シャアに拾われた件について リメイク   作:ロドニー

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ホワイトラビット社の起業

 

 鈴の暴走によるアンとの決闘騒ぎは、束姉の介入により終幕するが、浜辺に聳え立つ5機のモビルスーツを隠す方法に頭を抱える。

 

 無論、隠れ家の格納庫の高さはISの試作機のや素材等を収容するには十分な高さはあるが、モビルスーツでも全長が高いキリーの指揮官機用ブレードアンテナ付きのゲルググ・キャノンで19.8メートル、アルマのティターニアで19.5メートル、俺の高機動型ゲルググ改もブレードアンテナ付きな為、キリーのゲルググ・キャノンと同様の高さだった。

 

 但し、モビルスーツは格納庫より背が高く無理だった。

 

 「いっくん、寝かせないと格納が出来ないよ」

 

 「ですよね…」

 

 途方に暮れていたが、問題を解決したのは技術士官でもあったミアだった。

 

 「モビルスーツ運搬用トラックの様なトラックは無いですか?」

 

 有るには有る。

 

 だが、アレは宇宙研究機構の持ち物であり入手は難しい筈だった。

 

 「束さん、ちょっと政府に相談して来るよ。格納するまで、森に寝かせて偽装して隠すしか無いかな?」

 

 束さんがスコールを連れ、本島に向かい政府と相談する中、5機のモビルスーツは格納庫側の森に寝かせ、偽装ネットで隠す事となる。

 

 一週間後には、宇宙研究機構が所有するロケット運搬車両が5台が搬入され、モビルスーツは格納庫に移す事が出来た。

 

 無論、操縦性や積載能力に難がある為にミアがツィマッド社製のモビルトレーラーの図面を描き、束姉に提出してハンガー付きのトレーラーを大手トラックメーカーと造り上げるのは学園に入学して間もなくだった。

 

 無論、ロケット運搬車両が搬入される間、俺は4年間の出来事を束姉と鈴に説明していた。

 

 「誘拐された後に黒い穴に吸い込まれた俺は、乗っていたモビルスーツとは違うモビルスーツの卵と言っても変わらないMS-05ザクⅠの演習場で拾われたんだ。」

 

 無論、この話はアンとシャア大佐、ザビ家の人間しか知らない話であり、俺に関する機密だった。初めて、話を聞き知るのはアルマとエマァ、ミアの三人と迎撃防衛大隊の総隊長になる際にドズル閣下から俺の過去の触りを説明を受けたキリー大佐は別である。

 

 「身分証明が旧暦扱いだった。」

 

 「保険証、極東の国のイチカ、持って居たよね?」

 

 アンは持ち物に付いて聞く。

 

 「あぁ、確かにアレはドズル閣下に頼んで、新暦に直した保険証を偽造して貰ったんだ。だから、いち早く身分証明を手にする為に士官学校に入ったんだ。」

 

 無論、学校に入ってからの話やアンとの出会い。そして、開戦してからの出来事などを話していた。

 

 そして、アンとの話で鈴がキレた。

 

 「何で、どうして、一夏から一番を奪わなかったのよ!!

 いつ、何処で死ぬかも知れないのにどうして!」

 

 「鈴音、私は没落した貴族令嬢だけど、令嬢としての矜持があるの。

 

 確かに私は、あの事件で一夏に責任を取らせて婚約者になった。

 

 けど、イチカの心は鈴音のまま、だった。

 

 一番が貴女なのに奪えない、いえ、奪ってはいけない。

 

 そう感じたのよ。

 

 だから、何時死んでも解らない状況だからこそ、私がイチカの二番目を守り、一番の特別の鈴音を護りたかっただけ」

 

 「敵わないなぁ…」

 

 とアルマは呟くが、ちゃっかりと一夏の隣に座っている事にエマァとミア、キリーの三人はツッコミを入れたかったが、いつもの光景であり、ソロモンなら嫌がらせでイングリッドが自分では飲めないくせにブラックコーヒーをちびちび飲み、甘過ぎて砂糖要らないわねとやるのが日常だった。

 

 最終的に俺達が乗っていたモビルスーツとモビルスーツで録画されていた戦闘記録の動画を観て納得するが、鈴は急に立ち上がるとトイレに向かい閉じ籠もると暫くは出て来なかった。

 

 

 

 一夏達の戦闘記録を観た後、トイレに逃げ込んだあたしは、吐くだけ吐いた。スコールさんとの軍事教練が生易しいなんて想いたい程、一夏が経験した戦争は生易しいとは思えない凄惨さが、あたしの胃の中身をキリキリと痛振る。

 

 「うっ、オゲェェォ…」

 

 便器に吐いたのにまだ苦しい。

 

 一夏は大丈夫だったのだろうか?

