シャアに拾われた件について リメイク   作:ロドニー

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それぞれの和解 前編

 

 一夏の渾身のストレートを喰らい気絶した実技試験の後、私はピットの格納庫のベンチで目覚めた。

 

 「此処は…」

 

 専用ハンガーに掛けられているのは、7機のホワイトラビット社の専用機がずらりと立ち並びながらケーブルに繋がれてタブレット片手に一人の少女が整備する光景。

 

 無論、私の専用機だった暮桜も何故か待機状態の鉄甲は外されており、ハンガーには展開状態で掛けられて整備受けていた。

 

 暮桜の整備は、製造元の倉持技研のヒカルノ博士か基礎設計した束しか出来ない筈だった。しかし、整備をする少女はタブレットで使用した弾薬やエネルギーの使用状況、装甲や電子部品に異常が無いかを一機ずつ素早く確認したら学園の設備を使い、機体に異常が在れば装甲が外されて異常を起こしたパーツを交換して行く光景。

 

 私でも解る程、ベテラン整備士が作業して居る様な錯覚に陥る様な光景、あの少女は私が愚かにも整備技術科からパイロット候補科に強制的に異動させたミアだった。

 

 「全く、アン大尉と一夏少佐も無茶な操縦を…あっ、また、関節を壊してるし…」

 

 大尉、少佐?

 

 一夏が軍人だった事実をミアの呟きと云う愚痴を耳に拾い、愚痴の内容から一夏が軍の佐官であることを察してしまう。無論、もしかしたら戦争を経験した可能性すら浮上して実技試験で見せた技量の高さすら納得出来てしまう。いや、しかし、アフリカや西アジアのアフガニスタンなどの紛争地域なら解る。もしも、一夏が紛争地域にいたならば、誘拐事件以降会えなかった幼馴染で恋人である鈴音が一夏の下に会いに飛んで行くのは確実であり、私の耳にも当然、鈴音から連絡が入る事は約束していた。

 

 

 

 そして、専用機の胸の装甲に描かれているバラを崩してマークにした物は国章の可能性があり、軍旗のマークで有るのは確実だった。そして、軍旗の下にバラと盾が描かれたエンブレムの下に英語表記だったが訳せば『ジオン公国 宇宙突撃軍 343迎撃防衛大隊』と長いが何となく解る。

 

 この世界の国家にジオン公国と言う国家はない。

 

 ならば、可能性の一つとして異世界をテーマにした小説の様に違う異世界の国家の可能性がある。多分、誘拐事件の後に違う世界に飛ばされた一夏は何らかの理由で軍に入るしか無かった事情。

 

 実技試験で見せた、未だに技術的に確立化が出来ていないビーム兵器の実用化を実際に実用化が出来ている事が、束が社長を務めて居るホワイトラビット社が一夏達と絡んでいる時点で何らかの関わりがあると察した。

 

 一夏のあの戦い方は、実技試験では空中戦では在ったが、まるで宇宙空間で戦っている様な動きであり、空間戦闘能力は宇宙で実戦を経験しなければあり得ない機動だった。

 

 競技者である私と実戦経験があるだろう一夏との実戦経験との差は、はっきり言って競技者である私の勝ち目は最初から無かった。

 

 だから束は、私を理解させる為だけに暮桜を用意したのだと判る。少しでも一夏との差を埋める為に。

 

 一夏の技量が実戦経験で産まれ、アンの実技試験で使用したビーム兵器にある疑問が産まれた。

 

 一夏が戦争を経験したならば、相手にもビーム兵器が在ったのでは無いかと。一夏のリボルバー瞬時加速の際に見せたジグザグしながら接近する回避機動は無意識ながらの癖だと全てを語っていた。

 

 一撃でもビームが当たれば人生の終わりだと。

 

 そして、ビーム兵器が実装出来た理由を理解が出来てしまった瞬間、私は身体を抱き締めたまま恐怖に震えが止まらなくなる。

 

 自分の大切な弟が戦争を経験したまでは構わないが、もしかしたら、私の考察が確かならビームを食らった一夏が死んで居たかも知れない事に気付いたのだ。

 

 「もう!

 

 アルマまでもティターニアの膝関節を壊してる!?

 

 これ、30分以内に整備が終わるかなぁ…」

 

 「ちょい待て!?

 

 専用機の整備が30分以内だと!?

