シャアに拾われた件について リメイク   作:ロドニー

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シーマ再び

 

 UC.0079.9月

 

 シーマ・ガラハウ大尉は、アマゾネス大隊と連動しながらソロモン諸島の確保並びにオーストラリア方面に置ける連邦軍の補給路の遮断の貢献により少佐に昇進と同じくして、ソロモンへの帰還命令が出る。

  

 アマゾネス大隊にも、ソロモンへの帰還命令が出ていたが、連邦軍の南太平洋方面軍による鼠輸送によるオーストラリア方面への輸送や潜水艦によるオーストラリア方面からジャブローへのモビルスーツの製造に必要な戦略物資の輸送などが再び活発な事を理由に帰還を拒否する。

 

 少し前のUC.0079.7月、ジオン軍の上海方面軍と東南アジア方面軍はラサ基地の奪還を目指す連邦軍の東南アジア方面軍と激しく激突するが、欧州連合の東インド方面軍を併せた三方面軍による包囲網とアイナ・サハリン中尉が所属する第175中隊とシャーロット・シュタイナー中尉の上海方面軍、台湾宇宙港守備隊率いるミチル・サオトメ中尉の部隊が、連邦軍東南アジア方面軍の本拠地であるシンガポールの基地へ総攻撃する。

 

 無論、ポートモレスビー基地のシーマ隊も出撃して、海上からのシーマ隊の攻撃により、四方を囲まれた連邦軍の東南アジア方面軍は援軍が無い苦境の最中でも善戦するがシンガポール基地の守備隊は壊滅する。シンガポール基地の要塞に閉じ籠もる事を選択した司令官のコジマ大佐は最後まで徹底抗戦を主張したが、降伏を主張する部下に射殺され連邦軍の東南アジア方面軍は降伏する。

 

 ジオン軍の東南アジア方面軍は制圧地域の安定化を理由に部隊の縮小と現在、計画中だったエースパイロットやベテランパイロットの集中運用に必要なパイロット達を優先してソロモンに帰還させる事をドズル閣下に報告していた。

 

 無論、東南アジア方面軍だけでは無く、当初の計画から北米方面軍、南太平洋方面軍、北アジア方面軍も同様に部隊の入れ替え理由に戦線の縮小をする目的だった。

 

 

 真っ先に部隊の縮小する対象だったのが、シーマ隊率いる南太平洋方面軍だった。

 

 「何なんだい!?」

 

 ソロモンへの帰還命令の辞令にキレて居るのは、ポートモレスビー基地を拠点としていたシーマだった。

 

 無論、アマゾネス大隊にも同様な帰還命令の辞令が来ていたが、連邦軍による鼠輸送がモビルスーツの大量生産で物資が必要となり、更に鼠輸送が活発化した為に帰還命令に対して鼠輸送に対処する為に帰還が出来ないとツキノ大尉が帰還を辞退する。

 

 「しかし、シーマ様。

 

 ツキノが帰還を拒否したのだから無理でっせ。」

 

 「判ってるさね!!

 

 でも、妹を殺した上層部にどうして、信用が出来るさ!」

 

 シーマの余りの剣幕にコッセルはたじろぐが、シーマ隊を嵌め、妹を謀殺したシノザキ大佐は、アンマンにて悠々自適にサイド2の監視任務をしているらしいと、フォン・ブラウンの知り合いの記者から情報は得ていた。

 

 無論、過度の上司不信のシーマに対して、シーマ隊の新しい上司は突撃宇宙軍のドズル閣下であり、元が宇宙攻撃軍だったシーマにしたら左遷と同義だった。

 

 だが、ドズルにしたらシーマ隊は欲しい部隊であり、ジャブローに潜入している工作員からはソロモンに対して大部隊による攻撃の可能性が高くあり、ジャブローでは航空巡洋艦型と対空兵装増強型のサラミス級が大量生産している情報とキシリアの方でも連邦軍のモビルスーツの大量生産に加えて、連邦軍の南極基地で連邦軍がニュータイプ用の新型モビルスーツが開発に成功してルナツーに極秘に搬入された情報を得ていた。

 

 シーマも帰還命令に対して荒れに荒れたが、シーマ隊の宇宙艦隊が軌道上に迎えが来ている事を知ると配備されたばかりのザンジバル級後期生産型のリリー・マルレーンに座乗してソロモンに帰還したのだった。

