連邦軍の第二次攻撃隊の察知と同じく、撤退中の月夜のフェンリル隊が俺達とすれ違う。
月夜のフェンリル隊の機体は手足を失いズタボロだったが、全員が無事だとキリー大佐に報告するが、機体の損傷状況から継続して戦闘への参加は無理だった。
キリー大佐は、そのまま後方に下がる様にと命令を下したが、損傷の酷かった月夜のフェンリル隊のソロモンへの完全撤退により、343迎撃防衛大隊は事実上壊滅する事となったが、ノイジー・フェアリー隊と剣部隊の生き残った隊員は一つの部隊として再編して、一小隊の343迎撃防衛小隊として出撃し、第二次攻撃隊だと思われる連邦軍のモビルスーツ隊を発見する。
「ミア!
ガトリング砲を用意!」
「了解!」
ミアのプロトタイプリックドムⅡが持って居たのは、正式採用されたLKP-150ミリガトリング砲だった。装弾数はバックパックに背負うドラムマガジンに約八千発が装填されており、毎分約200発を放つ新型のガトリング砲だった。
無論、弾丸はLKP-110ミリマガジンと同じ専用の徹甲弾であり、貫通力はルナ・チタニウム製の装甲を紙切れの様に貫く弾速と威力を実現したガトリング砲だった。
ただ、高いパワーを誇るプロトタイプリックドムⅡでも、片手での装備は超重量級の装備の為無理であり、本来の使い方は専用の台座に固定して放つガトリング砲であり、ガトリング砲全体の軽量化の改良をミアが施したが両腕で装備する程の重量は変わらずだった。
ミアのプロトタイプリックドムⅡが部隊の前面に行くと電動鋸の様な凄まじいモーター音と共にガトリング砲が放たれて弾切れまで数分の間だったが、連邦軍の第二次攻撃隊のモビルスーツの半数が火球へと変わり撃破される。
ガトリング砲は一度きりの使用だったが、砲身は焼けて真っ赤に染まり、ドラムマガジンをパージしてガトリング砲は投棄していた。
「活路は開いた!
全機、突撃!」
キリー大佐の激に切り込み隊長のイチカがゲルググを急加速しながら連邦軍のモビルスーツ隊へと突入する。
「!?
イチカを殺らせない!」
「グワァァァ!?」
バディであるアンのゲルググも同様にイチカの機体を援護する様にジャイアントバズーカ放ち、突撃しながら連邦のモビルスーツを斬り刻むイチカの死角から襲うベテランパイロットだと思われるジムを撃墜する。
「私もキラーハーピィは伊達じゃないわよ!!」
「何故、北米の妖精部隊が!?
奴等は全滅した筈では無いのか!?
やっ、止めろ!!
ギャァァァァ!?」
無論、イチカに遅れまいとアルマ達も追従し、キリー大佐は対空射撃中のサラミスの艦橋に一気に近付きすれ違い様にジャイアントバズーカを撃ち込み撃沈。
「アルマ、ミア。
イチカに遅れるな!
えぇい、邪魔よ!!」
「邪魔って、言っているのよ!」
エマァが激を飛ばしながら、ミアとアルマのプロトタイプリックドムⅡが2機とティターニアの3機は学徒兵が乗るジムとボールを片付けながら、先頭で暴れ回るイチカ達が囲まれ無い様に援護射撃を行い、進路を塞ごうと濃密な弾幕を張り出したマゼラン級にアルマがチェーン・マインで艦橋を爆砕し、ミアとエマァの2機がジャイアントバズーカを機関部へと撃ち込み合同で撃沈して、遅れない様にイチカ達を追い掛ける。
同じ頃、Sフィールドではジオン軍と連邦軍の艦隊同士の艦隊戦となるが、連邦軍の艦艇から放たれたビーム砲をお構い無しに弾きハンマーを振り回してサラミスやマゼランのブリッジを叩き潰して撃沈数を量産するのはアルテイシア女大公が乗るサイコ・ジオングだった。
「ばっ、化け物め!
