それはひと言で言えば【怪獣大戦】
「ゴロドローーーーー!!!」
「うわぁぁぁ!」
氷使い兼怪獣使いである外典が操っている【ゴロドロ】の触手が【巨大歩行植物】を絡め取ろうとする
「ファイトだ環ー!いや!サンイーターーー!!!現場じゃなかったらポップコーン片手に鑑賞を楽しみたい絵面だよこれはァーーー!!!」
「すごい!すごい!サンイーターの真骨頂だね!」
かつて雄英高校ビッグ3と言われ今やプロヒーローの三人
【ルミリオン】【ねじれちゃん】【サンイーター】
彼らは現在、【ろくぼす】と変わらぬ脅威を持つ怪獣と人間のコンビと戦っていた
そして
「なんなんだあの【サボテン】はぁぁ!!?」
外典は現在ゴロドロの頭部の上に立ち戦っているが、高いはずの視界に映るのは【巨大サボテン】
女王キラーサボテン
それは怪獣を彷彿とさせる巨体とタコの足のような根っこで移動する絵本に出てくる怪物そのものだった。
ヴィラン側で武器として兵士として扱われていたキラーサボテンの女王がなぜ自分たちを狙うのか?
簡単だ サンイーターの個性【再現】
キラーサボテンには【美味しい果実】が実る
サンイーターは決戦前にそれを捕食
そして再現したのは超巨大な女王キラーサボテン
サンイーター本体は真上中央の花のなかに上半身を出す形でその存在を放っていた
巨大で液状の怪獣であるゴロドロに対抗するために用意された切り札
そしてサンイーターの個性は更にそこにプラスアルファを加える
「クソっ!匂いとは姑息な!」
「あぁこんなに目立ってなおかつ悪臭を振りまくなんて、、、なんだこれは尊厳破壊なのか」
女王キラーサボテンから【大量の液体】が流れ出ていた
それはこの世でフルーツの王様と呼ばれる
【ドリアン】の果汁
ゴロドロは匂いに弱い情報をしんのすけから事前に聞いておりドリアンもサンイーターは食べていた
お陰で巨大で移動できて悪臭も振りまく言葉だけならヴィランな対抗兵器が完成したのだ
「俺も行くよぉーーーーーー!!!」
ルミリオンが自らの透過の個性を使い外典に拳を繰り出そうとするが
「要は透過を解除する隙を与えなければいいんだろう!」
「うおっ!?」
繰り出したのは『氷柱の雨』ゴロドロの液状の身体があれば無尽蔵に武器を作り出せる外典は常にルミリオンに『解除≒即死』レベルの氷柱の雨を飛ばし続ける。
「私が!」
ねじれが個性の波動で氷柱の雨を吹き飛ばしてルミリオンを援護しようとするが
「きゃあ!邪魔!」
おおおおおおおおおおおおおおお!!
ゴロドロの触手やらビームやらがねじれを襲いその動きを封じる
匂いでなければゴロドロは倒せない、ねじれの波動とルミリオンの拳は物理攻撃無効のゴロドロには効かない
外典はゴロドロを援護するが女王キラーサボテン状態のサンイーターを簡単には倒せない、再生能力もあるからだ。
様々な力の相性が拮抗して膠着状態
そして突如としてその場所に
「「「「!!?」」」」
『それ』は現れた
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!