 

 UC.0079.9月。

 

 軌道上でシーマ隊と合流を果たしたシーマ艦隊はソロモンに帰還。

 

 シーマはドズル閣下に挨拶して、居住区の自宅へと戻るが妹はもう居なく、雨が降る中で玄関を開けたくても誰も居ない自宅に寂しさだけが木霊する。

 

 「はぁ…虚しいだけね…」

 

 ずぶ濡れに成りながら、シーマは繁華街へと足を運ぶ。行き付けのバーに入ると妹の写真をテーブルに置き、ウィスキーをボトルで頼むと浴びる様に自棄酒をしていた。

 

 「飲んでも、不味い酒さね…」

 

 飲みかけのウィスキーのボトルを片手に酷く酔い千鳥足の様に自宅へ戻る途中、シーマは深酒をした事に後悔しながら、尉官以上の軍人が住まう住宅街を土砂降りの雨の中で倒れたのだった。

 

 

 

 アンが受理したキャノンヘッド型のYMS-11B高機動型ゲルググをエメ中尉機と同じ高機動型ゲルググ改である脚部の装甲を外して高機動型ザクと同じ脚部のスラスターを取り付けたYMS-11CR高機動型ゲルググ改の脚部スラスターの不具合と剣部隊に配備されたリックドムⅡのセンサー系統の初期不良の対処の為、アンマンの製造元のジオニック社とツィマッド社に行って居ない。

 

 そして、鬼の副隊長が居ないのを良いことに、男同士の付き合いを名目と隊長のイチカに奢って貰おうと連れ出した金欠だった部下のダガ少尉とジャックス少尉と食堂の帰りだった。

 

 無論、イチカは食事を奢ったが、部下も未成年な為にお酒は飲めない。

 

 イチカもソロモンの居住区にドズル閣下からガルマ・ザビの邸宅の隣に貴族が住まうような大きな邸宅が与えられていた。

 

 屋敷の管理は、アンが貴族令嬢時代のフリークス家のアンの専属侍女だったミハル・シデンが侍女長を務め、夫のカイ・シデンがイチカの専属執事として務めるが、元フリークス家の多数の侍女や執事などが管理していた。

 

 屋敷を管理している侍女達、全員の正体はフリークス家のお抱えの凄腕の諜報員であり、侍女達の正体を知るのは諜報員達の主であるアンを除き、押し掛けて住み着いた彼女達以外でセレーネ・カーンだけが正体に気付いた位だった。

 

 屋敷の調度品は、アンの母親がオーナーをしていたルオ商会経由で買い入れ、イギリスの伝統的なアンティーク調の落ち着いた雰囲気の家具をアン自ら選び配置していた。

 

 無論、貴族用の屋敷と同じ造りな為、正妻や側室などの夫人用の部屋も多数あり、イチカから聴いた通りに正妻の部屋は、想い人の故郷の伝統的な清時代の後宮の部屋を模範した作りとしていた。(ただし、普段は侍女が清掃する以外は正妻の部屋は施錠されている)

 

 アンが士官学校を卒業して住み込んみ、ミネバとのお茶会以降、帰るのは開戦以来で久しぶりである。

 

 「誰か倒れてる?」

 

 自宅の塀に寄り掛かる様に倒れているのは、ずぶ濡れの女性の軍人だった。

 

 近寄り、軍服の階級章を確認すれば少佐であり、お酒のボトルを握ったまま気絶する様に塀に寄り掛かる様に倒れいた。

 

 イチカは、何故かそのままにする事が出来ないと思い、彼女をお姫様抱っこで抱えると自宅に入る。

 

 無論、自宅にはアルマやセレーネ、ミアやエマァにシャーロットとミチル、上官で総隊長のキリー大佐までが、一緒に住むアンにしか教えてなかった筈だったが、あのアンが起こした事件以降から自宅に押し掛けられて、彼女達の凄まじい笑顔の圧に屈して一緒に暮している。

 

 無論、俺の帰りに気付いたのは、侍女のミハルと一緒に暮らし始めたキリーだった。

 

 「旦那様、お帰りなさいませ」

 

 「あら、イチカお帰り…てっ、イチカが抱えているの、シーマ隊のシーマ少佐じゃない!?

 

 アルマ!ミア!エマァ!

