UC.0079.7月。
連邦軍は、アフリカ方面軍への支援を企図した一大反攻作戦の一つとして、ダカールの奪還とオデッサへの侵攻が決まるが、北方アジア方面軍はジオンのオデッサ基地の部隊と欧州連合の連合軍により膠着状態であり、増援部隊を送るにもアラスカ方面軍の壊滅が尾を引いてる状況だった。
無論、オデッサを攻めるにしてもジオンと欧州連合が強固な防衛網と監視網により攻められる状態とは言えない。
それでも、連邦軍は最新鋭の強襲揚陸艦であるホワイトベースとトロイホースを作戦に投入して打開する方向だった。
オデッサより確実なダカールは、ジオン軍のカイロ侵攻とアレキサンドリア制圧戦に掛り切りであるが為に手薄だった。しかし、実際はジオン東部アフリカ方面軍の司令ロンメル大佐と東部アフリカ派遣師団の欧州連合軍司令のマウントバッテン大佐がダカール制圧後にチェニジアの港街にて集結して待機しており、トドメだと、ソロモンとアンマンから輸送艦が大量の物資を積み、欧州連合のジブラルタル宇宙港に降り、港に待機する水上艦隊がタラント港経由で大量の物資を運んで来る為に現実を見ていない連邦軍の高官は手薄だと判断でもしたかもしれない。
「全く、貴公らの輸送能力は恐ろしいですな」
3時のティータイムの最中、マウントバッテン大佐はティーカップを持ちながらティーテーブルに地図を広げながら部下の偵察の報告をまとめるロンメル大佐。
「欧州連合の輸送艦の能力が高いお陰ですよ。アレが無かったら、コムサイによるピストン輸送が必須でしたし、物資が有っても運ぶ手段がねぇ…」
「あぁ、確かに…」
ロンメル大佐とマウントバッテン大佐が目が遠くなりながら、港に入港する輸送船団に目を向ける。
確かに欧州連合製の輸送艦はザクなら10機以上15機未満のモビルスーツ搭載能力と旧世代末期の100万トンタンカー8隻分の物資積載能力がある。
そして、大気圏突入能力と宇宙港を利用すれば大気圏の離脱能力が加わる優秀な輸送艦だった。
ジオンと欧州連合はお互いにライセンス契約を結び大量生産させて、ジオン側は輸送艦が登場した事でパゾックがお役御免となり退役し、欧州連合はジオンからの技術供与を受けて、今年の8月頃から就航する輸送艦にはザンジバル級にも搭載されたミノフスキークラフトが搭載された輸送艦となり、更に輸送能力に全振りした結果が武装の搭載能力が設計上出来ない非武装艦なのが最大の欠点だった。
非武装なのを目を瞑れば優秀な輸送艦なので、宇宙ではムサイが護衛に付き、地上に降りた際は指定された宇宙港以外は絶対に降りない様に徹底していた。
「連邦の彼奴らはダカールに来ますかね?」
「マウントバッテン君、その為のチェニジアでの待機だよ。」
ロンメル大佐は、保険としてジブラルタルにもジオン軍と欧州連合軍の混成モビルスーツ大隊を待機させており、連邦軍の本格的なダカール侵攻は連邦軍のモビルスーツの製造能力を加味して8月頃だとロンメル大佐は睨んでおり、攻めて来れば連邦軍への殲滅作戦である『魔女の大釜作戦』を決行するだけだった。
連邦軍は、激戦区の南米戦線のパナマで補給物資を積んでメキシコの飛行場に降りた北米方面軍のガウを無傷な状態で鹵獲しており、ガウを元に設計した後のガルダ級大型輸送機の開発に成功させていた。
極初期型のガルダ級は8機はモビルスーツ隊の2個中隊を積み込みダカールへと向う。積まれたモビルスーツは陸戦型ガンダム6機と陸戦型ジム12機の合わせた18機がダカールの上空からパラシュート降下をやり遂げ、ダカールを制圧。
無論、降下作戦が行われたのは国際会議中の七月であり、連邦に所属する議員や欧州連合の議員や王侯貴族、ジオンからも新たに外務を担当するカーン侯爵が参加していた。
会議内容は、ジオンと欧州連合の連合軍と連邦との和平案であり、ジオン公国と欧州連合が和平案に賛成する代わりの要求はデギン前侯爵とフリークス夫妻への慰謝料並びにジオンと欧州連合への賠償金の支払い要求だった。
無論、連邦側の議員も賠償金と慰謝料を支払う積もりだったが、重なる戦費で支払うだけの余力は無かった。
ジオン公国と欧州連合側も七月に世界会議がある為、連邦軍は攻撃はしないと踏んでいたのだが、この会議で支払いが可決されてしまえば連邦は破産しか無く、連邦軍の上層部は議員達の抹殺とジオンと欧州連合の王侯貴族達の殺害も含めた降下作戦を実行したのだ。
そう、連邦軍上層部の保身の為だけに…
降下した連邦軍のモビルスーツ隊は、ジオンの東アフリカ方面軍の守備隊の存在を無視しながらダカールの議事堂への攻撃を開始する。降下中の陸戦型ジムに被害を出しながらも降下に成功した陸戦型ガンダムが放つロケットランチャーは議事堂の屋根を破壊。議事堂内の議員や王侯貴族達は崩れた屋根の石材の下敷きとなり大多数が死亡する。
無論、議事堂から逃げ惑う職員や議事堂から逃げ延びた議員や王侯貴族達を口封じを目的にマシンガンを乱射して殺害したり、モビルスーツの足で踏み潰したりと虐殺の限りを尽くした。
