嵐を呼ぶ!!ヒロアカイレギュラーズ!!!   作:サイセンサイ

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キミに

 

雪が降るその日

ゆく年くる年がどうたらこうたらとテレビに映るキャスターが言っている。温かな暖房が点いた部屋の中で蛙吹梅雨は珍しくボーっとしていた。

今は大晦日で実家に起床していたのだ。家族とそれ相応のイベントを済ませた後、もうしばらくしたら新年という状況だった。

両親も弟も妹もすでに眠りに落ちており起きているのは梅雨ただ一人

 

「、、、、、ポニーちゃんはしんちゃんといるのかしら?」

 

角取ポニーの実家は外国。帰省はしないらしい。つまり雄英高校に残り年越しをするのだが、それはつまり雄英にいるしんのすけと共にいる可能性が高いということ。

 

蛙吹も一瞬はしんのすけと年越しすることを考えたが、家族を蔑ろにはできないと真面目精神を発動させて実家に帰省した。他のA組も同じく実家に帰省している。

 

「はぁ、、、、、本当に、、、ある意味1年の頃より濃い一年だったわ、、、、」

 

在学中に恋をするなんて思いもしなかった。それも何ともまぁ不可思議な運命を辿る少年に。

ある意味神のイタズラだったのかもしれないと何度も思った。もしそうだったら神様には感謝するが感謝と同じくらい苦労したことも沢山ある。

 

そして

 

 

 

 

「いつかお別れしなきゃいけない、、、そしてそれは絶対、、、、」

 

 

 

ある意味悲運とも言える現実に押しつぶされそうになる

 

 

 

 

 

しんのすけが異世界の存在であることを絶対に口外しない事を条件に一部の者たちが知った。蛙吹梅雨もその一人だった。そしてしんのすけは言った【いつか帰らなきゃ】と

それはつまり元の世界に戻るということ。そして再び会えるとは限らないかもしれない。

 

 

当然、狼狽した。

一瞬、邪な考えが頭に浮かんだがすぐにそれを頭を振って否定した。何故なら蛙吹はヒーローになる夢があるのだから、それは何があっても譲れない夢なのだから。

ポニーも似たような感じだった。

 

 

「はぁ、、、、、私は、、、、、」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「くかーーーーーーーすぴーーーーーーー」

 

「グッスリです」

 

雄英高校B組寮

特別にリビングに用意されたコタツに入っていたポニーがそうつぶやいた。今は2人だけなのだがしんのすけはカウントダウンを待たずに寝てしまった。ポニーはこうなったらもう起きないと今までの経験からわかっていた。

 

しんのすけの横で寝顔を覗き見る。それだけで口元に笑みができる。なんてことのない少年の顔が初恋により凛々しく見えるのは仕方ないことだった。

 

「、、、、、、しんちゃんサン」

 

ポニーが思い浮かべるのはお別れの事、自分は留学生のため、そういうこともあるだろうとある程度の覚悟はしていた。だが、こればかりは流石に予想外の出来事であり、、、どうしょうもない出来事だった。

 

 

「、、、、、、、」

 

無意識に自分の顔が彼の顔に近づく。そして、それを自覚した時、不意にある考えが頭をよぎる。そしてその目がしんのすけの口元に向けられた。

 

 

 

 

お別れの言いようのない不安がポニーの首を動かす。

 

 

 

 

 

いっそこのまま

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とはいかなかった。

 

「フェアであるべきですからね」

 

彼女のことを思い浮かべてそれ以上に進むことはなかった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

         、、、、ん

 

 

 

         、、ちゃん

 

 

 

         しんちゃん

 

 

 

     私は何もいえなかったけど

 

 

 

     しんちゃんなら言えるよ

 

 

 

    私はどうにもできなかったけど

 

 

 

    しんちゃんならなんとか出来るよ

 

 

 

 

 

       だからしんちゃん

 

 

 

 しんちゃんは私みたいにお別れしちゃダメだよ

 

 

     私みたいになっちゃダメだよ

 

 

    あの子達は【そこ】にいるんだから

 

 

 

      側にいれるんだから

 

 

 

 

     しんちゃんはならきっと

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あれ?朝?」

 

コタツによだれを垂らしたまましんのすけは目を覚ます。

 

「あっ」

 

そして正面の近距離にポニーの寝顔があった。

体を起こし背筋を伸ばす、パキパキと音を鳴らした後しんのすけはポニーの背中にブランケットをかけた。

 

「、、、、、誰かになんか言われたような?」

 

それは誰だっとのかわからない

 

ただなんとなく

 

女の子の声だったのは覚えている

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

そして一ヶ月がたった

 

 

特にかわりはなく彼らは自分を磨いた

 

 

しんのすけがぷにぷに拳で組手に付き合い

 

 

ステゴロ自慢の男子達が列を作る

 

 

ユルユルと流すことはできなかった

 

 

彼らは強くなっているのだから

 

 

しんのすけはゼェゼェと息をする

 