 

 シーマ少佐に部屋を用意して!

 

 シャーロットは、シーマ少佐は多分、急性アルコール中毒だから医者を呼んで!」

 

 俺が抱えている女性が誰なのかキリー大佐が気付く。

 

 顔色が悪く気絶しているシーマ少佐。

 

 キリーは部屋の用意をアルマ達や侍女に指示を出す。

 

 無論、羨まけしからんとキリーはイチカからシーマ少佐を奪うと、担いで部屋へと連行したのだった。

 

 

 シーマは微睡みの中、ゆっくりと目を覚ます。見慣れない天井と色合いが落ち着いている家具。窓から外を覗けば、此処が尉官以上の士官が住まう住宅街だと気付いた。

 

 ただ、調度品が余りにも落ち着いた雰囲気から女主人の趣味だと思うが、部屋の調度品が全て英国式のアンティークだった為、もし壊したら、弁償する金額が怖くて身震いする。

 

 「此処は?」

 

 「あら、目覚めたのね。」

 

 「キリー・ギャレット大佐!?」

 

 ガチャリと扉が開けば、侍女と一緒に入って来た私服姿の上官であるキリー・ギャレット大佐に驚く。

 

 シーマもキリー・ギャレット大佐の事は同じ地上戦線に居たので知っている。

 

 月面の士官学校の第一期パイロット候補生で同期の士官だった。

 

 ただ、あの事件が無ければ自分も中佐に昇進していた筈だった。

 

 「キリー大佐…」

 

 「キリーで良いわよ。此処は、イチカ・オリムラ大尉の邸宅で、イチカが屋敷の前に倒れて居た貴女を屋敷に運んだの。まぁ、私が居るのはソロモンに私の自宅が無いから、イチカに頼んで部下の三人と一緒に泊めて貰って居るわ」

 

 確かにキリー位の士官だったら屋敷位はあるだろうが、泊めて貰って居るは絶対に嘘だと思いながら、胡散臭そうにジト目でキリーを見る。

 

 実際、キリーは嘘は言っていないが、事実も言って居ない。

 

 キリーの自宅はソロモンに無いが、士官用の宿舎はある。

 

 キリーの自宅兼実家は月面都市のフォン・ブラウン市の高級住宅街にある。ただ、自宅に帰ると『2●歳もなるのに結婚はまだか、孫はまだか』と母親が五月蝿い為に帰らないだけだった。

 

 「まぁ、お酒が弱いのにかなりの深酒をしたらしいじゃない」

 

 「キリーはあたしがやらかした事件、知っているだろが…」

 

 「あの事件なら、アンが家の者を使って調べている最中よ。それに、急性アルコール中毒で死に掛けた上に風邪引いて高熱を出すわ、毎晩、うわ言の様に『リリー、ごめんさい』を聞きながら看病していたイチカが部屋から出た後の表情に私達、かなり怖かったんだから…」

 

 キリーは三日前からイチカがシーマをまるで姉の様に看病していた事を知っていた。

 

 無論、急性アルコール中毒に加え、ずぶ濡れで風邪を引いて高熱を出していたのもあるが、シーマが魘され、毎晩の様にうわ言で妹のリリーに謝り続ける姿にイチカは、シーマが引き起こした事件の内容を調べ上げた時の怒りに満ちた剃刀のような鋭い眼光に私達は一瞬だけ恐怖した。

 

 無論、イチカが相談したアンもイチカの話を聞き終わった時の目付きも同様に鋭く、モビルスーツの不備を理由に数名の侍女を連れて月面都市に向かった理由は、私でも判る程だった。

 

 セレーネもアンと同行したらしく、屋敷には居ない。

 

 

 

 

 UC.0079.9月下旬。

 

 月面都市アンマン市長は震えに震え上がった。

 

 

 ジオン公国の最大にして最強クラスの戦艦が都市のドーム上に現れた事だった。

 

 その戦艦はカーン家がアクシズの総力で開発して建造したアルテイシア女大公の就任に送ったアクシズ製の巨大戦艦サダラーンだった。

 

 シーマ艦隊でもあの事件に使用されたムサイは、当時のまま厳重に保管と管理がされていたらしく、証拠隠滅を狙う上司だったシノザキ大佐の度重なる引き渡し命令を無視してまで引き渡さなかった。

 