鳴り響くのは『打撃音』と『金属音』
音の正体は『ぶつかり続ける2つの物体』
遠目では虫のように素早く飛び回っているように見える
だがありえないのだ【人間の体積で虫の速さ】を出すなど
「おりゃあああああああ!!!」
「ちょりゃああああああ!!!」
「「「しんちゃん!」」」
「ブラックスターか!?」
ぶつかり続ける2つの正体はしんのすけとニセしんのすけ
アーマードを身に着けた超人と人の形をした怪獣の超高速バトル
巨大なゴロドロの身体の上であまりにも速すぎる戦いが繰り広げられていた。
「は!速すぎて何が何だか分からない!」
近接戦闘で最強レベルのルミリオンですらその動きを目で追えない、そして更にあり得ないのは【ヴィラン側】
ニセしんのすけは生身でその速さを出していた
超人であるしんのすけがロケットブースター付きで肉体機能を強化するアーマードを身に着けてやっと出せる速さを己の肉体一つで再現するその身体能力はもはや個性ありきでも人の域を超えている。まさしく人外の怪獣なのだ。
「オラは怪獣!忘れたの!!」
「忘れてないぞさすがに!」
「じゃあ元の大きさは?」
「え?」
ニセしんのすけの問にしんのすけは頭をひねる。
元の大きさ 元々怪獣 あのときはオラもでっかくなってた
そうニセしんのすけは【元々巨大】
「つまり!人の体積に怪獣の力が圧縮されてるってことだぞ!!」
ニセしんのすけは拳を握りしめる。繰り出されるのは大振りの正拳、しんのすけのギンギンを前に出し備えた
だが
「ーーーーーーーーーっ!!!!」
繰り出されたのは【オールマイトレベルの一撃】周囲に爆風を吹かせ周りの物を吹き飛ばすそれはギンギンでも防ぎきれない
「ぬおおおおおおおおおおおお!!?」
「「しんちゃん!!?」」
キンキンとギンギンが衝撃で吹き飛ばされるしんのすけを心配するなか、ニセしんのすけの追撃は止まらない。飛ばされたしんのすけに『走って』追いついてしまった
「ホイホイホイホイホイホイホイホイホイホイホイホイホイホイホイホイ!!!!!」
「うわぁ!痛い!痛い!痛い!」
ニセしんのすけが繰り出したのは【オールマイトレベルのラッシュ】一撃一撃が人間を粉々にする力を秘めた拳をしんのすけは再びギンギンを使って防御した
しかし、衝撃が大きすぎて腕にかかる負担がとてつもなく骨のきしみが止められない。アーマードの機能でいくらか衝撃が分散されているが強すぎる衝撃は身体の内側にまで影響を及ぼし、しんのすけは朝食べたハンバーグを吐き出しそうになった。
「オラが最強ーーーーーー!!!」
「っ!!!」
ラッシュに疲れたニセしんのすけは一旦距離を取りその黒い瞳に先程まで殴りまくっていたしんのすけを映した
バチィ!ボシュ!バチバチバチィィ!!!
「はぁ!はぁ!はぁ〜!!」
今のしんのすけはひと言で言えば【死に体】
アーマードのあちこちがスパークしており攻撃で入ったヒビから煙を放っている
超高速バトルでいくつかもらってしまった打撃部分が腫れ上がっており、鼻から鼻血も出ていた
恐らく骨も何本かいっている
傷がないのは常識を超えた武器であるキンキンとギンギンのみ
「この時を待ってた、ずっと待ってたんだぞ」
ニセしんのすけもしんのすけの攻撃をいくつか食らったがあまり効いていない、しんのすけの攻撃力なさでは怪獣であるニセしんのすけは倒せない、『ストーン』のような理外の力がなければ
「すんごい強い、、前は、、、アレ?前はどうやったんだっけ?」
「あの時は自爆しちゃったけどもうそんな失敗はしないぞ」
「あっそうだった」
しんのすけは今更ながら実感していた。身体は硬い、力は強い、自分よりはるかに速い、しんのすけは自分より身体スペックが上の相手に『奇想天外な行動』と『天才肌の技術』で戦ってきた。しかしニセしんのすけはとても【シンプル】人間の形で人間を超える人間の技を使ってくる相手、ゴリゴリの近接特化【オールマイトタイプ】
