤー!!!」
「キエエエエエエエエエエエ!!!」
花嫁(希望)軍団の猛烈な猛攻をかいくぐりながら【本命】の警戒が欠かせない
小森希乃子をノックアウトしたそれは巨大だった
「ウオオオオオオオオオオオ!!!!!」
「静まれ(サイレントタイム)だダークシャドウ」
深淵闇躯・光明
この常に夜が続く世界では常闇踏陰こそが最大の力を発揮していた
圧倒的な力に小森希乃子がやられてしまい黒色支配も負傷している
特に小森は頭をやられて朦朧としながら負傷部分を押さえて血を止めている
逃げるしか無いが逃げられない
「どうにか他の奴らと合流を!」
その時だった
「投降しなさい」
「!?」
前から別の声が響いた
自分の前に立つのは蛙吹梅雨だった
更には
「角取!、マタ・タミさん!」
麗日お茶子のワイヤーに繋がれて風船のようにプカプカ浮いている二人が目に入った
麗日の個性で無重力にされておまけに気絶しているらしい
前方に常闇踏陰 後方に麗日お茶子と蛙吹梅雨
完全に詰んだ状況だと理解した
しかし諦めるわけには行かないこの場には好きな人がいるのだから
「クソ!せめて小森だけでも!!」
黒色が覚悟を決めて戦おうとする
「だめ、、、黒色も一緒に、、、」
小森は頭を押さえながら黒色を止めようとする
そして完全に挟まれた
「お茶子ちゃん二人を持つわ」
蛙吹が麗日から浮かべている二人をワイヤー越しに受け取った
そして
「常闇ちゃん!」
「なんだ?水性(サブマリン)の守護者(ガーディアン)よ」
蛙吹が常闇の目の前に跳躍して着地した
そして
ドゴン!!!!
「「「え!?」」」
「、、、あっ」
「フミカゲェ!?」
それは突然の出来事だった全員が驚きの声を上げて常闇本人は反応できずダークシャドウは常闇の名を叫んだ
何が起きたのかそれは
蛙吹梅雨の不意をついた回し蹴りが常闇にモロに入っからだ
そのダメージでダークシャドウが解除される
常闇は完全に伸びており後ろに倒れた
「梅雨ちゃん!!?」
麗日が驚愕の声を上げて蛙吹の名を呼ぶ
そして
「今よ!」
「YES!」
気絶していたはずの角取ポニーのホーン砲が発射された
「え!うわぁ!」
麗日は突然のことで対処できずホーン砲に捕まってしまい壁に固定された
「な!」
黒色が驚愕をあらわにする気絶していたはずのポニーとマタ・タミがプカプカされながらも目を覚ましていた
いや正確には意識を失ってなどいなかった
「キゼツしたフリです!」
「ごめんなさい黒色ちゃん小森ちゃん、今の強すぎる常闇ちゃんを止めるには完全に不意を突く必要があったの」
「お前!正気なのか!?」
黒色の質問に蛙吹は首を縦に振った
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不満なんてなかったし友達と仕事が出来るのは楽しかったわ
だけど何かが足りないそう思った
一度考えてしまえばもう止まらなかった
そして明確に気づいたのは麗日の話を聞いている最中のこと
話の内容は緑谷出久が中心
そして心の底から嬉しそうな麗日の恋する顔につられて思い出した
自分も恋をしていることを
そしてその人がこの世界にはいない正確には設定されていない
その現状が囚われの記憶から解き放ったのだ
こうして蛙吹梅雨は自力で正気に戻った
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「梅雨ちゃん一体!!?」
麗日が本当に意味がわからないといった顔を蛙吹に向ける
その顔に蛙吹は事情を知っているとはいえ悪いことをしている気持ちになり胸の中がチクチクと啄まれるように痛いが凛として麗日に向き合う
「ブーケ爆弾!」
だが花嫁(希望)軍団が空気も読まずに迫撃を加えてくる
運良く常闇を気絶させられたがこのままではヤラれると考えた蛙吹は声を張り上げた
「お茶子ちゃん!」
「はい!?」
「緑谷ちゃんと結婚してよかった!?」
「「「「「「!!?」」」」」」
それはある意味とても残酷な所業だった
(この人たちには悪いけど一刻も早くみんなを集めてしんちゃんの拳骨で元に戻さないと)
「何で今さら!?好きだし好きって言ってくれるよ沢山!」
「「「「「「「ぐはっ!」」」」」」」
済んだ瞳をしながら当然であり必然であるとも言わんばかりの堂々たる態度だった
「私は愛されてるって思わせてくれるよ毎日!」
「「「「「「「かはっ!」」」」」」」
ユニゾンした吐血が地面を赤く染める
何の悪意もないただの幸せが彼女たちには猛毒そのもの
「私は最高の人と一緒になったって胸を張って言えるよ!」
「「「「「「「ウプッ!」」」」」」」
それは秒速のオーバーキルだった
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「おかしいな?皆と連絡が取れない?」