 アルテイシア女大公から出された捜査状とコッセル大尉の許可を得て、フリークス家の諜報員は弾薬や催涙ガスのタンクを徹底調査をして、バズーカの弾頭は核弾頭に替えられていたり、催涙ガスのタンクの中身は猛毒のG3ガスだと判明する。

 

 諜報員は、更にサイド3のシノザキ大佐の自宅を潜入調査をした結果、連邦軍の上層部と繋がりがある確実な証拠の手紙やバズーカの弾頭に使用された核弾頭の出所がルナツーの連邦軍基地だった事を突き止めたのだったが、報告を聴いたアンは余りの事の大きさと重大さに頭を抱え、自分では手に負えない事態であると決断して、話し相手になる様にと卒業後にアルテイシアから渡されていた秘匿通信器で調査結果を報告したが、内容を聴いたアルテイシアはザビ家の面々と会議中だったのか、ドズル閣下とキシリア閣下、ギレン元帥にまで聴かれる状況となる。

 

 内容を聴いたアルテイシア女大公は、その場でキレたらしく、アンがアルテイシアの卒業祝いに送った執務用のアンティークの執務机はアルテイシアのキレた八つ当たりで木っ端微塵に砕けたらしい。

 

 アルテイシア女大公は、シノザキ大佐を国家反逆罪と認定して自ら逆臣を討つべく、その場に居たザビ三姉弟にジオン公国軍総旗艦サダラーンの出撃を要請。

 

 自ら討つべく、アルテイシア専用にニュータイプ研究所のフラナガン機関が監修しながら、モビルスーツ技術研究所、ジオニック社、ツィマッド社が共同で開発して完成したモビルスーツ、NMS-02A-2又はMS-16X-A2サイコ・ジオングがア・バオア・クーの工廠でサダラーンに積まれたが、専用の武装であるザクよりも巨大なニュータイプ用のサイコハンマーや全長だけでも30メートル以上の機体だけに機体の高さと大きさ的に格納庫への収容は無理なので外部のカタパルトにワイヤー固定して搬送された。

 

 サイコ・ジオングは開発されたMS-16Xパーフェクト・ジオングをベースにした機体だけに機体が巨大なニュータイプ専用の機体である。

 

 ただし、サイコ・ジオングは女騎士をイメージして再設計された機体で元のパーフェクト・ジオングより全体的にシャープに細くなっているが、機動力と防御力は桁違いに高くて接近戦型のジオングと言える機体で装甲は鹵獲したガンダムタイプと同じルナ・チタニウム製である。

 

 武装はメガ粒子砲をや指のビーム砲を廃止した代わりに両肩にサイコミュ制御の有線式三連ビーム砲とヒートクレイモアをベースに作られたサイコ・ジオング専用のヒートソード(イチカの斬馬刀サイズ)、ザクの約2倍の大きさがあるバーニアとスパイク付きの鉄球にサイコミュ制御を組み込んだサイコハンマーを装備する。

 

 メガ粒子砲を一切装備しない代わりにジェネレーター出力にかなり余力があり、機体の全体に対ビームコーティングが施されており、ビームバズーカやビームライフル、サラミス級のビーム砲程度なら無効化が可能だった。

 

 そんな、アルテイシアが乗るサイコ・ジオングとアルテイシアの周りに守護する様にアン専用の高機動型ゲルググやアルマのティターニア、ミアのプロトタイプリックドムⅡ、キリー専用のゲルググ・キャノン、エマァ専用のプロトタイプリックドムⅡ、アクシズから持ち出したニュータイプ用でセレーネ専用のファンネル装備の試製型サイコ・リックドムがアンマンへと迫る。

 

 アルテイシアは、上空はサダラーンが見張りながらオープン通信で国家反逆罪のシノザキ大佐に投降を呼び掛けるが、シノザキ大佐は全てがバレたと顔を真っ青になる。

 

 しかも、女大公であるアルテイシア自らの討伐に出撃している為、ジオン公国の全てが敵となり、月面都市アンマンの市長から出て行く様に言われ、他のコロニーに逃亡したくても、自分がやった事が公表されて逃げられない。

 

 シノザキ大佐は、全てに置いて既に詰んでいた。

 

 無論らシノザキ大佐の配下である部下達も同様だった。今まで、甘い汁を吸って来たツケだった。

 