「やっぱり待ったほうがいいよしんちゃん!」
金の矛キンキンがしんのすけに忠告する。キンキンが言いたいのは『ストーン』が戻るのを待つこと、現在『ストーン』はギガントマキアを拘束するのに使ってプロヒーローに相手をしてもらっている状態
理外の力でなければニセしんのすけには勝てない
だが
「それはダメ」
「どうして!?」
「『ストーン』は、、、えぇ~と【ギガントまきまき】に使わないとだめ」
「ギガントマキアね」
「だからオラとキンキン、ギンギンでこいつを抑えないと」
「けど!」
キンキンはボロボロのしんのすけの状態を正確に把握している。普通の人間なら激痛で動けないほどの重傷、息をするだけで折れた骨が軋みそのたんびに歯を食いしばっている現状、しんのすけの感覚は緑谷達ヒーロー志望と違って一般人よりのため間違いなく辛いはずなのに
それでもしんのすけが我慢できるのは『見てしまったから』
「あんな大怪獣をそのままにしちゃダメなんだぞ、、、」
しんのすけの脳裏に浮かぶのは『かつてのギガントマキアの映像』
ヴィランの情報を知るためにかつての何が起こったのか、そしてギガントマキアがどれほどこの国を地獄に変えたのか、当時の映像をしんのすけは見たのだ。
補足すると根津校長は止めた。何故なら上記の通り、しんのすけの感覚はヒーロー志望と比べて一般人寄りに近い、故に大勢の人間が蹂躙される映像など、あまりに刺激が強いものになると
だがしんのすけは『見た』その全てを
そして何度も『吐いた』
やはりあまりに受け付けないものだったから
だがそれでもしんのすけが辛いのを我慢してギガントマキアの映像を見続けたのは、ひとえに『友達』のため
だからこそ、しんのすけは真っ先にギガントマキアの拘束に自分の『ストーンで作ったスパイヨーヨー』を使ってくれと申し出たのだ。
友達のため、そして一人の人間として、あのような地獄を再現などさせないと
おちゃらけたしんのすけにも覚悟はあるのだ。しんのすけの内に秘めた熱意と正義感はそこいらの人間より強く、そして真っ直ぐなのだから。
「そんなんだから前のときもオラに潰されちゃったんじゃない?」
「え?、、、、、、あ~」
しんのすけは思い出した。前にニセしんのすけと戦った時にニセしんのすけを庇って自分が潰されたことを
「アンタは最強、だからもうちょっと最強らしくしてほしいぞ」
ニセしんのすけの歪んだ欲求、オリジナルへのリスペクト、その全てが自分勝手でだけどそんな部分は確かに『しんのすけらしい』
「だからオラは最強じゃないんだって」
だがオリジナルは知ったことではないと肩を落としてため息をつく そして骨が折れているためそのため息も痛くてズキズキしながらもツッコミを入れた
「いやいやオラがコピーしたんだからアンタは最強、それは間違いない、ほら!いつものように『照れますなぁ〜♡』ってやりなよ」
だがニセしんのすけも頑固でその発言をすぐに否定する
死闘の真っ最中なのにこの緩さこそ、彼らの彼らたる所以である
だが
「でもなぁ〜『お姉さんに後ろ任せちゃってるから』男としてちょっと〜」
「ん?お姉さん?」
ニセしんのすけはオリジナルの言葉の意味が分からず首を傾げる。後ろに誰かなどいない、そもそも2人の超高速バトルについてこられる存在など見逃すはずがない、そう言えばなんか耳元手で押さえてないか?
まるで『インカム』でも聞いているみたいに
その瞬間
ガキィィン!!!
「オワッ!?」
ニセしんのすけを襲ったのは『突然の側頭部への痛み』かなりの衝撃で怪獣であるニセしんのすけでも体勢を崩してしまうほどの何かが頭にぶつかったのだと理解したニセしんのすけはすぐに側頭部方向を確認するが
「誰もいない!!?」
そこには誰もいなかった
しかしその直後その目に『紫色の何かが』移った瞬間
ガキィン!!!