 

 否

 

 優し過ぎる一夏なら絶対に病んだ筈だと思う。

 

 だって、老若男女関係なく、等しい死を戦争の凄惨さが与えた惨さと『何で、どうして私が死ぬの』と、問い掛ける様な、大火に焼かれ轟沈して行く断末魔の戦艦から、火に焼かれながらオペレーターの女性が怨めしく睨む光景を観たあたしは、トイレで吐くしか無かった。

 

 そして、キリーさんとアルマの見せた地上戦線の記録は一夏の宇宙での戦いよりも残酷で凄惨だった。

 

 キリーさんが乗るザクが、陸上戦艦のブリッジにバズーカを撃ち込み、バズーカの弾頭が破裂しながらブリッジ要員が一瞬でミンチになる瞬間の光景。

 

 アレが止めとなった。

 

 「鈴音、貴女の心が折れたら駄目。

 

 イチカは、まだあの時の光景に苦しんでる。」

 

 あたしが吐いていたトイレに駆け付けたアンが来ていた。アンはあたしの背中を摩りながら語るように話す。

 

 一夏のトラウマ。

 

 未だに魘され、一夏の心の闇。

 

 シャトルを落とした時の出来事を聞き、心を強く持ち、一夏を支えなくてはいけないのだと、改めて心に深く誓った。

 

  

 鈴音が飛び出し、アンが追い掛けた後に士官学校の話となった。鈴とアン、雰囲気の似ているふたりなら大丈夫だと思う。一応、鈴には謝らないといけない。

 

 

 「いっくんは、士官学校を卒業したと聴いたけど?」

 

 「そこは、キリーに説明を任せるよ」

 

 上官で第一期パイロット候補生で士官学校卒業したキリーが説明する。一応、士官学校で少尉での卒業は高校を卒業した事になり、俺達は中尉で戦果を一つか二つ挙げれば、直に昇進して大尉となる予定だった事から大学卒業した事になっている事を説明していた。

 

 「いっくん、学校でもう一度、青春してみない?」

 

 束姉の話に俺は学校に行くには成らなかった。

 

 「いや、大学卒業の資格もあるし、束姉を手伝いたいが?」

 

 「う〜ん、いっくんの大学卒業資格は向こうの世界だけだし、なら、企業代表で束さんの試作機のテストパイロットはどうかな?」

 

 「いやいや、ISコアは女性しか、反応しないだろ!?」

 

 「全く。いっくんなら反応するよ。最初に作ったアーキタイプのコアの生体情報はいっくんの生体情報だし」

 

 束姉の発言に驚いたのは、スコールさんとオータムだった。今まで、亡国機業でもISコアの製造実験をしていたらしく、コアは全く作れなかったらしい。

 

 「まさか、一夏くんと千冬の生体情報が使われてたなんて…」

 

 「そりゃあ、ゴミのコアしか造れねぇ訳だな」

 

 亡国機業の研究者にゴメンと言いたい束さんだが、あの連中を相手にするのはゴメンである。それに、いっくんの糞親は側近であり、いっくんの父親と戦ったが、束さんでも勝てるレベルじゃないし、危うく死に掛けた。無論、今現在で把握している亡国機業の本部の持つ戦力は、束さん達の戦力でどうこう出来るレベルじゃない。

 

 間違いなく、全員が死ぬ。

 

 なら、束さんのやる事は表舞台に立つ事。

 

 企業の開業に充てはある。

 

 束さんのせいではあるが、日本政府との司法取引で日本代表選手の数機の専用機と日本代表候補生の専用機は束さんが受け持った事で、本来なら受け持つ筈がキャンセルされて業績が悪化して倒産まで傾いた倉持技術研究所を買い取りながらも倒産が間近なデュノア社の買収だった。

 

 それに、倉持技術研究所の技術者の篝火ヒカルノ博士とデュノア社の社長であるアルベール・デュノアは技術者と云うより整備士として優秀であり、表舞台に立つ為の欲しい人材だった。

 

 無論、鈴ちゃんやいっくん達のジオンのエース達にもISに乗って貰うが、キリーちゃんだけは年齢的に学園は無理であり、くーちゃんが代わりに学園に入って貰うかが悩む所だった。

 

 さて、いっくん達には強制ではあるがISに乗って貰うのは確定だった。

 

 束姉が起業する話から約一週間。

 