ミサイルを放て!!」
「無駄ですわよ!」
「ミサイルも主砲も効かないだと!?」
マゼランに座乗するルナツー艦隊司令官のティアンム中将が叫びミサイルを発射するが、硬すぎる装甲にミサイルや対空レーザーの直撃にも動じないサイコ・ジオングが迫り、サイコ・ジオングに近距離で対空レーザーを命中させるもレーザーだった為に弾かれる。
「落ちなさい!」
「うぁぁぁぁ!?」
ティアンム中将が座乗するマゼランは、サイコ・ジオングのサイコ・ハンマーにブリッジを叩き潰されて撃沈される。
Sフィールドに迫る連邦軍のモビルスーツ隊は、アルテイシアが乗るサイコ・ジオングを撃墜する為に群がりビームスプレーガンを放つが全て弾かれ、逆にハンマーのチェーンを限界まで伸ばして振り回しながら自分に迫り来るジムを叩き潰して行く。
更なる連邦のモビルスーツ隊を発見すれば突撃してはモビルスーツ隊を殲滅する女大公の姿に護衛するモビルスーツ隊のパイロットは、サイコ・ジオングで暴れ回る大公様に護衛は要らなくないと呟くが、アルテイシアが執務や公務で溜まりに溜まったストレス解消で暴れ回っている事実を知って居るのは秘書のナタリー位だった。
レビルは緒戦からのジオン軍との戦力差と悪化する戦況に焦っていた。自分もソロモン攻略に動員するモビルスーツと艦艇の数を十倍は無理でも最低でも3倍の数は必要だと説明したが聞き入れて貰えない。
そして、V作戦を阻止された際にゲルググタイプはビーム兵器の使用が確認されていた。
なのに、ビーム兵器搭載機である敵モビルスーツのゲルググがビームライフルを一切使わないで実弾兵器を使う点に疑問が浮かぶ。
一部の将校は、生産態勢が整っていないと言っては居るが現実は違う。
確実にルウムの我らの戦訓を逆手にジオン側のビーム対策に利用されたのだと気付いたが全て遅かった。
ゲルググやジオン軍の艦艇の対策にビーム撹乱膜をミサイルでバラ撒いたが、ジオン側のモビルスーツが実弾兵器のみ使用し、連邦軍のモビルスーツ隊はビーム兵器を使っているがビーム撹乱膜の影響でビームの威力が弱くなり苦戦するのは連邦側だった。
ビーム兵器を使う連邦軍はビーム兵器の弱体化でザクの撃墜すら苦戦すると同時にジムの戦闘時間が短くなってしまい、実弾兵器を使うジオン側は、戦闘時間が長くてエネルギー切れのジムはカモに等しいのと堅固な防衛ラインに阻まれ、誰もソロモンにたどり着けなかった。
連邦軍は三方面からソロモンに攻撃を仕掛けたが、Sフィールドに侵入を果たしたルナツーの別働隊のティアンム艦隊は巨大モビルスーツにより全滅が間近だと報告され、Nフィールドもソロモンに取り付く事を目的の挺身艦隊はホワイトベースを残してペガサス級と搭載されたガンダムタイプは全てが全滅。
挺身艦隊の後方から支援するルナツー艦隊の本隊は、先の戦闘で挺身艦隊とガンダムタイプでジオン側の迎撃部隊は粗方撃墜出来たのだが、迎撃部隊の生き残った数機のモビルスーツに襲われ、第3次攻撃で投入予定だった大量生産に間に合わ無かったが小数だけ生産されたジム・コマンドやジム・スナイパーⅡカスタムを中心としたモビルスーツ部隊が艦隊防衛に出たが、既に半数以上のジム・コマンドとジム・スナイパーⅡカスタムはエースパイロットと思われるジオンのパイロット達に殆どが撃墜され、戦況的にルナツー艦隊本隊が壊滅するのは目に見える程だった。