「ドワっ!!?」
今度は眉間に何かが当たった
そしてニセしんのすけは理解したのだ
「狙撃!!?」
「そういう事」
「あ!!?」
そして狙撃されていることに気を取られている間に距離を詰められていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ヴィランに教えてどうすんだよ」
そこはとあるビルの屋上
しんのすけとニセしんのすけが戦っているか遥か遠くの場所に『彼女』はいた
「しかし、狙撃されてる対象にあんなに堂々と近づくとか、、、私がミスして自分に当たるって事、ホントに考えてないんだね」
異形の右腕をライフルに変えてしんのすけの援護射撃を頼まれた者
レディ・ナガン
彼女はホークスの頼みで特別な許可を得てこの決戦に参加していた。
「なんなんだあの子供は」
ホークスに頼まれてあってはみたが、その瞬間、ナンパされた。ナンパなんぞ長い間されたこともなく戸惑ってしまったくらいだった。そして自分の援護射撃をしてくれることを聞いたしんのすけは更に喜んだ。
ナガンは一つだけ質問をしたのだ
「私は元ヴィランだけど、そんな女の狙撃を信頼していいのか?もしかしたら君に当たるかもよ?」
するとしんのすけは
「あいにく女の人にハートを撃ち抜かれるのは男の性ですので」
いつも通りだった
「しかし、硬い体だな。止まってくれてようやく射線が定まったけど、あの程度かよ」
レディ・ナガンは頭を撃ち抜く勢いで手加減なしに撃った。しかしナガンの髪を編み込んだ弾丸はニセしんのすけの硬すぎる肉体に弾かれてしまった。まるで肉体そのものが装甲車のように
「そして人型装甲車に近距離でやりあえてるあの子供もすごいな」
そしてしんのすけの強さにも驚愕した
「だがまぁ撃っても死なないならこっちも気が楽だ」
そしてナガンは再びライフルを構えた
例え世界レベルの射撃技術を持っていると知っていたとしても、例え長年連れ添った戦友でも、ライフル射線に入っている状態で近接戦闘に移るなど並みの神経ではない、しかもナガンは元はヴィラン、そして出会ったのもつい最近、信頼も何もない、だがそんな事まるで知ったことかと『お姉さんだから信じる』という軽薄だが、貫けば凄い事が出来るのがしんのすけの強みである。単におバカなだけかもしれないが
「信じてくれるなら応えなきゃな!」
再びニセしんのすけの眉間に弾丸をぶち込んだ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「うおっ!また!!?」
ニセしんのすけは何度も自分の頭に撃ち込まれる弾丸に参っていた。頑丈すぎる肉体でダメージはほとんど無い、それ自体信じられないが、それでも人の肉体に近いのなら『弾丸の衝撃で頭が揺れる』その事に全く動きに影響を出さないなんてことは不可能、事実今現在しんのすけに攻められている、そしてしんのすけには『後ろから飛んでくる弾丸』に恐怖などありはしない、何故なら撃っているのが美人でスタイルのいいお姉さんだから
「オラはやっぱり最強じゃない、お姉さんに色々お任せちゃったから」
「このぉ!!!!」
「そんでこのアーマードもお任せして作ってもらった!見せてやるぞ!発目ちゃんのモノすんごいきつい実験に付き合って出来たオラの血と汗と涙と鼻水の結晶を!」
「何!?」
しんのすけは煙を出しながら今もなお自分をサポートしてくれるアーマードの『真価』を発揮させる
さっきまでは超高速バトルでついていくのが必死で使う暇がなかったが、ナガンがニセしんのすけの頭を揺らし続けてくれる今ならとアーマードの機能を解禁した
「機械は機械でしょうが!」
ニセしんのすけが頭を撃たれながらしんのすけに拳を送り出す
その瞬間
「レッドライオット!」【ガシャン!!】
「な!?」
しんのすけは腕の部分を変形させてニセしんのすけの拳を直接掴んで止めた
「そんでチャージズマ!」
「アババババババババババ!!!??」
スタンガン機能である電流を直接ニセしんのすけに流し込む。そしてしんのすけの追撃は止まらない
しんのすけの装着しているアーマードが変形してその機能を一気に解放する
「インゲニウム!テンタコル!シュガーマン!テールマン!フロッピー!ショート!イヤホンジャック!ツクヨミ!ピンキー!」
ガガガガガガガガガガガガガガガ!!!
人型のアーマードに詰め込まれた機械の触手が機械の尻尾が機械の氷結機能が破壊音波機能が提供してもらった酸が一気にニセしんのすけにぶち込まれる。それはまさに早業、ナガンがニセしんのすけを止めてくれたからこそ出来た芸当だった
だが
「まだまだぁ〜!!!!」
ニセしんのすけは正真正銘の怪獣、簡単には倒れてくれない
「こんなもんじゃ倒れない!倒せない!だって最強だから!」
「うぐぅ!」
アーマードのフル攻撃をつけながらもニセしんのすけは笑顔絶やさずに掴まれた拳をそのまま押し込もうとする
「アンタを倒してオラが最強になる!!!!」
まもなくアーマードの手数も尽きる。攻撃手段がなくなる。例え伝説の武器であるキンキンでもニセしんのすけに有効だは入れられない、倒す手段がない。アーマードがオーバーヒート仕掛けている。あまりの激しさに自壊寸前
「これでお終い!」
だが
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!