 俺達がISに慣れる為に日本の打鉄とイタリア製のテンペスタが束姉の自腹で数機を購入してすぐに搬入された。

 

 打鉄を選んだのは、ミアとエマァとエマさんの三人とテンペスタを選んだのは、俺とアンにアルマ、キリーが選び慣熟訓練の真最中だった。

 

 ただ、全員がモビルスーツ搭乗時代の武装に近くする為、束姉に無理を言って武装を替えていた。

 

 ISに三日で慣れた俺は、スコールさんの須佐之男を相手に空中戦を仕掛けていた。

 

 

 「ちぃ、甘いんだよ!!」

 

 須佐之男に牽制しながらアサルトライフルを放ち、距離を縮める。

 

 「あぁぁもう!!? 

 一夏が居た、ジオンのパイロットは皆、そうなの!?」

 

 スコールさんが半分キレながら、アサルトライフルの牽制射撃だと判りながらも正確に放たれる弾丸を腕でクロスしながら防御するが、反撃する余地がない事に苛立つ。

 

 「単一仕様。

 

 当たらなければ、意味が無い!」

 

 一夏も単一仕様を使われた須佐之男に距離を取り、只管、アサルトライフルを放つが、スコールはガードしながら突破して殴り掛かるが、一夏の得意な罠に掛かっているとは気付かない。

 

「この、元アメリカ代表を舐めるなぁぁ!!」 

 

 「掛かった!!」

 

 憶えたばかりのラビットスイッチで斬馬刀をコールし、アサルトライフルと入れ替える。無論、殴り掛かったスコールの須佐之男への特大のカウンターだった。

 

 「しっ、しまった!?」

 

 「落ちろ!!」

 

 殴るタイミングでの特大のカウンター攻撃での斬馬刀で繰り出す袈裟斬をモロに受けた須佐之男は、海に叩き付けられる様に落下。落下したスコールさんは特大の水柱を作った後には仰向けで浮く様に気絶していた。

 

 無論、アルマもオータムさん相手に戦って居た。

 

 ただ、オータムさんは元地上戦線のエースのキリー大佐と同じ斬り込み隊長だったアルマを舐め過ぎた。

 

 アルマがティターニアに乗る前は、MS-06G型 陸戦型高機動ザクに乗っており、アルマはテンペスタに求めた武装はジャイアントバズーカ、大型ブレード、アサルトライフル、小型のバトルアックスだった。

 

 IS用のジャイアントバズーカは無いが、ツィマッド社の技術者でありジオンの技術士官だったミアが簡易の図面を元に束姉の教えを受けながら作ったバズーカだった。

 

 オータムは、地形を自分の有利にする為、単一仕様の世界樹の創造を発動させて、フィールド全体を樹海にしたがアルマやキリー、ミアの地上戦線組には無意味であり、逆に樹海を目隠しに利用される事態となった。

 

 「ちぃ、何処に隠れた!?」

 

 「そこっ!」

 

 開始早々に樹海に降りて隠れたアルマは、テンペスタの推力を上手く使い、樹海内の生い茂る木々の地面スレスレを低空で移動しながら、ヴァーリにアサルトライフルを放ち、じわじわとエネルギーを削り、こそこそと深い樹海の木々に隠れるアルマにキレたオータムが竜巻で樹海を一気に吹き飛ばそうとすれば、竜巻の風向きまでも利用して一気に近付き、ジャイアントバズーカを零距離射撃で放ちながらダメージを与えては樹海に隠れ、逆に接近すれば、大型ブレードを抜き、カウンター攻撃で何度も斬りつけて、樹海の中へと離脱を繰り返す。

 

 地上戦線組の巧みで、北米の深い森などの地上での戦い方とアルマの経験が織り成す技だと言える。

 

 無論、アルマの巧みな樹海での戦い方が嵌り、オータムはエネルギー切れで敗北する。

 

 無論、束姉が製造した三世代半型の専用機が二世代型のISにまさかのやり方で負けた事にショックだった様で、ジオンではエースだった俺達の戦い方を事細かく観察しながらデータ化して、只管に専用機の開発に力を入れていた。

 

 鈴とアンの模擬戦も凄まじかった。

 

 同じテンペスタ同士の戦いだったが、鈴は近接戦型であり、アンは近中距離戦型を選ぶ。

 

 終始、鈴は攻めていたが上手く行かず、アンはアサルトライフルとジャイアントバズーカを上手く使い、鈴の接近を許さなかった。

 

 鈴の力任せな戦い方が目立ったが、テンペスタの推力と扱いやすさで鈴の猛攻を躱すと小型のバトルアックスで数回斬りつけ離脱し、大振りの攻撃が来れば、回し蹴りで腕を蹴り回して、すれ違い様にジャイアントバズーカを正確に後頭部を狙い撃つ。

