最初は何だこのへんな生き物は?とか思ってたな
それは誰かが思った。その存在が現れて色々なことがあった。そして既に彼らは普通や正道とは違う道のりを走り、過酷を乗り越え、殆どの人が特別な存在だと認めるほどに彼らは強くなった。
だがそんなときに【彼】が現れた
内にヒーローの心を宿しながら他のものとは全く違う存在。爆豪のように自分の道をゆくタイプなのだろうがそれともまた違うイレギュラー。天上天下唯我独尊の振る舞いに天上天下唯我独尊の意味を絶対知らないであろう無垢な思考、今まであったどのタイプとも違う【彼】は確かにそこにいる人たちの何かを変えていったのだ
目をそらさずにはいられない魅力が野原しんのすけという人間にあったから
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「吹き飛べぇぇぇ!!!!」
パラダイスキング
怪獣ギュー・ドンを足代わりにしてその背中に大量の爆弾を背負わせている、もはや武器庫並みの爆弾の量で尽きるのを待ってたら先に吹き飛ばされて終わるだろう。
何よりやっかいなのは【黒鞭】
先端に爆弾を巻き付かせて突っ込んでくる。【黒鞭】は肉体ではないので爆発しようとダメージは無い、それも前の緑谷のように背中から複数を垂らしっぱなしにしているため一度に複数個所の攻撃も可能
だからこそ
「先手必勝!」
「解除!」
あえて近づいた
常闇が麗日のゼロ・グラビティを受けて体を軽くして黒の堕天使で飛行速度を強化、そのまま殴れば重さがなく大したダメージは望めないが、麗日は長年の連携から抜群のタイミングで個性を解除した
懐に入ってしまえば爆破は出来ない、パラダイスキングは防護服の類を着ていないので近くで爆破すれば必ず巻き添えを食らう、そして近接で制圧する作戦
だったが
放たれた黒影の巨大な腕はパラダイスキングの顔を狙ったが、背中を限界まで仰け反らせたイナバウアーで避けられた、常闇は動揺することもなく二撃三撃四撃と次々と攻撃を放っていくがパラダイスキング自身の長い手足がそれをいなしそれどころか怪獣の頭の上というアンバランスな場所で反撃の蹴りまで飛んできた
パラダイスキング自身の驚異的な身体能力
かつて野生の猿たちを屈服させしんのすけの憧れのヒーローを苦しめた純粋な人間としての力
「くっ!」
そして徐々に近接戦で押され始めた、距離を取ってしまえば爆弾が飛んでくる、膠着状態になる前に常闇は素早く戦線を離脱した
「近接の心得がある!近づくにも人手が必要だ!」
「近接得意なやつ!」
「蛙吹、飯田、尾白、切島、砂藤、障子、爆豪!」
「俺が硬化で一番槍になるぜ!」
「頼んだ!」
怪獣に踏み潰されるのを防ぎながらA組をその場で考える
長い信頼関係がスムーズな連携を可能にする
「何より近接は磨きに磨かれてるからな!」
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野原しんのすけは良くもまぁとにかく逃げた
退屈やめんどくささを感じるととにかく逃げた
そしてそれを捕まえるのはヒーロー志望の学生どころか命がけの現場での経験豊富なプロヒーローや教職員でも難しかった
生まれつき持っているのであろう超人の如き身体能力と奇人の思考回路
簡単にその思考を読ませないと思えば案外簡単な作戦に引っかかりだけどその後すぐにまた逃げる、野原しんのすけはある種の負のスパイラルを無意識で作り出す
一体何人の大人とヒーロー志望が地団駄を踏んだかわからない
そうなれば彼らの【捕縛スキル】が鍛えられるのも必然だった
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「相澤先生の捕縛布です!」
八百万が個性で捕縛布を作り出しそして作られたそばからクラスメイト達がそれを持って怪獣を囲むように陣形を作る
常に走り続けている巨大な牛を同じく走り続けて包囲しながら陣形を作るのは難しいが彼らにはその恵まれた個性とこれまでの経験がある
力と速さのある者がほかのものを背負い、運び、導く、掛け声一つで複数の選択を視野に入れ、最善に備える
それが苦楽を共にした彼らの強さ
「死んでこい切島ーーー!!!!!」
「おうよぉぉぉぉ!!」
爆豪が個性でカタパルトの要領で切島を爆破して投げ飛ばす、硬化の個性だからこそ出来る連携。
爆飛ばされた切島はそのまま一直線にパラダイスキングに向かっていく
しかしパラダイスキングの黒鞭が到達する前に切島を捕まえようとするが
「何ぃ!!?」
