UC.0079年5月
「全く、こっ酷くやられたもんさな。」
一人の整備兵がモビルスーツ用のハンガー脇に大破着底した最新鋭のペガサス級強襲揚陸艦ペガサスの被害状況を確認しながらボヤいていた。
「機関部大破で両舷のメガ粒子砲は台座を破壊されてパーだな…
まともに使えるのは無いな…こりゃあ、機関部を少しでも直して電源を治しても武装が一切使えないな…」
「ヤマ大尉、治せそうか?」
「正直、言ってスクラップですよ。艦長」
ペガサスの艦長のフジワラ大佐は、機関部の損傷した被害報告からも分かりきっていた。このコロニーでは、モビルスーツの試作と製造するだけの設備しか無く、宇宙港の設備ならと思ったが、既に設備と入港口も破壊された為にサラミスやコロンブスがコロニー外にもコロニー内にも出られない状況となり、港は寿司詰め状態のまま停泊中でありペガサスがもし、港内へと移動出来たとしても港内の寿司詰め状態の艦艇群が移動出来無い限り港の設備の利用すら出来ない状況だった。
最も湾内の艦艇用の設備群は、サイクロプス隊の破壊工作により破壊されて利用は出来ないのだが…
ペガサスは、この破壊工作により袋の鼠となりコロニー内に閉じ込められた事で出る事すら不可能な事態だった。
「ただ、救いなのはモビルスーツがある事位か?」
「はい、極初期生産型のジムと例の計画のモビルスーツのガンキャノン極初期生産型と山間部のハンガーに極初期型のガンタンク、宇宙港の方にはサラミスとコロンブスにルナツーで破棄が予定されているザニーが20機位です。」
ジオン軍の通商破壊作戦が激化する最中、このコロニーに監視網を掻い潜り持ち込めた資材と試作と生産を繰り返した結果、各機体に若干の性能のバラつきはあるが、辿り着き着いたテストパイロット達は居るが腕に関してはジオンの士官学校の2年生程度の技量しかない。
それでも、極初期生産型ジムが25機とガンキャノン極初期生産型が10機の生産済の機体と整備を急がせれば戦力化が出来るRX-78-0プロトタイプガンダムとRX-78-1初期生産型ガンダムだけで、組み立てに最も時間を要するRX-78-2に限っては外部装甲すら付いてなくて戦力にすら成らない。
避難勧告を受けたテム・レイ博士は図面関係はジャブローに送り、技術者達は既に他のコロニーを経由して脱出済みだった。
それでも、戦力に不安しか感じないのは何故だと寒気すら感じるのだった。
「製造設備から電源引いてきた。一先ず、レーダーと通信が使えなきゃ話しにならん」
一人の整備兵がトラックで製造設備から電源ケーブルを引き、ペガサスの外部電力挿入口にケーブルを差し込み、レーダーと通信だけは回復する。
「レーダー、通信が復旧!
えっ?
レーダーに反応!
数は12!
レーダーの反応規模から敵モビルスーツです!」
しかし、レーダーと通信だけを賄うだけの電力しか無く、ペガサス級が装備する全ての武装を賄うだけの電力は無かった。それでも、モビルスーツ隊やコロニー守備隊、宇宙港の停泊中の艦艇に指示が出せるだけはマシかと艦長は思うのだった。
「復旧して、早々にジオン軍の襲撃だと!
総員、第一種戦闘配備を急がせろ!」
「了解!
総員第一種戦闘配備!繰り返す。総員第一種戦闘配備!これは、訓練ではない!」
整備兵による必死の復旧により、レーダーの回復と同じくしてレーダーに反応があり、レーダーの光点からジオン軍の襲撃だと判り、艦長はパイロット達に指示を出すのだった。
「モビルスーツ隊は、出られるか?」
「ジム隊とガンキャノン隊は出られます!」
オペレーターの指示により、ジム隊とガンキャノン隊はハンガーから出撃するが、ハンガーに残るプロトタイプガンダムと極初期型のガンダムはパイロットが直に出られる状況ではなく、リュウ・ホセイ少尉とスレッガー・ロウ少尉がペガサスのハンガーからジープで飛び出した事からペガサスにガンダムタイプの2機だけでも積んで置けば良かったと思うが、今更である。
無論、コロニー守備隊も出撃し、山間部のハンガーがあり、ジオンのパイロットからしたらモビルスーツとは言えない、61式戦車に替わる地球連邦地上軍の主力の複座型の極初期型のガンタンク隊28両が出撃し、集結地点に集まったジム隊を前面にしてコロニーの宇宙港を睨むのだった。
「破棄予定の積んであるザニーも出撃させろ!!