 

 アンの動きは、まるで高機動型ザクを乗っていた時の動きであり、ラビットスイッチを憶えた事で、俺が相手だとしてもカウンターまでやる様になって、やり辛くなっている。

 

 無論、最後は…

 

 ドッボォォォン

 

 鈴がアンが放つカウンターのジャイアントバズーカを食らって海に落ちる光景だった。

 

 「これじゃあ、成れなかったけど、代表候補生として形無しじゃない!」

 

 「鈴、これが一夏の僚機だった私の力よ」

 

 頭にワカメが絡み悔しがる鈴とアンとの実戦経験の差を見せた戦いだった。

 

 無論、キリーもテンペストでスコールと模擬戦となるが、キラー・ハーピィは伊達では無かった様でインファイターのキリーが終始攻めまくり、スコールもインファイターだった事から至近距離での激戦となったが、キリーが中距離で使う様なジャイアントバズーカを零距離射撃で放つなど全ての攻撃が近距離でやられたスコールは対応が遅れ、本日で2回目の海への墜落となったのだった。

 

 

 そして、束姉と倉持技術研究所との話し合いは、束姉が倉持技術研究所の抱える多額の借金を全額持つ代わりに経営陣の退陣を条件に倉持技術研究所を買収する。

 

 無論、倉持技術研究所はホワイトラビット社と社名を変えて社長には束姉が就任する。

 

 社長の就任と同じくして、フランスのIS関連企業のデュノア社に対してTOBを仕掛け、九割以上のデュノア社株を入手した後、筆頭株主の強みで、株主総会を開き経営陣の一新に責任を取り、社長だったアルベールは辞職するが、デュノア社をホワイトラビット社の傘下に置いた束姉が許さずにホワイトラビット社の整備責任者として再就職する。

 

 ホワイトラビット社は、企業代表用の専用機となる一夏達の専用機の開発に取り掛かるが、篝火ヒカルノ博士が密かに開発していた暮桜の後継機の白式にかなりの駄目だしを受ける。

 

 「紙装甲で武装不足でじゃじゃ馬で操縦難。

 

 ヒカルノ博士、白式の採用は却下。」

 

 「そっ、そんな!?」

 

 無論、駄目だし担当は束姉のIS関連知識と技術を学んだミアがタブレット片手に却下する。

 

 無論、ミアと束姉がタッグを組み、ツィマッド社系の技術を盛り込んだMS-08TXイフリート。

 

 束姉が俺達のモビルスーツを技術解析して完成させたジオニック社系のMS-14Aゲルググ

 

 同じく、モビルスーツ技術研究所系のMS-18Fティターニア。

 

 最終的には、汎用性の高さと豊富な換装型装備ユニットの選択性の高さからゲルググをIS化した流星がホワイトラビット社の三世代の量産型ISとして世界に発表と会社の創設が発表され、ISの関連企業や軍関係を中心に世界を震撼させたのだった。

 

 無論、俺達のモビルスーツと同じ仕様の専用機が作られが、一夏の専用機はMS-14BR高機動型ゲルググ改をベースにした白式、アンの専用機は白式の先行量産型の高機動型にしたMS-14B高機動型ゲルググをベースにした蒼式、アルマの専用機はMS-18Fティターニアをベースにしたそのまま、ティターニア。

 

 打鉄とリックドムをベースに軽快な機動力と重装甲で高いパワーを重点に置いた専用機の黒式を開発されたが、3機だけはミアとエマァ、エマの専用機となる。

 

 ただ、汎用性の高い流星との量産型を決める評価試験で負けて黒式の量産は見送られる。

 

 カルフォルニアベースの計画機でMS-08TXイフリートをIS化にした紅式は、鈴音が近接特化型である事に気に入り専用機としたが、イフリートは同じイフリートでも、ジオンの闇と言えたEXAMシステムの搭載機だったイフリート改だった様でISコアが誰かの記憶を覗き込み、システムの完全再現をコアがやらかした様で、EXAMシステムの危険性を知り、実際のイフリート改を大公命令で海没処理した経緯を知るミアとキリーは絶句する。

 

 勿論、紅式を開発した束さんも加えた三人は頭を抱える事となる。

 

 鈴音は、後の暴走系のモビルスーツに愛され、後のアクシズでは、海没処理された筈のジオン系モビルスーツのイフリート改を筆頭にZ計画系のモビルスーツのSガンダムと出会う事となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

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