 

 何処の空母艦載機だ!!」

 

 つい、うっかりと機体の整備に途方に暮れていたミアに突っ込んでしまうが、実際の学園にある機体の平均的整備時間は1機に付き、1時間以上か又は1日以上も整備に掛かるのが普通だった。

 

 だが、ミアは8機の専用機を全て30分以内に整備を終わらせる積りらしい。

 

 つまり、逆に言えば30分以内に整備を終わらせられる技術と実力があり、軍であれば30分以内に再度の出撃が可能な事を意味している。

 

 (実際、北米戦線では自機のザク・キャノンテストタイプを失い負傷したミアは、一時的に技術士官として部隊の整備班としてキリー専用の陸戦型ザクや隊員のザクなどを整備していた時期があるが、ブロック整備方法マニュアルにより、決められたブロック事に整備する事で短時間でパーツをブロック事交換して整備していた。交換したパーツは整備班が次に使える様に整備していたらしい。)

 

 無論、設計上の問題で整備難がある暮桜も含めてとミアが言っている。しかし、ミアは黙々と作業を進め、実際の時間は40分弱だったが整備が終わらせるのだった。

 

 「あっ、織斑先生、目覚めたんですね。」

 

 「見事な速さの整備だったな」

 

 「社長には敵いません。訓練で使い潰してスクラップ直前の練習機を私なら修理と整備に半日掛かるのに1時間以内で終わらせるから、私はまだまだですね。

 

 でも、私は貴女に対して許す事は出来ません。

 

 社長からIS技術や知識を学び、自分達の機体と同じまでに扱える様になって、自信が着いて来たからIS学園で最難関の整備技術科を選んで、社長と専務の自慢に成りなかった。なのに、貴女はそれを全否定した。」

 

 なんてことをしたのだろう。

 

 ISコアの同調率が高いからとパイロット候補科に異動させた自分が恥ずかしくなる。整備するなら機体の移動だってある筈だし、同調率が高くなければ整備した機体のテストも出来ない。

 

 当たり前な、優秀な整備士として必要なスキルだったのにな…

 

 「謝罪は受けたく無いので、社長達が待っている待機室に案内します」

 

 謝ろうする前に私の言葉は遮られる様に待機室へと案内される。

 

 「冷た!?」

 

 「はっ?」

 

 ミアが待機室を開けるスイッチを押したが余りの冷たさに手を離した事に疑問になり、私も触り扉の余りの冷たさに呆けるが、待機室の扉が開く。

 

 「うっわぁ…」

 

 「なんなんだ、このカオスは…」

 

 室内は極寒の猛吹雪が物理的に吹き荒れており、天井には大量の氷柱が生え、部屋の隅っこには体育座りでいじけている二人からは身体が霜げながらジメッとした雰囲気を漂わせて頭には氷で出来たカラフルな茸が生えていた。

 

 「そうよ…だから26歳になって結婚出来ないのよ…」

 

 「ねぇ、キリー大佐?

 

 私達、一夏と入籍して居るからね、結婚してるからね」

 

 入籍して居るだろとキリーを慰めているエマァが余りの寒さから毛布に包まりながらキリーに突っ込む。

 

 事実、軍での余りにも忙しい書類の決裁や部隊への指示でご飯はカロリーバーとワインで済ませ、軍の佐官用宿舎に帰っても宿舎内にはコンビニやクリーニング屋があり、佐官用宿舎の余りの利便性から炊事洗濯を一切やらなかった事のツケが、入籍した後に自分に舞い戻って炊事洗濯などは、一夏や鈴音とエマの出来るメンバーからは戦力外通告を受けていた。

 

 一夏の姉への爆弾発言の誤爆と言う直撃を受けているキリーは千冬への怒りを霧散していじけて居たのだ。

 

 「私だって、炊事洗濯くらい出来ますわよ…ただ、料理すれば鍋が爆発するし、包丁で野菜を斬れば、まな板事斬れるし、洗濯すれば、洗濯機が空に打ち上がって爆散するから実家では屋敷が壊れるからやらしてくれなかっただけよ…」

 

 無論、ジメッといじけるアンの炊事洗濯の酷さに自分まで戦慄を覚える。

 

 アンも、そこまでは酷くないと叫びながら言いたいが、アルマ達の面々は家事や料理に関わらせてはいけない危険人物と評価されている時点で家事炊事が出来ない千冬もアンも同類だと認識されている事が周囲の認識である。

 

 無論、炊事洗濯が出来ないミアは、元から出来ないと自覚しており、本質が研究者体質である為にミアの部屋が書き損じた図面や開き放しの専門書などが部屋の至る所に散乱して汚部屋化は仕方ないと思っている節があり、掃除をする鈴音に叱られるのは日常茶飯事だった。

 

 

 それはさて置き、もう一人の猛吹雪の源はミアの一件で再変更が出来ないと説明されて知りキレている束と一夏だった。

 

 説明を終えて一段落したが、どう責任を取るのかと話し合いの最中であり、学園の生徒会長である更識楯無が寒さなのか恐怖なのかは解らないが、ガタガタと身体を震えながらの面談の最中だった。

 

 面談中の更識は、私が入って来たのを気付いており、扇子を開き震えた文字で『余計な事は言わず、黙ってろ』と見せられて私は口を噤む。

 

 理由は、3カ月以内に一夏達の住まう寮の改修の完了とミアが入る筈だった整備技術科だったが、パイロット候補科に変えた以上は変更が出来ない事が判り、更識楯無会長が平謝りで束に謝る状況だった。

 

 「じゃあさ、束さん的には学園の教師の織斑先生の独断の落度だよね?

 

 一応、みーちゃんには束さんの技術と知識を教えるだけ詰め込んだから学科は受けられなくても構わないだよ。卒業が直ぐにでも出来るレベルだし。

 

 まぁ、束さん的にアンちゃんとエマァ、アルマとミアにエマの出身国のイギリスとカナダと一緒に厳重抗議するだけだし、問題無いよね?