パラダイスキングが動揺の声を上げる
なぜなら黒鞭の一本一本に『何かが絡みついた』からだ
それは捕縛布だった
それは舌だった
それは触手だった
それはテープだった
それはワイヤーだった
それはモギモギだった
それは氷だった
「がっ!」
パラダイスキングが驚く暇もなく飛んできた切島の体当たりを受ける
驚くべきは『全くの同時だったこと』
パラダイスキングの身体から出る複数の黒鞭に掛け声もなく各々が各々の方向とやり方で一本一本の黒鞭をドンピシャのタイミングで拘束する
しんのすけを止めるために自然と身に付けたスキルと連携だった
これを好機に一斉にA組がギュー・ドンに攻撃を仕掛けその爆走する足を止める
切島持ち前の格闘スキルと頑強でパラダイスキングの相手をする
しかし格闘スキルはパラダイスキングのほうが上手
すぐに対処され打撃が流されるようになるが
「十分だ得と死ね」
爆豪が爆破で真上に急上昇
そして爆豪は回転を加えて急速に落下していく
狙うは怪獣の頭 爆発頭の真上
そこにいるのは『硬化』の切島
つまり
ハウザーインパクトをする気満々
そんな事をすれば『硬化』の切島はいいが他のメンバーも巻き込みかねないが彼らは『離れようとしない』
怪獣の足止めを続けていく
爆破の範囲ギリギリまで踏みとどまる
そして回転は加速しさぁ来るぞとなった刹那に
A組は霧散した
瞬発的な逃走と逃亡、身を守るための瞬時の撤退、それもまたノーモーションで知らない内に逃げているしんのすけから学んだことだった
ギリギリまで足止めされた怪獣とパラダイスキングは逃げられるはずもなく
ハウザーインパクトが直撃した
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「ゴホゴホ!」
「ほらよ切島!」
爆破の衝撃で地面に突き刺さっていた切島を瀬呂範太がテープで引き揚げる
怪獣は完全に沈んでいた
しかし油断はできない
相手は『ろくぼす』ヴィランの親玉の一人
倒れた怪獣を円形に囲んで奴を探す
そして
爆破による土煙が晴れてその中心が顕になる
底にあったのは『黒い塊』
巨大な黒いボール状の何か
それの正体にすぐ気がついたのはかつて黒鞭を使っていた緑谷だった
「黒鞭で全身を覆って繭のような緩衝材に!」
パラダイスキングは黒鞭を大量に出し、自らを隙間なく覆った
前にデクが最終決戦で見せた黒鞭を全身に巻き付けた『デク・オーバーレイ』と同じ要領だった
「惜しかったな〜!!」
そして黒い繭が解除されてその中心からパラダイスキングが出てくる
「あいにく薬を使って個性はブースト済みなんだよぉ!!!!」
そして大量の黒鞭を今度は本格的にデクと同じように身体中にまとう
それだけでは飽き足らずそれを周辺に飛ばしてまるで『蜘蛛の巣』のようにあらゆる方向あらゆる場所に引っ掛ける
それは黒鞭で作った簡易的なジャングルジム
かつてアクション仮面と戦った時に猿たちに命じて作らせたものと酷似していた
「そしてここからだぜ!」
黒鞭の足場を本当に猿のように移動してA組を撹乱
油断したところに黒鞭を巻き付けた蹴りが飛んでくる
パラダイスキングは見事に『自分の得意』を押し付けていた
轟が氷で一斉に除去することを試みてもまたすぐに新しいジャングルジムが張り直される
爆豪のクラスターも障害物が多すぎて加速ができない
行動が制限されて連携も上手く続かない
そしてその中で緑谷は思考する
「この行動が制限された場所であの機動力を捕らえるのは無理に近い、まるでしんちゃんを相手にしているような身のこなし身の軽さ、近接スキルも高くて攻撃も勘がいいのか避けられる」
ならば
「まだ試作段階だけど!」
「!?」
緑谷のアーマードが光り輝く
その腹部から青く眩い光が立ち込める
それを見たパラダイスキングは何かが来ることを確信して緑谷への警戒を強める
それはアーマードのエネルギーをかなり使うがそれでも備えられた機能のなかで殲滅力の高い攻撃
かつてのクラスメイトのヒーロー名と共に緑谷は叫んだ
キラキラが止められないよ☆
アーマードの腹部から発射されたエネルギーによるビームは遮る黒鞭を貫通してパラダイスキングの方へ向かっていく
しかし
パラダイスキングはそのしなやかさで再びイナバウアーで攻撃を躱した
その直後だった
「待ってたぜヒーロー!!」
「!!?」
突然の声にパラダイスキングが驚く
避けたビームの方角には彼女がいた
葉隠透、個性によりビームを屈折できる
「集光屈折!キラキラが止められないよ☆」
「がぁああぁぁぁぁぁぁ!!!」