「「!」」
ニセしんのすけがそのまま押し切ろうとした時、遠くで何かが倒れる音がした。
そして爆風が吹き荒れて皆が目を覆う
一体何が起こったのか?
それは
「取ったぞぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
ミルコの叫びが響いた
彼女は今、とある頭のうえに乗っている
そこにはエンデヴァーや相澤の姿もあった
そうそれは彼女が先程まで戦っていたヴィラン
「バカな!!!?」
外典が驚愕の声を上げる
何故なら信じられない光景が映っていたからだ
「ギガントマキアが倒されただと!?」
ミルコが立っているのは【倒されたギガントマキア】の頭の上だった
あの厄災そのものであるギガントマキアが倒された事実に外典は動揺した
動揺してしまった
それが決定打となった
「ファントム・メナス!!!!」
「がっ!」
透過の個性で一瞬にして距離を詰めたルミリオンが外典の顎に拳を叩き込んだ
それで終わりだった
外典はゴロドロの防御と氷を使った機動力でルミリオンから逃げていたが、一瞬の油断が彼の運命を決定づけた
「予測と勢い!ヴィランとの戦いはいかに早く戦意喪失させるか!だろ!?環!」
「あぁそうだなミリオ」
「やった!!」
ルミリオンの透過の個性
相手がいかに強くとも、一瞬で勝負をつけられるほどの個性
そしてその個性を鍛えてあげ時期No.1ヒーローに着任するルミリオン相手に油断するのはあまりにも大きな悪手だった
そして外典知らない
プロヒーローは【ギガントマキア対策】を練りに練っていたと
何も起こらないのが一番だが、起こってしまった過去の地獄を教訓にマニュアルが作られ、そして未来へ更新されていく。それが社会という世界に生きる国家公認のプロヒーローなのである。
しかも今回は上半身が拘束されていた
その状態で相澤の抹消、エンデヴァーの炎、ミルコの打撃を相手に戦うなどいくらギガントマキアでも勝てるわけがなかった
「ヒーローに同じ手は通じない!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ガシャン!
しんのすけのアーマードが壊れた
そして
「しんちゃぁぁぁぁぁぁん!!!」
近づいてくる飛行物体
それは【ヘンジルで飛行機に変身していたマタ・タミ】
「これを!!!!」
そして空中から放り投げられたのは【ストーンで作り出されたスパイヨーヨー】
ギガントマキアが倒された直後、マタ・タミが回収してしんのすけのもとに持ってきてくれたのだ
それを理解したしんのすけは生身のまま跳躍
スパイヨーヨーを掴んだ
ニセしんのすけに緊張が走る
ついに決着がつくと身構える
しんのすけがストーンに念じて作り出したのはカンタムの腕か、ヒーローのビームか、
それは
しんのすけがこの世界で経験して物語ってきた力
「ワン・フォー・オール!!!フルフルカンカン!」
「フルカウルね!」
ワン・フォー・オールの身体能力強化
「おや?てっきりアクションビームかと」
もはや死に体のしんのすけが身体能力強化を施すなど非合理と思うだろう
だが
「キンキンとギンギンはちょっと下がっといて」
「「え?」」
しんのすけはキンキンとギンギンをその場に置いて一人、ニセしんのすけの元に歩いていく
「お姉さんも、近づくから撃たないで」
そしてインカムに繋がっているナガンにもそういった
『、、、どうなっても知らないよ』
「大丈夫、これで終わりにしてくるから」
その瞳は燃えていた。
やはりしんのすけも『男の子』であるらしい
「ハハッ」
その瞳にニセしんのすけも燃えた
「そうだよ、これがやりたかった」
2人の距離が縮まる
そしてお互いがノーガードのまま向き合う
しんのすけは『拳』を握っていた
間違いなく殴り合い上等の状態
あの野蛮を嫌うしんのすけが殴り合いを仕掛けるなど本来信じられないことだ
だがしんのすけは『見てきた』
彼らを
この世界の彼らを
この世界でヒーローになろうとする彼らの姿を
そんな彼らの姿が、痛みを嫌うしんのすけの『男の子』の部分に火をつけたのだ
自分だけが痛い思いをしないなんてカッコ悪いと
「長かった」
ニセしんのすけが言った
「ややこしい事はたくさんあったけど、ここまでやってきてよかった」
笑いながら言った
「全部、全部このために、、、オラはこの世界に立ったんだから!」
怪獣の怪力と怪獣の耐久を持つ相手に殴り合いを仕掛けるなどあまりにも無謀
だがそんな事知ったことではない
だって
「「オラだから!!!!」」
お互いの拳が飛び出した
ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!
ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!
ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!
ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ト!ド!ド!ド!
ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!
ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!
ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!
巻き起こるのは爆風
壮絶な打ち合い
周囲が近づけないほどの風が吹き荒れる
ノーガードの殴り合い
しんのすけは既に大ダメージを負っている
殴り合いは不利
だがしんのすけは『右手でパンチ』を『左手で猫手反発』を繰り出して、ニセしんのすけの拳の半分をパリィして負担を減らしている
それでもニセしんのすけの有利は揺るがない
はずだった
先にニセしんのすけが押され始めた
(なんで!!?喰らってるダメージはオリジナルの方が大きいはずなのに!!?)
しんのすけは現在『疑似ワン・フォー・オール』で肉体が強化されていようと蓄積されたダメージが消えたわけではない
だがしんのすけが殴り合いで押しているのだ
(わかんない!?なんで!パンチの力も身体の硬さもオラの方が上なのに!!?)
そうニセしんのすけは怪獣 あらゆる強さで人間であるしんのすけを上回っている。今はしんのすけも『ストーン』のより理外の力を使ってはいるが、それでもダメージが蓄積されたしんのすけが押しているなんて理屈に合わないのだ
(なに!?なんなの!?これは一体!!?)
「めちゃくちゃ痛いけど!怖くない!」
「!」
爆風を巻き起こす殴り合いをしながらしんのすけは叫んだ
「タワーを登ってた時のほうがずっと怖かった!」
「ーーーーーーーーー!」
ニセしんのすけの脳裏によぎるのはしんのすけの過去
オトナ帝国の戦い
匂いが散布されてもう二度と『父ちゃん』と『母ちゃん』と一緒にいられないかもしれない
だから登った
何度転んでも登った
例え壁に体を打ちつけて階段から転げ落ちても登り続けた
間に合わなかったら?そう思う暇すらなかった
きっと怖かったろう
苦しかったろう
その小さな身体で勇気だけを頼りに走り続けたのだろう
オラはそんな事したことない
そう
オリジナルとの埋められない差
それは『経験』
ニセしんのすけは女の子を救ったことなどない
ニセしんのすけは人の悪口で傷ついたことなどない
ニセしんのすけは冒険なんてしたことない
ニセしんのすけは友とぶつかりあった事などない
ニセしんのすけは寂しさに泣いたことなどない
ニセしんのすけは家族の尊さなど知らない
ニセしんのすけは『立ち向かった』事などない
ニセしんのすけは別の世界に飛ばされてそれでもなお、そこで出来た友達のために身を挺して戦ったことなどない
理屈ではない
それは理屈で測れるものではない
やっとニセしんのすけは気づいたのだ
彼の本当の力を
自分が何処までも偽物だということを
「それでもオラが最強だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
だが彼にも意地がある
感情の赴くままに大振りの拳を振るった
振るってしまった
シュバ!