パイロットならセイバーフィッシュのパイロットが居るだろ!」
「正規のモビルスーツパイロットじゃないだろう!」
「構わん、出せ!
ジオン軍が迫って居るんだ!
足りないなら、主計科のコックでも出撃させるんだ!
急げ!敵機は目前だぞ!!」
コロニーの出入り口を破壊され、宇宙港に閉じ込められていた、連邦軍の艦艇にも戦闘配備の命令が来ており、コロンブスと航空巡洋艦のサラミス級からもルナツーで廃棄予定だった試作型モビルスーツであるザニーが出撃するが乗るパイロットは誰も居なかった。
そこで、ザニーのパイロットはカタパルトが使えず出撃が不能となったセイバーフィッシュのパイロット達であり、足りないパイロットは主計科のコックまで乗せる緊迫した状況と連邦軍の混乱した状況だった。
ただ、宇宙港内の艦艇は船体の格納庫の増設は終えては居るが、レーダーや通信機器などの電子機器が改修前の艦艇群であり、レーダーが使い物にならない為、唯一レーダーが使える様になった、コロニー内に擱座するペガサスからの指示による出撃命令だった。
それでも、艦艇は無理だがモビルスーツ位なら出入りが可能な物資搬入口から出撃が出来たザニーの20機だった。
ただ、セイバーフィッシュのパイロットはおろか数時間のモビルスーツの操縦訓練しか受けていない連邦のパイロット達への地獄の始まりだった。
モビルスーツの編隊から抜け出し、急加速した2機の機体が同時に斬馬刀を抜き、光るのはモノアイ。
白と薄いグレイに塗装されたC型ヘッドの高機動型のゲルググと白とライトパープルに染められ、左肩にはキラーハーピィのエンブレムのゲルググ・キャノンが急接近する光景に連邦のパイロットは、死神が大鎌を振り被りながらのパイロットへの死の宣告に、死にたく無いと絶叫しながら120ミリ無反動砲を放つが命中率は微々たるものであり、操縦訓練が数時間のパイロットがエース級のジオンのパイロットに一当て出来たら奇跡であり、まず当たらない。
そして、ザニーはキリー大尉のゲルググ・キャノンに狙われ、ゲルググ・キャノンがヒートクレイモアを振り被り迫る姿に悲鳴を上げる間も無く、すれ違いざまに左右真っ二つに切り裂かれ、宇宙の星に仲間入りとなる。
「イチカ!