しかし、怒り狂った守備隊は連邦軍の降下部隊を全滅させ、モビルスーツから脱出した連邦のパイロットは捕縛されたが、怒り狂うジオン軍と欧州連合の兵士に鎖で繋がれたまま砂漠の岩場に連れて行かれて鎖に杭を打ち込んで放置して殺害した。
無論、作戦には成功したが連邦軍は更なる降下部隊を送り込み、怒り狂うジオン軍と欧州連合との激しい戦闘の末、ジオン軍と欧州連合はチェニジアに撤退するが、連邦軍はダカールの制圧には成功する。
但し、チェニジアのジオン軍東アフリカ方面軍と欧州連合アフリカ派遣師団にダカール周辺を包囲され、連邦軍は全ての補給路を断たれ孤立無援の状態となり、包囲網は終戦まで続き、派遣された連邦軍約30万の兵士は飢えとの戦いとなって、最終的に生き残った連邦軍は一万人にも満たなかった。
無論、ダカールの国際会議での大虐殺はジオン公国と欧州連合に伝わる事になり、ジオン公国の所属としながらも中立を保ちながら木星圏の監視を行なっていた宇宙要塞アクシズ。
その、総司令のカーン侯爵の娘で三姉妹の20歳の長女マレーネと17歳の次女のハマーン、15歳の末女のセレーネは、父親が連邦に殺害された報告と当主を殺害して置きながらも唯一木星圏との交易でレアメタルとメタンの供給の為に中立に徹していたアクシズに更に資源を寄越せと言う連邦の酷い仕打ちに三姉妹はブチギレれる。
「「「ぶっ殺す!!」」」
三姉妹は、アクシズ内部の貴族を一気に纏めるとカーン侯爵邸に貴族と軍関係者を集めると木星圏への監視の中止と連邦への報復にジオン公国側に付く事と宇宙要塞アクシズを地球圏に向う事を宣言する。
そして、アクシズが地球圏に移動が始まると三姉妹はお茶会をカーン侯爵邸の庭園で開いて当主に誰が成るかを話し合うが、ハマーンは最初から姉と妹には勝ち目が無かった。
長女と末女が私を当主にしようとする画策からは…
「さて、マレーネ姉上。カーン家の当主は父亡き後は、長女である、お姉様と成りますが?」
「えぇぇ、ハマーンちゃんが当主をやりなよ〜私じゃ当主なんて柄じゃないし…」
ティーテーブルを囲みながらの三姉妹のお茶会。
しかし、普通のお茶会なら、この様な光景にはならない。
カーン侯爵邸の庭園は、小鳥のさえずりも無く、空を飛んでいた鳩は三姉妹の笑っていない目で微笑み合うと鳩は気絶して落下する。
ハマーンが、ニッコリ笑いながら姉と妹を牽制すると姉が扇て顔を半分隠してニッコリ笑うと控える侍女が泡を吹きながら気絶し、末女が天真爛漫にハマーンに当主の座を押し付ければ、ハマーンは一瞬、冷たい瞳で妹を睨むと末女の後ろに控える侍女が倒れる。
三姉妹の間に猛吹雪が吹き荒れる絶対零度のガゼボでの空間に侍女達は気絶して倒れた仲間の救助と三姉妹への給仕と侍女には地獄の始まりの光景だった。
寧ろ、侍女達は泣いて良いだろ。
まだ、三姉妹は言葉すら発して無かったのだから。
そして、当主の押し付け合いと言う、三姉妹の醜い闘いは、ハマーンの一言により始まった。
最初の一言はハマーンから始まり、やんわりと当主の座を躱す姉。にこやかに笑いながら、姉に当主を押し付ける妹。
マレーネは当主などやりたくなど無く、アクシズ独自の外務をやりたかったらしい。妹は妹で、好きな料理や裁縫がやりたいらしい。確かに妹の料理は美味しかったが…
「ハマーンお姉様が当主に向いているなぁ…」
まさかの妹、セレーネの裏切りだった。
ハマーンも蟀谷に青筋を浮かべ、姉と妹をどう説得するか考えるが全く浮かばない自分に怒りさえ覚える。
「でも、当主になるなら婿は必要だよねぇ?」
「ハマーンお姉様なら、大公家のキャスバル様とお似合いでは?」
確かにキャスバル様は、次期大公の継承権を放棄している。私に旨味しか、無いのでは?
と思ってしまった自分を殴りたいが、姉の伝手で大公家に連絡を取り、即日にキャスバル様とのお見合いは決まり、通信越しだったがお見合いした後にキャスバル様が婚約者になり、当主になったのだからやるしか無いハマーンだった。
無論、マレーネ姉様と妹のセレーネには、当主にさせられた恨みを込めて大量の釣書をプレゼントしてやろうと思うハマーンだった。
しかし、ハマーンが用意した姉と妹への釣書は無駄となるのは、姉のマレーネがザビ家の末男ガルマ・ザビと結婚。ただ、ニューヨークシティの市長の娘を第二夫人としてガルマ・ザビに結婚を迫ったらしい。
因みに妹のセレーネだが、同じパイロット同士で婚約して居るのにも関わらずにジオン軍所属のエースパイロットに結婚を迫ったと、私の婚約者のキャスバルの妹である女大公のアルテイシアから苦情が来たと言っていた事を思い出す。
「まさか?」
ハマーンが当主となり、いつの間にかアクシズから消えた姉と妹。
そして、アルテイシア様から送られて来た一枚の写真は、金髪の少女がブチギレながら妹の頬を引っ張り、黒髪の男性の腕から引き離す一枚の写真を見ると、私は何故か、その男性と家族に一生苦労させらるのだと直感が訴えていたのだった。