主力であるレビル艦隊はソロモンに展開している艦隊と殴り合いとなるが、旗艦であるバーミンガムを残して他のバーミンガム級は敵の新型戦艦の餌食となり轟沈していた。
無論、レビル艦隊のモビルスーツ隊を全てを出撃させたがソロモンに辿り着く以前にガトー少佐が所属するデラーズ艦隊のモビルスーツ隊や月面都市方面軍艦隊のモビルスーツ、アクシズのペズンドワッジ隊やギャンをベースに開発され、ナックルバスターと言われるジェネレーターに直結したビーム兵器を主力武器とするチャイカ隊などのモビルスーツ隊など、レビル艦隊のモビルスーツ隊の数倍以上のモビルスーツに包囲され全滅していた。
イチカ達は挺身艦隊のジム隊と艦隊を全滅させるとそのまま、暗礁宙域に展開するルナツー艦隊本隊に突入していた。
「落ちなさい!」
イチカ、アルマ、キリーの3名が斬り込み、学徒兵が乗るボールにキリー大佐機のゲルググ・キャノンがクレイモアを突き刺し撃墜。
イチカとアンも艦隊戦で艦橋を破壊され撃沈した漂流するサラミスの甲板上で4機のジム・コマンドを相手に戦闘中だった。
「くっ、ベテランパイロットか!?」
「モンシア、奴から離れろ!
奴は、エース級のパイロットだ!」
「バニング隊長、逃げられるなら逃げてますよ!
糞が、当たりな!」
相手のベテランパイロット達は連邦軍のジャブロー守備隊の第4小隊(後の不死身の第4小隊)で他の2機もアンと戦闘中でだった。
無論、追いついたアルマ達だが、先にキリー大佐とホワイトディンゴ隊と遭遇して戦闘中の最中で苦戦していた。
「ちぃ、流石に4対1だと分が悪いわね」
「隊長、キラーハーピィ相手だと…」
イチカも早く片付けるべく斬馬刀を抜き、モンシア機のジム・コマンドに近接戦闘を仕掛けるが、モンシア自身も斬馬刀を食らったら不味いと感じてビームガンを乱射しながら後退する。
運悪く乱射ビームガンの一発がイチカの左腕に命中して破壊するが、代わりにイチカの急加速を許したモンシア機は手足を斬られて戦闘不能となる。
モンシアを援護射撃をしていたジム・スナイパーⅡカスタムに乗るバニング大尉も射撃戦をしても当たらないと判断。モンシア機がやられたのが観えて、ビームガンを捨てるとビームサーベルを抜き迫るバニング機も居るのはイチカには視えていた。
「簡単に殺られるかよ!」
バニング機に向かい斬馬刀を投げ捨てると、バニングは左に躱す。無論、斬馬刀はサラミスの対空レーザー砲に墓標の様に突き刺さる。
斬馬刀を躱したが、バニング機のバックパックにコツンと当たるのはイチカ機の破壊された110ミリ速射砲を装備していた左腕だった。
イチカはマシンガンを抜き、左腕に向けマシンガンを撃ち込み、110ミリ速射砲の弾丸の誘爆でジム・スナイパーⅡカスタムのバックパックを破壊しがら吹き飛ばす事に成功する。
吹き飛ばされたバニングのジムスナイパーⅡカスタムは破壊されたマゼラン級の艦橋の残骸に嵌り動けなくなり戦闘不能となる。
アンも第4小隊のジム・コマンドとジム・キャノンを相手にアデル機のジム・キャノンを戦闘不能に追い込むが右の脚部をキャノン砲の直撃で破壊されて甲板に倒れた事でピンチとなる。
倒れた事でベイトのジム・コマンドにジャイアントバズーカを持つ右肩をビームガンで撃ち抜かれて破壊され、ビームサーベルでトドメを刺そうと近付いた瞬間を利用して、左腕部の110ミリ速射砲を浴びせて撃破する。ベイトのジム・コマンドは110ミリ速射砲で蜂の巣になったが、ベイト自身はコクピットに被弾しなかった事を喜び、咄嗟にジム・コマンドから脱出し、脱出した直後にジム・コマンドは爆発する。