 彼らは、ジオニック社に逃亡し、生産されたばかりのゲルググを奪い、アルテイシア達に立ち向かう。

 

 「愚か者ね。

 

 私だけで討伐します。

 

 貴女方に味方殺しと言わせたく有りませんので」

 

 サイコ・ジオングが急加速しながら、ハンマーを振り回していく。シノザキ大佐達は、まさか大公自ら打って出るとは思わなかったが、部下達は巨大モビルスーツが迫る恐怖にビームライフルを乱射する。

 

 「「「「うわぁぁぁぁ!?」」」」

 

 「無駄です!」

 

 ゲルググの放ったビームライフルのビームを弾き、サイコ・ジオングがハンマーを振り回せば、サイコミュ制御のハンマーは、アルテイシアの思いのままにチェーンが延びてハンマーがゲルググに命中する。

 

 命中したゲルググは潰れたカエルの様に拉げて爆散する。

 

 一瞬でゲルググがハンマーに潰され、恐慌状態のシノザキ大佐の部下は接近でビームナギナタならと近づくが、アルテイシアはサイコミュ制御で起動した両肩の三連ビーム砲が3機のゲルググに放ち、ビームが寸部違わずに2条づつ同じ様に刺さり、3機のゲルググは爆発する。

 

 「後は、シノザキ大佐だけ!」

 

 ハンマーを投げ捨て、ヒートソードを抜きながら有線式三連ビーム砲でゲルググの退路を塞ぐサイコ・ジオング。

 

 シノザキ大佐も部下の死様とゲルググではサイコ・ジオングに勝てない事と最早逃げられないと悟り降伏する。

 

 

 降伏したシノザキ大佐は逮捕され、サダラーン内の謁見間にて軍事裁判が開かれて国家反逆罪が適用され処刑となる。処刑はサイド3の宮殿広場前で施行され、シノザキ大佐は斬首となり、サイド3に住むシノザキ大佐の家族も連座で全員が斬首の処刑となった。

 

 

 名誉を回復したシーマだったが、暫くイチカの邸宅で療養生活を送る事となる。無論、イチカ以外の女性陣達と侍女達はアルテイシア女大公に呼び出されたお茶会に参加の為に向かい居なかった。

 

 カイも月面都市の後始末で居ない。

 

 シーマとイチカの二人きりだった。

 

 「シーマさん、良かったらどうぞ」

 

 キッチンのテーブルに出されたのは、イチカの手料理のオムライスだった。一口食べると美味しいのに懐かしい味に何故か涙が止まらなくなり、やっと、悪夢から解放されたのだと実感する。

 

 「うわぁぁぁぁん」

 

 私は、涙が止まらずにとうとう、スプーンを落としたまま、大声で泣いて居たのだ。

 

 ただ、イチカの後姿には妹の姿が視えていて、一言だけ聴こえた。

 

 『姉貴、アタイの分も一緒に幸せになってくれ…』

 

 そして、私はいつの間にかイチカに抱き着き、泣き続けて眠っていた。

 

 目が覚めると夕方で、イチカは近所を走って来たのかシャワーを浴びていた。それにイチカの彼女達や侍女達も居なかった。

 

 「チャンスだねぇ…」

 

 私は服を脱ぎ捨てて産まれた姿となり、シャワー室に入る。イチカが気付いて居ないのを良い事に私はイチカの背中から抱き締めた。

 

 「イチカ、ありがとう…傷だらけで醜い身体だが、御礼をさせて…」

 

 「シーマさん?

 御礼は良いから、服を着て!?」

 

 イチカの慌てぶりに何故か、可愛く観えてしまい、押し倒して、イチカのお腹に跨るとお尻当たる硬い物に私はニヤける。

 

 「おやまぁ、私の身体を観て欲情かい?お尻に硬いのが当たってるさ」

 

 「マジで、止めて!」

 

 「大丈夫さぁ、天井の染みを数え終わる前に終わらすから!」

 

 私は、イチカの初めを奪い、脳に突き抜ける快楽のままイチカを犯したのだった。無論、この出来事をお互いに秘密としたのは、アン達に殺される未来がお互いに視えたからだと思う。

 

 ただ、私はこの出来事で妊娠して娘を出産した後、6年後にイチカと再会するまでシングルマザーになるとは思わずに育児に苦労する事なる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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