「電波が悪いんじゃねぇか?ここ碌なアンテナ立ってないだろ?」
貧困地区に駆けつけたデクとShigarakiだったが合流するはずのメンバーと一切の連絡がつかない
「まさか、、、あのメンバーで何があったとは思えないけど」
「取り敢えずは捜索だな二手に分かれんぞ」
「え!待って!一人は!」
「今二人しかいねぇんだから仕方ねぇだろ、安心しろいつもいつも耳にタコが出来るくらい安全がうんたらかんたらと聞かされてるから対策は知ってる、、、ていうか死地に飛び込んで毎回骨折だの内部破裂だのをしてたあんたに言われたくねぇよ」
そうしてShigarakiは個性で浮遊して反対方向にいってしまった
「、、、まぁ確かに毎回大怪我してた僕がいっても説得力ないか、、、」
緑谷も個性で屋根を伝って進んでいく
「、、、、無事だよね?麗日さん、、、」
「オイ」
「あっ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「コロシテクレ」
「うんまぁそんなふうになるとは思ってた」
状況を説明しよう まずみんなが合流した 怪我の手当をした 常闇踏陰に拳骨を施して正気に戻した
常闇踏陰の頭を駆け巡ったのはこの世界でのヤラカシ
すぐに膝から崩れ落ちた
マントを頭から被り顔を隠しながら座り込む
背後に【ずぅ〜〜ん】という効果音が見える気がした
「我こそハムロール天ぷら」
しんのすけがポーズを決めながら名乗りを模倣する
「HELLROADEMPERORですしんちゃんサン」
ポニーが本場の発音でフォローをいれる
ようは悪ノリだった
「かっこよかったねぇ〜」
「ネェ〜です!」
「「ねぇ~」」
「黙れ!!!!!」
(((((あ、泣いてる)))))
怒鳴り声と一緒にわずかに噴き出したとても小さな雫に全員が目を奪われる
現状を整理しよう
花嫁(希望)軍団は倒(ハートブレイク)されて拘束されている
負傷した小森はマタ・タミが治療をしている峰田が治療を買ってでたが当然NG
「もっと色々やっとけばよかった世界の住人である間に」
そんな声が響いたとか響かなかったとか
正気に戻さなければならないのは後三人
緑谷出久とグラントリノそして
「それにしても麗日はどうするんだ?」
尾白の一言に全員が【絞め落とされた麗日】を見る
仕方なかったとはいえ暴れてしまうのでなんとか意識を刈り取ったがその後が問題だった
「寝てる子に拳骨するのはちょっと〜」
「ケッ!根性ナシが」
「そういう問題じゃないだろ爆豪」
「いつも通りの異常者だ」
爆豪が舌打ちをして尾白がツッコミを入れ葉隠が呟く
寝ている人間に拳骨を落とすのはしんのすけには倫理的に無理があった
「じゃあ起きるまで待つってのか?時間の無駄だろさっさとやれ」
「んもうかっちゃんたら〜」
その時
「「!!?」」
高速何かがこっちに向かってきた
しんのすけと爆豪だけがそれに気づけた
だから止められた
「「「「!?」」」」
他のメンバーはその後に気づく
「ちっ不意をついたのに止められたか」
「一体何を!!?」
それは緑谷出久とグラントリノだった
不意打ちで奇襲をかけられたがしんのすけが緑谷を爆豪がグラントリノを止めた
「これで全員だな!面倒が省けた!!」
爆豪が手をバチバチさせながら戦闘態勢になる
「多分若返ったグラントリノの方が強えぇ!野原は出久をまずもとに戻せ!そんで手を貸せ常闇!頭上げろ!」
爆豪からの応援要請に驚きながらも常闇は立ち上がる
ちなみに爆豪的にはこの夜の世界で常闇がどこまでやれるのか見てみたいという気持ちもあった
他のメンバーは負傷者を庇いながら一線を引く
「行くぞ!!!」
「おう!」
「ほ〜い」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「「フフフッ」」
「どうかなされましたか?ダーク様」
死穢八斎會タワーでダークが窓を見ながら笑みを浮かべる
それが気になりサーペンターズは声をかけた
「「いや何、もしかしたら面白いことになるかもしれない」」
「面白いこと?」
「「あぁ、楽しみだ一体どうなってしまうのか」」
ダークが不敵に笑みを浮かべながら頭に浮かべるのは【緑谷出久】
「「どんな人間にも暗黒はあるこの状況なら尚更だ」」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
緑谷は周りを跳ね回り撹乱するがしんのすけは意に介さない
「SMASH!!!」
「みっつみだらに猫手反発!」
ポワンという音とともにSMASHがパリィされる
すかさず緑谷は畳み掛けるも全て避けられ防がれ流される
そしてしんのすけは違和感に気づいた
(かっちゃんの思った通り弱くなってる?)