キリー大佐も最初は4対1で苦戦を強いられたが、アルマが追い付き、キリー大佐のゲルググ・キャノンがジム・コマンドのビームガンを躱して引いた瞬間にティターニアが腕部のガトリングガンを放ちながら入れ替わる様に隊長機のジム・コマンドと交戦する。
「ちぃ!?」
「!?」
「キリー隊長!」
隊長機もケンプファータイプであるティターニアとやり合うが、アルマの隙を突いてビームサーベルで斬り裂こうとしたが、アルマの特技であるカウンターが炸裂して両腕に展開したビームサーベルで隊長機のビームサーベルを弾き、機体が回転する様に遠心力を利用してジム・コマンドを斬り裂き撃墜する。
「私、だって!」
結果的にホワイトディンゴ隊を殲滅するが、ミアのプロトタイプリックドムⅡは、ジム・キャノンの砲撃を頭部に喰らうが、頭部が吹き飛ぶ前にジャイアントバズーカを撃ち込み撃破し、エマァもジム・コマンドを相手にジャイアントバズーカを失いながらもヒートサーベルでジム・コマンドを撃破する。
キリー大佐は、アルマと入れ替わったがジム・スナイパーⅡカスタムが沈没したマゼランに居るのが判り、弾切れしたマシンガンを投棄してF型マリーネのシールドからビームライフルを取り出して、ジム・スナイパーⅡカスタムと交戦する。
狙撃のタイミングで気付かれたジム・スナイパーⅡカスタムもスナイパーライフルを投棄して、ガンダムタイプと同じビームライフルを腰のウェポンラックから取り出して応戦する。
「気付かれた!?」
「甘いのよ!」
この時15歳だったエマ・シーンは、初めての戦場であり学徒兵だった。初めて対峙するエース級パイロットのキリー大佐に苦戦する。
エマ・シーンの苦戦は当たり前であり、彼女は連邦の士官学校の教練途中で学徒兵として送られ、射撃が得意だった為に訓練時間が殆ど無い状況で連邦軍のエース級パイロットが乗るようなジム・スナイパーⅡカスタムに乗せられたのだから溜まった物では無かった。
エマもこの戦争の根幹は連邦側が悪いと、情報管制が厳しかった連邦の中でもある程度の情報を知り、最初から思っていた。
騙し打ちのようにコロニーを落とし、世界会議で和平の話し合いに乗ったと思えば、連邦議会の議員達毎始末した上層部。
こんな馬鹿達の為に死にたくない。
私は、戦う事を捨てて降伏を選んだ。
私は武器を捨てると機体の両腕を上げ、コクピットハッチを開け、腰のピストルを捨てながら出ると相手をしていたキラーハーピィのキリー・ギャレット大佐に降伏したのだった。
最初は降伏を信じて貰えなかったが、配給されたピストルまで捨てると信じて貰えたらしい。
「降伏、するのね」
「はい、馬鹿達の保身の為に死にたくないです。
それに学生だったので、卒業したら好きな男性を作って、結婚したいかなって」
「貴女が死んだ偽装をするから、中に入りなさい」
ゲルググのコクピットハッチが開き、中から出て来たのは、ヘルメット越しでも判る様なスタイルの良い女性パイロットだったと気付く。
キリー大佐の指示に従い、私はゲルググのコクピットの中に入って操縦席裏の予備座席に座るとコクピットハッチは閉じ、私が乗っていたジム・スナイパーⅡカスタムにビームライフルを放ち機体が爆散する。