 

 それとも、キリー専務の出身国のアメリカも追加かな?」

 

 私も束のマシンガントークは久しぶりに聞くが黙って聴くしかなく、担任から副担任か担任を持たない一般教諭に降格処分にしなければ納得しないと言われ、もし、例の二人も含めた猛抗議がきたら学園が終わると更識会長は土下座しながら蒼白になり只管に平謝りだった。

 

 

 

 そして、最終的な決断は更識会長の手には負えない事態だと学園長と相談した上で私の処分を決める事として話し合いは終わる。

 

 

 

 

 「さて、ちーちゃん。いっくんの誘拐事件を調べていたから、生ゴミがちーちゃんにいっくんの誘拐を知らせなかった事も全て解ってる。」

 

 「あぁ、だから私も優勝インタビューを利用して、黙っていた馬鹿を半殺しにしながら全てをカメラの前で吐かせた。」

 

 「それに関しては、女性権利団体を潰すのに動き易くなったからちーちゃんには感謝だよ。」

 

 私と束に一夏の三人による話し合いが始まった。

 

 待機室はスコールが暖めた為に寒くは無くなったが、学園関係者のプレートを首に掛けた鈴音達がスコールの案内で大量の掃除用具を抱え、私の部屋へと彼女達を連れて突撃して行った。

 

 そして、鈴音を含めた彼女達は一夏の嫁であると知った時の私は、彼氏も居ないイコール年齢と弟に先を越された感で怒りは多少はある。だが、後の通信モニターが繋ぎ放しである事を束が忘れて、私と一夏との話し合いがメアリーとナターシャに丸聞こえである。

 

 「ナターシャ、聴きまして?

 

 千冬の部屋が汚部屋だなんて聴きましたら、私、鳥肌が立ちましてよ。」

 

 「メアリー、千冬があぁなのは、変わらないわよ。まさか、弟に結婚を越されるなんてね…うっぷっ」

 

 「ちょっと、ナターシャ?

 

 私も未だに千冬の結婚願望が強いだなんて、吹き出すの我慢してますのに酷いですわ。

 

 私は、アン辺境伯爵令嬢がスパダリを捕まえて結婚した事に嫉妬は御座いますが…」

 

 

 

 見透かされた様に同期の二人からコソコソ話しが丸聞こえであり、束は束で手で口元を押さえて笑いを我慢しており、一夏は鈴音とは結婚する筈が、一夏が話した事柄で言えば、異世界に飛ばされて、戦争で活躍し過ぎて上級階級の貴族の令嬢と結婚させられそうになったが、アンとは士官学校でのハプニングを理由に婚約していた為にアンが一夏を守る為に入籍したらしい。(※上級貴族 ミネバ・ザビ侯爵令嬢とシャーロット・シュタイナー子爵令嬢など数名。)

  

 アンは鈴音に謝りながら、この世界に戻り次第、俺は鈴音と入籍した。無論、鈴音との入籍後に企業代表選手になった時点で一夫多妻が認められている無国籍を入手して、UC世界のメンバーからの強い要望を受け入れる形で入籍した。

 

 

 束姉と千冬姉の二人の話し合いは続いた。

 

 

 束姉は、ドイツで千冬姉が教官をした際の育てたラウラという少女の幼すぎる精神面の失敗までも把握しており、実姉であるクロエ自身が妹のラウラを心配して、何か起きる前に引き取りたいと束姉に相談しているが、千冬姉からは特殊部隊に在籍する以上は無理だと言う。

 

 そして、千冬姉からは箒の事だった。

 

 箒のあの性格は奈良の新陰流道場でも手に負えなかったらしく、実家に戻された話を千冬姉からの口から束姉に話したが、束姉自身も把握していた。

 

 ただ、昨年の剣道の全国大会で決勝では勝ったのだが危険行為で失格となり、相手に危険な喉元への突きによる一撃を竹刀で入れたらしく相手は呼吸困難になって入院となる。

 

 中学での剣道の技である突きは禁止行為であり、禁止を知りながらの使用は審判から危険行為と見做されて失格となったが、失格に納得しない箒は審判までも暴行した事で日本剣道連盟から処罰として大会への出場権の永久剥奪とされて、永久剥奪にキレた箒が実家の道場で暴れたと束姉は知る。

 

 無論、両親から連絡を受けた束姉は直に駆け付けて箒を物理的に鎮圧する。

 

 そして、二人に共通の問題は箒がIS委員会日本支部からの差し金なのか入れ知恵なのかは解らないが、箒が一般入試で受験したらしく、IS適応は代表候補生よりは低いが、一般入試枠の適応者の中では高い方で在った為に入試には、IS委員会からの監視を含めて受かる可能性があると千冬姉は言う。

 

 

 無論、束姉は家族と共に箒とは縁を切る話は出ているが、剣道大会の時以上の何かしらの決定打が無く、頭を抱えているらしい。

 

 

 

 

 

 

 

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