そして葉隠の屈折されたビームがパラダイスキングを直撃した
だが
「このガキが!!!」
「えっ!嘘!!?」
普通ならそれで勝負がついただろうが、相手は強いフィジカルを持つパラダイスキング
しぶとく身体を焦がし煙を出しながらも倒れず血走った目で葉隠の方に視線を向ける
葉隠はその殺意の籠った目に怯むこともなく睨み返す
それに気を悪くしたのか黒鞭を葉隠のほうに向けるが
「尾空旋舞!!!」
尾白がその黒鞭をはたき落としながら葉隠を庇う
「今だ!!!!」
飯田が掛け声を上げてA組が一斉に遠距離攻撃に移る
耳郎の音が、芦戸の酸が、轟の炎が、そしてA組の大量の捕縛布がパラダイスキングに一斉に降りかかる
パラダイスキングは少しだけ攻撃を食らいながらも黒鞭のジャングルジムを利用して跳んで跳ねて回避した
そして視界に入ったのは再び青く輝くアーマードの少年
「もう一発だ!」
「うざいんだよ!」
パラダイスキングは緑谷のその顔を蹴り砕こうと黒鞭を使い高速で近づく
間合いに入ってしまえば格闘スキルの格差でこちらに部がある
「俺のほうが早ぇ!!!」
そしてパラダイスキングが緑谷の間合いに入ったその時
自分の顔の前で『別のレーザー』が横切った
突然のことでパラダイスキングは緑谷から距離を取り別のレーザーが放たれた方向を振り向く
そこにいたのは
「サプラ〜〜イズ☆」
ヒーロースーツに身を包んだ『青山優雅』
かつてのクラスメイトであり皆の戦友
「真の輝きは隠して隠して最後に飛び出すものさ☆」
青山がパラダイスキングにウインクをしながら再びエネルギーを貯める
それはさっきとは比べ物にならない本気のレーザー
更にそこに緑谷のレーザーも加わりパラダイスキングはに方向からのレーザーに警戒する
しかし
「そしてここで私も推参!」
緑谷と青山の間に葉隠が入った
そしてその個性がレーザーを『集光』させる
放たれるのは2つのレーザーを掛け合わせた何よりも輝く巨大な一撃
「「ダブルキラキラが止められないよ!!」」
葉隠により混ざり合ったレーザーがパラダイスキングを襲う
全身に黒鞭を巻き付けて何とか逃げるがそのせいで他の相手の対応が疎かになる
甘い対処ではA組が培ってきた連携は突破できない
混ざり合ったレーザーはいつの間にか黒鞭のジャングルジムを吹き飛ばしていた
そして障害物がなくなったことにより機動力のある者たちが生きてくる
爆豪のクラスター、常闇の堕天使、飯田の足
それを理解したパラダイスキングは一時撤退しようとするが上記のメンバーがそれを許さない
穴のない連携がパラダイスキングの選択肢を奪い今度はこちら側の『得意』を押し付ける番だった
「なめるなよクソガキ!手負いの獣が一番やべえってことを教えてやるよ!!!!」
逃げ道がないことを悟ったパラダイスキングは完全戦闘モードに戻し全員を蹴り砕こうとする
そして近づいた
(近づいちまえば仲間を巻き込んで強い攻撃はできねぇ!近接で確実に仕留めてやる!!!!)
その時
「フリージングディザスター」
「は?」
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「寒い!」
「凍る!イヤもう凍ってるけど!」
「轟!早く早く!」
「溶かして溶かしてーー!!!!!」
「てかもっと手加減しろよ!!」
「わ、わりぃ」
何が起こったのか
簡単だ
轟が仲間ごとパラダイスキングを凍らせたからだ
今までの彼ならこんなことしなかっただろう
しかし『イレギュラー』が彼を少しだけ変えた
野原しんのすけをとめるためには『ある程度の許容出来る犠牲』が付き物だとこの数ヶ月でその身に学んだからだ
他のみんなも仕方ないな仕方ないの顔をしており、しんのすけがいかに厄介な存在だったかを再確認する事となった
もっとも
A組を離れていた青山にはちょっと、、、イヤだいぶん許容オーバーだったが
自分が雄英高校を出る前に心操が教室に入ってきて凄い歓迎を目にした時の顔と同じ顔をしながら青山は呟いた
「先に言ってほしかったよ」
「ごめん!」
「本当にびっくりした」
「わりぃ」
「凄い連携だったね」
「だろ!」
「僕のいない間にこれほどまでなかよく」
「あ!これ拗ねてるやつだ!」
「なんかすごくみんながとおいよまぁはなれてたんだからしかたないけどなんかすごくとおいよかがやきがあろうととおかったらてらせないのに」
「闇に落ちるな!!!!」
ろくぼす・パラダイスキング
脱落
「行こう!しんちゃんが心配だよ!」
「、、、、、、、」
「青山くん!?その目やめて!!!!」