私に付いて来な!」
キリー・ギャレット専用に塗装されたゲルググ・キャノンが急加速しながら1機のザニーを左右に切り裂き、残骸へと替え、イチカ専用に塗装されたゲルググCB型が大尉に負けじと斬馬刀を横に振り抜き、戸惑い固まるザニー2機を斬馬刀の長さを生かして上半身と下半身を泣き別れにしていた。
「イチカとキリー大尉に遅れるな!」
アンが激を飛ばし、ザニーの群れに突入しながら近接戦闘を行う2機を追い、B型と同等の加速力があるアンのゲルググ・マリーネがLKP-110ミリマシンガンの専用徹甲弾を乱射し、負けじと120ミリ無反動砲を放つザニーに浴びせて撃破する。
「私も!!」
ミアが乗るプロトタイプリックドムⅡもドム系特有の高い機動性と高いパワーを生かして装備していたのは試製型120ミリ大型ガトリング砲を乱射しながら蜂の巣状態のザニーを量産しながら防衛網を突破し、ガトリング砲の弾丸を浴びたザニーはマリオネットの糸が切れたかの様に踊りながら蜂の巣にされ爆発する。
無論、ガトリング砲が弾切れとなり撃ち終われば投棄し、腰のマウントラックからラケーテンバズーカを取り出し、進路を邪魔するザニーに浴びせていく。
アルマとエマァも負けずにアルマ機のゲルググがヒートソードを抜きザニーに斬り込めば、エマァ機のプロトタイプリックドムⅡがマシンガンの牽制射撃でアルマ機を狙うザニーの動きを止めさせ、斬り込んだアルマが通り過ぎながらザニーを斬り裂き撃破する。
無論、アイナとノリスもザニーと乱戦中のキリー大尉機とイチカ中尉機達を抜き去り、一足先に物資搬入口から突入して宇宙港内で身動きが全く取れないサラミスとコロンブスのブリッジへとジャイアントバズーカを放ち撃破してキリー大尉達の侵入進路を確保していた。
20機近かったザニーは数分で全滅し、コロニー内に突入したキリー大尉を隊長とした2個小隊はエアロックに取り付いてゲートを開けて内部へと侵入が成功するが、ゲート下の草原地帯には連邦の大量のモビルスーツが展開していて、モビルスーツの多さに足止めされる。
「くっ、待ち伏せかい!イチカ中尉とアン中尉にアイナ中尉には地上での戦い方を教えて上げるわ!」
「「「了解!」」」
「アルマ、ホバー移動しながら敵へ攪乱させつつ、戦車擬きに切り込みさい!」
「了解!」
「ミア少尉とエマァ中尉、ノリス大尉は斬り込む3機の援護!」
キリー大尉の矢継ぎ早な指示に各機が散開し、アルマがゲルググをホバー移動しながら、右手でマシンガンを乱射しながら接近して左手に装備したヒートソードで斬り込み、ゲルググの接近に慌てたガンキャノンがキャノンを放つが、ホバーしながら左右に回避行動するアルマ機には当たらない。
無論、アルマが狙うのは、最後部にいる極初期型ガンタンクだった。地上戦線では61式戦車に替わる機体で北米戦線では何機も撃破してきたアルマには鴨がネギを背負って来たカモでしかない。
「やっぱり、未熟なパイロットね!」
アルマは回避行動でモビルスーツの動きが直感的に連邦のパイロットは技量的に士官学校の2年生以下だと判り、軽くゲルググのバーニアを吹かしてジャンプしながらキャノン砲を蹴り曲げ、ガンタンクのキャタピラに跨ぐとヒートソードでガンタンクの頭部のコクピットと胴のコクピットが串刺しになる様に目掛けて突き刺にしてガンタンクを撃破する。勿論、串刺しされたガンタンクは爆発する事無く沈黙する。
弾切れのジャイアントバズーカを投げ捨て、マウントラックからマシンガンを抜き、射撃モードを連続から単発に変えたキリー大尉もホバーさせながらジムへと迫る。
「ちぃ、コロニー内での戦闘は厄介ね!」
と文句を言いながら、ジムの腕と膝の関節向けて4発を狙いを変えながら放ち、ジムの関節を正確に撃ち抜き破壊する。関節を破壊されたジムは地面に倒れるしか無く、せめて一矢報いようとバルカンを放とうとすれば、ゲルググに頭部を踏み潰されて破壊されたのだった。
キリー大尉率いる2個小隊のパイロット達はモビルスーツがコロニー内で爆発すればコロニーに穴が開くのは分かりきっており、コロニーへの配慮からモビルスーツを爆発させない様にモビルスーツを撃破する為、キリー達は苦戦する。