緑谷出久はこの世界に来る前に力を消失した
つまりはオールマイトと同じ
しかし今はワン・フォー・オールの力を使えている
しかし【いつもより弱い】
これもオールマイトと同じ
オールマイトと緑谷出久はよくにている似た正義感に似た志し更に力の状態まで同じなら強さも似たようなものになる
この世界のオールマイトと同じように【闘えるが強キャラではない】それが緑谷出久の今の力だった
「ウ~ン」
しかししんのすけは首を傾げる
どうしても喉にひっかかる感覚があったからだ
それはある意味【様々な経験をしてきた】しんのすけだからこそ気づけたかもしれない
「、、、オールマイト先生と同じくらいの強さだけど、、なんか違う」
ドオオオオオオオオオオオン!!!
「「うお!!?」」
そして隣ではかなり派手にやり合っていた
グラントリノが高速で空中移動をする爆豪もそれを追いかけるように続く
そして夜の力で強化されたダークシャドウが巨大化してグラントリノの進行方向を塞ぐ
しかし【若い肉体】を手に入れているグラントリノは歴戦の猛者それを掻い潜り反撃までしてくる
グラントリノは緑谷やオールマイトとは真逆で若返ったことで全盛期の力を取り戻している
経験も技術も上の相手だった上位の実力者の二人がかりでも苦戦をしいられる
「いい実戦になるぜ!!!」
爆豪は笑っていたが
そしてそれを見ていた緑谷出久は
「、、、、、、、、、」
胸の中でなにか【波紋】のようなものが広がるのを感じた
それが隙となった
「芋虫行脚!!!」
「! しまった!!」
芋虫行脚で体勢を低くして緑谷視界から消えたしんのすけは一気に距離を詰めてストーンを握りしめた拳を握る
容赦はしない何故なら女の子ではないから
「耐えてこそ男の子ーーーーー!!!」
そして【拳骨】が炸裂した
「がっ!!」
頭がぐらつく
これより強烈な攻撃なんていくらでも受けてきたのに乗り越えてきたのに何故か耐えられない
それは明確な弱体化を意識させた
「!」
そして緑谷出久の頭に流れたのは【正気の思考回路】
「やったか」
爆豪が遠目で緑谷が戻ったことを確信する
だが
「「フフフッ」」
【暗黒】が微笑んだ
「ガアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
「「「「!?」」」」
その場の全員がその叫び声を聞いた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「「わたしは別に何かをしたわけではない」」
ダークが窓の外を見ながら語り始める
「「【暗黒】とはつまり【負の感情】つまり人間が当たり前に持つ心だ」」
負の感情を持つことは特別でもなんでもない
「「通常の人間は負の感情を心のバランスを保つことで抑えている、だが人間は些細なきっかけでそのバランスを崩してしまう」」
それもまた特別でもなんでもない
「「だが緑谷出久の身に起きたのは【些細なんてものじゃない】」」
あの瞬間確かに彼の人生は【歪んだ】
「「そして何より【この架空世界が具体的な未来を見せてしまった】」」
そして緑谷出久は人間である
「「現実の自分には既に力など無いのに」」
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緑谷出久は8年後に雄英高校教職員になっている
ワン・フォー・オールの残り火は穏やかに消えていった
そしてみんなの協力でアーマードを身に纏い再びヒーローの世界に舞い戻った
差し伸べられた手が起こした必然だった
しかし既にこの世界とは違う
ワン・フォー・オールは違う形で消えてしまった
何の心構えもなく即席の覚悟でいきなり消してしまった
それ以外に変化など有りはしない【ハズだった】
しかし決定的に違うものがある
それは
【緑谷出久は大人ではない まだ子供であることだ】
「「簡単な理屈だ子どもは大人ほど現実を受け止めきれない例え元の心が強かったとしても」」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
バチバチと力の流れが緑谷出久の身体を疾走っている
周りは何が起きたのかわからない
仕方なかった何故ならそれは本来ありえない【イレギュラー】なのだから
しかしただ一人
その本質を見抜いているものがいた
「闇落ち、、、、じゃない、、それは絶対違う」
それは数多の経験を得て数多の苦しみや葛藤をこの目で見てきたからこそ分かる【彼の本音】
「守りたいだけなんだね」
しんのすけは何かを思い出すように悲痛な顔をした
次の話で緑谷の心情が明かされます
※人によっては解釈違いかもしれません