「このまま、イチカ達に合流するわ」
このまま、ゲルググは暗礁宙域に向かい、私が乗ったままキリー大佐の仲間の合流する暗礁宙域で合流を果たした。
ルナツー艦隊本隊の殆どが撃沈され、連邦のモビルスーツ隊を片付けたが、ミアの機体の姿が無かったと思ったら、ミアは機体から脱出してエマァ大尉に回収されたらしく、コクピットの予備座席に座る姿がモニター通信でわかった。
しかし、ソロモンに帰投するにも弾薬と燃料は無くなり、アルマのティターニアは燃料は少しなら有るがビームサーベル以外の武装は弾切れでなく、俺とアンの機体高機動型ゲルグは燃料は無く、武装はヒビの入った斬馬刀とアンはF型のシールドとシールド内の予備のビームサーベルのみ、エマァのプロトタイプリックドムⅡは途中で折れたヒートサーベルだけだった。
そして、キリー大佐の大量に武装を積んでいたゲルググ・キャノンはビームライフルとビームキャノンに加え、F型のシールドとビームサーベルだけでクレイモアは最後に沈めたマゼランに突き刺したまま爆沈に巻き込まれて喪失したらしい。
ソロモンの管制から戦闘終了の通信が入る。
「連邦軍の全滅を確認。
各部隊は帰投せよ。」
「戦争、終わったんだ…」
「「「「じゃあ、次は私達の番ね!」」」」
「エマ、貴女は捕虜でしょ!」
「通信越しで観たけど、彼、超優良物件なんですが!?」
「キリー、彼女捨てて行きましょ」
「ノーマルスーツの酸素が残り僅かだから捨てないで!」
何故か捕虜となったエマまでも叫んで居たが、アンに捨てる様に言われたり、キリー大佐に睨まれたようだった。無論、エマもノーマルスーツの酸素の残量が僅かだと謝ったが、多分諦めてないだろう。
「じゃあ、全機帰投するわよ!
ソロモンに着いたら、私の奢りでご馳走を食べるわよ!!」
「「「「おぉぉ!!」」」」
キリー大佐の一言で、どっと笑いが出る。
帰投しながら、燃料の切れた俺達の機体は燃料に余裕があるエマァ機とキリー大佐機で3機はワイヤーで固定されていた。途中の簡易型ドックハンガーが無事なら燃料の補給も出来るだろう。
帰投中の最中だった。
「なっ、何よ。
これ…」
「まさか、黒い穴!?」
「まさか?」
帰投する俺達の前に広がる黒い穴。
「全機、固まれ!」
「ちょっと、イチカ!?」
俺は咄嗟にワイヤーを引き、全員がバラバラにならない様に引き寄せて機体で皆の機体を抱き締める。無論、アンも意味が判ったのか固定用ワイヤーを射出して5機が一つに固まる様に巻いていく。黒い穴は俺達を飲み込むと何も無かった様に黒い穴は閉じたのだった。
迎撃防衛大隊支援を任務としていたシーマ艦隊旗艦リリー・マルレーンでは、イチカ達の識別信号が途絶えた事に気付くコッセル大尉。
「しっ、シーマ様ぁ!?」
「五月蝿い、コッセルどうしたんだい!」
「キリー大佐以下、イチカ大尉達が全機ろっ、ロストしました!」
「何だって!?」
シーマはコッセル大尉の悪い冗談だと殴り掛かったが、初めて見る男泣きするコッセルに本当だと悟る。
コッセル自身、イチカ達をシーマ隊が敬愛するシーマを立ち直らせた恩人としており、イチカ達を悪く言う者は誰も居ない。
「コッセル…いや私が行こう」
シーマは医務室に向かい、生理痛で寝込むシャーロットとミチルにイチカ達がロストした事を話す。
「嘘だと言え!
シィィィマァァァァ!!」
「嘘だよね?