別方向から突入したシャアは、第一小隊と一緒にコロニー内に突入する。無論、コロニーの前後から突入して連邦軍への挟み撃ちは成功だろうが、当初の偵察よりも連邦のモビルスーツが多かった。
「前回よりモビルスーツが多いだと?」
シャアが乗るゲルググA型が自由落下しながら、第ニ小隊と第三小隊が連邦軍のモビルスーツを相手に乱戦する姿とモビルスーツを爆発させずに撃破する姿にキリー大尉の統率力の高さに舌を巻く。
無論、地上戦線組であるアルマとミアの機体もホバー移動しながら高い機動力で後ろに周りながらガンタンクを撃破し、キリー大尉機が味方同士の誤射狙いでジムの部隊へ乱戦に持ち込んだら、ガンタンク隊を片付けたアルマ機は支援する様にキリー大尉機を狙うジムの手足のみを切り落として行くがイチカ達の宇宙戦線組はイチカとアンにエマァはキリー大尉の針に糸を通す様な指示を守りながら、ガンキャノン隊と交戦しており、エマァ機はガンキャノンにすれ違い様に肘打ちで頭部を破壊して、頭部を失ったガンキャノンは後ろに倒れて沈黙する。
イチカ機もホバー移動しながら試製ヒートクレイモアで頭部とキャノンをすれ違い様に切り落とし、アン機も正確な射撃で関節を破壊して撃破する。
シャア達も目的の連邦軍のモビルスーツハンガーの付近に着地すると、ハンガー内からノズルフラッシュが見えた事に気付く。
「各機、散開!」
「「「了解!」」」
4機のゲルググが四方に散開し、元居た場所が爆発する。無論、ハンガー内から出て来たのはプロトタイプガンダムとキャノン付き極初期型ガンダムの2機だった。プロトタイプガンダムが持つバズーカから煙が立っていた事から、バズーカを放った機体だと判断する。
「ライデン大尉とライトニング少尉は白い方を。イングリット少尉はハンガー内の捜索、黒いのは私がやろう。
2機共、鹵獲対象だ。抜かるなよ」
「「「了解!」」」
シャアは、黒いプロトタイプガンダムに向け、ホバーしながら急接近をする。
「赤い機体、赤い彗星かよ!」
プロトタイプガンダムのパイロットのリュウ・ホセイ少尉は自身の運の無さに愚痴りながらバズーカを投棄してビームサーベルを抜いたが、シャアには悪手でしか無く、マシンガンを構えたシャアはプロトタイプガンダムの手前で跳び、ビームサーベルを持つ腕を蹴り上げる。無論、蹴られた事でビームサーベルは手から離れるが、更にシャアは反動を利用してプロトタイプガンダムに回し蹴りで胴を蹴りプロトタイプガンダムはその場に倒れたのだった。
「確かに、素人だな。」
倒れたガンダムのコクピットハッチにマシンガンの銃口をピッタリに押し付ける。
「新型モビルスーツのパイロット、コクピットハッチを開けて投降しろ。指示に従えば、生命の安全は保障する」
リュウは、シャアに勝てないと理解していた為にコクピットを開き投降する。無論、エース級のパイロットであるライデン大尉とライトニング少尉も極初期型のガンダムを四肢を斬り落として、パイロットのスレッガー少尉も投降していた。
「もう一機、有ったよ!」
とハンガー内を探索したイングリット少尉は、自身の機体であるゲルググ・キャノンでモビルスーツ用のデッキに組み立て中のRX-78-2を発見して鹵獲する。
3機のガンダムタイプを鹵獲に成功と極初期型ではあるがジムやガンキャノンの大量鹵獲にも成功しながらもこのコロニーの制圧と擱座状態のペガサスも鹵獲する。
しかし、連邦の技術者が既に居なかった事で、作戦は八割方の成功で終わるが、地球のジャブローへと辿り着いた技術者達は、サンダース軍曹が得た戦闘データを元にモビルスーツの大量生産を始める。
無論、キシリア閣下とドズル閣下は今回の作戦の成功した理由にベテランパイロットやエースパイロットの起用によるものと判断する。シャア少佐とキリー大尉の報告書を元にベテランパイロットやエースパイロットを集中運用する計画を立ち上げ、遊撃部隊の要としてのエースパイロットの専用部隊であるキマイラ隊の創設案と連邦で大量生産されるだろうモビルスーツ対策に迎撃専門部隊の創設案を両名の記名入で軍総司令本部のギレン閣下に提出し受理される。
宇宙攻撃軍所属
キマイラ隊創設計画
宇宙突撃軍所属
ソロモン守備隊343大隊設立計画
ギレン閣下は、両軍所属の創設計画へと変更して、両部隊の完全設立はUC.0079.7月まで待たなければならなかった。