 

前は息を乱すこともなかったのに

 

 

彼らの成長を誰よりも実感することになった

 

 

そして疲れたので寝ようとしたら発目に連れて行かれた

 

 

アーマードがどうのこうの言っていたが半分寝ていた

 

 

そのせいでロケットブーストが誤作動した

 

 

緑谷が轢かれた

 

 

爆豪が鼻で笑った

 

 

麗日が緑谷を介抱した

 

 

女子たちがヒューヒューとヤジを伸ばす

 

 

その後、女子トークが行われ

 

 

緑谷の母が息子の所業に立ったまま気絶した事実が明るみになった

 

 

まず、電話越しに一回

 

 

直接話をして三回ほど気絶

 

 

そしてすでになんやかんやがなんやかんやあったことがわかり六回気絶

 

 

合計十回の気絶、、、では終わらなかった

 

 

脱水症状で更に十回気絶

 

 

雄英体育祭の記録を更新してしまった

 

 

しんのすけが呑気に大変という中

 

 

蛙吹の顔を見た

 

 

一瞬、何かを感じとった

 

 

そしてポニーにも同じ物を感じた

 

 

だが二人は特に何事もなく接してくる

 

 

しんのすけも特に気にしなかった

 

 

そんな大変ながらも傷つくことのない日が続いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だがその日は唐突に訪れた

 

 

ついに奴らが現れたのだ

 

 

本当に突然に

 

 

そしてこれが最後の戦いになる

 

 

そう保護されたマタに言われた

 

 

そしてしんのすけの頭に浮かぶのはあの時の声

 

 

その声の持ち主を思い浮かべた

 

 

しんのすけの目が見開かれた

 

 

何故すぐに思い出せなかったのだろう?

 

 

何故今、彼女の声が聞こえたんだろう

 

 

だがしんのすけが頭に浮かべるのはその女の子よりも

 

 

自分の近くにいた、、、、、、、、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気づけば走り出していた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ヒーロー科の皆がコスチュームを着る

今から向かうのは『日本の首都』

そこに巨大なワープホールが出現したと連絡があった。間違いなく奴らが動き出したのだとわかった

雄英もすべての戦力を持ってその場に繰り出す

移動手段には地下シェルターの移動機能を使う

全員が気を引き締める

 

その時だった

 

「しんちゃん?」

 

「しんちゃんサン?」

 

移動するシェルターに既に乗り発射待ちだった二人は慌てたしんのすけの様子に首を傾げる

 

そして

 

 

 

 

 

 

 

「これ終わったら家に帰ることになると思う」

 

 

「「!!!」」

 

 

「「「「「「「「え?」」」」」」」」

 

 

 

 

しんのすけの告白に周囲が驚き、二人は胸がキリリと痛んだ。なんてことはない、当然のことをなのだと自分を納得させようとした。

だがしんのすけは言葉を綴った

 

 

「でもその前に【島】に行きたい、、、、前にマカオとジョマと戦った時にいったこと覚えてる。」

 

「!」

 

それはもうずいぶん前になるあの時の戦い。まだ想いを自覚したばかりで2人っきりになるのを恐れていたあの時

 

「たーーーくさん遊んで!思い出作って!そんで!、、、、そんで、、、、」

 

 

 しんのすけが思い浮かべるのは彼女との最後の会話。

しんのすけはあの時、悲しんだ。どうしょうもないことだったのかもしれない。映画のなかに再び行くなんて無理だとわかっている。

だけど悲しいものは悲しかった

 

 

 

 

もし、ここに戻ってこれなかったら?それはあの時の再現になるのではないかと思う

 

目の前にいる二人の女の子が自分と同じ悲しみを味わうかもしれない。そう思ってしまった。

 

 

 

 

 

 

だったら、、、だったらオラは!

 

 

 

 

 

二人にそんな思いはさせない

 

自分がそうはさせない

 

 

「オラは絶対またここに来るから」

 

 

二人の瞳がしんのすけの笑顔を映す

それは確かに二人に向けられた笑顔だとわかってしまった

 

 

 

「約束だぞ!」

 

 

その瞬間、二人はしんのすけに抱きついた

 

周りの目など知ったことではない。

突き動かされるままに胸の中の何かが溢れこぼれるように

そして、目元の煌めく物を隠すように

男女の違いから感じる大きな身体にその顔を埋めた。

 

 

 

そして最後の戦いが始まる

 

勝つのは当然

 

だが何かを失うかもしれない

 

それでも彼らは恐れはしない

 

例え引き裂かれることがあったとしても

 

何度でも引き寄せる

 

引き寄せてみせると心に誓うからだ

 

 

初恋の男の子に

 

 

約束してくれた男の子に

 

 

この世界でできた大切を守るために

 

 

抱きつく二人に笑顔を向けながらしんのすけは叫んだ

 

 

「そんじゃいきますか!」

 

 

「「「「「「「おう!!!」」」」」」」

 

 

 

 

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