嘘だぁぁぁ。
うわぁぁぁぁぁぁぁ」
看病していたミチルがキレて、殴り掛かったがシーマはミチルのパンチを受け止めずに成される侭にミチルのパンチを喰らう。
シャーロットは、ロストの報告にその場に泣き崩れて話に成らなかった。
「済まない、イチカ達はNフィールド暗礁宙域にてロストした…」
二人に土下座したまま、謝るしか無かった。
そんな中、リリーマルレーンの医務室に向う廊下にカツカツとヒールの歩く音。医務室の扉が開くと現れたのはノーマルスーツ姿のアルテイシア女大公の姿だった。
アルテイシアもイチカ達がロストしたのを一番に気付いた。サイコ・ジオングはSフィールドの最前線から凄まじい加速でNフィールドの最前線であるシーマ艦隊の旗艦リリー・マルレーンに取り付くと機体から降りて、非常用ハッチから中に入りシーマの元に来た所だったが、扉越しに響くミチルのキレた怒声とシャーロットの泣き声に気付いて医務室に入ったのだ。
「シーマ、イチカ達がロストは本当なの?」
「陛下、間違いありません」
「私が、この艦隊の指揮を取ります。
シーマ、直に探索隊を編成なさい!」
サイコ・ジオングはリリー・マルレーンにワイヤー固定され、イチカ達がロストした宙域に向う。
シーマも専用機のゲルググ・マリーネで探索に向うが、頭部が破壊され、脚部を失い破棄されたミアのプロトタイプリックドムⅡをミチルが発見し、シーマも最後にロストした場所を見つける。
「アルテイシア様!
イチカ達のロストポイントを発見しました!」
アルテイシアは現場を荒らさない為にサイコ・ジオングを降りて、空間移動用のランドムーバーを背負い現場に来る。
「何か、余りにも綺麗過ぎますわね…」
「はい、余りにも綺麗過ぎたので此処だと確信しました。」
確かに、暗礁宙域なのにイチカ達がロストした場所は各種デブリが何かに吸われたかの様に綺麗だった。
そして、イチカ達は生きている証拠として、最後に出撃した際の迎撃防衛小隊は戦闘後に行方不明になったとMIA認定としたのだった。
UC.0079.11月。
ジオン公国と欧州連合の連合軍と地球連邦軍の戦争は連合軍の勝利に終わる。最終決戦となったソロモンでは、地球連邦軍の艦隊とモビルスーツの攻撃を退け、逆に連邦軍はミサイル衛星と待ち構えたジオン軍の艦隊に挟まれ、包囲されて全滅した。
UC.0079.12月
ジオン公国軍総旗艦サダラーンの謁見の間にて置いて、地球連邦の大統領となったレビルと和平の調印が結ばれ、終戦となる。
無論、ジオン公国は占領地域の全ての返却し、連邦側もオーストラリアを欧州連合に返却となり、最大の農業コロニー郡のサイド2の支援により数年後に黄金色の見渡す限りの麦畑が復活を果たし、世界最大の食料生産地となる。
終戦に伴い、ダカールへのジオン公国軍の包囲が解かれたが、当初30万の連邦軍兵士は一万人未満しか生き残らず、殆どが餓死した。公国、欧州連合から大量の医者や食料が送られたが、治療と地域復興はまだまだ先となる。
イチカ達は本人達が知らぬ間に二階級特進となる。
この大戦での大活躍からイチカは『白いサムライ』の二つ名とアンはフリークス家の裏の家紋をエンブレムにした事から『ジオンの蒼い悪魔』と言われ、エマァ大尉の『キラー・フェアリー』、アルマの『妖精女王』、ミアの『弾薬ガール』の二つ名があり、ジオンと連邦の教本に乗るエースパイロットとして扱われた。
無論、キリー・ギャレット大佐も『キラーハーピィ』と教本に載り、この5人だけは一緒に居る写真だけしか教本に無く、風の噂ではセレーネ・カーンとミネバ・ザビが屋敷を管理している事から、他の写真も保管しているのではと噂があったが定かではない。