「あ」
その拳はしんのすけの頬をかすめた
そう、大振りは『避けやすい』
更にその後に体勢が崩れやすい
カウンターが来る
ニセしんのすけは理解したがもう遅い
「そこだぁ!!」
「がっ!」
しんのすけの握りこぶしが当たったのは『みぞおち』
ニセしんのすけの身体が硬直する
1秒にも満たない間にしんのすけは『力を貯める』
たった一つのミスがその戦いを決定づけた
「デクくん直伝」
繰り出されるのはさっきまでの無造作な拳ではない
『みぞおち』『首元』『脳天』等に狙いを絞った人体急所の集中攻撃
しんのすけも彼らとの訓練で『対人戦闘スキル』を上げていたのだ
刹那の瞬間、二人の目が合った
(あぁ)
そしてニセしんのすけは理解した
(オリジナルは)
しんのすけが何を見ているのかを
(オラを見てない)
何を考えているか分かったわけではない、だがしんのすけは既にこの戦いの後を見ている
『自分のその先』を見据えている事に
更に向こうを
「SMASH!SMASH!SMASH!SMASH!SMASH!SMASH!SMASH!SMASH!SMASH!SMASHSMASHSMASHSMASH!SMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASHSMASH!!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
数日前
「どうするべきかな【懐かしい匂い】を」
校長室で教職員たちが【懐かしい匂い】について話し合っていた
「科学チームに隔離施設を作ってもらって」
「どこに設置する?」
そんな時だった
「あ、一個思いついた」
参考人として呼ばれていたしんのすけが何かを思いついたように声を上げた
「ロケットで宇宙に飛ばしちゃえば?」
「いやいや野原、ロケットって用意するのにどれだけの費用が」
「それなら大丈夫、多分」
「「「「「え?」」」」」
「【オラ】が用意するから」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「しんちゃん!」
マタ・タミが変身を解いてしんのすけのそばに降り立った
キンキンとギンギンも近くに駆けつける
倒した
倒したのだ【ろくぼす】の一人を
だがしんのすけは既に【先】を見ていた
「マタ、お願いがあるんだけど」
「え!?」
「ヘンジルでオラのアーマードになってくれない?さすがに動けなくて」
「!」
肉体の動きをサポートするアーマードは既に壊れた。そしてしんのすけはいくつかの骨も折れて身体は限界を迎えており、既に両足で立つことすら出来る状態ではない。要は身体を動かせるようにしたいのだ
「まだ戦うの!?しんちゃんはもう十分戦ったよ!怪我を直してくれるおばあさんのところに行こう!」
「まだやらなきゃいけないことがあるの、それにもう【戦うことはしないよ】」
「え!?」
どういうことなのかわからない。しんのすけが今から何をしようとしているのか
「『ストーン』を使うから『今使ってるワン・フォー・オール』も止めなきゃいけない、身体のパワーアップはもう使えない、アーマードも壊れちゃったし、自分一人じゃ動けないし、、マタしか頼めないの、、、お願い」
「しんちゃんは、、、『ストーン』を使って何をする気なの?」
しんのすけは人差し指を『懐かしい匂いを放つ装置・20世紀タワー』に向けた
「あれを宇宙に飛ばす」
「なっ!ど!どうやって!」
「『ストーン』をあるものに変える」
しんのすけは震える手でストーンに念を込めた
「取っておきだぞ」
そしてストーンは輝き出してその形を変えていく
色とりどりの輝きを放つそれを意外にも小さくしかし確かな存在感があった
「やっぱり殴り合いなんてオラのキャラじゃないや、、、やっぱりこういうのがオラっぽい、ヒーローにしか使えない、あぁいや勇者だったっけ?まぁいいや、とにかくあのタワーをロケットにくっつけて宇宙に飛ばさなきゃ!」
指先で円を描くようにしんのすけはそれを手にした
それは選ばれし勇者にしか使えない
描いたものを具現化させる理外の存在
『ミラクルクレヨン』
「これででっっっっっかいロケットを描いて!終わりよければ全て良しって言ってやるぞ!」
『ストーン』は確かに『ミラクルクレヨン』を再現した
だが『ミラクルクレヨン』の性質も再現した
【使い切ったら消える】という性質も
ロケットという巨大なものを描けばクレヨンを使い切るのは必定だろう
つまり『ストーン』ごと消える
だがしんのすけはそれでも構わない
何故なら、しんのすけだから
「そんじゃ!行きますか!最後のクレヨンしんちゃんだぞ!」